カジノ法案が衆院本会議で国民不在のもと詐欺的に可決

 名もなき投資家さんのアンケート調査で7割近く反対しているカジノ法案が、本日、ろくな審議もされず、衆院本会議で可決されました。
 そのような状況の中、「政権御用達メディア」と言って差し支えない読売新聞までもが社説で"ボルテージの高い反対論"を展開しています。澤藤統一郎氏の記事では、読売のこの姿勢について"保守の側かららの深刻な警告と見るべき"とあります。いよいよ"驕れるアベも久しからず"になってきたのかもしれません。原田武夫氏のFacebookでは、カジノ解禁について"我が国を徹底して貶める行為"であり、"民族としての「自覚」が問われています"とあります。
 さすがの琉球新聞は、国民不在で詐欺的に可決された"法案成立は断じて認められない"という社説を出しています。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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“カジノ法案”衆院本会議で可決(16/12/06)
配信元)

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配信元)


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自民応援団の読売さえも憂うる「カジノ解禁法案」強行
転載元)
<澤藤統一郎(さわふじとういちろう):弁護士>

読売と言えば、正力松太郎以来戦後の保守陣営を支えてきた政権御用達メディアと言って差し支えなかろう。政治的な対決テーマでは、常に政権の側に立って保守与党の側を支持し、野党を批判し続けてきた。いち早く、「読売新聞社・憲法改正試案」を発表して改憲世論をリードしてきた改憲勢力の一角でもある。

その読売の12月2日朝刊社説が話題を呼んでいる。「カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか」というタイトル。話題を呼んでいる理由は、政権与党の応援団であるはずの読売が、議員立法とはいえ、明らかに政権と与党が推進する法案に、鋭く反対論を展開したからだ。おざなりの反対論ではない。ボルテージの高い反対論として立派な内容となっている。しかも、本文中では、法案の名称を「IR法案」とも「カジノ法案」ともいわず、「カジノ解禁法案」と明示していることにも注目せざるを得ない。

 カジノの合法化は、多くの重大な副作用が指摘されている。十分な審議もせずに採決するのは、国会の責任放棄だ。
 自民党や日本維新の会が今国会で法案を成立させるため、2日の委員会採決を求めていることには驚かされる。審議入りからわずか2日であり、公明、民進両党は慎重な審議を主張している。

この社説の掲載は、12月2日朝のこと。総務委員会の「審議入り即審議打切り採決強行」がささやかれる中で、「もし、そんなことをしたら、国会の責任放棄だ」と警告を発したのだ。自・維は、この読売の警告を無視して、その日の内に「国会の責任放棄」をやってのけたのだ。

読売は、審議入りしたばかりでの、問題点に目をつぶった採決強行だけを問題にしたのではない。読売社説は次のように法案の問題点を指摘している。

 自民党は、観光や地域経済の振興といったカジノ解禁の効用を強調している。しかし、海外でも、カジノが一時的なブームに終わったり、周辺の商業が衰退したりするなど、地域振興策としては失敗した例が少なくない。

 そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱となる。ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの“散財”に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である。

 さらに問題なのは、自民党などがカジノの様々な「負の側面」に目をつぶり、その具体的な対策を政府に丸投げしていることだ。

 公明党は国会審議で、様々な問題点を列挙した。ギャンブル依存症の増加や、マネーロンダリング(資金洗浄)の恐れ、暴力団の関与、地域の風俗環境・治安の悪化、青少年への悪影響などだ。いずれも深刻な課題であり、多角的な検討が求められよう。

 だが、法案は、日本人の入場制限などについて「必要な措置を講ずる」と記述しているだけだ。提案者の自民党議員も、依存症問題について「総合的に対策を講じるべきだ」と答弁するにとどめた。あまりに安易な対応である。

 カジノは、競馬など公営ギャンブルより賭け金が高額になりがちとされる。客が借金を負って犯罪に走り、家族が崩壊するといった悲惨な例も生もう。こうした社会的コストは軽視できない。

 与野党がカジノの弊害について正面から議論すれば、法案を慎重に審議せざるを得ないだろう。

さらに、本日(12月5日)の読売は、「カジノ解禁に『反対』57%…読売新聞世論調査」(2~4日の全国世論調査)という記事を掲載している。この記事は「自民党は、カジノなどの統合型リゾート(IR)を推進するための法案(カジノ解禁法案)について、6日に衆院を通過させる考えだが、国民の間では依然として慎重論が多い」とまとめられている。読売はカジノ解禁法案反対の姿勢を崩していないのだ。

読売のこの姿勢は、「カジノ解禁強行は、政権に対するレッドカードとなりうる」という保守の側かららの深刻な警告と見るべきではないか。読売にしてなお、政権のこの傲慢なやり口を看過し得ないのだ。このままでは、「驕れるアベも久しからず。ただ春の夜の夢のごとし」に終わるという危機感の反映がこの社説というべきだ。野党にも、市民運動の言い分にも、そして保守メディアの警告にも耳を貸さないこの政権。読売は、このままでは危ういと見ているのだ。


カジノ解禁に関して、各紙の社説の中で舌鋒の鋭さで目を惹くのが本日(12月5日)の琉球新報である。<社説>「カジノ解禁法案 国民不在の成立認めない」という標題。

 唐突かつどさくさ紛れに、国民生活に悪影響を与えかねない重要法案を数の力で成立させるのか。
 刑法が禁じる賭博にほかならないカジノを地域振興などに活用することを狙う、統合型リゾート施設(IR)整備促進法案(カジノ解禁法案)がわずか2日間の審議で衆院内閣委員会を通過した。
 自民党と日本維新の会などの賛成多数で可決された。参考人質疑や公聴会は一切ない。国民不在そのものである。
 年金制度改革法案や環太平洋連携協定(TPP)関連法案の成立をにらみ国会会期を延長したはずなのに、安倍政権と自民党が先に強行突破を図ったのはカジノ法案だった。詐欺的行為にさえ映る。

 数の力に頼った強引な国会運営は1強のおごりである。自民党は国会を「言論の府」と標榜することをやめた方がいい。慎重姿勢を貫いていた公明党は自主投票にした。腰砕けではないか。法案成立は断じて認められない。(以下略)

この社説の指摘を深刻に受けとめざるを得ない。まさしく、議会制民主主義の形骸化の事態が進行しているのだ。私たちの国の民主主義はどこに行ったのか。いったいどこの国と価値観を同じくしようというのだ。

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