グーグルは異を唱えたら即クビ! <その1>

 突然ですが皆さま、男女って生まれながらに違うと思います? まあ身体の形状や仕組みが違いますもんね。ではその差異は能力、人間としての行動様式、そして嗜好にまで影響を及ぼすものでしょうか。
 とある社員が、「男女を全く同じように扱うことこそ逆差別ではないか」と声を上げました。するとその社員の会社は彼を即刻クビにしてしまいます。主要メディアもこぞって彼をバッシングします。
 彼の言い分も一理あると思うし、世間が印象操作したような女性蔑視な方には見えないのですが……なんで世の中こんなに余裕が無くなってしまったのでしょう。
(Yutika)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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グーグルは異を唱えたら即クビ! <その1>

pixabay[CC0]


騒動のあらまし



Google(グーグル社)の上級エンジニアが、今年7月に「自分とこの社風ってちょっとおかしくない? 改善しませんか」と社内メモを匿名で回したら、今月1週目の週末には社外に公表されて大騒ぎとなり、犯人探しされて、7日月曜日には即刻クビになりました(確か2日足らずだったでしょうか、まぁ「メモのせいでしかないよね」って丸判りな速さです)。

最初は自称「リベラル(=進歩主義、自由主義者)」の左派、つまり大手メディアがこぞってメモ社員の方を血祭りにあげ、今はオルタナ(=従来の保守主義とは異なる新しいタイプの)右翼と呼ばれる人々が会社の方を盛んに批判しています。

メモの内容



10頁ものメモなので読まずに参戦している人間も結構いるみたいです。なんせ大手メディアが「多様性を否定する女性蔑視メモ」と間違ったレッテルを堂々と貼る位ですから。

実際のメモを確かめてみましょう。作成者のジェームズ・デモア氏は2013年からグーグルで働く28歳で、本人曰く「古典的なリベラル」:

    人は大抵は良心的です。ですが、誰もが自覚していない偏見を持っているものではないでしょうか。幸いなことに、意見の異なる人たちとオープンで率直な議論をすることにより、そういった自分では見落としている点が明るみになり、私たちを成長させてくれるのです。それがこの文書を書いた私の理由です。グーグルは幾つもの偏見を有し、それについての率直な議論は社内を支配するイデオロギーによって沈黙させられています。これから述べることはおよそ完璧なものではありません。ですが、グーグルで是非とも語られるべき、いち見解です。
 

……うん、言葉本来の良い意味でリベラルな方ですね。グーグルは左派一辺倒だけれど、右派・左派どちらか一方だけが100%正しいってことはないでしょう、本来は社会や企業って左派と右派の両方の視点があってこそバランスが取れるものだと思います、とも指摘しています。その点も正しい。

健全な企業活動をする上では、「女性」など一くくりのグループに人を当てはめるのではなく、個人個人として扱われるべきだし、性別や人種だけでなく意見の多様性にも寛容になるべきではないか、って会社に言いたかっただけなようです。



メモの問題点

 

ただ、コンピューター・エンジニアリング業や重役職で女性が半数を占められない原因には、もしかしたら生物学的な差もあるのではないか、と論じたのがまずかった。左派はこれ、凄く嫌う論調なんです。LGBTの時代なんですよ、性別なんて自分の意思で選び取るもの。そもそも生来のものではなく、社会的に一定の環境下で培われたものでしかないんです。

    男性と女性に配分された特徴の違いは、なぜテクノロジーやリーダー的な役職の半数を女性が占めないのかという疑問を、部分的に解き明かしてくれるかもしれません。対等に占められるべきだという差別は不公平ですし、軋轢を招きますし、ビジネスにも響きます。」
 

要するに女性幹部や女性プログラマーをアファーマティブ・アクションで逆差別して50%にまで無理矢理引き上げる必要はないでしょって、示唆しちゃった。攻撃的なフェミニズムのお姉さん方がこれで敵に廻ります(※「あたしがグーグルで働いていたらぶん殴ってやったのに」とかツイートされてる)。


女性の特徴?



ちなみに以下三点が、彼が挙げた女性と男性の主な違いです。女性の方があくまで平均的には、男性よりもこういう要素をより多く持っていると。読者の皆さんは、読んで腹が立ちますか? 私は女性として、確かに一般的にはそうとも言えるかもしれんなと思いました。デモア氏も全員には当てはまらないし、男女で共通する点も多いと断ってから述べていますからね。

    ●思想よりも感情や美的感覚に向けられた関心。女性は男性と比較すると、一般的に物よりも人間へ強い興味を示す(共感 vs. 組織化とも解せる)。【中略】
    ●自己主張をするという形ではなく、皆で社交的に過ごすという形で表現される外向性。または、高度の同調性。【中略】
    ●神経過敏性(より強い不安神経症の傾向、ストレスに対するより低い抵抗力)【後略】
 

逆に男性はストレスの多い長時間労働を強いる高い地位につきたがる。女性がそういう地位に何故つきたがらないのかは疑問視するのに、男性が指導者的地位に多い理由はあまり問われることがない。しかしそれは男性を判断する主要な基準が地位だからではないだろうか、とも。


皆の反応



このメモ流出後、関係各所の主張を私なりにまとめますと……

左派:「女性が生物学的にコンピューター産業に向かないとは何事だ! この社員は女性蔑視だ! こんな奴と一緒に働かされる女性社員が可哀相。だからクビは当然至極の報い。社会的にも抹殺しちまえ」

右派:「え? 実際、プログラマーになりたがる女の子は少ないでしょ。なのに無理矢理女性を多く雇おうとしたら、優秀な男性は不採用で、女性は女性ってだけで雇ってもらえるなんて逆差別じゃん。事実を指摘しただけなのに、グーグルってほんまに左派の人間しか許容せんなー、マジ最低!」

グーグル社幹部連中:「職場の女性が傷ついちゃったじゃないか! ハーバードの大学院を出ただぁ? 優秀? ――知らん。君、クビ!

デモア氏:「グーグルをもっと良くしたいと思っただけなのに……訴えてやるもん!」



異論を許さない社風


左派メディアが酷評したデモア氏のメモ本体に、再び立ち返ってみましょう。タイトルは「グーグルのイデオロギー的エコーチェンバー」。つまり本題はグーグルが印象操作しているような、男女差別じゃありません。

閉鎖された空間で同じ音が反響するように、左派的リベラル思想しか社内では口にすることを許されておらず、社員は違和感を感じても恐怖で沈黙するしかない。この社風が問題の根本だと論じています。

メモを社内で公表してから追加したとみられる冒頭文:

    私は多様性とその受け入れを高く評価しております。性差別の存在を否定もしておりませんし、ステレオタイプを是認している訣でもありません。人口に表れた格差へ言及する際には、人口レベルで分布する差異に目を向けなければいけないというだけのことです。もしも私たちがこの点について率直な意見交換を許されないのであれば、この問題を本当の意味で解決することは叶いません。

    心理的な安全性は相互の尊重と許容によって築かれます。ですが残念なことに、声高に相手を断罪し、事実を偽る私たちの文化は、エコーチェンバーから外れた人間を尊重せず、受け入れもしません。

    世間の反応がどうであれ、グーグル社の同僚からは、こういった非常に重要な問題を提起したことに対して感謝するというメッセージを数多く個人的に戴いています。彼らも問題に同意はするけれど、この断罪文化と解雇の可能性のせいで、これまで決して口にしたり、またそれを擁護する危険は冒せなかったと。これは改善されるべきです。
 


ブラックリスト



そういえば、グーグルって思想的に間違った発言しようものなら、チームに入れてもらえなくなるんです。実際に経営陣が何人もそういったブラックリストがあることを公言しちゃっているのです。

2015年以来、ブライトバード・ニュースにグーグル社員から何度か内部告発されているんですけどね、とある幹部からのメッセージ:

    グーグルの社内通信メカニズム(G+やメーリングリストなど)の優れた点の一つは、私が経営陣の一人として、君たちは一緒に働きたい人間なのかどうか簡単に調べられることだよ

うわー、それを言っちゃいますか。

    うちのチームに入れたり近付けたりなんて絶対にさせたくない人間のブラックリストを私は持っている。他の同僚をどう見てどう扱っているかによって判断しているんだ。今日はそのリストがちょっとばかり長くなったよね

怖い怖い怖い。

同じ記事のしょっぱなには他の幹部が社員に向けた宣言のスクショも:

    お前らはグーグル以外の会社でもブラックリストに載せられているからな。気が付いていないのかもしれないが、人々は知っているし、お喋りするんだよ。社会的に当然の帰結が待ち受けているぜ

完全に脅迫行為です。


魔女狩り



そして同記事には、デモア氏のメモの公表後のグーグル社員の反応も載っていました。分かり易くまとめると魔女狩りを呼びかけています。トランプ大統領相手でも同僚相手でも、左派の皆さんって敵と話し合うのではなく叩き潰すのがお好きなようで……読んでいて、精神構造が理解の範疇を越えましたわ。お子ちゃまなのかな~。小学校の陰湿ないじめかよって。

アメリカ全体に巣食うpolitically correct(政治的正しさ)という根深い問題が色んな意味で浮き上がったこの事件、これからしばらく連載で見て行きたいと思います。読み終わった暁には、きっと貴方もアメリカ通。

文・Yutika

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