【裁量労働制】厚労省、労基署は労働者を助けるか 〜 「裁量労働制ユニオン」という組織がある

 時事ブログで追っている、別名「定額働かせ放題」の裁量労働制ですが、データ捏造問題を追及する野党合同ヒアリングが国会内で行われました。田中龍作氏の指摘通り「労働者を保護すべき厚労省」がデータ捏造に積極的に関わっていたことは極めて問題で、厚労省が国民ではなく、経済界の方を向いていることは明らかです。
 このヒアリングに参加していた「裁量労働制ユニオン」代表によると、厚労省労働基準局課長に「みなし時間と実際の労働時間が乖離している場合、過去の長期間残業を無効、違法と指導できるのか」尋ねたところ、あっさり「できません」との回答で、労基署の指導が入っても「定額働かせ放題」は合法であることを認めました。それもそのはず、そもそも使用者が実労働時間を把握することは大変コストがかかることで、現状でも達成されていない状況だそうです。そこに裁量労働制を採用しても、「みなし」時間との乖離が確認できず、証拠となり得ないことが使用者側の狙いでもあります。
 弁護士の嶋崎量氏によれば、裁量労働制のよくある誤解として「労働者に働き方の裁量が与えられる」制度と思われがちだが、現実の運用は「使用者に裁量が与えられ定額働かせ放題」となり、労働者には裁量はないとのことです。それなのに、大手メディアがデマとも忖度ともつかぬ報道で、あたかも労働者が「好きな時間、好きな場所でやりやすく働ける制度」だと誤解を与えるとは、これ如何に?
 ところで、ヒアリングに参加した「裁量労働制ユニオン」とは、裁量労働制によって働いている様々な業種の人達の深刻な相談に乗っているそうです。労働者の立場から条件の改善や解雇撤回した事例も多くあるようです。働く人達は、追い詰められる前に、一人でも入れるユニオンなど様々な打開策があることを検討して欲しいと思います。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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【裁量労働制】月100時間超の残業 死ぬ寸前でも労基署は「証拠がない」
引用元)
(前略)
 27日、国会内であった「裁量労働制データ捏造問題」に関する野党合同ヒアリングで、立憲民主党の長妻昭議員(立憲民主)が実名を挙げて厚労官僚を追及した。

(中略)
 問題が深刻なのは、労働者を保護すべき厚労省の職員が、官邸の意を汲んで過労死促進法案の作成に手を貸したことだ。

 今日のヒアリングには「裁量労働制ユニオン」が初めて出席した。ユニオンの坂倉昇平代表が裁量労働の実態を証言した―
(中略)
 「(裁量労働で働く人は)長時間労働になって死にそうになっている。だいたい精神疾患を抱えて、悪い場合は死の寸前まで行くような深刻な事態。ところが労基署に行くと“ 証拠がない ” と言われる」。

(以下略)
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配信元)












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