注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
27日、国会内であった「裁量労働制データ捏造問題」に関する野党合同ヒアリングで、立憲民主党の長妻昭議員(立憲民主)が実名を挙げて厚労官僚を追及した。
(中略)
問題が深刻なのは、労働者を保護すべき厚労省の職員が、官邸の意を汲んで過労死促進法案の作成に手を貸したことだ。
今日のヒアリングには「裁量労働制ユニオン」が初めて出席した。ユニオンの坂倉昇平代表が裁量労働の実態を証言した―
(中略)
「(裁量労働で働く人は)長時間労働になって死にそうになっている。だいたい精神疾患を抱えて、悪い場合は死の寸前まで行くような深刻な事態。ところが労基署に行くと“ 証拠がない ” と言われる」。
(以下略)
本日、「働き方改革虚偽データ疑惑野党合同ヒアリング」に急遽呼ばれ、厚労省労働基準局の課長2名を前に、裁量労働制ユニオンに寄せられた裁量労働制の被害実態と、裁量労働制が労働基準監督署からしたら抜け穴だらけになっているという制度的な欠陥について話をしてきました。 pic.twitter.com/vOZYVTIS3q
— 裁量労働制ユニオン@無料労働相談 (@SairyoUnion) 2018年2月27日
厚労省労働基準局課長が「みなし時間と実際の労働時間が乖離している場合、労基署が指導できるよう指針をつくる」と言うので、「それ将来的な改善ですよね?過去に長時間残業させた分の裁量労働制を無効・違法と指導できるんですか?」と追及すると「できません」と認める。ごまかされるところでした…
— 裁量労働制ユニオン@無料労働相談 (@SairyoUnion) 2018年2月27日
これは結構ひどい回答でした。裁量労働制は、みなし労働時間より実際の労働時間がかなり長くても、そのことを理由に直ちに違法とは言えない制度なんですよ。それを厚労省が「その場合は労基署で指導できるようにします」と言ったわけです。それなら重要な規制強化ではないかと一瞬思うじゃないですか。 https://t.co/RQfv49x8Tc
— ブラック企業ユニオン坂倉昇平@労働相談 (@magazine_posse) 2018年2月27日
労働時間適正把握はとてもコストがかかる。
— 嶋﨑量(弁護士) (@shima_chikara) 2018年2月27日
裁量労働制「みなし」にした場合、残業代コストと同時に時間管理コストも削減するのが使用者の狙い。
だから、使用者が裁量労働制導入したのに自主的に労働時間把握をするなんて想定し難い。時間把握は制裁つけて厳格な法的義務化しないとダメ。
裁量労働制で「みなし」時間と実労働時間が解離したら指導助言するなど、完全に寝言レベル。
— 嶋﨑量(弁護士) (@shima_chikara) 2018年2月27日
なぜなら、裁量労働制では実労働時間を把握しておらず、乖離したかどうか分からないから。指導できる訳がない。
裁量労働制では、実労働時間把握がより曖昧になるという現実を無視した空論。
裁量労働制が問題である中核部分は、労働時間管理が曖昧になり実労働時間把握が困難なこと。
— 嶋﨑量(弁護士) (@shima_chikara) 2018年2月27日
なのに、厳格な適正把握の措置もないまま、「みなし」から乖離したか など分かるはずがない。
誤魔化されてはいけない。
先ずは労働時間適正把握からスタートせねば。
日頃から、一人でも入れるユニオンだけでなく企業別労働組合や産別もTwitterアカウントもって欲しいと懇願しています。
— 嶋﨑量(弁護士) (@shima_chikara) 2018年2月28日
裁量労働制の議論をみていて、発信したいと思いませんか?
裁量労働導入された、されそうになった労働者の声が組合から発信されたら国会審議でもめちゃくちゃ役に立つ。
このヒアリングに参加していた「裁量労働制ユニオン」代表によると、厚労省労働基準局課長に「みなし時間と実際の労働時間が乖離している場合、過去の長期間残業を無効、違法と指導できるのか」尋ねたところ、あっさり「できません」との回答で、労基署の指導が入っても「定額働かせ放題」は合法であることを認めました。それもそのはず、そもそも使用者が実労働時間を把握することは大変コストがかかることで、現状でも達成されていない状況だそうです。そこに裁量労働制を採用しても、「みなし」時間との乖離が確認できず、証拠となり得ないことが使用者側の狙いでもあります。
弁護士の嶋崎量氏によれば、裁量労働制のよくある誤解として「労働者に働き方の裁量が与えられる」制度と思われがちだが、現実の運用は「使用者に裁量が与えられ定額働かせ放題」となり、労働者には裁量はないとのことです。それなのに、大手メディアがデマとも忖度ともつかぬ報道で、あたかも労働者が「好きな時間、好きな場所でやりやすく働ける制度」だと誤解を与えるとは、これ如何に?
ところで、ヒアリングに参加した「裁量労働制ユニオン」とは、裁量労働制によって働いている様々な業種の人達の深刻な相談に乗っているそうです。労働者の立場から条件の改善や解雇撤回した事例も多くあるようです。働く人達は、追い詰められる前に、一人でも入れるユニオンなど様々な打開策があることを検討して欲しいと思います。