ロヒンギャへの迫害

あれからロヒンギャはどうしてるんだろう?

去年8月の大規模な迫害によって、
2ヵ月間で約53万人が難民になったロヒンギャ?
船で逃げた人びとのほとんどが海底に沈み、難民キャンプに逃れた人びとは、不衛生で食べ物もろくにない収容所に押し込められている。

なんでそこまでひどい迫害を受けたの?

2017年8月21日、
ロヒンギャの武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」が、ミャンマー軍の基地と警察を襲撃した。
その報復として、「ロヒンギャ掃討作戦」が行われた。

そうとうな被害だったそうだね。

「
村々は焼き討ちにあい、
男性たちは殺され、女性や少女はレイプされ、赤ん坊は炎に投げ込まれた。ロヒンギャはなだれを打つように
逃げ出し、バングラデシュとの国境へと向かった。家族と
はぐれた子どももたくさんいた。そんな中で、
人身売買の業者も暗躍した。」(
DAYS JAPAN)

まるで地獄絵だ!

現地に入った「国境なき医師団」の助産師は、「多くの人が、
家族の前でレイプされたり、閉じ込められて繰り返しレイプされたりしたと語りました。そして、
家や遺体に火をつけられたと語る人が多い」。
被害女性たちは、「制服を着た男たちに襲われた」と証言しており、「
女性に対する性暴力が、組織的に行われたことは明らかだと感じます」。(
BuzzFeed NEWS)

警察や軍が、そんな残虐非道なことをするなんて!
しかも彼らは仏教徒なのに、こんなに暴力的だなんて信じられない!

実はこんなことは、これまで何度も起きている。
2016年10月、
9人の警察官が武装したロヒンギャに殺害された。
このときも
報復として村の破壊、レイプ、殺人が当たり前のように行われた。
その結果、数百人から
数千人のロヒンギャがバングラデシュに逃げた。

こんなことを何度もくり返す原因て、なんなの?
紛争になるように仕掛けられた種

まず、ロヒンギャとは何者なのか? 彼らの歴史を調べてみよう。

その前にミャンマーって、どこにあるんだっけ?

下の地図の白い部分がミャンマー。
そして、
問題のロヒンギャが住んでいるのがラカイン州だ。

海岸線で、バングラデシュとタイに接してるんだね。
ロヒンギャとは、「おとなりのベンガル地方(現在の
バングラデシュ)から、ミャンマーのラカイン地方に住みついた移民たち」のことだ。
彼らの
宗教はイスラム教。ロヒンギャ語(ベンガル語の方言)を話す。
人口はおよそ110万人。(
ロヒンギャ問題の歴史的背景)

仏教国のミャンマーに、イスラム教の移民が入ってきたってこと?

ピンポ〜ン! そこがキモ!
ミャンマーの90%は上座部仏教徒、イスラム教徒は少数派だ。
しかも、歴史が実に複雑だ。
もともとこの
ラカイン地方には、仏教国のアラカン王国があった。(1430〜1784年)

仏教国だったら、イスラム教徒は小さくなってたのかな?

いや、
アラカン王国は寛容で、彼らはうまく共存してたみたいだ。
やがて
アラカン王国はビルマ王国によって滅亡(1785年)。
さらに、
イギリス・ビルマ戦争で、ラカイン地方はイギリス領土になった。(1824年)

すぐおとなりのインドは、すでにイギリスの植民地だったからね。

そこで
イギリスは、あとあと紛争になるような種を仕掛けた。
つまり、
イスラム教徒の移民を積極的に増やしたんだ。
「
イギリスが世界中でよくやる手口なんだけど、
となりのインドから違う民族を連れてきて特権階級にしてビルマを支配させる」。(
BLACK Magazine)

その後の混乱を見越してやったと言うの?
正にいま現在、仏教徒とイスラム教徒が対立してる。
てことは、その種が花開いた・・・・・おそろしいね、イギリスって。

さらに、
第二次世界大戦がイスラム教徒の流入を加速する。
「
ミャンマーに侵攻した日本軍が、ラカイン州を英国から奪うため、アラカン(仏教徒)を兵士として徴用した。対する
英国軍は、イスラム教徒を武装化させ、日本軍を攻撃した。わかりやすくいえば、
仏教徒(アラカン)とイスラム教徒(ロヒンギャ)が日英軍の手先となって戦ったわけだ。」(
ganas)

同じビルマ人同士で、日本とイギリスの代理戦争をさせられた?

ああ、日本もロヒンギャ問題と無関係じゃねえ。

遠い国の話だと思ってたけど、違うんだね。
ミャンマーが独立(1948年)した後も、イスラム教ベンガル人がラカインに流入。
こうして、独立はしたものの、いつのまにか
膨れ上がったイスラム教徒は国を出て行かない。もともと仏教徒のラカイン族が住んでいたラカイン州に、イギリスが入れたイスラム教徒がそのまま居座っている。

イスラム教徒がこのまま増え続けて、主導権を握られたらって不安に思うのも当然だね。
さらに第三次印パ戦争(バングラデシュ独立戦争、1971年)で、また多くの難民が流入。

うわあ、ラカインは難民の州になってしまった。

まとめると、ロヒンギャは4層になっている。
1層 アラカン王国時代に、もともといたイスラム教徒。
2層 イギリス領時代に、ベンガル地方から流れてきたイスラム教徒。
3層 第二次世界大戦によって、流れてきたイスラム教徒。
4層 第三次印パ戦争によって、流れてきたイスラム教徒。
ミャンマー人からすれば、ロヒンギャはどんどん増え続ける「不法移民集団」。
いずれ自分たちの国がおびやかされるのでは、という不安の対象なんだね。

それでも独立後(1948年)は、
ロヒンギャの議員もいたし、ロヒンギャ語のラジオ放送も公認されていた。
ところ
が、クーデター(1962年)で誕生した軍事政権によって、「民族主義」が台頭する。
つまり、
「ビルマ民族優先」の社会主義体制に変わったんだ。
ロヒンギャはもともとミャンマーにいた民族ではないとされて、差別の対象にされたのか。

と言っても、
ロヒンギャの中にはアラカン王国からの子孫もいるわけだから、
すべてが不法移民じゃない。
な
のに、一緒くたにロヒンギャに入れられて、以後、弾圧による難民流出の歴史だ。
1982年、
ロヒンギャは無国籍者にされ、2014年、選挙権も被選挙権も剥奪された。

かと言って、
出て行く場所もない。それは
あまりにも、ひどい!
ロヒンギャは、外への移動も制限された。(1990年)
ついに2012年、
ロヒンギャの不満因子が集団で仏教徒の少女を殺害した。
そして
平和を愛するはずの仏教徒が、10万人以上のロヒンギャの家を焼き払い、「目には目を、歯には歯を」を実行した。

仏教の教えに「目には目を」があるとは知らなかった!

それからの
ロヒンギャは、ゲットーのような一区画に幽閉されて、今なお続いている。
ただの人種差別ではないロヒンギャ問題

それでも
彼らは、民主化をかかげるアウンサン・スーチーに希望を持ってたよね。
さらに弾圧されることも恐れずに、
スーチーを支持したんだよね。
2016年4月 アウンサン・スーチーが国家顧問になる。
ところがどっこい!
彼女は見てみぬふり、手を汚さない。
時事ブログ2015/11/25で、
竹下先生が予想されたとおりだね。
「
今回の選挙の勝利によって、ミャンマーが今後暗黒の時代に入って行くことを予測しています。」

その通りだ。
現在のミャンマーは民主化どころか、軍事政権時よりも言論の自由がなくなっている。
昨年の
ロヒンギャ弾圧について、ミャンマー政府は「これは国内問題だ」と反発し、スーチー氏は、ロヒンギャ問題調査団受け入れに「同意しない」と発言した。
(
朝日新聞)

「同意しない」って?

これについて、こんな見方がある。
「
アウンサンスーチーは国連の査察を受け入れることができない。なぜなら
タイ、たぶんフィリピン、カンボジア、そして日本が関与するシャブ、人身売買、臓器売買のボコハラム・ネットワークが壊滅してしまうからだ。」 (
asyura2)

シャブ、人身売買、臓器売買・・・・・ボコハラム・ネットワーク??
アウンサン・スーチー、そいつらと手を組んでるの?
ボコハラムとは、ナイジェリア発のイスラム過激派集団だが、
アジアのイスラム教過激派とネットワークを作ってるらしい。

日本も関与してるって・・・?
アッキーやあべぴょんがよくミャンマーに行くのを、怪しいと見る人もいる。

こうくると、
ロヒンギャ問題はただの人種差別問題ではなくて、それによって商売している集団が陰にいると見たほうがわかりやすいね。

ARSA
「アラカン・ロヒンギャ救世軍」に資金や武器を提供し、テロを起こしてロヒンギャの難民を増やす。
命からがら逃げてきた難民を待ち受けるのは、人身売買業者。
女性や子どもは、臓器売買か売春目的で売られ、男性は、過激派兵士にスカウトされるか、なけなしの金を払わされてタイやマレーシアに密航。
そこで
収容所に入れられて、また金を要求され、払えなければ臓器を取られて殺される。
払えたとしても一生死ぬまで奴隷として働かされる。
ミャンマーの治安部隊も、密航・人身売買業者と共謀して利益を得ていると。
(
HUFFPOST)

2015年4月に、
タイとマレーシアの国境に近い山中で30人以上のロヒンギャの遺体が見つかった。彼らは、
密航で連れてこられた人びとだ。
この人身売買にはタイの陸軍中将ら103名がかかわっていて、裁判で陸軍中将は25年の禁錮刑となった。(
newsclip.be)

おどろいた! 陸軍中将まで絡んでたとは!
ロヒンギャのニュースを追っていくと、背後に隠れているものが見えてくる。
そこには
賄賂を受け取る、役人や軍人がいる。
賄賂を渡すのは国際的な売春、人身売買、臓器売買組織だね。

しかし、
2017/09/08時事ブログでは、この問題を別の方向から見ている。
「どうやら、
中国の一帯一路構想を妨害するために、ミャンマーの仏教徒とイスラム教徒のロヒンギャ族の対立を利用して、ミャンマーに混乱を作り出したいようです。」
「
ミャンマー政府に弾圧されるイスラム教徒のロヒンギャ族が大きく取り上げられ、そこに聖戦戦士集団が世界中から集まってくるという構図でなければなりません。このために、
罪のないロヒンギャ族はダシに使われているのです。」

ひええ〜〜!! 「ダシ」?!

たしかに
ミャンマー国内がテロ騒動で混乱したら、中国も、ミャンマー経由で海に出ようとは思わない。

しかし、いくらアメリカが中国の一帯一路を妨害したいからって、他国の混乱を招くのはどうもねえ。

これまで、そんなことばっかしやってきたんだよ、アメリカは。
日本はアメリカのコバンザメで、ミャンマーと中国が仲良くなるのを妨害してるわけ。
そういう国と国のバカげた駆け引きや、マフィアが儲けるために多くの人間を犠牲にするのは、いいかげんやめてくれ。

とにかく、
現在苦しんでいるロヒンギャの人たちにミャンマー国籍が認められること。
そして彼らが安心して暮らせる日が、一日も早く来るように祈るよ。
ぴょんぴょん
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
イギリスから独立して、苦しかった軍事政権からようやく民主主義に生まれ変わったかと思えば、まさか英雄・アウンサン将軍の娘によって、ふたたび植民地に逆戻りさせられるミャンマー。
現在、ミャンマー中心部は経済的な発展を見せていますが、ロヒンギャ問題に不満をいだくイスラム過激派テロ組織が、いつ国内で暴れだすかわかりません。
そうなった時には、すべての企業がミャンマーから逃げ出していくでしょう。
ロヒンギャ問題を、早く解決することはミャンマーにとっても重要なことです。