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ユダヤ問題のポイント ― 特殊稿7 ― 「約束の地」へ
イスラエルになったヤコブ 〜アブラハムの子孫の乗っ取り劇
イスラエル・ユダヤ民族の発祥の起源となったのがアブラハムの存在です。アブラハムはノアの三名の息子セム、ハム、ヤペテの中、セムの血統子孫であり、中東の地で家畜を飼って遊牧を営んでいたと見られます。そのアブラハムが中東の地を転々とする中で「この地をお前の子孫に与えてやろう」との旧約の神からの祝福を受けます。紀元前19世紀頃のことです。
この神からの「約束の地」はパレスチナとされていますが、実際にはアラビア半島のアシール地方です。メッカの南に位置する紅海に面した地域です。「約束の地」は、事実としてはアシール地方であるのに(意図的に)パレスチナとしてしまった。この齟齬がイスラエル、パレスチナ問題の原点です。
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さて、老齢にあったアブラハムが後継者となるイサクを授かります。そのイサクとイサクの妻となったリベカとの間に双子の兄弟が誕生します。アブラハムの孫である双子の兄弟の兄がエサウで弟がヤコブです。二人は母の胎内にある時から不仲でヤコブはエサウのかかとを掴み生まれきたとされます。
イサクから家督を相続される時がやってきました。家督財産を受けるのは兄のエサウでした。しかし母リベカはエサウよりヤコブを偏愛しており、ヤコブが家督財産を受けられるよう一計を案じるのです。その一計に乗じてヤコブは兄エサウに「成りすまし」、父イサクからの祝福を受け、家督財産をエサウから奪いとったのです。ヤコブの名には「押しのけて奪う」意味があります。いわば「成りすまし」と「内部乗っ取り」で兄からその権限を奪ったのです。
怒るエサウ、その殺意から逃れるためヤコブは故郷を出奔し、叔父のもとに身を寄せます。しかしやがて叔父とのトラブルもあり、ヤコブは故郷に戻ることになります。
故郷に戻る前日ヤコブは何者かと格闘します。朝になってもその格闘の決着はつかず、その格闘した相手はヤコブに向かいこれからは「イスラエル」と名乗るように命じます。ヤコブが格闘した相手は天使でした。「エル」は神性や天使を意味します。「イスラエル」とは「神と格闘する者」などの意味を含みます。
天使と格闘するヤコブ
Wikimedia_Commons [Public Domain]
また、ヤコブと天使の格闘はヘブライ語で「シュモー」、つまり日本語では「相撲」です。シュモー(相撲)でヤコブがイスラエルの名に、イスラエル・ユダヤ民族の始祖となったのです。イスラエル・ユダヤ人にとりシュモー(相撲)は極めて重要であり神事なのです。
また、ヤコブが兄の権限を「成りすまし」と「内部乗っ取り」で奪い取ってイスラエル・ユダヤ民族が誕生しているので、必然的にイスラエル・ユダヤ民族には「成りすまし」と「内部乗っ取り」がついて回るのです。
再会したヤコブとエサウ、エサウはヤコブを許し和解しますが、その後は互いの家族間での不信と争いが起き、最終的にはエサウはヤコブに殺され、エサウの家族はヤコブの奴隷にされたとあります。
イスラエル族の彷徨 〜奴隷から「約束の地」へ
イスラエルと名乗るようになったヤコブからは12名の男子が誕生します。これがイスラエル12氏族となるのです。12名の息子のうちヨセフはヤコブから特に寵愛を受けていました。しかしこれで兄たちからの嫉妬を受け、ヨセフはエジプトに売られることになります。
この頃のエジプト、特に下エジプトは既に外国勢力ヒクソスの統治下にありました。エジプトに連れてこられたヨセフはその才能を発揮していき、やがてエジプトの宰相の地位につきます。この頃中東全域で飢饉が襲おうとしていました。ヨセフはその飢饉を予測し、エジプトの飢饉を回避させていたのです。
一方ヤコブとその一党のイスラエル族は、当然ながら飢饉に見舞われていました。飢饉のためエジプトに向かったヤコブの息子たちは弟のヨセフとそうとは気づかず再会します。いくつかのやり取りの後ヨセフは兄たちを許します。それで飢饉にあったイスラエル族はエジプトに移住するのです。そして宰相ヨセフの庇護のもと彼らは裕福に過ごします。
しかし事情が大変化しました。BC1540年、奮起しエジプト人で王となったイアフメス1世がヒクソスを放逐し、エジプトは再統一されたのです。ヨセフはヒクソス統治下でのエジプトの宰相で、そこでイスラエル族は特権階級にあったのです。しかしヒクソス統治のエジプトからエジプト人自身によるエジプトの統治に戻ることで、イスラエル族たちは逆にエジプトで奴隷となっていきます。
長く続くイスラエル族のエジプトでの奴隷生活、この状況下に現れたのがあのモーセです。BC1250年頃、モーセはイスラエルの民を引き連れてエジプトを脱出したとされます。モーセたちは「約束の地」を目指し砂漠を旅します。その途中モーセはシナイ山にて旧約の神から「十戒」を授かり、イスラエル族と神との契約(旧約)が成立します。
モーセの十戒(ちなみにモーセはレビ族の血筋)
Wikimedia_Commons [Public Domain]
そのイスラエルの民を「約束の地」に導き入れたのがモーセの後継者ヨシュアです。「約束の地」に入居したイスラエルの民は周辺の他民族と抗争を続ける「士師の時代」を経て、遂に「油を注がれし者」を迎えます。BC1040年、イスラエルに初代王サウルが即位したとされます。
「約束の地」はアシール地方 〜特殊霊能集団レビ族
旧約聖書にある、アブラハムに「この乳と蜜がしたたる地を永久にお前の子孫に与えよう」と約束した神、モーセたちの前に「火の柱」となって導きシナイ山にて十戒を授けた神、この旧約の神の正体はエノクであると映像配信「宗教学講座 初級143回」で明かされています。
「エノク(ノアの曽祖父)は神とともに歩み、神が彼を取られた」
Wikimedia_Commons [Public Domain]
エノクは天界に召されて大天使メタトロンに変容したとされ、小ヤーウェとも呼ばれ『ヨハネの黙示録』を降ろした人物です。またユダヤ神秘思想カバラの最奥義を伝えたともされます。神の代理人だったエノクがイスラエル族に示した「約束の地」、それがアシール地方であることについては映像配信「宗教学講座 初級147回」を視聴されるのが良いのです。
それと実は聖書にも決定的な記述がありました。『旧約』創世記43章11で「約束の地」カナンにあったとされるヤコブは、その地の名産品として「乳香と没薬」を挙げているのです。『旧約』の有名な場面、シバの女王がソロモン王と謁見するのに持参したのは大量の黄金と乳香でした。
『旧約』の時代、宝物の代表は黄金以外には交易品になっていた乳香と没薬です。当時の乳香と没薬は黄金と等価であり非常に高価な宝物品だったのです。そしてシバの女王のシバの国とは現在のイエメンだと分かっています。アシール地方はイエメンと接し一部はイエメンの中にあります。乳香と没薬は同じ種の灌木の樹液樹脂が原料です。イエメン、アシール地方はその原料となる灌木の産地だったのです。
自生している乳香(フランキンセンス)の灌木とその風土
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しかしパレスチナでは宝物の乳香と没薬は採取できません。どこでも宝物の原料が採取できるならば乳香と没薬が黄金と等価の宝物になるはずもないのです。「乳と蜜がしたたる地」と表現された「約束の地」は、パレスチナではなく当然アシール地方なのです。
さて、契約の民となったイスラエル12氏族、ヤコブの12名の息子たちが発祥となった12氏族は次の通りです。
「リアを母とするルベン,シメオン,レビ,ユダ,イッサカル,ザブロン。ゼルファを母とするガド,アシェル。ラケルを母とするヨゼフ,ベンジャミン。バラを母とするダン,ネフタリである。しかしヨゼフの子エフライムとマナセをこれに加えるときはレビを除いて12支族とする。」(コトバンク)
この12氏族のうち特殊なのがレビ族です。上記の通りレビ族は12氏族に数えたり、省かれたりします。レビ族は特別な任務を担っているからです。レビ族は祭祀専門の氏族、霊能集団です。彼らの血流において高い霊能力を保持していたと見られます。
修験者の開祖でレビ族の末裔である役小角における血筋の入れ替え と 葛城一言主命の告発 http://t.co/6wERXVzZF9
— シャンティ・フーラ (@shantiphula) 2015年1月14日
しかし「成りすまし」と「内部乗っ取り」は偽ユダヤだけの専売特許ではないのです。そもそもイスラエル・ユダヤ民族とは、「成りすまし」と「内部乗っ取り」なしでは発生すらしていなかったのです。
イスラエル・ユダヤ民族は、その始祖であるヤコブが兄エサウに「成りすまし」、それによって兄エサウの権限を「内部乗っ取り」することで成立していたのです。そのカルマによるものなのか、ユダヤ問題には必ず「成りすまし」と「内部乗っ取り」がついて回るのです。
また、ユダヤ問題全般の背景には「ハルマゲドン(救世主降臨)計画」があります。「成りすまし」と「内部乗っ取り」そして「ハルマゲドン(救世主降臨)計画」がついて回るのは、日本の中で起きていたユダヤ問題も同様です。
ただし日本のユダヤ問題を見るのには、どうしても古代イスラエルとカバラを必要最低限度は押さえておかなければなりません。当初は古代イスラエルのあたりのことは「古代編」として見ていくつもりでしたが、現在はその余裕がありません。それで中身に詳しく入っていくことはできませんが、これから数回に分けて古代イスラエルとカバラについて、外形的な部分からでも必要最低限度の部分を超特急で見ていこうと思います。
今回は、旧約の神との「約束の地」にイスラエル族が到達していった過程、そのポイントになるであろうところをを大まかに見ていきます。