ままぴよ日記 45 「新型コロナウイルスの影響で気づいた宝物」

 休校になって2週間。そろそろ疲れが出てきました。
 子どもが家にいる生活に楽しさを発見した親と疲れ果てた親。
 経済的不安が日増しに大きくなり、国境封鎖まで。
 目に見えない小さなウイルスによってこんなに混乱する社会。
 人の心も不安に支配され、無くすものも計り知れないほど大きいけれど、逆に気づかされたこともあります。目の前の子どもと過ごす自由で豊かな時間。
 自然はいつもそこにあり桜もほころび始めています。
 そうです。大切なものは目の前にあるのです。
(かんなまま)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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孫との自由な時間


新型コロナウイルスの影響で休校になった孫を預かっています。
「宿題出た?」と聞くと「うん!2キロも出た!」・・・?
何と重さで答えてくれました。
先生から休校の説明があった?」と聞いたら「うん。学校に来てはいけません。運動場で遊んではいけません、友達と遊んでもいけません。家で勉強してください、と言われてちっとも嬉しくなかった」とのこと。


先生も余裕がなかったのだろうけど、これじゃあ子ども達は何をしたらいいのか?それを聞いたらやる気も出ません。でも、学童保育の子どもだけは運動場や体育館で遊んでいいらしい。学童保育所が嫌いなうちの孫は、ばあばの所に行きたいという事で私が迎えに行く事になりました。

私も孫を久しぶりに預かるので自分の時間の設定を変えました。自由に過ごす!孫の顔が輝くことだけをする!・・・なんだか楽しくなりました。

まず迎えに行ったら消毒の匂いがしてきました。息が苦しいなあ~。狭い部屋に大勢の子ども達がいます。日ごろ学童を利用していない子ども達も来ているようです。これって安全なのでしょうか?孫はそこで宿題をして待っていました。

学童保育所を後にして「何をする?」と聞いたら「お腹すいた!パンを食べたい」。「じゃあ、パン屋さんに行こうか。好きなパン屋さんに案内してくれる?」「いいよ!そこのアンパンはおいしいよ」と案内してくれる事になりました。

連れ立って歩き始めました。歩きながら孫は楽しそうに話します。次から次におしゃべりマシーンのようです。前を見ないで話すものだから「ねえ、いつになったらパン屋さんに着くの?」と聞いてしまいました。「あれ~!違う方向に来ていた。こっちこっち!」と戻ります。又おしゃべりに夢中…なんと3回も道を間違えてしまいました。


「ねえ、ピンポーンの家って知ってる?知らないの?有名だよ」とか、猫のいる家とか…子ども目線の地図があるようです。本道を行けばすぐなのに何故か人家の裏庭を通ります。

パン屋さんに着いて今来た道の地図を二人で書くことにしました。「なあんだこの道を通れば近かったのか!」と気が付いてくれるかな?と期待したら「知ってるよ、この道」とあっさり切られてしまいました。その道は心に響かなかったようです。自分の時計があるように自分の道があってもいい。自分の世界があって楽しいなあと思いました。


3年生になって学校が嫌いになった孫。学校の先生から注意されてばかりなのです。「大声で友達とのおしゃべりに夢中になって片付けができません」「話に夢中になると先生の話を聞きません」と注意ばかりされて、片付けるまで居残りです。今日の孫を見ていて、こういう事だったのかと合点しました。

まじめで計画通りに管理することで学級運営をしたい先生にとっては問題児でしょう。私が居残りの孫を教室に迎えに行った時の先生の顔が浮かびます。眉間にしわを寄せて言うことを聞かない子ども達にイライラしていました。その時の孫はなぜ怒られているのか理解していないようでした。禁止事項ばかりが多く、とうとう「怒られるから発表したくない、学校は嫌いだ」と言い出しました。

子どもらしくていい子なのですが、夢中になったら周りが見えなくなるのでしょう。私から見たらそんなおしゃべりをしている時の顔が輝いて素敵です。空想が好きで一人で話を展開していきます。自分の時間、自分の世界・・・これは子どもだから許される特権です。私は少し気になって「ねえ自分の事好き?」と聞いたら「うん!」と答える孫。「ばあばも大好き!このままが一番!」と言ったら「ほんと?」と嬉しそうです。何てかわいいんだろうと思いました。

帰りの車の中で虹が見えたので天気の話になりました。西の空から天気が変わる事や太陽の位置によって方角や時間を知る事などなど。雲の話、鳥の話・・・。話をしながらもっと知りたくなったので家に帰ってネットで調べました。孫が持ってきたボードゲームをして真剣に競ったり・・・。一日の終わりに孫の寝息を聞きながら最近こんな時間がなかったなあと幸せな気分になりました。


孫は野球やサッカーが大好き。家でも素振りばかりしています。周りの子がゲームを持っているけれど興味がなさそうです。というのも、この自宅待機はゲーム漬けの危険をはらんでいるので心配していたのです。外に出られないなら家でゲームしなさいと言うようなものです。いったいどのくらいの親がそれを管理して阻止できるのでしょうか?「ゲームの取り合いで喧嘩ばかり」という声が聞こえてきます。

校庭で遊んでいる子どもを見て「子どもが勝手に外に出て運動場で遊んでいます。監督ができていない」と学校に苦情が寄せられるそうです。それを聞いた校長は保護者に「休校中は自宅待機です。外で遊ばせないでください」というメールを送ったとのこと。校長は「法より目の前の子どもの命の輝きが優先!」と、子どもの理解者であってほしいと思うのですが、文科省の縛りから抜けられないようです。


やっと文科省も「休校中、症状がなければ公園に行ってもOK。屋外で適度な運動をしたり散歩をしたりするのを妨げるものではない」という見解を出しました。今まで経験したことがない事態になると大人社会の子どもに対する姿勢が見えてきます。子どもを理解していないし、子どもを守り尊重するという事はどういうことか?を考えてこなかったことがわかります。

さて、次の日は新聞紙で家を作るプロジェクトを提案してみました。すぐに乗ってきてその前に宿題をするとのこと。その間私も家事をして遊ぶ時間を確保しました。


新聞紙を棒状に丸めてみんな同じ長さにします。「あっ正三角形!」と、組み合わせたら色々な形ができる事を発見したようです。立体的にしたら?何だか面白くなりました。まず設計図を作り、何本必要かを計算します。作る手順も心得てスピードが速くなりました。強度も必要です。ガムテープで補強。一人で組み立てられないからじいじが来るのを待って紐で仮止め。自分が入る家を作りたくて試行錯誤です。結局一日中新聞紙で遊んでいました。「今日は自分で算数もしたね、設計図も書いたね、プログラミングもしたよ」というと「勉強したの?」と不思議そうな顔をしていました。

次の日は近くの海の公園に行きました。この公園は私が公園プロジェクトで関わったところです。予算がないので遊具は配置できませんでしたがせめて二つの築山とトンネルを作ってもらいました。頂上には水道を引いて夏にはウオータースライダーを楽しめます。

海からの風が強く吹いています。「なぜ海から風が吹くのでしょう?」考えた事もなかった孫はいろいろ考えて答えを探しています。世界は不思議で溢れています。

さあ、今は誰もいません。貸し切り状態です。アスファルトの上にチョークで絵を描き始めました。草スキーをしました。凧揚げは風を読むのが難しい!でも面白いように凧が空に舞いました。


しばらくすると子ども達がおじいちゃんやおばあちゃんに連れられて遊びに来ました。広い公園ですが築山に集まってきます。山があると遊びがいろいろな展開できるようです。トンネルにボールを蹴り入れたり、山に向かって蹴ったり・・。子ども達の歓声が響きます。「築山さん、子ども達を見守ってね」という気持ちで築山にお礼を言いました。

次は海で遊びます。潮見表で潮の満ち引きを調べたらちょうど引き潮でした。孫と二人でおやつをもって海岸に行きました。高い堤防のおかげで公園から海が見えませんでした。「えっ?海の方が公園より高いの?」と不思議です。「何度も家を流されたからから昔の人は土を運んできて堤防を作ったのよ」と話しました。見回したら畑の中に昔の堤防の跡がいくつもありました。


護岸の潮が引いたところに色々な生き物がいました。初めて見る海の底!生き物の事をもっと知りたいというので近くの私設の水族館に行きました。残念ながら閉館でしたが窓に張り付いて中を観察しました。何だか子ども時代に戻ったような気分です。

その近くの魚屋さんに行き、目当ての魚がいるか聞きました。魚屋のお兄さんが独特の魚を手で捕まえて自分の指をかませてくれました。それを見ていた孫は自分の指を差し出し、初めは余裕でしたがだんだん締め付けられて涙目に!!痛かったようです。

その日の自由帳にたくさんの出来事を書いていました。せっかくの与えられた休日。自分の好きなことをしてもいいし、自然に触れて驚き、知りたいという気持ちが湧き、学ぶという体験をさせたいものです。私自身、今まで身近な自然の中で孫とゆったり過ごしたことがなかったことに気が付きました。


アメリカ、フィンランド、オーストラリアでも次々と閉鎖


そうこうしているとボストンの娘から「明日から休校!」という連絡が来ました。「アメリカは右肩上がりで感染者が増えたので4月7日まで休校との事。そして緊急事態宣言が出されて空港はカオス状態だそうです。病院、薬局と食料品店以外は全て閉鎖。10人以上の集会禁止。遊具もダメ。もちろんパパも仕事場が閉鎖して2ヶ月間お休みになったとのこと。

両親が家にいるので子ども達は大喜びです。宿題は1グラムもなし。これを機に午前中は日本語の勉強、家族でお散歩、昼ご飯の後は読書とスポーツというルールを決めてホームスクーリングを楽しんでいるという事でした。大好きな図書館も休みなのでオンライン書籍を利用しているそうです。


医療保険事情が最悪なアメリカ。娘たちは奨学金で研究している身なので、企業の保険に入れません。保険でカヴァーしますよと言われて子どものホームドクターを探しても、申し込みの段階で対応できないと断られてしまいました。何故か受け付ける担当者によって言う事がコロコロ変わるそうです。

そして、予約できても申請するために健康診断を有料(万単位)で受けて、実際に診察するたびに高額のお金を取られるそうです。それに疲れた娘家族は病気しないように注意して暮らすしかないと言っていました。最近のニュースでトランプ大統領は国民への現金給付を含む約100兆円規模の財政出動を行う予定で、新型コロナに関しての治療と検査も無料になるとのこと。無事を祈ります。

フィンランドも政府がロックダウンを発表したとのこと。学校も閉鎖。10人以上の人がいるところも閉鎖。会社もリモートワークで病院やスーパー等ライフラインの仕事以外は全て閉鎖とのこと。35歳の若い女性の首相が国民の立場で考えてくれているようで、会社を閉鎖していても普段通りの給料が政府から支給されるとのことです。

オーストラリアの娘もF-1グランプリのためにイタリアやアメリカからの大勢の観光客が来てしまったのにキャンセルになって混乱しているようです。新学期を迎えた娘の大学も構内は閉鎖してオンライン授業に切り替わったそうです。家庭ではパパがせっせとおかずを作り冷凍しているとのこと。家族で子どもを見ながら仕事です。

Wikimedia_Commons[Public Domain]

これからも続く新型コロナウイルスの影響。目の前の事に愛のマントラを唱えながら過ごすしかありません。でも、自然の中で嬉しそうに遊ぶ孫の顔を見たり、自宅待機になり家族揃って楽しそうに過ごす様子を聞いていたら・・・子ども達が一番欲しかった家族団らんがここにある事に気が付きました。コロナが解決した暁にはこの時間だけは大事にする社会になってほしいと思います。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は8人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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