ぴょん子とのひととき

いやいや、参った。
コロナのせいで、こんなにご無沙汰になるとは。
やっと、緊急事態宣言も解除されて、久しぶりだなあ。
お目当てのぴょん子も、耳長く、いや
首長くして待ってるだろーなー。

いらっしゃいまホ〜〜♪

お、受付も、ちゃんとビニールカーテンで仕切って、コロナ対策してるじゃねえか。
安心して、入れそうだ。

ではお客さま、ここにご住所、連絡先電話番号、メルアドをご記入願います。

ええっ?? 今まで、そんなの書けって言われたことねえぞ。

東京都からのお達しですので、なにとぞ。

かと言って、こっちはお忍びで来てるんだ。
でもウソ書いたら、
ヤマ・ニヤマに反するし・・・どうしよう〜〜?
しかたねえなあ・・。

はい、ご協力ありがとうございます。
さあさあ、こちらの席でお待ちください。

ドキドキ・・お、ご指名のぴょん子が来たぞ。
ぴょん子ちゃ〜ン♪ この日を待ってたぞ〜!
くろちゃま、お待たせェ〜〜 ご・ぶ・さ・たァ〜ン!

???・・ ぴょん子! そいつはいったい、なんのコスプレだ?!

どお? 本格的でしょ?
マスクにゴーグル、フェイスシールド、雨がっぱも着ちゃったの。

むむむ・・ぴょん子のかわいい顔が見えねえ・・ピチピチドレスも見えねえし・・いったいここは、病院か?

そんなこと言わないで、ささ、飲んで飲んで、いつもの水割りでいい?

おいおい、どこ座ってんだ、もっとコッチに座れよ。

でも、ソーシャルディスタンスは2メートル。

2メートルって、こんなに遠いのかよ、望遠鏡がいるわ。

それなら特別サービスしちゃゥ!! はい、1メートル!

1メートルでサービスだとお?! 遠いよお!
おい、もっと、こっち寄れよ、こんなんじゃ、さみちい。

・・あら、もうお時間だワ。

へっ、もうそんな時間か?

ではでは、
またのお越しを、待ってまちゅゥ〜、チュッ!

おいおい、
待てよ、ぴょん子、これでもうオシマイか?

くろちゃま、マッタネエ〜〜。

ぴょん子ォ〜〜〜!!
カネ、返せ〜〜〜!!

くろちゃん?

ぴょん子ォ〜〜〜!!

ぴょん子??

おお、おれのぴょん子は・・・。

ぴょん子? 誰のこと?

ハッ!!・・いけねえ、居眠りしちまった。

ぴょん子って、誰?
コロナ禍で女性の働き場がさらにキビシクなった

ハハ・・ま、いいから、いいから。
コ・・コ・・
コロナで日本の抱える問題が見えたって話だったかな?

いきなり何、言ってるの?
女性の働き場が、さらにまたキビシクなったと思ってだなあ。

女性の働き場?

コロナで職を失った女性、
とくに母子家庭とか大変だなあって。

そんなこと、夢で考えてたの?

おれは、いつも女性の味方だ。
でもさ、日本て、まだまだ女性の地位が低いよね。
国別の男女格差ランキング(世界経済フォーラム)によると、2012年101位だった日本は、今や121位に落下。アラブ首長国連邦やアフリカのベナン、東ティモールよりも下だし、
女性国会議員の割合も、世界で164位なんだよ。やっと2年前に、女性に運転が許されたサウジアラビアだって105位なのに。(
Forbes)

安倍政権は「女性活躍」を掲げているが、
女性の労働環境はどんどん悪化してる。
収入が足りなくて、夜の仕事に手を出す人も増えてるみたいだし。

「女性の仕事がないからなんですよ。女性の社会進出と言われていますが、
実は貧困が進んでいて、みんな隠れて、週に1回(夜の仕事に)バイトに行って……という方々が結構いると思います。」(
Next Wisdom)
まとまったおカネを、てっとり早く稼ぐとなると、夜の仕事しかないし。
そんな夜の仕事も、コロナ前までは景気が良かったが、
コロナの影響で客は来なくなり、彼女たちは、真っ先に職を失う危険にさらされている。
(
Forbes)

・・ところで、ぴょん子って??

もうっ! いい! そいつはいいから!

そうやって、
生活のために仕方なく、夜の仕事で働く女性たちも大変だよね。
キャバクラ、ホストクラブにはまる人々

生活のためなら、しかたねえが・・
しょうもない理由で水商売に手を出す女性たちは、なんだかなあ。

と言うと?
ごひいきホストをナンバー1にするために、キャバクラや風俗で働くヤツもいるんだ。

でも、ホストクラブって、おカネ持ってる女性が行くとこじゃなかった?
社長夫人とか女性経営者とか?

いやいや、ふつうのOLだって、ごひいきホストに1番貢ぐ「エース」をねらう。
ある女性は、ごひいきホストをナンバー1にするために、ソープランドで働いていた。
ホストクラブでもっとも大事なのが、売上げランキングが決まる、毎月最後の「締め日」。
ごひいきホストをナンバー1にすべく、客たちはこぞって高級シャンパンをオーダーする。
彼女もごひいきホストのために、
1本150万円のシャンパンを3本、さらに1本480万円の「ヘネシーリシャール」を注文して・・・。(
ABEMA TIMES)

「ヘネシーリシャール」?

「ホストクラブで注文すると『・・・リシャール頂きました!』と高々と声があがり、注目の的となる一品」だな。(
Brandy Daddy)
それで、総計 10,048,600円、支払った。

一晩で1000万円以上?!

そして見事、彼女のごひいきはナンバー1ホストに輝いたが。

そのホストは喜んだでしょ?

いやいや、彼女のことは「叩けばお金が出てくるATM」とばっさり。
「体売って稼いで来い!」ってけしかけて、ソープランドで働かせたのも彼だった。(
ABEMA TIMES)

うわ! サイテー!
そんな男に貢ぐなんて、彼女さんはどうかしてるよ。

だが、
彼女は言う、「これがなくなったら私、何もなくなるなと思って・・むしろ頑張らせてくれてありがとう、生きる価値を与えてくれてありがとう、みたいな。
自分よりも彼が輝いてくれれば、私はそれで満足かなって」。(
ABEMA TIMES)

どんだけ、自分を傷つけてるんだよ。
自己評価が低い、自己肯定度が低い・・。

かわいそうな人だ。

「
ホストクラブに来る女性というのは、基本的に心に何か闇を抱えていたり、何か物足りなさを感じていると思う。」(
ABEMA TIMES)

やっぱりそうか。
自分がきらい、変わりたい、現実逃避したい、そこに王子さまが必要なんだね。
そういう女性を踏み台にし、成功するホストたち。
「
No.1になるためには囲っている女性の数を増やすこと・・それにはやはりお金を落としてくれる女性をいかに自分の傍に置いておくか。
そして切るタイミングを見定められる目を持つことでしょうね。」(
ニホンジンドットコム)
女性は、利用されるだけなのに、どうして本気で貢ぐんだろうね。
じゃあ、男はなぜ、キャバクラに通い続けるんだ?

チヤホヤされて、ヨイショされたいからでしょ?
ホスト狂いの女性たちと、まったく同じ構図じゃねえかよ。
ああゆうところは、親からも、上司からも、家族からもソッポ向かれて、自信なくした「
ダメオヤジ」が行くとこだよ。

「ダメオヤジ」、なつかしい!!

でも
ホントは、おれだって魅力があってモテるんだぞって、証明したい。
「キャバクラに来るお客様というのは、自信がなくなってしまったり、傷ついたりして、
世の中からいじめられた気分になっている人がすごく多い・・・
自分の存在を評価してもらいたいのです。」(
キャバクラの教科書)
そんなの、自分で自分を評価すればすむことだよ。
それができないばっかりに、物騒なとこに顔つっこんで、カネを巻き上げられるんだ。

心療内科に、カウンセリングを受けに行くような人たちが、お客になってるみたい。
心療内科なら保険がきくけど、
キャバクラ行ったら、どのくらいかかるの?

たとえば、
ある店に2時間いたとする。
基本料が、1人あたり60分10500円。
延長料金が、30分ごとに4725円だから、60分延長で9450円。
1人指名したら、指名料3150円。
テーブルチャージが、1人3150円。
合計、お1人さま26250円なり〜〜。
(
キャバクラの教科書)

高い! 家で映画でも見てる方がいいよ。

だが、キャバクラもホストクラブも、心療内科のカウンセリング室とはワケが違うぞ。
シャンデリアのキラキラ輝くゴージャス空間に、バシッと決めた美形たちが勢揃いでお出迎え。ゆったりとしたソファーに身を沈めながら、シャンパングラスを傾ける。
そばには、
美しく着飾った、厚塗り・整形美形のキャバ嬢が、やさしく話を聞いてくれる。ときに相づちをうち、ときにオーバーなリアクションをしながら
相手をしてくれる。

そっか〜 ふだん、誰にも相手にされない自分でも、
こんなにVIP待遇してもらえる。
だから、キャバ嬢がすごくいい人に見えて、
惜しみなくおカネをあげたくなるのか。
とくに、締め日やイベント日はド派手だ。

知ってるよ、
シャンパンタワーでしょ?

やたら
会場を盛り上げて、一種の集団催眠状態にして、カネを巻き上げる。

集団催眠にかかりたい人たちが、集まるんだね。
パーティー会場にいると思って目が覚めたら、みんな妖怪で、そこは墓場でした〜?
しかし、病人は客だけじゃない。
従業員も、病んでいるのが多いらしい。

彼らも、世の中のはみ出しっ子だからね。

あるホストの言葉、
「おそらく
日本の8割くらいの人は何も考えていない。思考停止を小さい頃に余儀なくされていた人がほとんどじゃないでしょうか。
水商売って、男も女も基本的にそういう子たちの溜まり場なんです。」(
Next Wisdom)
また、
「現代ホスト界の帝王」ローランド氏も、自著で言っている。
「
ホストクラブの従業員たちと深く関わってみると、実は複雑な家庭で親の愛情を受けることなく育った、なんて言う話をよく聞く。どちらかというと、むしろヘビーな家庭環境だった従業員のほうが多い。・・
愛情が足りないと人はこうなってしまうのか、と驚かされた。」(「
俺か、俺以外か。ローランドという生き方」p106)

お客も、従業員も・・・
水商売は「愛情の足りない人」が集まる場所なんだね。

「自分が何のために存在しているのか、何のために頑張っているのか、といったことがわからなくなってしまっている人・・
お客さんもホストの側も、そういう“空虚”と“空虚”だからこそ“真空の引力”が生まれるし、お金を使う・使ってもらう瞬間に互いの存在意義を感じるのだと思う。」(
ABEMA TIMES)

なるほど、
“真空の引力”で引き合った両者を、つないでるのがおカネなんだね。
だが、虚しいもの同士が集まっても、何も生まれない。
なぜなら彼らが、認められ、評価され、愛されたかったのは、だれあろう、
自分の親だからな。
親が、彼らの愛情要求、承認要求を満たしてくれなかったのが、根本的な原因だから。

そうだね、でも、もう、手遅れかも。

いや、まだ道はある。
愛し合える、良い伴侶に巡りあえば、変われる可能性があると竹下先生は言われた。

でも、キャバクラ、ホストクラブじゃ、そういう出会いはまずないね。
正しい親子関係、そして正しい夫婦関係、そして平等に分配される経済。
それらが今、どれほど必要かが、身にしみてわかったよ。

・・ところで、ぴょん子はどこ行ったの?

いいから、ハヤク忘レロ〜〜!!
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
キャバクラとホストクラブ、一度でも、行って見ときゃ良かったなあ。
オカマバーは行ったことあるけどね。