[Choose Life Project] 土地利用規制法案の問題点 〜 時の権力者に国民監視の白紙委任状を差し出すような法案

 しつこいようですが、またまた「土地規制法案」です。法案とは名ばかりの、いかにひどいものか何が問題なのかを「Choose Life Project」で丁寧に解説されていたので、重要と思われる部分を書き出してみました。
 政府与党は今国会での成立を何が何でも狙っているようですが、その背景も語られています。
解説された馬奈木厳太郎弁護士は冒頭部分で「国会の審議を経ることなく、大きな権限を政府が持つことになってしまうこと」「国会議員が自らの役割を政府に丸投げしてしまうような法案を議論することなく進められていること」という問題点を挙げられています。
 時の権力者に監視の白紙委任状を差し出すようなものでしょうか。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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6/2 全市民が監視対象に? #土地規制法案 とは何か
配信元)


(4:10)
 誰がどんな意図で提案した法案か?
この法案は、9年前の2012年、自民党「安全保障と土地法制に関する特命委員会」発足時に遡る。
それが2020年12月に提言をまとめ、2021年3月に政府案として閣議決定をして5月に衆議院で審議入りし、たった12時間の審議でスピード可決となった。
この法案の中心メンバーは、新藤義孝、高市早苗いずれも元総務大臣のほか、写真(8:20)では菅原一秀議員(辞職)、ヒゲの佐藤正久議員、山谷えり子議員、木原誠二内閣委員会委員長の顔も見える
なぜ今急に?と思えるが、これら推進派からすれば、ようやくここまでこぎつけた法案と言える。



(11:15)
この法案の概略を説明。
注意すべき点として、「注視区域」に指定されたエリアの土地建物の「所有者」だけに限らず「賃借人」も調査対象になり、その他いろんなことを尋ねられる人も含めるとかなり広範な人々が対象者となりうる。
自衛隊や米軍基地施設の「機能を阻害されないようにする」ことを目的に、1kmの「注視区域」に住む人、事業を営む人などが調査対象になる。よく言われることに「活動家の人たち、反政府活動をする人が対象で一般の人は関係ない」という意見があるが、それは順番が逆で、まず一般の人々を網羅的に調べ上げて、一定の人に目をつけることになる

法案の目的の中に「安全保障に寄与する」とあるが、外国が念頭にあり、国内の外国の人も対象になる。
高市早苗氏の言う「外国資本や外国人による立木と水資源の買収」については、すでに森林法の改正などで対処している

(23:00)
政府はこの法案の理由に、北海道や長崎県対馬の自衛隊施設の周辺土地を外国人の方が購入したケースを取り上げ、周辺の住民の方々が不安に感じているということを挙げている。ところがこの不安に思う住民は地元の北海道や長崎ではなく和歌山県や熊本県の議会からのものだった。

そもそも安全保障上のリスクになっているという(この法律を整備しなければならないような)「立法事実」があるか
政府はインバウンド政策を推進し、IR法も整備しようとするなど外国資本を歓迎する方針をとっているが、それとの整合性がない。
何らかの具体的な支障は確認できていない。特定の国籍を潜在的な脅威とする発想自体が差別意識であり問題
(27:00)
衆議院の審議でも「立法事実」がないことを確認している。
衆議院で各省庁から確認する動画(2020/2/25)。

(32:10)
通常、規制をする場合は行為に着目する。
しかしこの法案では、潜在的な脅威として特定の外国人を挙げるが、例えばこれを「女性」や「〇〇県民」と置き換えて見ると、十把ひとからげに属性で規制をする乱暴さがわかる。

小此木担当大臣の答弁
5/21「リスクが確かなものかどうかしっかりと調査することが一つの大きな目的」
5/26「(立法事実を)探していかなければいけないという意味も含めて、何があるかわからないことについて調査をしっかりと進めていかなければならない」
有り体に言えば、これからリスクがあるかどうかを調査する、立法事実があるかどうか調査すると答弁している。

9年も前から法整備をする事情がない法案を準備していた

(39:10)
「どのような人が対象になり、どのような調査をするのか」
大臣はこの点も「調べてみないと分かりません」と正直に答弁した。

「被害があってからは遅いというリスク」と「そのためにプライバシーや思想信条に立ち入る調査をされるリスク」との比較検討は国民の合意の上で決めるべきもので、とりわけ現実的なリスクがないまま規制をするのは乱暴だ。

(42:25)
「注視区域」について、米軍基地は沖縄が象徴的だが、自衛隊となると全国に多数あり、陸上自衛隊駐屯地など街中にある場合は、広範囲の市民生活空間が含まれる。
審議の中で「注視区域」に該当する場所を一覧で出すよう質問があったが、防衛省は頑として出さなかった

また自衛隊や米軍基地の他、「生活関連施設」とされたものも不明で、これは政令で定めるとしているが、審議の中では「原子力発電所」「軍民の共用空港」が例として挙げられていた。しかしこれは限定されておらず今後拡大する可能性を残している。日本全土どこでも「注視区域」になり得る

(48:45)
「機能を阻害しかねない場合」(居住など)利用中止を勧告され、2年以下の懲役という罰則がある。
通常、人の行為に制限をかける場合は事前にやってはいけないことを明確にする必要がある。「してはいけないこと」を法律に明記せずに政府の閣議決定に丸投げし、国会が関与できないのは非常に問題だ。国会の役割放棄だ

いかなる行為で罪になるのか不明であること、限定されていない部分を政府が決めるということ、二重三重に問題の法案。
時の権力者が恣意的に決められる


(53:00 〜 57:10)
想定される具体的なケースが述べられている。
戦前だったら基地のスケッチをするだけでもアウト。
一部の活動家が対象ではなく、全ての国民が関わる法案だ。

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