ぴょんぴょんの「おしゃべりな木々」 ~人間より高度な社会を築いている樹木たち

うちには杉の木があります。
夏は涼しい木陰を提供してくれ、冬に落とす実や枝葉は火起こしに役立ち、1年中、鳥や昆虫たちのオアシスになっています。
この家の前の持ち主が「この杉はジャマだから切りましょう」と言うのをお断りしてから10年あまり、今や、ランドマークと言えるような堂々の杉に成長しました。
彼もあの「縄文杉さん」とつながっているのでしょうか。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「おしゃべりな木々」 ~人間より高度な社会を築いている樹木たち

1956年の制作のソ連のアニメ「森は生きている」


おめえ、ソ連のアニメ、見たことあるか?

ソ連のアニメ? 怖そう。
どうせ共産党のプロパガンダでしょ?

ま、そう言わずにこれを見ろ。
ロシアの児童文学者、サムイル・ヤコヴレヴィチ・マルシャークの童話「森は生きている」のアニメだ。


ソビエトアニメ 森は生きている(1956) 日本語字幕 1/3


きれいなアニメだね、続きは?

ホイ! 2/33/3
おれもアニメには、ちいとばかしうるせえが、こいつは傑作だな。
CGもない時代に、よくこんなにヌルヌル動かせたもんだ。
ソ連時代の、国営の強みだな。

まさに、芸術作品!
ストーリーもいいし絵もきれい、人物の動きはまるでバレエだし、音楽も本物。

最後の馬の走るシーンは、特にすばらしいね。
とても、1956年の制作とは思えない。

おれのお気に入りは、「12の月の精」のシーン。
森に季節をもたらす妖精たちが、まるで実在するかのように描かれている。


動物・植物・鉱物たちには彼らが見えてるし、会話もしてるからね。
人間以外の生き物は実相が見えており、互いに情報を交換し合っている事がわかります。要するに自然の中で、人間だけが孤立しているのです。(中略)...あらゆる生命との差別感を消滅させない限り、人類は自然に迎えられることはないでしょう。」(時事ブログ)

はあ、人間は置いてけぼりかあ。

でも、このヒロインも人間なのに、彼らが見えて会話もしてる。
心がきれいな人だからかなあ。

おれも、ああゆう、心がきれいでかわいい女性が好みだなあ。

ザンネンでした! 
彼女は4月の精から婚約指輪をもらって、将来は4月の精のお嫁さんでした。

ガックシ!
にしても、庭の木もネコもみんなおしゃべりしてるんだろ?
なのに、おれだけカヤの外。
さびしいなあ、おれもいつか、彼らとしゃべれるようになるのかなあ。


前途多難なリニア計画


さあね、人間の傲慢さって、あきれ返るくらいヒドイからね。
たとえば、こないだ見たNHK・BSの番組、樹齢300年以上のブナの巨木を切り倒すとかいう話で。


なんでまた、そんな貴重な木を切るんだ?

リニア新幹線だよ。
リニアの送電用鉄塔を新設するために、長野県の山の中腹一帯の樹木が伐採されることになって、その中にブナの巨木が2本あったんだよ。

Author:Saruno Hirobano[CC BY-SA]

リ、ニ、ア? 忘れとった、まだ、生きてたんか?

青息吐息みたいだけどね。
「静岡の状況、南アルプストンネルの長野工区の工事状況を見ても、JR東海の赤字転落を見ても、リニア計画の前途は多難。無駄になる可能性が非常に高いと思います。」(南信リニア通信)

いったい何億円をムダにするんだ?

これはもう、JR東海と中部電力の意地だね。
「鉄道だってもうスピード競争の時代ではないと思います。まるで、焦げ目のない空襲のあとのようになりつつある長野県のリニアの中間駅の周辺では、『駅はできたが電車(リニア)は来ない(ということになるんじゃないか)』という声も出始めています。ルート変更の話がでてきたりで、できるのかどうかかなり疑問のリニア、それでもJR東海は建設を進めるといっています。」(南信リニア通信)

中部電力本社
Author:Gnsin[CC BY-SA]

今やリモートワークの時代、高い料金払ってリニアに乗るヤツ、いるんか?
そもそも、リニア、300歳のブナの木より大事なんか?

さっさとあきらめて、後戻りできたらいいのにね。
そしたら、緑の山に高圧線の鉄塔なんか建てなくてもすむし、そうすればブナの巨木も伐採しなくてすむ。

だが、こうゆう大工事って一度始めたら、なかなか止められねんだよなあ。

大勢の生活がかかってるからね。
結局、地元の人たちが「ブナを切らないでくれ」という署名を集めて国に提出、ブナは伐採を免れたんだけど。

けど?

現場に行ってみたら、「確かにブナの巨木2本は伐採されずに残りました。ところがブナの周りの木はすべて伐採され丸裸状態でした。」(趣味人倶楽部)
見て、こんな景色にしちゃったんだよ!

なんじゃ、こりゃ?!

中部電力は何ということをするのかと愕然となりました。ブナだけ残したのだからいいでしょうと言わんばかりです。この状態でブナが末永く生きることが出来るのだろうか心配になりました。山は皆の木で助け合って環境を保全すると思われるのですが、丸裸にされては台風などが来襲したら、直撃を受けひとたまりもなく倒壊してしまう気がします。」(趣味人倶楽部)

おれには、「愚」の一文字しか思い浮かばねえ。

まさに「愚」だね。

それに、ブナの木の身にもなってみろ。
平和に過ごしていたある日、突然人間たちがやってきて、チェーンソーでガンガン切り倒されていく仲間を見ながら、どれほどのストレスを受けただろう。


工事をする方は、住民のめんどくさい要望にも耳を傾け、2本のブナを残してやったと思ってるだろうけど、森が元に戻るのに100年はかかるんだよ。

しかも、そこに鉄塔が建ったら、今度は高圧電流が流れるんだろ?

電磁波がスゴイだろうね。

だけど、彼らはそこから逃げられない。

1年前からすでに、リニアの鉄塔は、あちこちの山の斜面に林立している。
そのために、どれだけの木が切られたのか?
悲しくなってくるよ。



人間より理想的な社会を築いている樹木たち


はあ〜 やっぱ、人間はサイテーだ。
原住民と呼ばれる人々のほうが、ずっとまともだな。
「生きとし生けるものはコミュニケーションを取っている」と考える、エクアドル・アマゾンに住むワオラニ族は「木は切られる時に叫び声をあげる」「木々を痛めつけると人類によくないことが起こる」と言う。(Gigazine)

ああ、人間は、なんと鈍感なんだろう?

自分たちが一番エラいと思ってるアホだ。
それに自然のこと、木のことを、知らなすぎだ。
ペーター・ヴォールレーベン著「樹木たちの知られざる生活」によれば、樹木たちはコミュニケーションを取り、子どもを教育し、助け合いながら人間の世界に近い、またはそれ以上の社会生活を送っていると言う。
(NHK)

ほお。

また、木が根を介して、隣の木に砂糖液を送り、仲間を生かそうとしているのも目撃されている。(Gigazine)
彼らは、もっとも弱いメンバーをいかに守るかを大切にしているんだと。
(ニュースイッチ)

なんと! 人間より理想的な社会を築いている。

ブナの子育ても、ビックリだぞ。
ブナは一年で50cmくらい伸びるのに、100歳でもせいぜい人間の身長くらいで、鉛筆くらいの太さにしかならない。
その理由は、そばにそびえる親木が日光をさえぎっているからだ。
つまり、子どもに日が当たらないようにして、100年、300年のスパンでゆっくりと、たくましく育つように工夫をしているんだ。
(note)


それで、子どもは枯れたりしないの?

枯れない程度に、親木が、根っこから栄養を流してやってる。
だが、この耐乏生活のおかげで、若木は鍛え上げられ、樹齢300年以上生きられるようになる。
「お母さんが教育するんですね。こうやって光をあげないことでどうなるかというと、若いころはゆっくり成長するんです。長生きするためには、ゆっくり成長しないといけない。」(NHK)

かしこい!
親の都合で「早く歩け、早くしゃべれ、早く読み書きを覚えろ」って急がせた子どもは、ヨワヨワに育つかもしれないね。
となると、リニア工事で仲間を伐採されたブナは、樹齢300年。
すでに、たくましく育っているから、この苦難に負けないかも知れない。


根っこだけじゃない!樹木の情報ネットワーク


しかし、彼らを取り巻くネットワークがなくなっちまったのがなあ。

ネットワーク?

森には、菌類を介したネットワークがあるんだよ。
「木々は言語を持つ」を提唱する生態学者、スザンヌ・シマード氏によると、木々の根に共生する菌類を介したネットワークが森全体にはりめぐらされていて、樹木同士がメッセージを送受信していると言う。

(Gigazine)


木が話す秘密の言葉 ― カミーユ・ドゥフェルヌ&スザンヌ・シマード


ネットワークは木にとって、通信して情報を得るだけでなく、栄養不足になった時、仲間から栄養を分けてもらえる生命線でもある。
木を切るということは、その木から栄養をもらっていた菌類もいなくなる。
すると、ネットワークは消えてしまう。

(Gigazine)

なら、また木を植えればいいんじゃない?

人工植林は、根が傷ついているから、ネットワークが築けないんだと。
(note)


ダメかあ。

ネットワークがない、イコール、孤立だ。
孤立すると情報が入らない。天候不順などの外的環境の悪化、病気や害虫の情報なども入らない、弱っても助けてくれるものがいない。
(note)

すごく不安だね。

植物が枯れる原因は、水や栄養が足りない以上に、ネットワークの遮断が関係あるらしい。(NHK)

残されたブナの巨木も、弱らなければいいんだけど。

だがしかし、彼らの情報ネットワークは根っこだけじゃねえんだよ。
中西征子氏と庭のクロガネモチの通信によると、クロガネモチはこう言っている。
「私達木の仲間は、意識を高く持ち上げているので、かなりの上空から四方八方に伝達する事が出来ます。
実際の木の高さより数倍高い所に情報をキャッチするためのアンテナのような機能があるのです。

私達は住んでいる場所から、大体直径100km位の範囲で通信をやり取りしていますが、より遠い場所からの通信も受け取る事が出来るようになっています。
100kmの範囲の中で一番古くて大きな木が、長老として他の土地の長老からの情報を受け取って知らせてくれるのです。

すごいね、菌類ネットワークよりも、はるかに広い範囲の情報を得られるんだ。

中西氏は、世界で一番古い、7,321才の屋久島の“縄文杉”とも通信している。
縄文杉は「人類の戦争の歴史を私はずーっと眺めてきた」と言っている。

しかし、「私は悲しみのエネルギーを喜びと希望のエネルギーに変える努力をしてきました。きっと平和な世界になると信じて、毎日を真剣に生きてきました。だから、今、私は幸せです。」

縄文杉さん!!なんと言うポジティブさ!

スゲエだろ?
これからどんな困難が待っているかしれんが、おれたちも縄文杉を見習いたいよな。

Author:ajari[CC BY]


Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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