ぴょんぴょんの「夏の夜のミステリー」 ~黒木昭雄氏が命がけで追いかけたもの

14年前、「岩手17歳女性殺害事件」という事件がありました。
犯人は、懸賞金つきで指名手配されていますが、今だに捕まっていません。
どころか、この動画によると、これは冤罪で、他に真犯人がいるようです。
この事件のために、私財をなげうって徹底捜査した、警察ジャーナリストの黒木昭雄氏は、自らの得た情報を惜しげもなく県警に提供したにも関わらず、警察も県もマスコミも無視。
これほどしても、公権力の不正を暴けない日本はおかしい。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「夏の夜のミステリー」 ~黒木昭雄氏が命がけで追いかけたもの

現実に起こったミステリー「岩手17歳女性殺害事件」


くろちゃん、ミステリー好きだったよね。

ああ、「刑事コロンボ」とか、エラリー・クィーンとか好きだなあ。

刑事コロンボを演じるピーター・フォーク(右)
Wikipedia[Public Domain]

それなら、「岩手17歳女性殺害事件」て知ってる?
これこそまさに、現実に起こったミステリーだよ。


??

だよねえ、印象薄いよねえ。
2008年7月1日4:30pm、岩手県山中の道路沿いの川で、女の子の遺体が発見された事件。現在、容疑者の小原勝幸(おばらかつゆき)に、懸賞金300万円がかけられて、全国指名手配されているけど、14年経った今もまだつかまってない。

あ、そいつの指名手配写真、あちこちで見たことあるぞ。

だけど、その人は犯人じゃない・・らしい。

はあ?!
津々浦々にデカデカと、指名手配写真を張り出されてるのに、犯人じゃねえだと?

今から14年前に遺体で発見された、佐藤梢(こずえ)という女性、当時17歳。
遺体発見の3日前、彼女は男から電話で呼び出されて行方不明になり、首を絞めて殺された。


それ、よくある痴情のもつれだろ?
呼び出した男を調べればわかる。

呼び出した男は、今現在、300万円の懸賞金をかけられて、全国指名手配になってる小原勝幸、当時28歳。

なんだ、やっぱそいつが犯人で、解決じゃん。

あ〜あ、その短絡的な推理は、警察とまったく同じだよ。

失礼な、おれだって、刑事コロンボなみの洞察力はあるつもりだ。

じゃあ、こう言ったら、驚くよね。
殺された女の子は、小原の彼女じゃなかった。
しかも、この子の親友に同姓同名の佐藤梢がいて、そっちが小原の彼女だった。


なんだって?!

単純に見える事件のウラに、何があったのか。
この記事を参考にしながら、あらすじを追ってみよう。

おう!

ことの始まりは2006年、小原は先輩Z(当時30代)に紹介され、埼玉県の大工見習いに入ったが、数日で逃げ出してしまった。
先輩の顔にドロを塗ったため、小原は郷里の岩手に戻れず、各地を転々とした。
2007年のある日、宮城県のゲームセンターで、小原と友人は、当時高校1年の女子2人をナンパした。それが同姓同名、同学年の、2人の佐藤梢だったんだ。


その出会いが、悲劇を生んだのか。

小原は、梢Aを彼女にしたが、梢Bとも面識があった、ここ大事。
同2007年、小原は、梢Aと末弟(三男)と共に、Z宅に詫びに行った。
梢Aは車に残り、小原と同行したのは三男だけ。
小原は日本酒一升ビンを差し出し、非礼を詫びたが、Zは日本刀を持ち出し、その切っ先を小原の口に入れ、迷惑料として120万円を要求した。



ヒエエ〜!!
そいつ、「ヤ」のつく人? てか、銃刀法違反じゃねえのか?

そう思うのがふつうだね。
Zは小原の頭を2~3発殴り、120万円の借用書を書かせた上、連帯保証人を要求した。同席した三男は拒否、Zは「ならば指を置いていけ」と小原の左手小指の上に包丁を当て、小指から血が流れた。
それで、小原は、梢Aの名と電話番号を保証人として書いてしまった。


やっぱ、「ヤ」のつく人だ。


もちろん、小原に120万なんておカネは払えない。
結局また、梢Aとの逃亡生活に戻ったが、Zはネットに小原の顔写真と名前をサラし、「見つけたら必ず殺してやる。家に火をつける」などと言って回った。
梢Aの携帯にも、Zからの電話があったので、2008年、小原と梢Aは久慈署に恐喝事件の被害届を出した。

ここ、大事だから覚えといてね。

う、うん、それからどした?

その1ヶ月後(6月29日)、小原のDVに耐えかねた梢Aは、宮城の実家に逃げ帰った。
ここが、運命の分かれ道になる。
その後から、「恐喝被害届を取り下げたいから、一緒に行ってくれ」という小原からの電話やメールがしつこく入ったが、梢Aは無視した。

あれ? 1ヶ月前に被害届を出したばっかで、なんで取り下げるんだ?

いいとこ、突いてるよ。
その日9:30 pm、小原は、殺された方の梢Bに電話。
「相談したい、今から会えないか」と、呼び出した。
小原と待ち合わせたコンビニに梢Bがいる姿が、防犯カメラに残っている。
10:00 pmすぎ、今度は梢Bから梢Aに電話がかかってきた。



そっか、2人は親友だったな。

そう、2人は数回メールでやり取りし、日が変わった6月29日0:30 am以降、梢Bからのメールは途絶えた。
その後、2:14 am、ガソリンスタンドの防犯カメラに映っていた小原は、右手に白い布のようなものを巻いていた。


は? そんな深夜に、何があったんだ? ケガでもしたのか?

小原から逃げた時、小原は手にケガはしていなかったと、梢Aは証言。

と言うことは、メールが途絶え、深夜約1時間半の間に、何かあった。
ひょっとして、車の中で梢Bを殺した時に抵抗されて、手にケガをしたとか?

違うね、小原と梢Bが会ったのは、6月28〜29日、梢Bの死亡推定日時は6月30日〜7月1日。小原は殺してないよ。
しかも翌朝7:00 am、小原は手のケガを写メで梢Aに送っている。
そのメールにも、「被害届を取り下げるから、もう一度盛岡にきてくれなきゃ困る」とあった。


なんか小原は、被害届を取り下げるのに、必死こいてる感じだな。

そこ、大事だよ。
実は、梢Bの死亡推定日時6月30日〜7月1日の間、小原は弟(次男)夫婦の家や、恩師Yの家にいた。つまり、小原にはアリバイがあったんだ。

ええ?! 警察はそれを知らずに、小原を犯人と断定したのか?

警察だって聞き込みしてるから、もちろん知ってたはず。
しかも次男夫婦は、小原に頼まれて、車内に残された元カノ梢Aの所有物を整理したけど、車内で殺人が行われたような血痕やシミは無かったと証言している。
さらに、小原の右手を診察した医師によると、右手握力はゼロに近く、握ることも開くこともできない状態で、梢Bの首を絞めて殺すのは不可能だった。


・・小原に梢Bは殺せなかった。

そうだよ。
そして相変わらず小原は、被害届の取り下げのために、久慈署の刑事や梢Aと頻繁に電話やメールのやり取りをしていた。

久慈警察署
Author:Ebiebi2[CC BY-SA]

気になるなあ、なんでそんなに被害届の取り下げに必死なんだ?
Zに、被害届を出したことがバレて、また、脅されたんじゃねえの?
はっ!! 
小原に呼び出された梢Bは、連帯保証人として梢Aの代わりにZの所に連れて行かれ、そこで人質に取られたんじゃねえのか?
いついつまでに、被害届を取り下げねえと、こいつの命はねえって?


いいとこ、突いてるね。
実は、ここまで話した詳しい状況は、警察が公表したことじゃない。
警察官時代に23回の警視総監賞を受賞し、41歳で警察を辞めてジャーナリストに転向した「捜査するジャーナリスト」、黒木昭雄氏が自らの足で捜査したことなんだ。



「捜査するジャーナリスト」、カッコいいなあ。
だが、警察を敵に回したら、ヤバいんじゃ?

「俺は警察が好きだからこそ、警察が不正をするのが許せない」んだって。
New See
ただね、この事件のことは、「私は、捜査の中身を知れば知るほど、驚きを隠せなかった。ウラに何かがある。私は徹底的に調べ上げることにした」と言ってる。
YouTube

頼もしい味方だ、どんどん調べてほしい。

残念ながら、この事件の3年後の2011年、黒木氏は自らの命を絶って、もうこの世にいない。

なんだって?! 警察に殺されたのか?!

いや、状況から見ると、そうじゃなさそうだ。
命を削って事件を追いかけたことで、力尽きたみたい・・・。

残念無念。


多くの不審な点


ところでさっき、くろちゃん、言ったよね。
小原に呼び出された梢Bは、梢Aの代わりに連帯保証人としてZの所に連れて行かれ、そこで人質に取られたんじゃないか? いついつまでに、被害届を取り下げないと、人質の命はないと、脅されたんじゃないかって?
実は、黒木氏もそう考えていたみたいだよ。

おう!「捜査するジャーナリスト」と意見が一致したぞ!

「この事件に関する黒木氏の推理は、男性Zは何らかの経緯で、小原容疑者から被害届が出されていることを知り、小原容疑者に被害届を取り下げるまで、保証人の佐藤梢Aを人質にすると迫った。だが、佐藤梢Aは人質になることを拒絶したため、佐藤梢Bが替え玉として誘い出された。」YouTube 36:37〜


やっぱ、そうだよな。

7月1日4:30 pm、梢Bの死体が発見された。
その夜8:00 pm、帰ってきた小原の様子がおかしかった。

「出かける前とは打って変わってひどく動揺しており、運転席に座ったまま『もう田野畑にはいられない』(中略)...と大泣き。表に車が通ると『警察が来たんじゃないか? 見てきてくれ』と震えながら怯えていた。雑感

小原は、梢Bが殺されたことを知った?
ニュースに出たのかな?

その時点では、まだマスコミにも報じられていない。

待ってくれ・・と言うことは、警察しか知らなかったはず。
小原は被害届の取り下げで、警察としょっちゅうやり取りしてたよな。
それに警察も、ガイシャが「佐藤梢」と聞けば、小原と梢Aの被害届の件から、小原が犯人だと疑ってもおかしくない。
まさか、警察が「お前が犯人か?」って聞いた?


ありえるね。
でも、まだ殺人事件も公にされてない時点だよ。
警察がそれを小原に聞いてたら、それはそれで大問題だよ。
だって、まだ内部ヒミツでしょ?

そうだ、もし、小原が真犯人なら逃亡する危険もある。
まさか、警察がそんな初歩的ミスをするはずないよな。
じゃあ、Zが小原にしゃべったとか?

それだって大問題だよ。
警察の内部ヒミツをZにバラしたことになるんだから。

そうだな。

小原は、その後も電柱に車をぶつけたり、死ぬことしか考えていなかったようだ。

自分のせいで、梢Aの親友を身代わりで死なせてしまったんだからな。

7月1日の夜、久しぶりに実家に泊まった小原は、翌朝7:40 am、「(久慈署の)C警部補と会う約束をしているので、久慈署に行かなければならない」と言い、朝食も取らずにふといなくなった。これが、父親が小原を見た最後だった。
その後、小原は自殺の名所、鵜の巣断崖に行き、梢Aや恩師Yに連絡。
Yが現場に駆けつけると、小原は突端でしゃがみこみ、誰かと携帯で談笑していた。
「会話の内容が前の日にY宅で久慈署のC警部補相手にしていたのと同じような内容だったため、Yは『K(小原)が話している電話の相手は久慈署の刑事だ』と思ったという。」(雑感
小原はYに「今から警察が来る」と言ったが、自殺しそうに見えなかったので、缶コーヒーを置いて現場を離れた。
10:40 am、弟(三男)に「今、自殺の名所にいる。来たら飛び降りる」との電話があったが、11:00amごろ、父親が現場に到着した時には、小原の姿はなかった。
以来、誰も小原の姿を見ていない。

鵜の巣断崖
Author:Hirai Kimito[CC BY-SA]

たった20分の間に消えた?
警察が来て、小原を連れてったのか?

だとしたら、逮捕されているはずだよ。
4:00pmごろ、その辺りを掃除をしていた役場職員が、断崖の突端近くで小原のものと思われる車のカギ、免許証などの遺留品を発見。

やっぱ、飛び降りた?

そう思うよね。
それに、まだ4:00pmだし、殺人の容疑者なんだから、すぐにでも捜索しようと思えばできる時間なのに、捜索が始まったのは翌日。
しかも、捜索と言うにはあまりにもお粗末で、陸上の捜索は警察官15人程度、付近の検問もなく、消防団への捜索要請もなかった。
小原の父親が警察犬を出してくれ、と言うと警察は「おカネがかかりますよ、お父さん、払えるんですか?」などとウソついて、出してくれなかった。

本気で小原を探す気はねえな。
いや、小原はそこにいないって知ってたみたいだ。

結局、「7月29日、梢Bの殺人死体遺棄事件について、岩手県警宮古署捜査本部は、小原を犯人と断定、小原の逮捕状を取り、同日、全国指名手配し、公開捜査を開始した。
警察の見立ては、6月28日深夜に小原が梢Bを誘い出し、田野畑村に戻る途中の車内で梢Bの首を絞めて殺害、遺体を遺棄し、鵜の巣断崖に所持品を遺留し投身自殺を偽装して逃走したというもの。」(雑感

う〜ん、わからないことだらけだ。
なんで、小原が自殺を偽装したと言い切れるんだ?
Zのことは? 
そして、小原はどこに消えたんだ?


小原を犯人だと断定したこと、それ以前に、不審な点が多いんだよ。
たとえば、梢Bの遺体が発見された直後、梢Aの実家に電話があって、父親が出ると、「宮古署ですが、お嬢さんは死んでませんか?生きていますか?」と聞かれたと言う。


警察は、殺された佐藤梢に、同姓同名、同学年の親友がいたことを知らなかった。
だから、死んだのが被害届を出した梢Aだと思ってたんだな。

だのに、生きている梢A宅に、まちがって電話しただけでなく、一般市民に「誰かが殺された」という公開前の情報をバラして、いいんだろうか?

それもおかしいが、おれの疑問はなんと言っても、被害届だよ。
小原はなぜ、1ヶ月前に出したばかりの被害届を取り下げようとしたのか。
それも、かなり必死だった。
しかも、警察は被害届の取り下げを、断固として受け入れなかった。

なぜだ?

事件後に、警察に被害届のことを尋ねると、「被害届は出されたかも知れないが、受理はしなかった」と逃げている。

おかしい!
小原は、Zから被害届を取り下げろ、と脅されていたとしか考えられねえ。
だとしたら・・・。

なぜ、Zは小原が被害届を出したことを知っていたか?
そこが、一番の疑問だよね。

警察は、被害届が出されたことを加害者に知らせてもいいのかな?

いいはずねえだろ!
Zみてえな危険人物に知られたら、被害者がどんな危険な目に合うかわからんぞ。

そうだよね。
警察の誰かがもらしたことが、Zの耳に入ったとしたら?

Zを取り調べる時に、小原のことを口走ってしまったとか?
だとしたら、それは警察の大失態だ。


「どうも、この事件の背景には警察の不祥事めいたものが隠されているようにしか思えないんですよね。」(YouTube
黒木氏が、こう言っているのは、ここなんじゃないかな?

ありえる!
警察が小原のことをバラしていなければ、梢Bも殺されずにすんだ。
小原は、Zから聞いて、ことの次第を知っていたのかもしれないな。


黒木氏は、小原容疑者はもうこの世にいない可能性があると話し、警察はそれを承知の上で、死人に口なしに乗じて懸賞金をかけて、小原容疑者を手配し続けているのだとすれば、「隠したい真実があるに違いない」と指摘した。
YouTube

黒木氏が一番訴えたかったのは、そこかもしれない。

事件から約1年後(2009年5月)、黒木氏は、独自調査結果を岩手県警本部長宛に渡したが、警察はまったく動かなかった。
黒木氏「これだけ明確な重大事件ですよ。それを頭ごなしに『我々はできません』と言われたら、有権者はどうするんですか、誰に言うんですか。」
YouTube

まったくだ。

さらに、黒木氏は小原の冤罪を訴えるために、小原の実家がある田野畑村に自ら出向いて、説明会を催し、村民半数以上の署名も集めた。
2010年4月、その署名を岩手県庁に提出して、第三者による事件調査委員会の設置を求めたが、「委員会の設置については考えていません」と言われた。


岩手県庁
Author:掬茶[CC BY-SA]

県も当てにならねえ。

そして、マスコミも。
佐藤梢Aの父「あれだけ報道陣が来て、あれだけ発表して終わったあとも、いろいろと情報を提供したのにもかかわらず、地方紙のみに発表され、地方ローカルのテレビにチョッと載ったくらい。あとは音沙汰なし。(中略)...この事件は終わったんだよ、あとは時効を迎えればいいんだよみたいな感覚を受けてます。YouTube

握りつぶされた・・・
一警察官のポカのせいで、人が死んだってのに、警察上司も、行政も、マスコミも知らぬ存ぜず、で済まそうってことか。

黒木氏「結局警察犯罪は誰にも暴けないのか!?国民はこの先も泣き寝入りなのか!?」(YouTube

はあ・・ 
警察がバラしてなければ、誰も死にませんでした。
「本当の犯人は、警察でした」って、オチかよ!



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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