ぴょんぴょんの「挑発するコソボ(1)」 ~ウクライナと同じく、ロシアを介入させたい欧米

「コソボで現在何が起きているか」を書いてみました。
旧ユーゴスラビアの事情は複雑で、今に至るまでの歴史を知る必要があります。
そこからの今、そしてこれから、について考えました。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「挑発するコソボ」 ~ウクライナと同じく、ロシアを介入させたい欧米

正式に認められたワケじゃない「コソボ共和国」



この頃、こういう光景をたくさん見るけど、何が起こってるの?

「現在、ベオグラードで、コソボとメトヒヤのセルビア人を支援する数千人の集会が行われている。叫ばれているのは『セルビア人とロシア人は永遠の兄弟だ!』『コソボはセルビアの心臓部だ!』『NATOをフ◯◯ク!』」(Twitter

う〜ん、なんのことかさっぱり・・まずは、ベオグラードってどこ?

外務省より


地図の色がついてるところがセルビア共和国、その首都がベオグラード。

セルビアの首都なんだ。
あ、セルビアの下にある、ひし形の国がコソボだね。

国?
言っとくが、コソボは国じゃねえよ。

え? 国じゃないの?

自分たちで勝手に独立して、「コソボ共和国」を名乗ってるだけ。
正式に認められたワケじゃねえから、「コソボ共和国(仮)」。

(仮)ねえ。

そのワケを話すと長くなるが、つき合え。

ふう〜〜〜〜。

クロアチア紛争、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で、次々と新しい国が独立して、最後に残ったセルビアとモンテネグロが「ユーゴスラビア連邦共和国」だった時代。
その頃、コソボはセルビア共和国の自治州の一つだった。


へえ、コソボは、セルビアの一部だったのか。

ただ、コソボには、人種的にセルビア人よりアルバニア人が多く住んでおった。
他の国も独立したなら、おいらも独立するべ、てなことで、コソボの独立運動が高まり、それを欧米が支援した結果が、コソボ紛争(1998〜1999)よ。

コソボ空爆による被害
Wikimedia_Commons[Public Domain]

欧米が支援すると言うことは、自分らに利益があるんだね。


コソボはヘロイン密売の要だから、欲しかったんじゃね?
てことで、「ユーゴスラビアはコソボのアルバニア人を虐殺して民族浄化をやっている」などと吹聴して世論を煽り、1999年、国連安保理の決議も得ずに、NATOはユーゴスラビア空爆に踏み切った。
その結果、「87人の子どもを含む2万5000人のセルビア国民が命を落とした。」

Sputnik

NATO、ならず者め!

さらに、「NATOは、民間人への使用が禁じられているクラスター爆弾や劣化ウラン弾を広範に使用したが、自ら行った空爆を人道的だと主張した。」
Sputnik

NATO、サイアク!

それからしばらく経った2008年、コソボは一方的にセルビアからの独立を宣言したが、それを承認したのは、日本を含む欧米諸国。
ロシアや中国など、世界60カ国以上は承認していない。

セルビアもコソボの独立を認めておらず、自国の領土の一部と見なしている。
Sputnik

情けなや・・日本はいつもそっち側。 

以来、NATOは治安維持を目的として、コソボに軍を駐留させている。


アルバニア人対セルビア人の構図


ところで、セルビアの首都ベオグラードの集会、
「コソボとメトヒヤで抑圧されているセルビア人」、メトヒヤってどこ?

Wikimedia_Commons[Public Domain]

この地図を見ればわかるように、コソボ + メトヒヤ = 「コソボ共和国(仮)」。
つまり、「コソボ共和国(仮)」で、セルビア人が抑圧されているってこと。

誰によって? 

アルバニア人。
コソボの人口の92%はアルバニア人、セルビア人はたったの4%だ。

セルビア人、住みにくそう。

だが、セルビア聖教にとって、コソボは聖地なんだよ。
そこをアルバニア人に取られるものかって、セルビア人の移住を勧めてきたらしい。

アルバニア人対セルビア人の構図が見えてきたね。

アルバニア人にもいい人はいるだろうが、全体的にあんまり評判良くないんよ。
アルバニアについて、こんな回答がある。
「コソボの問題にもアルバニアが関わっていて、コソボはアルバニア系とセルビア系の対立が原因なので、当然ながらセルビアからも嫌われています。
アルバニア系は、アルバニア本国以外ではコソボやマケドニアに多くいるほかイタリアにまで難民として押しかけ迷惑をかけています。この国は欧州の中でも、貧しさでトップクラスの国で、ハッキリいって多くの国から嫌われています。」(YAHOO!知恵袋

嫌われてるんだ。
いったいアルバニア人は、本国をないがしろにして、コソボで何を企んでいるんだろう?

「大アルバニア構想」ってな。

Author:Babaroga[CC BY-SA]

地図の「赤い部分を全部アルバニアにしたい」、これがアルバニア人の野望だ。

コソボも入ってる。

つうか、コソボは大アルバニアの中心になるのよ。
なのに、セルビアはコソボを手放してくれない。
だから、コソボ北部に暮らす、4%のセルビア人を追い出したい。

それよりも、アルバニアって貧しいんでしょ?
自分の国を豊かにするのが、先じゃない?

地図を見ればわかるように、海の向こう側はイタリア。
イタリアからマフィアが流れ込み、アルバニアも麻薬取引・臓器売買・人身売買が盛んらしい。
「アルバニア人は犯罪集団であり、現在、北マケドニアFYROM とギリシャの一部を盗もうとしています。」
Twitter

アルバニア人と言っても、中にマフィアが混ざってるんだね。

で、問題なのが、最近、コソボ・アルバニア人の挑発がひどくなってること。
今年の7月末、突然、コソボ当局がこんなことを言い出した。
「8月1日から、コソボ領内ではセルビア語で記された書類を禁止する。
従って、セルビア語の身分証明書も無効になる。
セルビア発行の自動車ナンバーも無効だ。
再登録しないと、セルビア語の自動車のプレートを強制的に引っぺがす。」

Sputnik


突然そんなこと言われたって、困るよ。

だろ?
7月31日夜、コソボ当局は特殊部隊を国境に結集し、セルビアとの境界の検問所を閉鎖。怒ったコソボ・セルビア人は、主要幹線道路に集まり、コソボ警察を妨害するためにバリケードで抵抗した。
両者の緊張はエスカレートし、散発的な銃撃にも発展
するなど、その後も緊張状態が続いた。(SputnikSputnik

無茶を言った方が悪い。

この危機的状況について、8月3日、セルビアのブチッチ大統領と会談したNATOのストルテンベルグ事務総長は、「安定性が失われる危機になれば、国連の委託を根拠としてNATOのコソボ治安維持部隊を介入させる用意がある」と、NATOによる軍事介入の可能性を示唆した。(Sputnik

アレクサンドル・ブチッチ大統領
Wikimedia_Commons[Public Domain]

NATO、あんたらがちょっかい出させたんだろ!

だが、アルバニア人とセルビア人の争いは、今に始まったこっちゃない。
ウィキペディアにあるように、2004年からほとんど毎年、なんやかんやで争ってるのよ。
と言っても、お互い様の感じもするがな。
たとえば2017年、セルビアがコソボ ー セルビア間の列車運行再開を発表。
これで友好関係が築ける、めでたい!と思ったら、列車はセルビア国旗の色に塗られ、側面に「コソボはセルビア」と書いてあった。


あちゃ〜!

これが、コソボ当局への挑発とみなされ、国境で停止させられ、結局、列車はコソボに入ることもなく、国境でUターンして返ってきた。
以来、コソボ・セルビア間の列車は現在も走ってない。
Wiki

どっちもどっちって感じだね。

だが、12月12日付けのタス通信によると、今は笑える状況じゃない。
駐セルビアロシア大使は「一触即発の危機にある」と言う。
「状況は急激にエスカレートしており、その傾向は非常に危険である。流血や対立の熱い局面が発生しうる最後の一線にあると言える。」
TACC

うわあ!
7月末のナンバープレートの件が、尾を引いてるの?

いや、新たな挑発が続々と。
Sputnikによると、ことの成り行きはこんな感じ。

12月 7日 コソボ北部のセルビア人幼稚園に、コソボ治安維持部隊のオフロード車2台が「たまたま」駐車して、子どもたちと保護者を不安にさせた。
12月 8日 コソボ当局の税関が、村の醸造所で作られたセルビアで最も古いワイン4万2000リットルを没収。
12月10日 セルビアからコソボに入国しようとした元セルビア人警察官が、コソボ・アルバニア治安部隊に、テロの疑いで拘束された。
彼の護送を妨げるため、コソボ・セルビア人は道路や検問所を封鎖。
それに対して、EU派遣の文民ミッションEULEX、NATO主導の治安維持部隊 KFORが、封鎖エリアに配備。
事態を重く見たセルビアのブチッチ大統領は、セルビア人保護のため、NATO派遣団司令部に、セルビア警察と軍隊をコソボに派遣する承認を要請した。

なんで軍隊出すのに、NATOなんかにお伺いを立てるの?

1999年にコソボの自治権を失って以来、セルビア政府は「国連安保理決議1244」によって、NATO派遣団にお伺いを立てるよう義務づけられている。

セルビア国旗
Wikimedia_Commons[Public Domain]

なんか、屈辱的。

しかし、セルビアはコソボと違って、ちゃんとルールを守るからな。
2013年に調印された、関係正常化原則に関する「ブリュッセル協定」だって、セルビアは全条項を履行したのに、コソボは最も重要な部分を履行しなかったんだぜ。

なんか、ミンスク合意を守らないウクライナに似ているね。

他にも、コソボ当局は、いろいろな約束を破ろうとしている。
たとえば、セルビア人が多数の北コソボでは、司法委員会はセルビア人が過半数を占めなければならない、警察司令官はセルビア人でなければならないという取り決めがあるのに、破られようとしている。
Wiki

それも、挑発だね。

12月11日 もう1つの事件が発生した。
コソボ警察の特別部隊ROSUが、装甲車で水力発電所を占領し、セルビア国旗を撤去して引き裂いた。



またまた、挑発。

こうした状況が続く中、セルビアのブチッチ大統領は、NATO司令部がセルビア軍隊派遣の要請を拒否した場合を想定し、国家安全保障会議を招集。
「コソボのアルバニア人が、セルビア人を非難するために国際ミッションの職員を標的とした襲撃を準備している」と警告した。


そんな情報、誰が教えてくれるんだろう?

ロシアじゃないか?
コソボとセルビアの危機的状況に、最初に対応したのはロシアだしな。
ロシア外務省は、コソボとアメリカ政府とEUに対し、挑発を止め、セルビア人の権利を尊重するよう呼びかけた。
Sputnik

ちゃんと、「アメリカとEU」も入ってる!

さらに、ロシアのリンツェビッチ退役大佐は、武力衝突が起きた場合、モスクワはベオグラードを支援する用意があると述べた。
pravda.ru

ロシアがついてる,心強い!

12月12日 深夜、コソボ各地で発砲音、爆発音が聞かれる。
街には空襲警報が鳴り響き、爆裂弾のような音も聞こえ、周辺は騒然とした。
セルビア人居住区の3カ所の選管が、コソボ特殊部隊に襲撃されたんだ。
理由は、セルビア人居住区の選管が、12月18日に行われる地方選挙をボイコットしようとしたからと思われる。
Sputnik

そんなことで、襲撃する?

12月13日、ザハロワ報道官は、このようなコソボの状況悪化についてコメントした。

〈ロシアは、セルビアの緊迫した状況がエスカレートすることを懸念している。
アメリカとEUの協力を得たコソボ当局が、コソボのセルビア人に対して行った暴力的な挑発行為を、ロシアは24時間体制で監視している。
挑発者の目的は、コソボのセルビア人地区を完全に掌握することである。

コソボの政治的・治安的悪化は、コソボの指導者、ワシントンを筆頭とする欧米の後援者に責任があると強く言いたい。
我々は、コソボ問題に対して、国際法に則ったバランスのとれた公正な解決を図るため、セルビアを引き続き支援する。〉
Twitter

ロシア、頼もしい!


世界一、アメリカバンザイをしている国「コソボ」


そんな折り、12月15日 コソボ共和国(仮)のクルティ首相が、EU加盟申請を提出。

アルビン・クルティ首相

え?! こんな大変なときに、EU加盟?
コソボは何を考えてるの?

おかしいだろ? コソボっておかしな所なんよ。
実際にコソボに行った人が書いてるけど、コソボ = アルバニア + アメリカ で、至るところにアメリカ国旗が掲げられ、ビル・クリントンの銅像、ビル・クリントンの巨大ポスター、クリントン通り、ブッシュ通り、ヒラリーという洋品店もある。
世界一、アメリカバンザイをしている国、コソボ。

On The Road

DeepL訳:コソボとメトヒアのアルバニア文化遺産。制作者やスポンサーの像。

もしかして、クリントンの像の下で手を振ってるの、ヒラリー??
右はクリントンとオルブライト?
でも、なんで、クリントン?

セルビアの爆撃を支持したクリントンは、コソボにとって正義の味方だ。

なるほど。

昨年4月にコソボ大統領(仮)に就任したオスマニ氏も、なかなかだぞ。
コソボ系アルバニア人、国際法の元教授、若干39歳の彼女は、ロシアのウクライナ侵攻について、こう言ってる。
〈プーチンは民主主義の虐殺者で、ウクライナで大量虐殺を行おうとしている。
ウクライナもコソボと同じように、「残忍な虐殺政権」の犠牲者だ。
西側諸国が、プーチンのウクライナ侵攻を非難してくれるのは心強い。〉(HUFFPOST

ヴィヨサ・オスマニ氏
Wikimedia_Commons[Public Domain]

あ、わかった、コソボのゼレね。

察しがいいな。
彼女はウクライナのゼレンスキーを「世界中の人々の模範」と称し、賞賛している。

やっぱね。
アメリカとEUに利用されてる、ウクライナとコソボ、そっくり。

また、彼女は言う。
〈セルビアのブチッチ大統領は、明らかにロシア側に立っている。
ベラルーシを除けば、ヨーロッパで対ロシア制裁をしていない国はセルビアだけ。
ロシアは「代理人であり衛星である」セルビアの助けを借りて、バルカンを不安定にしようとしている。〉(HUFFPOST

はあ?! それ、やってんの、アメリカとEUですけどぉ?

一方、セルビアのブルナビッチ首相は、「EUが何もしないせいで、コソボ政権のせいで、セルビアは戦争の瀬戸際にある」と発言した。


それに対して、ザハロワ報道官は言った。
「なぜ『何もしない』なのか。これはEUが実質上、数年にわたりシミュレーションしてきた状況だ」からと。
Sputnik

へえ、シミュレーションしてた?

ロシアを叩こうと思ってしかけたが、ウクライナはうまく行かない。
この場合、次をどうするか、あらかじめ決めてたんだろな。

ロシアをウクライナに引きつけながら、コソボのセルビア人を挑発し、親ロシアのセルビアを引き釣りだし、ロシアに参戦させるつもりか。

だが、ロシアはその手に乗るかな?

ぼくたちは、正義を応援するのみだ。



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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