ユダヤ問題のポイント(日本 平成編) ― 第7話 ― 郵政解散

 日本での相対的貧困があり、それは1人世帯の月収に換算すると12万7000円で、いまやその12万7000円以下の生活をしている人が日本に2000万人いるとのことです。2000万人の相対的貧困層…、「米百俵」の話はどうなったのか?と問いたい。
 「米百俵」とは2001年に首相に就任した小泉首相が、5月7日の所信表明の最後部分で取り上げた話です。窮乏していた長岡藩に米百俵が送られた。しかしその米を飢えた藩士は消費せずに「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」との提案を実施したというものです。今の非常に苦しい状態を忍んでも、未来に投資すれば明日の繁栄になって返ってくるという喩えです。小泉所信は構造改革を進めるとし、その実施は当初は苦しく痛みがあるが、未来の繁栄になる「痛みを伴う改革だ」として所信の最後部分に「米百俵」を持ってきたのです。
 小泉内閣が改革の本丸としたのが郵政民営化で、それはなされました。他の種々の構造改革も実現し、現在も継続中です。現在がその小泉所信から22年後の未来です。…
なにか国民に返ってきた良き成果はありましたか?
国民は激痛だけを押し付けられ、徹底的に毟り取られて貧困が進行、国家は衰亡の道をひた進んでいます。構造改革は「米百俵」ではなく「国家衰亡の道」だったのです。
 すでに結果はでており、そんなことは始めから分かりきっていたことでした。特に当時郵政民営化を担当した大臣の竹中平蔵氏は、どんな結果になるかはよく分かった上で政策という名の窃盗を進めてきたのです。新聞「農民」2001.5.21付のように、即座に小泉所信の詐術を喝破していた人たちもいましたが、多く日本国民は騙されました。小泉首相はペテン詐術の天才ではあるなと思います。背後にはメディアの全面バックアップがありはしましたが…。
(seiryuu)
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ユダヤ問題のポイント(日本 平成編) ― 第7話 ― 郵政解散

詐術の「イラク特措法」


「法律上、自衛隊が派遣されるのは非戦闘地域となっている。だから自衛隊が活動している地域は非戦闘地域…」
このようなふざけた答弁を小泉首相がしていたのが今更ながらに思い出されます。

この答弁は2004年(平成16年)11月の国会での党首討論においてのもので、2003年3月に始められたイラク戦争へ派遣された自衛隊の活動をめぐる質疑に対するものでした。小泉首相は「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、私に聞かれたって分かるわけがない」とも答弁していました。極めて不誠実で無責任な答弁を平気で繰り返したのです。


2001年(平成13年)9月11日の「911テロ」を受けたブッシュJr. 政権の「対テロ戦争」をいち早く支持した小泉内閣は、米軍のアフガン侵攻が始まると、兵站分野で自衛隊が作戦協力するため、2001年11月にテロ対策特別措置法を公布し、主に給油活動を行うとしてインド洋に自衛隊を派遣していたのでした。次いで2003年7月には、米国や英国のイラク戦争に協力するためにいわゆるイラク特措法を成立させ、同年12月からイラクに自衛隊を派遣していたのです。

イラク特措法はで、積極的に人道復興支援活動・安全確保支援活動を行うことを目的とする日本の法律(ウィキペディア記事)と建前上はなっています。しかし実際には、この法律は現実と全く乖離しています。まず法律では「イラク戦争後」となっていますが、イラク戦争は全く終わっているどころか自衛隊派遣時には戦闘は激しくなっていたのです。外伝88で見た『長周新聞』の「アメリカ軍、イラクで大量虐殺 住民880人殺害、1800人負傷 「虐殺支援」の自衛隊」という見出し通りが現実でした。

2004年4月の米軍によるファルージャでの住民大虐殺、それに憤怒したイラク人がイラク全土で「占領軍撤退」を求め、武力闘争がまき起こされていたのです。イラク全土が戦闘中で、「非戦闘地域」などはありません。ましてや、自衛隊派遣の目的がイラク人民に対する「積極的に人道復興支援」などチャンチャラおかしいフレーズです。ブッシュJr. 政権に付き従い、米軍の住民虐殺に加担したのが自衛隊派遣、しかも自衛隊員を心身ともに極めて危険な状態に、これが現実です。イラク特措法など嘘とペテン詐術の塊です。

アフガン侵攻への協力もそうですが、もちろんイラクへの自衛隊派遣などは、「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」を3原則とする日本国憲法に著しく違反しているのは明瞭です。小泉首相はそんなことは承知の上(解ってもいなかった可能性もありですが)で、憲法違反などはせせら笑って国会でペテン答弁を繰り返していたのです。彼の眼には、日本国民も自衛隊員もイラク民衆の姿も入っていなかったでしょう。彼にはパワー・エリートの代理人からの脅しと、ワイロ懐柔が全てだったはずです。彼は鞭と飴に踊らされた役者、というのが公平な見方でしょう。

Wikimedia Commons [Public Domain]


構造改革の実際


2001年5月、政権を担った小泉首相はその内閣総理大臣所信表明演説において、「構造改革なくして日本の再生と発展はない」として、経済,財政,行政,社会,政治の分野における「聖域なき構造改革」を進めると宣言しました。そして郵政民営化を「改革の本丸」と位置付け、「改革を止めるな」と叫び、「改革の旗手」として舞台に躍り出たのです。小泉首相は「本当に行政改革、財政改革をやるんだったら民営化に賛成すべきだ」と主張。そして多くの国民が訳もわからずに小泉首相を、停滞し疲弊していた日本の救世主のように目したのです。

ところが、小泉首相が進める「構造改革」「民営化」とは何か?は、すでに多くの実例を見てきたとおりです。アメリカやイギリスを中心に巣食うパワー・エリートたちが世界中で進めてきたのが「構造改革」と「民営化」そして「」でした。世界のあちらこちらで繰り返されてきた「構造改革」「民営化」と、小泉首相が叫ぶ「構造改革」「民営化」、どちらも変わりません。基本構造は同じで目新しいものは全くありません。

平たく言えば「構造改革」とは、その国の富などあらゆるものをパワー・エリートが所有し、永続的に利益を吸い上げる仕組みに構造を変えることです。そしてそのための手段が「民営化」です。

Wikimedia Commons [Public Domain]


多くの国ではその国富は「国有」にしています。企業も国有企業です。この「国有物」「公有物」のままでは私物化できないので「民営化」させ、私有企業を通じてパワー・エリートが富を私物化していくのです。
この「民営化」による「構造改革」に手を貸して利益にあずかるのが、その国の腐敗した商人であり政治家、官僚たちです。これが世界中で繰り返された基本的な「構造改革」「民営化」の姿であり、これと小泉首相が叫ぶそれは同じなのです。

日本の場合本格的構造改革への流れは次のようになっていました。
  • 1985年バブル生成 ➡︎ 1991年バブル破裂 ➡︎ 90年代長期不況 ➡︎ 2001年小泉政権成立、小泉・竹中改革へ
この小泉内閣成立直前の2001年1月には大蔵省が解体されました。日本 平成編第6話で触れたように、孫崎享氏曰く「これでシンクタンクの役割を果たし日本国の国家戦略を考える組織が完全消滅した」とのことです。21世紀に入った日本は独自の国家戦略もなく、パワー・エリートたちや利益を求めてそれに群がる連中に翻弄される体制になってしまったわけです。


そして言うまでもなく、日本の中にあって日本の構造改革を、この事態を導いてきたのは日銀・日銀のプリンスたちで、それをサポートしたのがメディア群でした。小泉政治は劇場型政治・小泉劇場と称されましたが、それを演出したのもメディア業界であり、特に電通の役割が大きかったでしょう。日本国民はメディアの演出に踊らされて、旧来の日本式経営ではダメで、構造改革が日本の経済成長等に必要で、その救世主が小泉首相であるとの刷り込みをされていったのです。


違法の郵政解散


小泉首相が「改革の本丸」と位置付けた郵政民営化、この狙いは何であったのか?
「2005年森田実政治日誌」の2005.8.10記事にその答えが記載されていました。以下です。

米国通の友人H氏から、『ウォールストリート・ジャーナル』2005年8月8日号のインターネット版記事の一部が送られてきた。
『ウォールストリート・ジャーナル』は「郵政民営化法案は廃案となったが、これは手取りの時期が少し延びたに過ぎない。ほんの少し待てば、われわれは3兆ドルを手に入れることができる」との見方を述べている。
3兆ドルとは、国民が郵政公社に預けている350兆円のことである。ウォール街は、9月11日の総選挙で小泉首相が勝利し、総選挙後の特別国会で郵政法案を再提出し、成立させると信じているようである。
H氏によると、これを確実にするため、ウォール街は、多額の広告費を日本に投入し、日本のテレビを動員して、日本国民をマインドコントロールして、小泉首相を大勝利させる方向に動いている。
「多額の広告費はどのくらいか?」と聞くと、「とにかくケタ違いの金額のようだ。いままで投入した広告費の10倍を投入してもかまわない、と考えている。350兆円を得るために、その1~2%を使ってもよいと考えているようです。

小泉政権は2005年の国会に郵政民営化関連法案を提出、この法案は衆議院は通過しますが、同年8月8日の参議院本会議では否決されます。このときの郵政民営化担当相が竹中平蔵氏でした。郵政民営化には自民党内でも異論と反対派が多く、参議員の採決では自民党内から多くの造反者がでたので否決されたのでした。造反の理由は様々で、自分の利益のために造反した議員もいたでしょうが、売国に反対の意味で造反した自民党議員たちもいました。こういった造反議員の代表格が亀井静氏でもありました。

上の『ウォールストリート・ジャーナル』は「郵政民営化法案は廃案となったが、ほんの少し待てば、われわれは3兆ドルを手に入れることができる」との見方を示していますが、小泉首相は参議院で否決された同日に衆議院を解散し、総選挙となります。小泉首相は郵政民営化法案が参議院で否決されれば、衆議院を解散・総選挙の意向を示していたのです。これがいわゆる「郵政解散」です。


しかし、この「郵政解散」はそもそも違法のはずなのです。国会法と憲法の規定から、参議院で法案否決された場合に内閣がとりうる法案成立の手段としては、議案の衆議院への返付とその上での再可決や両院協議会の開催などです。しかし小泉内閣はこのような正規の方策をとらず、衆議院を解散したのです。



Writer

seiryuu様プロフィール

seiryuu

・兵庫県出身在住
・いちおう浄土真宗の住職
・体癖はたぶん7-2。(自分の体癖判定が最も難しかった。)
・基本、暇人。(したくないことはしない。)
・特徴、酒飲み。アルコールには強い。
・歯が32本全て生えそろっている(親不知全て)原始人並み。

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