ままぴよ日記 117 「行政の型にはまった子育て支援に魂を吹き込みたい!」

 義母や叔母が亡くなり、お寺の御住職とお話しする機会が増えました。

 「近頃、亡くなる人が増えてびっくりしています。うちのお寺はずっと昔から1年に10人くらい亡くなっていたのに、今はひと月で6人ですよ。なぜか心筋炎が多いんですよ。うちのお寺だけではありません。ほかの住職も同じことを言っています」「ワクチンの影響ではないでしょうかね」と言われるのです。

 又、能登半島地震の被災地にボランティアで行かれたときも、「毎回、地震の被災地に行っていますが、今回は全く違います。いくら支援がしにくい地形であっても酷すぎる。がれきのままで復興が進んでいない。今だに支援の手が入っていないところもあります。国は復興しようと思っていないのでは?」「諦めさせてあの地域を何かに使おうとしているのではないかと勘繰りたくなります」と言われていました。こんな会話が普通にできることが不思議ですし、人の意識が変わってきているのを感じます。

 さて、令和5年度から国が子ども基本法を制定して子ども家庭庁を作りました。市町村レベルでも子どもの幸せのための施策づくりとそれをどう実現するかという行動計画を立てる「子ども子育て会議」があるのですが、今回はその計画に魂があるかないかの話です。
(かんなまま)
————————————————————————

少子化が止まらない中、子ども子育て会議が始まった


日本の1949年の出生数は約269万人。それに比べて2023年の出生数は75万8631人!


我が町でも36年前に小児科を開業した時は月に50人以上は生まれていましたが20人を下回るようになり、少子化が止まりません。

そんな中で子ども子育て会議が始まりました。5年ごとに市の子ども子育て支援事業を見直すのですが、特に子ども基本法ができてからは、子どもに関する施策を策定・実施・評価する時に当事者である子どもや保護者の意見を反映させることになりました。

委員は子育て当事者も含めて14人です。その委員長になっていますが、審議するために送られてきた資料は市町村が管轄している園や子育て支援事業の利用者数ばかりです。

子ども家庭庁ができて、今まで県が財政支援していた幼稚園と、市町村が財政支援していた保育園と、新しくできた認定子ども園の財政支援の仕組みを共通化して「施設型給付費」として市町村が給付することになりました。だから、会議は市町村がお金を出している園の数字に限定されるのです。すべての子どもにためと言いながらそこか?と思ってしまいます。

子どもの実態は利用者数だけでは見えてきません。その上、市内の子どもが入園している企業主導型保育園や無認可の保育園は含まれません。

同じ市の子どもの実態ですから、管轄外の保育園の実態も調べてくださいと言うと、国が直接給付金を出して管理しているので市町村は口出しできないと言われます。

8年前、国は母親の職場復帰を促したものの「保育園落ちた、日本死ね」の投稿をきっかけに園の定員を増やすようにあの手この手で働きかけました。そして複数の企業が共同で設置して従業員の多様な働き方に対応できるように企業主導型の保育園の立ち上げを支援しました。でも全国一律に増やしたので、小さな町は10年もたたずに子どもが減って定員割れをしています。

そして、保育園や認定子ども園に入園する子どもは市町村から2号(3歳~5歳)・もしくは3号(0歳~2歳)の保育認定を受ける必要があります。それによって保育料も変わりますし、親の収入によっても保育料が変わります。

一方、企業主導型保育園や事業所内保育施設は国から直接給付されるので保育料は一定です。高額所得者は断然安くなります。それで園児が企業型に流れて、ますます市が実態を把握できなくなっています。

無認可保育園は園の特徴を出して生き残っています。保育料も園独自で決めます。
https://benesse.jp/kosodate/201601/20160120-1.html

国は3歳~5歳までの保育料を無償化しましたが、それは保育料のみで給食費や教材、送迎バスなどの費用は発生します。3歳までの保育料は市町村の支援によってバラバラです。明石市は第2子以降の保育料を無償化しています。
https://www.all-senmonka.jp/moneyizm/78668/



我が町における保育園の現状


さて、我が町の保育園は少子化のために定員数を減らしたり、認定こども園に移行したり、閉園に追い込まれています。幼稚園はなくなりました。3歳まで家で子どもをみる家庭が絶滅しそうです。

そして、子ども家庭庁ができても現場ではやはり行政の縦割りが続いています。
https://benesse.jp/kosodate/202010/20201011-4.html

幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省、認定こども園は内閣府管轄です。認定こども園は幼稚園や保育園の機能を併せ持っていますが、ややこしいことに「幼保連携型・幼稚園型・保育所型・地方裁量型」の4つのタイプがあります。

我が町でも保育園が保育園の名前はそのままで保育所型認定こども園になり、「えっ?保育園じゃなかったの?」幼稚園も幼稚園の名前のまま幼保連携型子ども園になったので「えっ?幼稚園じゃないの?」と混乱しています。

ということで、年に1回、1時間半の会議は市が管轄する園の定員数と市の子育て事業の利用数の審議で終わってしまいます。

本来の会議は、地域の子どもや子育ての実態を把握して、多様なニーズに応じた支援や仕組みを考えるために行われます。そのために園関係者だけでなく、保護者も含めて多様な支援者が一堂に会しているのです。

その方たちが日ごろ感じている現場の話をしたいのです。親の姿や子どもの姿が激変しています。

現に不登校が増えました。特に中学生の1割が不登校になっています。学童保育所の保育内容や待機児童数の問題。先生不足、保護者との対応、発達障害や特別支援の問題、子どもの遊びやフリースクール、子ども食堂など居場所の問題など課題が噴出しています。

なぜそうなっているのかを丁寧に紐解いていく必要があるのです。

子ども家庭庁が「子どもを尊重する」とか「子どもの意見を聴く」など言っていますが、それをしてこなかったゆえに噴出している問題だと思います。私は、行政の型にはまった数字だけで評価する会議に抗って魂を吹き込みたいのです。

でも、事態は深刻です。ママ達も数字に支配されています。

初めて出産したママ達のセミナーを開いていますが、「出産する直前までバリバリ仕事をしていました」というママが大半です。産んだ直後から赤ちゃんの姿ではなく、おっぱいの量や回数、体重の増えに捉われます。

出産したばかりなのに保育園情報を欲しがります。そして保育料がいくらか?どれだけ市が財政支援をしてくれるか?が子育て支援のバロメーターになっています。

子どもに素晴らしい教育環境を作ってあげたいので英語やスイミングはいつから習わせたらいいか?それが子どものためと思い込んでいます。

そこで気になるのはお金。いくらかかるのか?2人で働いて、何人子どもを産めるのか?計画を立てておかないと安心して生活できません。数字の不安で押しつぶされそうです。


経済的理由で結婚できない、子どもはいらないと思っている若者も増えました。結婚件数も1972年は109万9984件だったのが2023年は48万9281件です。


ママに赤ちゃんの天才ぶりを体験してもらいたい


赤ちゃんは愛の結晶。赤ちゃん自身が素晴らしい感受性を持ち、愛されて育ち、生活の中の豊かな体験で成長していくことは誰も伝えてくれません。子どもは社会で育てるなんて実感できません。

でも、すぐに計画通りに行かないことがわかります。その時、素直にSOSを出してくれるママは大丈夫です。

そのために産後の子育てサポートをあれこれ考えて作っているのですが、自分からはSOS発信をしてくれないと始まりません。「受援力」つまり、人に助けてと言えないママ達が増えたのです。
https://www.nhk.or.jp/sukusuku/articles/article_336/

ママ達はSOSを出すのは恥ずかしい事だと捉えているようです。「自分で決めて自分で解決しなさい。自己責任でしょ」と教育されてきたのですから。子どもを産むと決めたのは私。自己責任なのです。

その上、いいタイミングでインターネットという便利なツールがあります。人に聞かないで自分で調べられます。でも、ネットの特性で自分好みの情報ばかり集めたり、逆に不安が大きければ先回りして不安を膨らませます。

このままではいくら支援があっても、子どもを産みたい、子育てが楽しい、という親がいなくなってしまいます。

でも、スイッチを変えて、赤ちゃん主体で子育てを始めると発見の連続です。こんなに面白いものはないし、思ったほどお金はかかりません。それを実現するにはどうしたらいいのでしょう?

ママに赤ちゃんの天才ぶりを体験してもらうために、思い切って産後のセミナーの内容を変える事にしました。

今まではママ主体でおしゃべりをして、赤ちゃんとのふれあい方やお世話の仕方を伝えていましたが、大事なのはそこではないと思いました。赤ちゃんが今何をしたいのか?どんなふうに感じているのか?何に好奇心を持っているのか?赤ちゃんを感じ取るセンサーを磨いて、赤ちゃん主体の子育てがどんなに楽で楽しいかを体験してほしかったのです。

初めは赤ちゃんが何を言いたいのかわかりません。わからなくて当たり前。でも、あれこれ観察しているとわかるようになっていきます。赤ちゃんの興味や心が動いたタイミングを捉えて応じると、赤ちゃんは要求が満たされてすぐに反応してくれます。

これはプログラムを決めないで赤ちゃん主体で進むプログラムです。

そのためには私達スタッフの感受性と力量が試されます。赤ちゃんの興味に合わせて遊びます。赤ちゃんの反応が早いのでママ達は驚き、歓喜します。時には赤ちゃんと同じ姿勢になって赤ちゃんの目線や動きをまねします。赤ちゃんの動きが凄いことを発見します。

ベビーマッサージも一斉にするというより赤ちゃんとママの世界を作ります。お互いに声掛けしながら触ると、赤ちゃんが応えてくれます。

何が変わったというより、みんなの意識が変わって、結果的に赤ちゃんが穏やかになり、発達も促された気がします。ママも今までになく満たされて幸せそうでした。


制度や施設を作るのも大事ですが、ひとり一人、目の前の子どもとの愛をはぐくまなければ何も変わりません。社会も子どもの幸せのために、どんな意識で子どもに向き合うか?行動するか?そんな議論ができるのはいつの日でしょうか?

子育て支援に魂を吹き込みたいのです。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
かんなままの子育て万華鏡はこちら


Comments are closed.