ぴょんぴょんの「くろまる、その後」 ~ 動物を育てることは、たましいへのボランティア

ペットがいなくなった後の寂しさは、想像以上のダメージでした。
ほんとは、もっと穏やかな気持ちで、送り出せると思っていましたが。
でも、彼には、ネコらしい一生を送ってほしかった。
だから、去勢も予防接種もしませんでした。
それは、都会では許されないでしょう。
最後も本能のままに、山中のネコの墓場に行き、1人で死んだようです。
それも、田舎だからできたことです。
きっと穏やかな最期だったと思います。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「くろまる、その後」 ~ 動物を育てることは、たましいへのボランティア

・・・《前回の話の翌日》・・・


くろちゃーん、くろまる、帰ってきた?

まだだ。

くろちゃんも寂しいよね。旅行から帰って、1回もくろまるに会えてないでしょ。

いや、行く前の、出発の朝から会ってねえ。いつもなら、朝早く飯を食いに来るのに、その朝は来なかった。だから、最後にくろまるを見たのは、出発前日の夜。


くろまるには、待つ時間が長すぎたんだ。それで、しびれを切らして家出したんだよ。

おれも、後悔している。これまでは家を空けても、せいぜい2泊3日だったのが、今回はじめての3泊4日だったから。

くろまるはたしか、くろちゃんの帰る前日の午後に目撃されてたよね。1日早く帰れば会えてたのに。

でも、どうしても3泊4日じゃなきゃダメだったんだ。くろまるには悪いが、1日くらい伸ばしても、ご飯もあるし、大丈夫と思ったのよ。だが、結果的には、おれのせいで、くろまるは暑い最中に家出することになっちまった。

まあまあ、そんなに落ち込まないで。くろまるが帰ってきたら知らせてね。


・・・《6日後》・・・


くろちゃん、来ちゃったよ。帰ってきたら知らせるって言ったのに、連絡ないんだもん。

わりいわりい。帰ってねえのに連絡するわけいかねえだろ。

でも、いなくなって、かれこれ1週間になるよ。

おれだって毎日、落ち着かなかったよ。どんな小さな物音がしても、くろまるじゃないかって、飛んでったりして。

くろまるにしたら、1日め「帰ってこないなあ、でも前にもこんなことあったから、待っていよう。」2日め「たぶん、明日は帰ってくる。」3日め「帰ってこない。これは、もう帰らないんだ」って、出て行ったのかな。まるで、ロミオとジュリエットのすれ違いみたい。


だが、あいつはもう、ここにいないことはわかってる。


ここって、どういう意味?

実は、昨日あたりから、くろまるの波動を感じないんだ。

へえ! くろちゃん、そんなことわかるの?

これまでも、くろまるの肉体とエーテル体の波動は調べていたが、一番良かったときはどっちもアナハタチャクラで、最近やせてからは、エーテル体はアナハタ、肉体がマニプラに下がっていた。


東洋医学セミナーのチャクラの実習だね。

くろまるがいなくなってからも、毎日チェックしていたんだが。

いなくてもわかるの?

「くろまるの肉体の波動」と思いながら、反応する体外のチャクラを探す。「くろまるのエーテル体の波動」と思いながら、反応する体表のチャクラを探す。1日めは、肉体はマニプラで変わらず、エーテル体の波動はアナハタからマニプラに落ちていた。

やっぱ、家を出て不安だったんだ。

でも、生きてるとわかっただけで、ホッとした。2日め、3日め、4日めも、同じままだった。これだと、いつか、帰ってくるかもしれないと期待した。

生きてさえいればいいよね。

だが、生きていたら、車に轢かれるかもしれない。何があってもおかしくないから、気が気じゃなかった。ところが5日め、反応が消えた。肉体もエーテル体も、どのチャクラにも反応しない。「とうとう、行った」と思うと、なぜかホッとした。

なんでホッとするんだよ? 死んじゃったんでしょ?

だって、もう苦しまない。ネコという不自由な身から開放されて、自由だ。

たしかに、人に依存しているネコは、不自由だよね。

反応が消えた5日めの明け方、目がパッチリ覚めて、まったく眠れなかったので、くろまるのことをずっと考えていた。くろまるが旅立ったのは、この時間かもしれない。

でもさ、いったいなんで、くろまるは、あと半日待てなかったんだろう? あと半日待てば、くろちゃんは帰ってきたのに。なんで、待たずに行っちゃったんだろう?

きっと、行くべき時だったんだよ。

そんなのがあるの?

くろまるを引き上げる時が来たんだよ。神様の計画では、おれが帰宅してくろまると再会したら、ダメだったのかもしれない。おれが帰る前日の晩、ウルトラマンみたいに、くろまるのカラータイマーが鳴ったのかもしれない。


くろまるも、M78星雲からきた?

そして、ネコ仲間から伝え聞いた、ネコの墓場に向かい、約4日間、1人で過ごした。そして、5日めの深夜、時が来て、あっちに旅立ったと思う。

一人ぼっちで、死を待ってたんだ。寂しかったろうなあ。

いやいや、ネコを見ていると、何もしないとき、具合が悪い時は、じっと静かに寝ている。

じゃあ、飲まず食わずで寝たまんま、苦しまないで旅立ったの?

おれは苦しんだが、くろまるは苦しまなかったと思う。これは神様の計画だから。

神様の計画?

7年前のめちゃくちゃ暑い日、足をケガして歩けなくなったくろまるを拾った。ケガしたくろまるを、おれの散歩道に置いたのは神様だと思う。そして、7年後、同じように暑い日に、くろまるは旅立つことが定められていたと思う。

やっぱ、神様の計画だった?

今回の旅行で、満室だったホテルが突然1部屋だけ空いたのも、満席だった飛行機が突然1席だけ空いたのも、くろまるにとって初めての3泊4日になったのも、出発の2日前に腰痛で行けなくなるはずが、銅線グルグル巻きで治ったことも、すべて、おれがくろまるの最期に立ち会わないよう、神様が取り計らってくれたんじゃないかと思う。


じゃあ、神様がついててくれたんだね。不安もなくて、寂しくもなかったんだね。

おれは、そう信じている。だから、言えるんだ。おめでとう!くろまる!とうとう、ネコを卒業したな。ゆっくり休んで、おいしいものを存分食って、次は妖精に生まれ変わって来い。そして、いつの日か、人間に生まれて来い。

いつか、会えるといいね。

実は、くろまるが旅立って良かった、と思った後、なんか、ものすごい平和の雲に包まれた感じがしたんだ。その雲は、これまで覆いかぶさっていた暗雲を、すっかり取り払ってくれた。あいつは今、平和の世界にいる。そして、おれに感謝してくれてる。こっちこそ、ありがとう。おれも、おめえみたいなきれいな心になって、平和の世界に旅立ちたい。


・・・《翌日》・・・


おいおい、聞いてくれ!

ど、ど、どうしたの?

今朝方、「ミア〜〜!!」という、ハッキリした声で目が覚めたんだ。

ネコのケンカじゃないの?


いや、ケンカじゃない。あれはまちがいなく、くろまるの声だった。

とうとう、帰ってきた?!

んなはずねえ、と思って、外を見回したが、姿は見えない。

となると、夢? 幻聴? くろちゃん、自分を追い詰めすぎて、おかしくなった?

だが、あれはたしかにくろまるの声だ。おれにはわかる。

帰ってないのに? 声だけ?

たぶん、挨拶に来たんだと思う。「このたびは、大変にお世話になりました。これから、私は別の転生に参ります」と、ネコとしての、最後の一声を聞かせに来てくれたのよ。

くろまるも、いよいよネコ卒業かあ。

くろまるは、身をもって教えてくれた。周囲に少しくらい迷惑かけても、自分に正直に生きていいことを。今回の旅行で、おれはそれを実践した。くろまるそっちのけで、好きな所で、好きなものを見てきた。くろまるは、そういうおれを見て、もう大丈夫と、旅立ったのかもしれない。

もう、お手本はいらない、お役御免、ってとこだね。

だから、今はふしぎなくらいに寂しくない。むしろ、くろまるに振り回されていた日々が、大変だったと実感している。毎日忙しかったからなあ。今はヤツに気を使うこともなく、たくさんの時間を自分のために使える。

そう言えば、いつもザラザラだった床が、ツルツルだよ。

掃除機をかけてもかけても、きれいなのは一瞬で、あいつが帰ってくると、すぐザラザラになっていた。あいつがメシを食うと、その周辺は、カリカリの破片や、缶詰の魚が散乱して、きたならしかったな。

やっぱ、家の中にネコがいると大変だね。


そうそう、おれ、くろまるの形見を持ってるんだ。

へえ? お骨もないのに?

それが、1〜2週間前のこと、くろまるのご飯の中に硬いもんがあって、何だろうと思ったら、くろまるの牙だった。

へええ? ご飯食べながら、抜けちゃったの?

食べるとき、口の中を痛そうにしてたから、ぐらついてたんだろうな。だがまさかその牙が、こんなに早いこと、くろまるの形見になる日が来るとは。

すごいね。形見まで用意してたんだ。まるで、自分の運命がわかってたみたい。

わかってたと思う・・。

でも、良かったー。くろちゃんがペットロスから脱出できて。最近、ペットロスで精神を病む人が多いらしいよ。仏教の「六道輪廻」では、ペットは畜生道、飼い主は人道と分かれているから、飼い主とペットは一緒に極楽浄土に行けないんだって。だから、高野山のお寺が、飼い主がペットと一緒に入れる納骨堂を作ったんだって。(YouTube


メソメソしてると、金もうけのカモにされるな。

でも、いいんじゃない? 飼い主さんがうれしそうだったから。要は、飼い主さんの気がすめばいいんだよ。

夕べ、ふと思ったんだが、「おれは、もしかして、くろまるの進化を助けたんじゃないか?」 だとしたら、最期に会えなかったのも、くろまるの進化を早めるためだったのか。そう思ったら、グンと気分が軽くなって、肯定的になれた。

それはね、江原啓之氏が言ってるよ。「動物を育てることは、たましいへのボランティアなんですよ。」「人間とかかわることで、霊性を高めていって、愛を学んでいく。」YouTube

竹下先生もそうおっしゃってたな。

そして、江原さんはペットロスについて、こう言った。「人間に問われるのは、本当にその子を愛しているか?」


わかる。本当に愛していれば、ペットが進化することを喜べるはず。たとえ、どんなに自分が寂しくても、ペットが幸せになるんなら、なんてことねえよ。

この後、くろまるは妖精になるのかな?

ああ、今ごろ、妖精の養成所に通ってんじゃねえか?

それ、ダジャレ?

アッハッハ!

そこを卒業したら、くろちゃんちの庭に派遣されるかも。

進化系くろまる、待ってるぞっ!!



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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