アメリカとインドでの大規模な調査で、「若ければ若いほど精神的苦悩、攻撃性、あるいは怒りを抱えている」ことが判明 / 子供たちの攻撃性や怒りの感情の増加の原因

竹下雅敏氏からの情報です。
 アメリカとインドでの大規模な調査で、「若ければ若いほど精神的苦悩、攻撃性、あるいは怒りを抱えている」ことが分ったということです。
 冒頭のグラフを見ると、アメリカとインドでは年齢とメンタルヘルス指数の
スコアが比例しており、最も若い年齢層の13歳〜17歳では56%が「苦痛や苦悩を感じる」という結果になっています。
 以前のメンタルヘルス指数のグラフは「U字型」で、若い世代と高齢世代のメンタルの状態が良く、中年世代が最も悪いというものでした。それが現在は「若ければ若いほど苦しんでいる」という状態になっていて、“13歳では5人に1人が幻覚を経験している”という驚くべき状況です。
 報告書はこうした事の原因を「スマートフォンの影響」だとし、“より若い年齢でスマートフォンを手に入れることと、攻撃性や怒りの感情が増すこととの関連性”を指摘し、幼少期のスマートフォンへの露出を減らすことを強く主張しています。
 これはアメリカとインドでの調査ですが、日本でも似たような結果になるのではないかと思われます。
 我が家では息子が幼かった頃は、必ず夫婦のどちらかが息子を抱っこしていました。「抱き癖がつく」というのは迷信です。子供を抱いて育てるとドーパミンオキシトシンが分泌され、それは子供にとっての一生の宝となります。精神状態が安定するのです。
 しかし、逆に見れば幼い子どもを保育園に入れ、スマートフォンに子守りをさせるような愚かな子育てをすれば、子供の精神状態は不安定になり、最悪のケースでは「ガラスの心」になってしまいます。こうした子供が思春期になると、僅かなストレスが原因となって心が壊れてしまいかねないのです。
 私は、子供たちの攻撃性や怒りの感情の増加は、ゲームによるところが大きいのではないかと思っています。我が家では、テレビドラマを一切見せませんでした。テレビドラマの表現は本質的に暴力的だからです。映画も同様です。
 しかし、映画やテレビドラマよりも遥かに重要なのは、両親の「心の安定」です。この意味で、例えば夫婦のどちらかが浮気をしていて、夫婦が戦争状態である場合には、子供の心に計り知れない悪影響を及ぼします。
 記事に戻ると、In Deepさんは「私自身も若い人のスマートフォンの使用にはかなり否定的な人間ですが、精神的苦痛や自殺願望や他者への攻撃性の主要な原因がスマートフォンだとは思いません。」と言っています。
 それよりも、2020年に行われたロックダウンの影響や、幼い子どもたちに強制したマスクの影響を指摘しています。時事ブログでも、子供たちには新型コロナウイルスは脅威ではなく、学校での長時間のマスク着用には問題があることを何度も指摘しました。
 こうした事から今の若い人たちは、大人たちの愚かさのゆえに精神が不安定になっていると言っても良いかもしれません。しかし、彼らが現在の苦しみを「ありのまま」に見つめ、空気を読んで世間に合わせることで自分の本心を偽るのではなく、「ありのまま」の自分を肯定できたならば、彼らを通して世界は覚醒に至るとも言えます。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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アメリカとインドで行われた十代の若者に対する大規模なメンタルヘルス調査でわかる「若者が苦しみ、高齢者が愉快な世界」。その原因は?
転載元)


十代の半数が苦痛や怒りや幻覚に苛まれている

国際的なメンタルヘルス調査組織であるサピエン・ラボ (Sapien Labs)が、2024年に、アメリカとインドの 13歳から 17歳の若者 1万475人に対して大規模な調査を行いました。

そして、その結果を成人のデータと比較し、現代のメンタルヘルスの状況についての報告書を発表していました。

その結果は、「若ければ若いほど精神的苦悩、攻撃性、あるいは怒りを抱えている」ことがわかったのですが、この調査結果は何というか、社会的問題とかそういうのを越えて、「切なくて仕方なく思える」調査結果でした。
(中略)
スコアが高いほどメンタルヘルス指数の状況が良い、つまり苦悩や怒りなどに圧倒されていないことを示します。一方、スコアが低ければ低いほど、メンタルヘルスの状況が「悪い」ことを示します。

メンタルヘルス指数の年齢別のスコア

sapienlabs.org

これを見ますと、13歳〜 17歳の最も若い年齢層が最もメンタルヘルス指数のスコアが「低い」ことを示しています。

一番下にある数字が「苦痛や苦悩を感じる割合」で、「 13 - 17歳 56%」となっています。つまり、この世代の半数以上が、何らかの苦痛や苦悩や怒りといったメンタル的な問題を抱えていることになります。

そして、「 75歳以上は 8%」、つまり、高齢者で苦痛や苦悩を感じている人は、10人に 1人もいないということになります。


若者が苦しみ、高齢者は楽しい社会…。「これ、普通、逆じゃね?」と思います。

最も若い世代が楽しくて、そして、加齢と共に精神的に苦しくなっていくというのが、普通ではないのかなと思いますが、現実は逆です。

このサイエンス・ラボの報告書にも、「数十年前まではこのようなグラフではなかった」とあり、以前は「 U 字型のグラフ」、つまり、最も若い世代と最も高齢の世代のメンタル状態が最もよく、そして、中年世代が最も悪いというグラフを描いていたのだそう。

さらには、最も若い世代でも、「若ければ若いほど苦しんでいる」ことが示されています。

以下は、13歳から 17歳までの以下の項目の比較です。

・怒りとイライラ
・他社への攻撃性
・幻覚


sapienlabs.org

「幻覚かよ…」と思いますが、このグラフを見る限り、13歳では約 20%、つまり 5人に 1人が幻覚を経験している

そして、13歳の 40%が「怒りとイライラ」を感じており、やはり 40%近くが「他社への攻撃性」の問題を報告しています。
(中略)
実はこのサピエン・ラボの報告書では、最も若い世代がこのようなことになってしまったのは、「スマートフォンの影響」だとしているのです。
(中略)
サピエン・ラボの報告書より

この報告書の調査結果は、デジタル時代の青少年の精神衛生の現状について厳しい現実を描き出している。

スマートフォンが、私たちが目にする精神衛生の衰退のすべてを説明できるわけではないが、より若い年齢でスマートフォンを手に入れることと、攻撃性や怒りの感情が増すこととの関連性は、今日の若者を守るために緊急の社会的行動を要求しており、青少年の自殺や攻撃性を減らす方法としてスマートフォンの所有を遅らせることを強く主張している。

世界中で、親、学校、政府はすべて、幼少期のスマートフォンへの露出を減らす力を持っている。スマートフォン所有年齢がますます低年齢化するという急速に変化する傾向は、より多くの行動が早急に必要であることを示している。
sapienlabs.org

まあ、私自身も若い人のスマートフォンの使用にはかなり否定的な人間ですが、精神的苦痛や自殺願望や他者への攻撃性の主要な原因がスマートフォンだとは思いません
(中略)
スマートフォンにも一因はあるかもしれないにしても、問題の要因はもっともっと複雑なのだと思います。

では何かときかれても、やはり「よくわかりません」としか言いようがないのですが。

ただ、この調査が行われたのが 2024年ということから、コロナのパンデミックの影響もあるのかとは思います。

13歳から 17歳の世代は、2020年に行われたロックダウンの際には 8歳から 12歳前後だったと思います。本来なら一番楽しく過ごすべき世代です。

以下の記事は、世界中でロックダウンが行われ(スウェーデンを除く)、日本では緊急事態宣言が出されていた 2020年の 7月に書いたものです。

「今起きていることは通常のメンタルヘルス・カタストロフではない」
 In Deep 2020年7月18日 更新日

この記事では、英ケンブリッジ大学出版局から発行された『災害精神医学の教科書』という著作を引用していた米メディアの記事から抜粋しています。以下のように書かれていました。

米アトランティックより

心理的障害の発症は、時期的にずっと後になってから起きる可能性がある。

『災害精神医学の教科書』の内容からは、今後パンデミックが沈静化したとしても、現在すでに見受けられている深刻なメンタルヘルスケアの需要は、さらに急増する可能性があることを警告している。

このパンデミックが、今後、強迫性障害、広場恐怖症、および性恐怖症など広範に重大な拡大を見せることが懸念される。
Atlantic

特に、PTSD (心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる精神的問題は、トラウマになるような出来事を経験してから「ずっと後になってから」発症することが多いです。そして、一度発症すると、非常に長期間にわたり症状が続きます。
(中略)
一般的な傾向として、トラウマからこのようなメンタル障害に至る場合は、どちらかというと、若い世代のほうが強く出るようにも思います。

そういう意味では、ロックダウンの時代の異常性と、その後長く続いたマスク時代の異常性は、特に子どもたちや若い世代の精神を蝕んだはずで、その影響は、現在も、そして影響は今後も広がっていくと思われます。

また、PTSD の症状を治療するのは、基本的に「薬剤」です。パニック障害ならベンゾジアゼピン系の抗不安剤や SSRI 、うつなら SSRI などの抗うつ剤などが使われ、あるいは「多剤併用療法」として複数の薬を処方されます (複数の薬剤を処方されることのほうが多いです)。

そのような結果は、たとえば、今のアメリカでは「双極性障害の子どもの割合が 4,000%増加している」ことなどを取り上げた以下の記事でふれています。

双極性障害の子どもの割合が「4,000%増加」している米国で拡大する小児への過剰な向精神薬の処方。もちろん日本でも
 In Deep 2024年10月10日

話がそれてしまいましたが、最も若い世代がこれほどまでに精神的に追い詰められている理由は、実際にはわかりません。単純化できるものではないからです。

それでも、「社会構造そのものの問題」も大きいとは思います。具体的には書きづらい部分もあるので、曖昧に書きましたが、子どもが楽しさを感じて生きられる社会ではなくなっている。

今後も若者世代のメンタルの問題は、さらに悪化していくのではないかと懸念します。

高齢者だけが楽しい世の中では、先がないです。

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