[The Voice of Russia]キプロスの悪しき前例:次は誰の番?

竹下雅敏氏からの情報です。
私は以前から、こういうことを想定していますから、銀行預金は引き落としに必要な50万ほどを残して、いつも引き出しています。
私は銀行家は強盗よりタチが悪いと思っていますので、元々銀行をまったく信用していないのです。
(竹下 雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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キプロスの悪しき前例:次は誰の番?
転載元より抜粋)
Photo: The Voice of Russia

キプロスをめぐるドラマの第一幕が閉幕した。
ひとまずの総括として次のように言える。「世界の金融マップから、ひとつのオフショア地が消えた。欧州はまたひとつ、危機の火種を抱えることになった。EUの銀行システムは深刻なダメージを受けた。

欧州諸国は、<国家の問題を解決するために、民間人の資産を押収する>という、悪しき前例を作った」。専門家諸氏は、キプロスのみならず、EU圏内の「問題を抱えた国々」全てから資金が流出する時代が来た、と予測している。

銀行預金者からしてみれば、「次はどの国で同じ災禍に見舞われるか、知れたものではない」と言ったところであろう。

キプロス政府は、EUから数千万ドルの融資を受けるための条件として、国内の銀行システムの改変に同意した。

「キプロス銀行(Bank of Cyprus)」は抜本的な改変を迫られ、国内第2位の「ライキ銀行」は事実上、閉鎖される。結果、これら銀行への預金者は、35%から80%の預金を失う。

キプロス政府が銀行預金への課徴を検討している間に、銀行各行には2週間弱の「休暇」が導入された。政府は資本の「逃亡」を阻止しようとしたのだ。しかし、マスメディアの報道によれば、「休暇」措置にも関わらず、結局は数億ユーロが引き出された。その際、キプロス銀行各行の、英国およびロシア支店が利用された。

キプロスの先例は、言わば「対処の遅れという名の地雷」である。そう語るのは、世界経済・国際関係研究所の室長、セルゲイ・アフォンツェフ氏だ。

―これまで、預金は「聖域」であった。昨年、ギリシャがパニックに陥ったときも、人々は銀行預金の引き出しには走らなかった。それは、誰もが、「銀行の支払能力には信頼が置ける、誰も、いかなる場合でも、差し押さえなどはしない」との信念を持っていたからだ。だからこそ、ギリシャの銀行システムは持ちこたえた。

しかし今、預金の差し押さえという前例が出来てしまった。今後は、危機に見舞われた銀行からは、預金が流出していく。一体誰が、一方的に徴収されたり凍結されたりしかねないのに、危ない銀行に預金を持っていたいと思うだろうか?


もちろん、キプロスの銀行システムは、存続し続ける。しかし、経済セクターを牽引する役割を担うことはないであろう。これが果たして、いかようにかキプロスの利益に働くものであろうか。

加えて、欧州委員会の役人たちは、戦術上の深刻な計算ミスを犯した。この非典型措置(口座預金への課徴)が、もしもキプロス政府の自発的決定によるものであったなら、EUは「キプロスのケースはキプロス固有のものであり、EU内の他の国で再発する恐れはない」などと弁明を迫られることもなかったのだ。預金の課徴について、自らイニシアチブを取り、主導することで、EUは自ら自身の銀行システムへの信頼性を損ねてしまった。

誰もが目撃者となったのだ。
ブリュッセル(EU当局)の圧力のもとで、個人の銀行預金が徴収されることもあり得る、と。今後は、「EU圏内の某国が危ない」ともなれば、その情報の真偽はともかく、銀行からは預金が引き出されていく。そのことが何を意味するか。財政・会計コンサルティングの専門家イーゴリ・ニコラエフ氏は以下のように語っている。

―問題を抱えた国々から資金が流出していくことが、何を意味するか。それは、欧州危機が深刻化することを意味するのだ。ドイツが既にマイナスに転じているこの時に、である。今度は、危機は雪崩ではなく、もっと過激な形態に発展する。

なお、その意味で、リスクとう観点からは、スペインがナンバー1である。経済も問題を抱えているし、銀行セクターも極めて問題含みである。

問題を抱えた国々に銀行口座を持つ人々は、「次はどこの番になるか」と占っていることだろう。

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