[The Voice of Russia]カザフスタンから 日本経済に対する一つの視点 「東アジア共同体」など

竹下雅敏氏からの情報です。
続きを読む以降の部分が本質です。中央銀行家が何を考えているのか良くわかるインタビューです。このEUのアジア版である東アジア共同体を中心となって進めているのが、日銀であることを理解しておく必要があります。
彼らは、国民から選挙で選ばれてもいないのに、国家を超えた政治的な行動を秘密裏に行っているのです。
彼らは長い時間をかけて舞台裏で働き、準備が整った段階で始めて国民に知らされます。その時には国民に選択の余地はないわけです。
こうした事柄はTPPと同様、国家から主権を奪うことが目的です。中央銀行家が国家の上にいるというわけです。
歴史的な対立を乗り越えて日本と中国は協力関係を築き上げなければならないということは、同意します。
このことは中国だけではなく他のすべての国も同様です。
ですが、通貨を統合する必要はありません。
銀行家に世界を支配させる必要などありません。
地方のことは、そこに住んでいる人が一番よくわかっているものです。
中央銀行家に、私たちがどのくらいのお金が適切なのかを決めてもらう必要などありません。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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カザフスタンから 日本経済に対する一つの視点 「東アジア共同体」など
転載元より抜粋)

カザフスタン国立銀行(中央銀行)のグリゴリー・マルチェンコ総裁に独占インタビューを行った。

安部首相は経済政策として円高に歯止めをかけることに触れています。日本円の為替レートについて、どのような感触を持っておられますか。

通貨政策というのは一つの国が勝手に決めることはできません。ご記憶の通り、1985年のプラザ合意では米国は日本に円高を強制しました。

ですから日本のように重要な大国、世界第三の経済規模の国が何らかの決定を行う際には、当然、米国、西欧、その他の相手国と調整が行われるわけです。通貨戦争は誰も望むところではありません。

どのような為替レートが最適なのか、85円なのか、90円なのか、はたまた120円なのか。実際、何らかの立場をエコノミストの意見で補強しようとする場合、立場によってどんなエコノミストでも見つけてくることができます(笑)。

さきほどプラザ合意の話が出ました。つまり米国が日本に対して円高を強制したということですが、これこそが日本の長期にわたる景気後退の原因になったという見方もあります。

その通りです。

そして現在、中国は米国からの圧力に抵抗していますが、日本の苦い経験を考慮していると考えていいのでしょうか。

考慮していると思います。ただ中国というのは非常に長期的にものを考える国であることも確かです。名目上では人民元の切り上げはわずかですが、中国のインフレ率は米国よりも高いため、実質でいえばもっと大きく動いています。さまざまな計算がありますが、例えば最近数年間で人民元の実質的切り上げは15%になるという計算もあります。

つまり動いているのですが、その動き方が米国の望むほど速くはない、ということなのです。中国は何らかの義務を負うことなく、自らが受け入れられると考える速度で動いています。


世界はグローバルなものとなりました。4つ重心を挙げるとするなら、米国とEUがそれぞれ20%ほど、そして中国と日本です。これは純粋に理論的な考えですが、もしも中国と日本、そして韓国の東アジアブロックがあれば、状況は大きく変わるでしょう。

さきほど東アジア共同体の話がでましたが、短期的にみればそれは実現しないでしょう。というのも日本は現在TPPへの参加交渉を米国と行っていますし、それには中国は参加していません。

ここでは欧州のアナロジーを引くことができるでしょう。というのもドイツとフランスは全く敵対する国同士でしたし、戦争も数度に及びました。過去の多くの戦争、そして2度にわたる大戦にもこの対立軸がいつもありました。しかし60年代初めに両国の指導者らは歴史的な対立を克服して、協力を始めたのです。

これがもとになって欧州の統合が可能になったのです。もしもフランスがイタリアやポルトガルなどとのラテン連合に進み、ドイツがスカンジナヴィアやベネルクス諸国、オーストリア、スイスとの連合と別々に動いていたならば、現在のような統合は不可能でした。

彼らは問題を克服することができたのです。もしも中国と日本の間でいつか同じようなことが起これば、私はとてもうれしく思います。ドイツとフランスが50年前にやってのけたことを、中国と日本ができるならば、東アジア共同体とか連合とか、形には関係なく、そのような機構が機能することができるのです。

問題は山積しています。領土問題から、歴史の問題から、第二次世界大戦の賠償とかいうものまでいろいろあります。リアルポリティックの視点からみれば、あなたの言うことは当たっています。つまり「ユートピアだ」ということで終わってしまうのです。

しかし欧州ではそのようなことが実際に起こりました。もちろんこれには米国やロシア(当時のソ連)の要因もありました。またアジアでは人々の記憶力がより優秀だということもあります。この歴史的感情を克服できるかどうかです。

もちろん最初は政治家が引っ張っていくわけですが、フランス人もドイツ人も多くは自らをヨーロッパ人と考えたわけで、仏独関係がすべての基礎となるという自覚があったわけです。日本と中国も同じような状況にあると思います。

もしも今、日本と中国がかつて50年前にドイツとフランスがいた地点に立っているならば、それは喜ぶべきことです。アデナウアーとド・ゴールのような強い指導者が出てくるでしょう。

私たち外からみれば、日本と中国が協力することは同じ東アジアとして当然のように思えます。もちろん、実際にそこに住んでいる人々、2500年にもわたって隣国同士として生きてきた人々からすれば、多くの歴史があるでしょう。

そのような「大東アジア」の出現はカザフスタンにとっても、関税同盟にとっても有益になるのですね。

すべての人にとって有益なことです。かつて80年代、日本は自ら世界の重心のひとつになることができると考え、そして実際にそうなりました。しかしEUが統合され始めると、米国は25%、EUは22‐23%に比べて、日本の占める割合は7‐8%と小さくなってしまいました。つまり引き続き世界の重心であり続けるためには、どこかと統合しなくてはなりません。それが中国であることは明らかだと思います。

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