[ロイター他]イラク大統領、新首相にアバディ氏を指名 マリキ首相は意見と反発

竹下雅敏氏からの情報です。
 ロイターの記事を見れば、アメリカによるイラクのマリキ政権排除のクーデターが仕掛けられているとわかります。櫻井ジャーナルで指摘されている通り、マリキ政権は、暗にアメリカを批判する言動をこれまで取ってきました。このような政権を力づくで排除するのが、これまでアメリカが取って来た方法で、そのことがウクライナに次いでイラクでも実行されているということです。ただし、ウクライナが思惑通り行っていないのと同様に、イラクでもうまく行くかどうかはわかりません。イラクはロシア、シリア、イランが支援をしているからです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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イラク大統領、新首相にアバディ氏を指名 マリキ首相は意見と反発
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本記事文章は現在公開を停止しております。 (2016/4/23)
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イラクの次期首相として大統領は米国政府の意向に沿う人物を指名したが、マリキ首相は拒否した
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 アメリカ政府から支援を約束されたフアード・マアスーム大統領は、次期首相にハイダル・アル・アバディを指名した。今年7月24日に大統領となって初めての大仕事だ。アバディはイギリスのマンチェスター大学で博士号を取得した人物で、サダム/フセイン時代にはロンドンで亡命生活を送っていた。

 指名後、早速、ジョー・バイデン米副大統領は歓迎の意を示したようだが、ヌーリ・アル・マリキ首相はこの決定を批判、法廷闘争に持ち込む意向だという。議会の第1勢力でアル・マリキを支える「法治国家連合」もこの指名を拒否している。

 IS(ISIS、ISIL、IEILとも表記)と戦うために「包括的な新内閣」が必要だとアメリカ政府は主張していたようだが、これはナンセンス。ISの黒幕がアメリカ/NATO、サウジアラビア、イスラエルだということは公然の秘密。ここにきての攻勢もアメリカの意向によるもので、マリキを排除するため、ISを動かし、その際にイラク軍の幹部は戦闘を避けて「進撃」を演出したのだろう。シリアの反政府軍(侵略軍)への軍事支援を強化しろという主張は、ISの戦闘能力を高めろと言っているに等しく、シリアやイラクを早く破壊したいのだろう。

 以前からアメリカはイラクを3分割するつもりだと言われてきた。すでに南部はシーア派、中部はスンニ派、そして北部はクルド人が支配する形になっているが、これを国にしようというわけだ。ユーゴスラビアの解体にも似ている。この北部を制圧中のISはシリアの北部、石油や天然ガスの採掘できる地域を支配し、これらを統合してひとつの国にするつもりだろう。欧米の石油資本にとってはよだれが出る「新国家」になりそうだ。

 ここで問題になるのがロシア。6月にロシアがマリキ政権を支援すると表明、数日のうちに5機のSu-25近接航空支援機をイラクへ運び込んでいる。マリキが首相の座をめぐって戦い続けるなら、ロシアも支援することになり、アメリカの思惑通りにことが進むとは限らない。
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自身を排除する動きを警告されていたマリキは首相指名を拒否する大統領の公邸を治安部隊で包囲
転載元)
 次期首相の指名をめぐってヌーリ・アル・マリキ首相とフアード・マアスーム大統領が対立しているイラクで新たな動きがあった。議会の第1勢力から首相を指名することを拒否している大統領をマリキは批判、治安部隊をバグダッドの中枢部に展開し、大統領の公邸を包囲したという。

 4月に行われた選挙の結果、第1勢力はアル・マリキを支える「法治国家連合」。全328議席のうち92議席を獲得した。ムクタダ・サドルが率いる勢力の34議席とイラク・イスラム革命最高評議会の31議席を加えたシーア派連合は157議席に達し、スンニ派連合の59議席、クルド連合の55議席を大幅に上回る。本来ならマリキが次期首相に指名されるのだが、それを大統領は拒否している。アメリカを後ろ盾にしてクーデターを仕掛けているとも言える。

 こうした事態を招いた一因は同盟者の間での対立にあるのだが、その背後にはアメリカ政府が存在する。4月の選挙結果はアメリカにとって好ましいものではなかったのだ。選挙の前月、マリキ首相はサウジアラビアやカタールを反政府勢力へ資金を提供していると批判しているが、こうしたペルシャ湾岸の産油国はアメリカやイスラエルと同盟関係にある。これは本ブログで何度も書いたことだ。つまり、マリキは暗にアメリカを批判していた。

 北部の油田地帯やダムを制圧、バグダッドに圧力を加えているIS(ISIS、ISIL、IEILとも表記)は現在、サウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子が資金を出している、つまり雇っている。制圧した地域の武器庫から武器/兵器を持ち出しているだけでなく、アメリカ/NATOから武器を調達、2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや米軍の特殊部隊から主要メンバーを軍事訓練をうけたともいう。マリキが行った批判は正しいということだ。

 6月の始めにISは大攻勢をかけてモスルを制圧、銀行から約4億2900万ドルを奪い、保有する総資産は20億ドルに達したと言われている。その際、イラク軍の指揮官は戦闘を回避したようで、マリキ首相はメーディ・サビー・アル・ガラウィ中将、アブドゥル・ラーマン・ハンダル少将、ハッサン・アブドゥル・ラザク准将、ヒダヤト・アブドゥル・ラヒム准将を解任した。

 そうした中、登場したのがロシア。ウラジミル・プーチン大統領はマリキを支援すると表明、マリキの政敵が「西側」の後ろ盾や地域の有力者からの支援を目論見ながら彼を排除する工作を進めているとも伝えたようだ。そして6月下旬、中古ながら5機のSu-25近接航空支援機をイラクへ運び込んでいる。こうしてみると、今回、マリキがとった行動は反マリキ派の動きを睨み、周到に準備されたものだったと考えるべきだろう。

 ウクライナでもそうだが、イラクでも外国勢力に買収された軍の幹部に対する怒りが兵士の間で高まっている。その怒りを味方につければ、マリキはアメリカ/イスラエル/サウジアラビアの攻撃に打ち勝てるかもしれない。

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