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[創造デザイン学会]“恥ずかしい思い”とは何かを知るために、どうぞシリアへおいで下さい ――露のザハロワから米のサマンサ・パワーへ

 米軍「誤爆」事件のロシア側の主張に対して、サマンサ・パワー米国連大使が「“恥ずかしく思う”(embarrassed)べきだ」と言ったようです。この発言に対して、ロシアのザハロワ外務省報道官が、“恥ずかしい”とはどういうことかを教えるために、サマンサ・パワーをシリアに招いたようです。しかも渡航費は自分が出すからと。
 転載元では、サマンサ・パワー米国連大使について、"アメリカには、狂気じみて恐ろしい女政治家が何人もいる。ヒラリー・クリントンをはじめ、マデリン・オールブライト、ビクトリア・ヌーランド、それにこのサマンサ・パワーである"と紹介しています。
下の記事では、米軍「誤爆」事件についてアサド大統領が、"シリア軍の拠点を1時間強も攻撃し続けた…同時に、ダーイシュが米軍の空爆直後に攻撃してきた…明らかに意図的だった"とインタビューに応えています。1時間強も攻撃し続けて「誤爆」とは言わないと思います。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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“恥ずかしい思い”とは何かを知るために、どうぞシリアへおいで下さい ――露のザハロワから米のサマンサ・パワーへ
転載元)
RT (Russia Today) September 18, 2016

ロシア外務省報道官マリア・ザハロワ(左)とアメリカ国連大使 サマンサ・パワー

ロシア外務省報道官マリア・ザ ハロワ(左)とアメリカ国連大使サマンサ・パワー


ロシア外務省報道官が、アメリカの国連大使を、“恥ずかしい”(embarrassed)とはどういうことか、じかに体験していただくためにシリアへ招いた。これは、合同空爆がシリア軍を攻撃して殺した後で、アメリカは IS を支援しているとロシアがほのめかしたのに対し、米国連大使がモスクワに猛反撃したことから起こった。

アメリカ主導の連合軍が行った恐ろしい空爆を詮議するために、ロシアの要求した、緊急国連安保理事会におけるスピーチで、米国連大使サマンサ・パワーは、モスクワ代表は、この攻撃はワシントンがイスラム国(IS, ISIS)テロリストを庇っていることを示すものだ、と言ったことを“恥ずかしく思う”(embarrassed)べきだと言った。

ロシア外務省によれば、62人のシリア兵士を殺したDeir ez-Zor市近くでの空爆は、「無神経な不注意」と、ISテロへの「直接の援助」の境界線上にあるものである。

パワーの非難に応えて、マリア・ザハロワはフェイスブックにこう書いた――

親愛なるサマンサ・パワー、“恥ずかしい思い”とはどういうものかを知っていただくために、私は、あなたに、ぜひシリアに来ていただいて、ご自分で、そこの人々に話しかけてみられることをお勧めします。そこの人々とは、ワシントンがその人道的境遇をずいぶん心配しているらしい、アルヌスラ・フロントの兵士や、“穏健派”反乱軍の ことではありません。私はまた、シリアの正義のために戦うという、西側の戦士のことを言っているのでもありません。私が言っているのは、現地の人々――ワシントンの積極的な介入によって、6 年以上にわたって、彼らの祖国に仕掛けられた血なまぐさい戦争にもかかわらず、そこに住み続けている現地の人々のことです。

このモスクワ代表は、さらに続けて、彼女自身は現場の人々と絶えず連絡をとっており、そこには、シリアの町々に分散している反乱軍も、そこでの戦いの結果、孤児となった子供たちも含まれていると言った。

「ぜひ、ご一緒に行きましょう」と彼女は言い、パワーのシリア渡航の費用は自分がもつと約束した。

「どうぞ、よいご返事をお願いします。恐れることはありません。いかなる者も、私のいるところで、指一本あなたに触れさせることはありません。もちろん、あなたのお付きの人たちが、もう一度、標的を“間違って”撃ったりしなければ、です。あなたは沢山の新しい思い出をつくられるでしょう。そしてその過程で、“恥ずかしい思い”とはどういうものかが、お分かりになるでしょう」と、モスクワ代表は付け加えた。

(以下略)

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アサド大統領がAPのインタビューに応じる「ヌスラ戦線やダーイシュを攻撃してしまえば、米国は重要なカードを失うことになる。だから、米国がロシアとともに「テロとの戦い」を行うとは思えない」(2016年9月22日)
引用元)
(前略) 
インタビューにおけるアサド大統領の主な発言は以下の通り

SANA, September 22, 2016

(中略) 

米国はヌスラ戦線、さらにはダーイシュにさえ対抗しようとする意思を持っていない。なぜなら、米国はこれらの組織が自分たちのアジェンダに利用できるカードだと考えているからだ。ヌスラ戦線やダーイシュを攻撃してしまえば、シリア情勢に関する重要なカードを失うことになる。(中略) 」。

「(ダイル・ザウル県サルダ山のシリア軍拠点に対する有志連合の誤爆に関して)事故だとは思っていない…。4機もの戦闘機がシリア軍の拠点を1時間強も攻撃し続けたのだ…。これが第1点。また第2に、彼らは一区画の一棟を狙ったのではなく、複数の丘陵からなる広大な地域を攻撃した。そこにはシリア軍と対峙するテロリストなどいなかった。しかも同時に、ダーイシュが米軍の空爆直後に攻撃してきたのだ。ダーイシュはどうやって米軍が攻撃することを知り得たのだ…。米国は意図していないと言っているが、明らかに意図的だった」。

(以下略) 

[Sputnik]高速道路に落ちた子猫を救った男性、SNSで一躍ヒーローに(動画)

竹下雅敏氏からの情報です。
 子猫を救ったデニスさんの記事を読むと、ほっとしますね。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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高速道路に落ちた子猫を救った男性、SNSで一躍ヒーローに(動画)
転載元)
ビデオクラブの映像「信号なし道路に子猫が!」をご覧になった方はこの奇跡の救出劇をよくご存知だろう。ロシアの北の飛び地、カリニングラードでの映像。高速の車道に何らかの理由で落下してしまった子猫。その脇を何台もの車が走りぬけ、トラックまでもが子猫の上を通過していく。ところが最後に1台の車から降り立った男性に猫は救われた。



監視カメラが偶然捉えた映像がロシアのSNS「ヴ・コンタクチェ」に掲載されるや、子猫を救ったプジョーの運転手は瞬く間にロシア全土で有名になった。

男性の名前はデニス・ジョクチャレフさん。デニスさんは元空手の先生。ちょうどこの日も空手の稽古に行くためにこどもを2人を乗せ、子猫のいた反対側の車線を走っていた。

最初に子猫に気づいたのは子どもたちだった。
「パパ、早く助けて!」とわめかれるなか、デニスさんはユーターンをし、わざとスピードを落とし、ハザードランプをつけながら対向車線に入ったという。こうして「200%助からないと思っていた」と語るデニスさんは子猫を拾い上げた。

デニスさんはSNSなど一切関係のない生活を送っており、猫の一件がこんなに広まるとは思っていなかった。SNSの映像を見た市民は身も知らぬ男性に感謝の辞を書き込み、デニスさんの奥さんのもとには「だんなさんが載っている!」という電話がひきもやらなくなり、とうとうTV局がデニスさんの身元をつきとめた。

TV局からのインタビューにデニスさんは自分に優しさ、善を教えてくれたのは母親だったと語った。家は母親が拾ってくる動物に溢れていた。母から贈られた善をデニスさんは自分の子どもにも伝えようとしている。

さて子猫のその後だが、空手スクールに連れて行かれ、結局スクールに勤める優しい守衛のおばさんに引き取られたという。

[長周新聞 ほか]対米従属の原子力政策破綻 もんじゅ廃炉が示すもの

 板垣英憲氏の記事に世界支配層は、「原発の廃炉」を決意、全世界の原発の廃炉を断行するとありましたが、安倍政権のもんじゅ廃炉に向けた動きもそうした流れにあるものだと思います。安倍政権は核燃料サイクルを堅持を表明していますが、これは長周新聞の記事にあるように建前で"アメリカへの忠誠を示している"のかもしれません。
 しかし、これまで原発を推進してきた安倍政権や官僚がそう簡単に諦めるとも思えない…。何か裏があるのではないかと思ってしまいます。
 原子力エネルギー政策からもんじゅ(文科省主導)の切り離しを進めてきたのは、経産省のようです。経産省は、もんじゅを廃炉にしても"基礎研究を担う実験炉は原子力機構の「常陽」(茨城県)で、経済性を検証する実証炉は仏と共同開発する「ASTRID(アストリッド)」で対応できる"と見ているようです。これについて、文科省幹部は「絵に描いたもちだ」と批判しています。
 もんじゅが廃炉になれば、今後は経産省が主導して高速炉の研究と実用化に向けて動いていくことになりそうですが、経産省のトップは世耕経産相です。世耕経産相と言えば、ロシア経済分野協力担当大臣でもあり、安倍首相と同行してソチでプーチン大統領とも会っています。"続きはここから"以降のスプートニクの記事にあるように、そこで、安倍首相はロシアに「8項目の提案」をしています。第7番目の項目には、「先進技術分野の協力。たとえば我々からは原子力エネルギーと宇宙。つまり、日本がやや苦手とする分野だ」とあります。一番下の記事にあるようにロシアには、去年末から世界で初めて商用利用している高速中性子炉「BN-800」があります。もんじゅを廃炉にして、ロシアの高速中性子炉の技術を取り入れ、核燃料サイクルを維持しようとしているのではないかと妄想が膨らみます。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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廃炉を含め・・・「もんじゅ」抜本的な見直しへ 政府(16/09/21)
配信元)

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対米従属の原子力政策破綻 もんじゅ廃炉が示すもの
転載元)
 安倍政府は14日、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉も視野に検討をおこなっていることを明らかにし、26日召集の臨時国会前にも結論を出すとしている。高速増殖炉「もんじゅ」は歴代の自民党政府が推進してきた原子力政策の根幹である核燃料サイクルの中核施設であり、もんじゅの廃炉は原子力政策の破たんを象徴的にあらわしている。実態としてはすでに20年前のナトリウム事故から破たんしていたが、日米原子力協定に縛られて引くに引けず、何兆円もの国家予算を注ぎ込んできた。福島原発の重大事故も経験し、高速増殖炉の破たん表明まできて、アメリカ追随の日本の原子力政策を抜本的に見直し、すべての原発を停止させることが迫られている。
 
 核燃料サイクル成り立たず 

 高速増殖炉もんじゅは「夢の原子炉」と持ち上げられ、建設費など総事業費には1兆円が投じられた。1950年代に中曽根がアメリカから持ち込んできた日本の原子力政策は、単に軽水炉で発電するだけではなく、原発の使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出し、プルトニウムを燃料とする高速増殖炉で燃やす。高速増殖炉は燃やした以上のプルトニウムを生産するので、資源の少ない日本にとっては「準国産エネルギー」を産み「エネルギーの自給率を向上させる」というものであった。歴代政府はこの核燃料サイクル確立を中軸に原子力政策を推進してきた。

 地震列島である日本に54基もの原発を建設し、福井県に高速増殖炉、青森県六ヶ所村に使用済み核燃料の再処理施設やウラン濃縮施設を建設してきた。ただ核燃料サイクル施設のなかで使用済み核燃料の最終処分場の建設についてはいまだに候補地も決まっておらず、「トイレなきマンション」のままである。

 核燃料サイクル施設のなかでも燃やしたプルトニウム以上のプルトニウムを生産する高速増殖炉が中核をなしており、もんじゅの廃炉は核燃料サイクル政策の中核施設の破たんであり、政府が推進してきた原子力政策の論理は根底から崩れ去る。

(中略) 

 余剰ウランのはけ口に 原子力協定の縛り 

 高速増殖炉が破たんし、プルサーマルも進展しないなか、再処理で抽出されるプルトニウムの使い道はない。日本はすでに原爆6000発分に相当する48㌧のプルトニウムを保有しており潜在的な核大国として国際的な批判も高まっている。

 プルトニウムの半減期は10万年といわれ、安倍政府は10万年間処理施設を監視し続けると公言している。10万年という時間を考えて見ると、人類史上では約20万年前ごろ旧人類からホモサピエンスに進化した現人類が、10万年前頃にはアフリカからユーラシア大陸にも拡大したころで、このころマンモスも広く北アメリカ大陸まで生息拡大していたということがわかっている。10万年という時間は途方もなく想像もできない長さであり、したがって安倍首相が責任を持てるような時間ではない。

 「核燃料サイクル確立」のための「夢の原子炉・もんじゅ」を柱とする原子力政策の結果、それほどの毒性の強い放射性物質を溜め込み、子子孫孫にわたってつけを回すことになっただけであった。政府は、もんじゅ再稼働のためには約6000億円かかり、もんじゅを廃炉にする場合は、原子炉の解体など30年間で約3000億円の費用がかかるとの試算をまとめており、廃炉にするにしても国民の負担は膨大である。

 核燃料サイクルを柱とする原子力政策は、戦後アメリカの重要な対日政策として位置づけられてきた。アメリカは広島と長崎に2発の原爆を投下することで、日本を単独占領し、戦後も対米従属の支配下に置いてきた。広島では1950年8月6日に非合法下で原水爆禁止の大衆的な行動がとりくまれ、原爆反対の運動は瞬く間に広がり55年には世界大会開催にまで発展した。原水爆禁止の運動が唯一の被爆国である日本から世界に向けて発信され、世界中に支持を広げていった。

 アメリカの原子力政策は、「原子力の平和利用」と称して原発を日本に持ち込み、原水爆反対の運動を押さえ込むことを狙ったものであった。また、余剰ウランのはけ口として日本市場を狙い、アメリカのウランを日本に買わせ、高い技術料をとって原発を推進させた。

 なかでも高速増殖炉はアメリカですでに失敗しており、危険性がわかっていたものを日本に押しつけ、膨大な国費を投入させて研究させたものだった。高速増殖炉は技術的にはまったく未完成の原子炉であり、原発の先進国であるアメリカでまず失敗し、イギリスでもフランスでも失敗しているものである。それを日本だけが、しかも破たんが明白ななかで継続してきた。そこには日米原子力協定の縛りがあった。

 アメリカは原発が軍事利用と一体のものであり、とくに使用済み核燃料の再処理によるプルトニウムの抽出は原爆製造と結びついていることを知り抜いているため、再処理は日本以外には認めていない。米韓原子力協定でも再処理は禁止している。

 それを核保有国以外では日本だけに認めてきた。日米原子力協定では、アメリカから輸入したウランを燃やしてできた使用済み核燃料を再処理して抽出したプルトニウムの処分権限はアメリカが持つことを明記している。そのうえで日本に原発を建設させ、使い物にならない高速増殖炉や再処理工場を建設させ、アメリカに貢がせてきた。アメリカのGEが製造した原子炉である福島原発が爆発事故を引き起こしても、日本が原発建設を中止することを許さず、原発再稼働や原発輸出を強行させ、第2、第3の福島の惨事を引き起こすことも平然とおこなっている。

 安倍政府はもんじゅの破綻が明らかになっても「これは核燃料サイクルをやめるということではない」といい、アメリカへの忠誠を示している。

 もんじゅ廃炉は対米従属の戦後日本の原子力政策の破たんを示すものにほかならない。福島事故で各原発が何千本という使用済み核燃料をプールに保有していることが暴露されたが、原発の排泄物は溜まり続け、どうすることもできないのが現実である。このうえにさらに再稼働でゴミだけ増やし続けることは無謀である。原子力政策の抜本的な転換が迫られている。

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未来への希望に満ちた記事:露日で共同のブレインストーミングがはじまった(Sputnik) 〜日露関係の改善につながる安倍政権の動きは高く評価、しかし…〜

竹下雅敏氏からの情報です。
 大変、未来への希望に満ちた記事だと思います。文中“安倍首相にしかるべき評価を与えなければならない”とありますが、私も日露関係の改善につながる安倍政権の動きは、高く評価しています。ただし、安倍政権をまったく支持していません。
 矛盾しているように思いますが、背後のシナリオが変わったということだと思います。自民党以外の政権に今後なったとしても、日本は同じ行動をとると思われるからです。
 民意を尊重しない安倍政権を支持することは出来ません。その具体例は、今高江で起きている事を見れば明らかです。
 記事の中で、“日本人のアプローチの速さと組織性には驚かされる”とあります。私も、日本人は世界一道路等を作るのが上手な国民だと思います。他の国が何年もかかる事を、日本は3ヶ月でやってしまう、そういう印象があります。ロシアとの技術協力、経済協力は大歓迎です。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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露日で共同のブレインストーミングがはじまった
転載元)

Photohost agency2

Photohost agency2


G20におけるプーチン大統領会談を思い出す際には、露日間の全く新しい気運を見過ごしてはならず、また、安倍首相にしかるべき評価を与えなければならない。安倍首相の島国哲学はテレザ・メイ氏よりはるかに幅が広いことがわかった。日本も英国と同様ロシアと問題を抱えているが、日本は一人では何もできないとの理解の上に、関係構築を通じて問題を解決することを決意した。

最重要問題が諸島であることは明らかだ。1956年ソ日共同宣言が批准された際、我々は日本との平和条約締結後、南クリル岩礁の二島を日本に譲渡するべきこととなった。しかし日本が米国の影響で四島を欲しがるに至り、交渉は行き詰った。

今その問題が再び持ち上がっている。過去に戻ることはできない。モスクワから平和条約と引き換えに四島中二島のみを受け取ったならいかなる首相も退陣するだろうからだ。ロシアでも、いかなる大統領であろうと、たとえプーチン大統領だろうと、日本に突如二島まるごとを譲渡したなら、支持率は壊滅的な下がり方をするだろう。国民は反対だ。ゆえに、そのような選択肢は、プーチン大統領も安倍首相も検討していない。では、何を検討しているのか?

プーチン大統領は、ロシアは領土の売買などしない、としている。しかし、それでも、誰もが自分を敗者と感じないような妥協的解決を模索するべきだ、と述べている。そうしたパラダイムの中で安倍首相はかなり踏み込んだ行動をとっている。夏にはソチでプーチン大統領と会い、テーブルに8項目の提案を並べて見せた。

その内実はいまだに不明だが、我々の代表団内の情報提供者は、次のようなことを耳打ちしている。私見では、センセーショナルで、非常に日本的だが、解釈を要するようなことだ。日本の可能性をもとに安倍首相が提示した、ロシアとの協力に関するまことに勇敢な提案は、既にクレムリンのテーブルに置かれている。

第一:ロシアの平均寿命を伸ばすための医療における協力。日本はこれが得意だ。日本は世界一長寿の国だ。

第二:活発な生活のための快適で清潔な環境をめざした都市建設。環境から都市工学、道路まで、すべて。

第三:露日中小企業部門の本格的増大。重要。

第四:エネルギー。石油、ガス、増産。内密だが、どうやらサハリンから日本沿岸を通る海洋ガスパイプラインが話にのぼっているようだ。ノルド・ストリーム風の大規模計画だ。

第五:ロシアの産業多角化奨励、生産性向上。これはすでにあの構造改革への参加を意味する。

第六:アジア太平洋地域への輸出を目指した極東産業推進。日本にはそれができる。日本では産業全体が輸出向け。

第七:日本とロシアの「賢明さ」を基礎とする先進技術分野の協力。たとえば我々からは原子力エネルギーと宇宙。つまり、日本がやや苦手とする分野だ。

第八:純然たるロマンス。人道交流のダイナミックな成長。歌舞伎に反対するものなどいない。彼らは戦車には事足りている。彼らのそれは鉄製ではない。

たった8項目ではあるが、その内容ときたら!しかも、日本人のアプローチの速さと組織性には驚かされる。安倍首相はプーチン大統領と会うたびにテーマを発展させる。すでに五十もの具体的な計画が、共同運用システムの詳細化というレベルで存在している。

我々が今きわどいテーマを扱っているのだということは理解している。何が引き換えになるか?様々な解決がありえる。スカンジナビア専門家としては、スピッツベルゲン条約が思い出される。第一次世界大戦後、奇妙な形で同島がノルウェーからスピッツベルゲン諸島が剥離。1920年、パリで、同島はノルウェーの土地であるが非武装地帯であり、他の国が経済的、科学的な活動に従事することが許される(たとえばロシアは石炭を採掘している)とする国際条約が締結された。

南クリルのモデルとして想定可能な先例だ。世界には他にも特別な国境協力の形態の先例があるのではないか。露日で共同のブレインストーミングがはじまったのはよいことだ。

ドミートリイ・キセリョフ

ど真ん中にエルドアンが位置する象徴的G20集合写真 〜今やアメリカの衰退とともに、“新たに出現している多極秩序への移行”が起こっている〜

竹下雅敏氏からの情報です。
 G20集合写真は大変興味深いものです。ど真ん中にエルドアンというのはなんとも象徴的です。まぁ、アンコは大概真ん中にあるので、エルドアンが真ん中でもいいじゃないかという和菓子的な発想ではありません。“やはり、トルコは寝返った”という証拠になる写真だということです。同じように寝返ったドイツ・フランスの中心のアンコがエルドアンという写真ではないでしょうか。
 下の記事を見ても、“アメリカのアジア太平洋基軸は失敗した”とあります。おそらく、オバマの推進しているTPPは空中分解するものとみられます。TPPはもともと貿易協定と言うよりも、中国包囲網をという軍事的な集団的自衛権に基づいた発想が根底にあります。要は、将来の中国との戦争に対して、アメリカ側につくグループをまとめる狙いです。これが頓挫しつつあるということです。記事では“ TPPがなければ、地域諸国は外国貿易と、投資を求めて、北京を向く”とあります。今やアメリカの衰退とともに、“新たに出現している多極秩序への移行”が起こっているのです。
 こうした歴史的転換点に居るということを、きちんと理解していなければなりません。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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G20集合写真

6

(中略) 

G20の記念写真。前列のど真ん中になんとエルドアンがいて、その両脇をプーチン閣下と習近平が固めている。一方、バラックはだいぶ端っこだ。

やはりトルコは寝返ったのだ。しかも、そのお披露目なのだ。信じられないような急展開ですな。

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中国に寄り、アメリカから離れるフィリピン
Andrei AKULOV
2016年9月6日

Strategic Culture Foundation

(前略) 

地域におけるアメリカの影響力が衰退する中、アメリカのアジア太平洋基軸は失敗したように見える。フィリピンは、この傾向を実証する好例だ。

フィリピンは、アメリカ合州国の忠実な同盟国と見なされており、アメリカ外交政策の多くを支持して来た。

(中略) 

それが今変わりつつある。(中略…)ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、6月に権力の座について以来、フィリピン外交政策は変化を遂げつつある。アメリカへの依存を減らし、より自立した外交政策をとることを強調している新政権のもとで、フィリピン外交政策の劇的な変化の可能性が予想される理由は高まっている。

(中略) 

彼は中国にオリーブの枝をさしのべ、アジアの大国と秘密交渉を進めるため、元大統領フィデル・ラモスを動員している。

両国は、黄岩島(スカボロー礁)における共同漁業協定について、議論をしているが、これは、ハーグ裁定と調和しており、経済協力を推進する突破口になる可能性がある。

(中略) 

環太平洋連携協定(TPP)を、議会のレームダック会期で批准するというアメリカ政権の計画は困難に遭遇している。

(中略) 

TPPから排除されている国である中国は、別の協定、TPPに匹敵する、北京が主導する自由貿易協定東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を提案している。RCEPは、アメリカ合州国を含んでいない。しかも中国は、新たなアジア・インフラ投資銀行(AIIB)と、400億ドルのシルク・ロード基金を通した、更に多くの地域融資も約束している。TPPがなければ、地域諸国は外国貿易と、投資を求めて、北京をむくだろう。

(中略) 

アジア太平洋地域は、新たな安全保障協力関係や、地域諸国間の再調整を引き起こす、新たに出現している多極秩序への移行をしつつあるのだ。他の関係諸国の影響力が力を増しつつある中、地域におけるアメリカの影響力は絶望的に衰退しつつある。

記事原文のurl: http://www.strategic-culture.org/news/2016/09/06/philippines-towards-china-and-away-from-usa.html