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ザポリージャ原発爆破を狙っているのはロシアではなくウクライナ 〜 これを認めているのは、IAEA、ロシア、ウクライナ、アメリカ

 「フランス24」というニュースチャンネルの、IAEAグロッシ事務局長へのインタビューが注目されています。「ゼレンスキーとウクライナの諜報機関によると、ロシアは原発を攻撃するために爆発物を原発内に移動し、冷却池に地雷を仕掛けた」「彼らはこれを目撃した」と司会者がウクライナから得た情報を語りました。それに対して、グロッシ事務局長は「私は現地にいたが、このような事態には遭遇しなかった。私たちのチームはそこにいて、毎日報告している。」つまりウクライナ側の情報はウソだと答えています。また「IAEA専門家チームは本日(6/30)、近くのザポリージャ火力発電所(ZTPP)の大きな冷却池の周囲の一部や放水路の隔離ゲートなど、発電所の冷却システムの一部を検査することができた。この水路と冷却池の両方には、下流のカホフカダムが 3 週間以上前に破壊されたにもかかわらず、ZNPP が使用できる貯水量が残っています」とロシアの管理下で安定していることを語っています。
 さらに誰しもが思うことをラブロフ外相が答えていました。「ウクライナは、私たちがザポリージャ原発施設に滞在しながら、私たち自身を爆破すると言っています。私たちはこれについてコメントする必要があるでしょうか?これはウクライナらしい真っ赤な噓です。」
 一方、ウクライナのテレグラム・チャンネル「レジデント」は、ゼレンスキーがザポリージャ原発テロを実行に移し、戦況を劇的に暴走させるシナリオを取っていると認めています。ウクライナ大統領府からの情報でも「米国はザポ原発爆破させようとしてるのはウ政府と知ってる。」とありました。
 IAEAもロシアもウクライナもアメリカも、「ザポリージャ原発を狙っているのはウクライナ」と言っています。今頃「ロシアが原発を爆破する」と伝えるメディアは恥です。
(まのじ)
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配信元)



原発の運転期間の制限をなくす危険なGX法が可決成立 / 法案は2022年参院選での自民党の公約に基づいて作成され、エネ庁と規制庁が談合

 老朽化著しい原発を、運転期間60年の上限を超えてさらに運転できるようにする法律が31日、参議院で可決成立しました。世界に類のない危険な内容を国会での議論も尽くさないまま、数にモノを言わせての成立です。おしどりマコさんがエネルギー庁からの内部リーク文書に基づいて、この法案の背後にある談合を解説しておられました。2022年に資源エネルギー庁と原子力規制庁がいきなり「運転できる期間に制限なし」「延長する回数に制限なし」と決めて法案を進めたのは、その背後に「自民党提言」があったことが発覚しました。2022年参院選の自民党の公約を資料にして、エネ庁が規制庁に対してレクチャー(事前の説明)をしていたのが実態でした。このような事前協議は原子力規制庁の独立性を失わせるもので、しかも悪質なことに「規制庁が"言い出しっぺ"に見えないような法構成にする必要がある」「安全規制が緩んだように見えないことも大事」など、国民を騙し、国民の安全のことはまるで念頭にないことが露呈していました。この法案に賛成したのは、自民、公明、維新、国民民主です。
 今は故人となられた平井憲夫氏の動画がありました。福島第一原発建設技術者であり、監督を20年以上勤められた専門家が、1996年の時点での恐ろしいまでの杜撰な状況を話しておられました。(4:00〜)当時すでに毎日のように原発では事故や故障が起こっていました。なぜかというと原発の工事に関わっている人の中に「職人」と言われるような技能技術者がほとんどいなくなってしまい、全体の98%くらいは全くのシロウトが工事をやっているからだと話されています。国の役人が作成した間違ったマニュアルでも現場の職人さんが経験に基づいて事故が起こらないように加工していましたが、熟練工の職人がいなくなった現場では事故が防げない。それから30年近く経過した現在、平井さんのように警告される方も居なくなり、原発はますます脆くなり、危険な原発を補修する人材はますます不足している状況です。それが改善されることもなく運転延長するなど、日本を破壊するつもりなのか、自民党、公明党、維新、国民民主。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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【詳しく】原発運転期間 実質延長へ 法律が可決・成立
引用元)
(前略)
電気事業法や原子炉等規制法などの一部を改正する法律は、現在の法律で最長60年とされている原発の運転期間について、審査などで停止した期間を除いて、実質的に上限を超えて運転できるようにします

また、運転開始から30年以降は10年を超えない期間ごとに機器や設備の劣化状況を確認して管理計画を策定し、原子力規制委員会の認可を受ける必要があるとしています。
(中略)
31日の参議院本会議で行われた採決では、自民・公明両党と、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。
(中略)
さらに、今回の法改正では、原子力利用の基本方針を定め「原子力の憲法」とも呼ばれる原子力基本法も大幅に改正されました

原子力基本法は、1955年に、日本が原子力の利用を始めるに当たって目的を平和利用に限定し、安全確保や情報公開の重要性を明記した法律ですが、今回の改正で、原発を活用して電力の安定供給や脱炭素社会の実現に貢献することを初めて「国の責務」と位置づけました。
(以下略)

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停止したままの日本原電は6年連続の黒字決算、大手電力会社からの「基本料金」で維持 / 国民の電気料金を値上げする必要があるのか?

 日本原子力発電(日本原電)は、現在一基も稼働していません。つまり発電をしていません。けれども2023年3月期の決算で6年連続の黒字だという報道がありました。これは目を引く記事でした。日本原電は出資母体の電力会社からの交付金によって維持されており、その交付金は各電力会社の「基本料金」で、つまりは国民の電気料金です。このような殿様商売を認める一方で、国民には電気料金を大幅に値上げすることに対してコメント欄では、いい加減にケジメをつけるべきだというコスト面での批判が目立っていました。維持するにも廃炉にするにもタダではすまない。
 コストの問題は大事ですが、それで全てが言い尽くされたわけではなく「そもそもの原因は原発依存の電力政策(失策)のせいなのではないでしょうか?」という「祝島島民の会」のツイートが核心だと思いました。福島第一原発事故の本質的な復興は手付かずのまま「『原発回帰』だけを目指した《原子力ムラ》の利権依存体質が、結果的に私たち「市民の負担」という実を結んだのでしょう。」というコメントが、これまでの12年を言い表していました。この先、数百年、数千年にわたって何の責任もない子孫に核廃棄物を押し付けてしまう現実を前に、「電気料金が高いから再稼働」などという暴論は許されない。もしも将来、人間が核を扱えるとするならば、高い科学力に相応した高い倫理観を持った時だと思います。
(まのじ)
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配信元)

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ドイツがついに脱原発を完了 〜 おしどりマコさんの独自取材「ドイツ政府としてベルギーやスイスへも原発稼働停止を要求」

 ドイツの脱原発が4月15日に完了しました。稼働していた最後の3基の原子炉が運転停止し、ドイツ国内向けの原子力発電はゼロになりました。メディアの報道は「日本を含む各先進国が原発継続の必要性を打ち出す中、異例の対応」という冷ややかなものですが、そもそもドイツは2002年に脱原発を法制化していました。2011年の福島第一原発事故の後は、原発廃止の方針を固め、今やドイツの総電力量のうち再エネは46.3%で、原発は6.4%だったそうです。
 日本では海外メディアの情報を引き写しにし、原発に未練タラタラの情報が多いですが、おしどりマコさんは福島第一原発事故以来、ずっと独自に東電取材などを継続しておられ、今回のドイツの脱原発ニュースにも即座に独自の情報を挙げておられました。
 2002年脱原発の政策決定後に市民が目指していたものは「①脱原発の期日を少しでも前倒しにする(達成!) ②廃炉や廃棄物処理を市民側にも監視させること ③隣国・他国の脱原発」だそうです。さらに国内の脱原発だけではなく、ドイツ政府としてベルギーやスイスの原発にも稼働停止を要求しているそうです。自国民の安全を最重要と考えれば、隣国の原発事故も防ごうとするのは当然でした。ドイツの本気度が分かります。おしどりマコさんは現地の取材で「フランスの原子力を買っているという日本人もいるのだが?」と質問したそうです。すると失笑されて「詐欺だね!今!EUでは市場を開放してるから、近いところの電力を買えるんだよ。そりゃフランスに接してる地域はそういうところもあるだろう。総量は?と聞きなよ。」と言われたそうです。
 ドイツは原発がなくても、日本以上のGDPを生み出せることを示そうとしています。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)
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15日に脱原発完了 エネルギー危機で賛否―独
引用元)
(前略)
 ドイツでは安全性への懸念から2002年に脱原発を法制化。一時は稼働期間の延長措置も取られたが、11年の東京電力福島第1原発事故を受け、原発廃止の方針が固まった。世界的に風力や太陽光など自然由来のエネルギーによる電力を増やす傾向は強まっているが、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さず、天候に左右されない安定電源として原発も重用されている。

 独政府は当面、自国で採掘可能な石炭の火力発電を維持する。22年の電力源は原発が6.4%、再生エネが46.3%。石炭火力は33.3%と前年から微増した。国家間の電力融通が発達している欧州において、ドイツは近年電力輸出国だったが、今後不足が生じた場合、原発大国フランスなどから電力を輸入する可能性がある。
(以下略)

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伊方原発の差し止め訴訟に提出されるはずだった幻の意見陳述書 〜 福島から自主避難した一家の体験から「正義は、私たちの人権は、一体どこにあるのでしょう」

読者の方からの情報です。
 原発の汚染水が排出され再稼働を増やそうと国が虎視眈々とうかがっており、毎日気を取り直すのが大変な日々です。
  
 応援団に加わっている四国伊方原発訴訟の資料をお知らせしたいと思います。
昨年12/14に第30回口頭弁論で発表されるはずだった意見陳述です。あまりの衝撃的な内容に、「美味しんぼ」の鼻血論争はまったく正しかったのだと痛感しました。原告の鴨下さんの避難所でのお子さんの様子はめまいがするほどです。
そして口頭弁論は前日になって実施されないと裁判所から連絡がきたとのことです。司法の卑怯なことは今に始まったことではないですが、国民の命を大事にしないエネルギー政策は正されないといけません。 
(ニーナ)
 伊方原発の運転差し止め訴訟に提出されるはずだった公的な意見陳述書。自主避難という形で福島から逃れた方が、その苦しい体験を元に二度とこのようなことがあってはならないという思いから陳述書を準備されたようです。研究者という職業ゆえ放射能の影響を十分に認識しておられ「無理をしてでも避難するしかなかった」とありました。もしも国や東電が誠意を持って、望む人全てに住処と生活を補償していれば、ここに綴られている悲劇の多くは避けられたはずなのに。一文一文読むごとに「むごい」と思わざるを得ない体験が語られています。「正義は、私たちの人権は、一体どこにあるのでしょう。」との言葉に打ちのめされるような気持ちです。
 広島地裁は前日になって口頭弁論期日を変更したという。そのような異例な対応をしてまで、この陳述から逃げたかったのか。多くの方に、この鴨下さんの体験と思いを知ってほしい。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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伊方原発運転差止等請求事件本案訴訟 意見陳述要旨
転載元)
広島地方裁判所 御中

意見陳述要旨


伊方原発運転差止等請求事件本案訴訟
2022年12月14日第30回口頭弁論期日

第3陣原告 鴨下 美和 (東京都在住 福島原発事故被害者)


 本日は意見陳述の貴重な機会を与えていただき御礼を申し上げます。私は原告の鴨下美和と申します。現在東京に住んでいます。

 先月、私は、ふるさとの福島県いわき市の共同墓地にいました。墓地の中央には、大きな、白い石の十字架。やっと、訪れることができた懐かしい風景に、自然と涙が溢れました。
しかしその足元の土には、今でも数千Bq/kg(注1)の放射性物質が含まれているのです。

 11年前の原発事故当時は、その数十倍から数百倍の汚染があったにも関わらず、私たちの住んでいた福島県いわき市(注2)には、一度も避難指示が出されませんでした

 私は、放射線被曝を逃れるために子どもたちを連れて避難した、いわゆる自主避難者です。家があった場所は、爆発した原発から南に40km。事故当時、長男は8歳、次男は3歳。彼らを放射線被曝から守るためには、無理をしてでも、避難するしかなかったのです

放射性物質を扱う施設で実験を行う

 私と夫は、大学の研究室で出会いました。そこでは遺伝子を扱う実験のために、放射性物質を使用することもありました。その際は、研究棟とは別棟の放射線管理区域(注3)に指定された建物の中で、細心の注意を払って実験を行いました。今でいうガラスバッジ(注4)を付け、自分が被曝しないための操作はもちろん、間違っても管理区域の外へ放射性物質を持ち出さないために、厳しく管理された中で実験を行っていました。
 あの事故が起きるまで、研究室はもちろん、病院や、原発の敷地内であっても、放射性物質はそのように厳密に管理されてきました。(現在でも、この原則は、全国の放射性物質を扱う施設では厳密に守られている。もちろん飲食厳禁である。)だから私たち夫婦にとって、自分の家や、子どもたちが遊ぶ場所に、大量の放射性物質が降り注いだこと、そしてそれが全く管理されないまま、風雨で移動し、 子どもたちが吸い込んだり、素手で触れられるようになってしまったことは、心が壊れる程の恐怖でした。

過酷な避難生活

 避難生活は困難を極めました。始めは私の実家のある横浜へ。次は夫の親が暮らす東京へ。親族とは言え、そう長く居候もできませんから、その後はアパートやホテルを転々とし、4月の末にやっと避難所に入り、夏には古い官舎の避難住宅へ。賠償金の出ない私たちには、避難の継続のためのお金が必要なので、夫は4月には福島へ戻って業務を再開しました。週末には、車で250kmの道のりを飛ばして、私たちに会いに来てくれましたが、日曜の夜、別れのたびに、4歳の次男が布団にもぐって、声を殺して泣くので、胸がつぶれる想いでした。
 当時、夫が電話越しに、シンチレーションディテクター(注5)の音を聞かせてくれたことがあります。チチチチという検出音が、やがてチ―――という鳴 りっぱなしの甲高い音に変わります。生活空間にあってはならないものがそこにある。その危険を知る夫にとって、そこで働くことがどれだけのストレスであったか、想像に余りあります

誤解と無理解に起因するバッシング

 放射能は目に見えません。仮に測定機器があっても、知識と事故前の数値を知らなければ、その危険性はわかりません。
 国の避難指示が無かったこともあり、いわきは汚染などしていない、全く問題がない、と信じている周囲の人たちの中で、除染や被曝防護を訴え続けた、唯一その危険を知る夫は、罵声を浴び、差別を受け、次第に孤立し、頭のおかしい人と、思われるようになっていきました。更に、身近な若者の突然死が二度続き、それに関わってしまったこともあって、夫は心身共に壊れていきました。会うたびに髪が減り、皮膚が年寄りのようになり、やがてろれつがまわらなくなりました。見るに見かねた私は、夫に仕事を辞めて一緒に暮らすことを提案し、事故から2年後に、夫も避難者となりました。

否定しがたい放射線被曝被害

 避難所や避難住宅では、うちの子に限らず、鼻血を出す子が多くいました。それも、見たことのない程、酷い鼻血です。吹くような、吐くような勢いで、鼻血が両鼻から出たり、それが喉をまわって口からも出る。綿やティッシュでは追い付かず、洗面器やレジ袋で、流れ出る血を受ける子どもたち。それが30分経っても治まらない。深夜に、若い母親から、どうやったら娘の鼻血を止められるのかと相談を受けたこともあります。結局、息子は手術で鼻血を止めました。テレビでは環境大臣までが、原発事故と鼻血の関係を否定しましたが、科学は現実に起きていたことを否定できるものではありません
 実際に、岡山大・熊本学園大・広島大らのプロジェクトチームによる疫学的調査でも、当時の鼻血には有意差があることが認められています。
中通りで暮らす友人からは、息子の学校には紫斑病の子が多く、入院してしまった子もいる、という話も聞きました。小児甲状腺がんを患った子どもたちが原告となった裁判(注6)も起きています。政府に選ばれた学者たちが、事故との因果関係を否定したとしても、現実に小児甲状腺がんに罹患している子どもたちが、福島県内だけで300人を超えていることは、動かしようのない事実です。

放射線被曝に安全量はない

安全な放射線被曝などありません。電離放射線(注7)の人体への影響は、確率的です。少しの追加被曝なら大丈夫なのではなく、低い確率ではあっても、確実に放射線被曝被害は起きている。でも、そのような被害が起こりうることを、政府は完全に無視してきました。
殆どの人は、11年前の原発事故によって、今も東日本の広い範囲が、100Bq/kg(注8)以上の汚染土壌となってしまっていることを知りません。事故前であれば、黄色いドラム缶に入れて、厳重に管理しなければならないレベルの汚染が、今も東北と関東に広がっているのに、その危険をきちんと伝えず、被曝させ放題。こんな無責任極まりないこの国に、原発を動かす資格などあるでしょうか
今、私たちは、低線量被曝(注9) によって病気を発症しても、原因は不明のまま。おそらくは生活習慣のせいと片付けられます。そんな『運の悪い人』が、静かにじわじわと増えている。セシウム137の半減期(注10) は30年。今ここにいる全ての人が亡くなったあとも、福島原発からばらまかれた放射能は、静かに生命を蝕み続けるのです。

蹂躙される基本的人権

 そんな福島の放射能汚染が、全く元通りにならないままなのに、政府の勝手な判断によって、避難住宅の提供も打ち切られました。私たちは署名を集め、内閣府や各省庁と話し合いをし、無用な被曝を避ける権利を求めて訴え続けましたが、官僚たちは壊れたレコードのように、全く答えにならない文言を繰り返すばかりでした。国が聞こうとしないのなら、と、国連や、ローマ教皇にも直接訴え(注11)ました。しかしこの国は、国連の勧告(注12)にも正面から向き合わず、ローマ教皇の説教(注13)も聞き流してしまいました。そして6月の最高裁判決(注14)では、国にはこの事故に対して責任はないという、無責任極まりない判決が出されました。正義は、私たちの人権は、一体どこにあるのでしょう

『原発事故の避難者は、十分な賠償金をもらって、新しい家に住んで贅沢な暮らしをしている』というような、事実とは全く異なる風評によって、私たちは、いじめや差別に遭いました。息子は当時受けた過酷ないじめによって、今も心を病んでいます。仮に多額の賠償金がもらえていたとしても、それで奪われた人生を取り戻せるものでも無いのに、ただひとこと、『辛い』と 言葉をもらす自由さえも奪われるのです。原発によって歪められたお金は、人に幸せをもたらすことはありません。

被害者の声は未来への警告

 私たち被害者は、その属性を知られるだけで、差別に晒されます。被害を訴えれば、復興を妨げる風評加害者だと攻撃されます。ましてや顔と名前を出して訴訟など起こせば、隣人や親せき、時には家族からも攻撃され、それまでの生活を失います。それでも、被害者が声を上げるのは、あまりの不正義と理不尽があるから。そして同じ苦しみを持つ人がたくさんいるからです。黒い雨を浴びた方々や、小児甲状腺がんに罹患した子どもたちが裁判を起こしたのも、同じ苦しみにある人たちがいたから。私たち被害者の声は、未来への警告です

この陳述の冒頭に述べた共同墓地には、まだ墓石の無い草地がありま す。そこが、いつか私が眠る場所です。死んだら福島に帰れる。そう決めた日から、少しだけ心が楽になりました。帰りたい、という言葉をずっと封印してきた11年。生まれた場所ではないけれど、夫と結婚し、初めて家を建て、子どもたちが生まれ、たくさんの幸せを育んできた福島が、今でも私のふるさとです。

 願わくは、私たちのような思いをする人が、二度と出ないように。
 これ以上、原発によって国土が汚染され、人々の暮らしが歪められないように。
 祈りを込めて、私は、伊方原発の再稼働に反対します


 ご清聴ありがとうございました。
(以下略)
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