[In Deep]これから全世界の92%の地域で進むこと……。主要道路沿いに住む人たちの認知症リスクが異常に高い理由を考えているうちにわかった「ナノ粒子とPM2.5が脳機能(海馬、松果体)を破壊していくメカニズム」

 「全世界 認知症危険アラート(2050年まで1億3500万人が発症)」が鳴り響いている渦中にあって、In Deepさんが、「高速道路沿いに住んでいる人は、そうでない人に比べて、認知症になるリスクが7倍高い」ことから、ナノ粒子やPM2.5等による「最新型の大気汚染」がその要因になっている可能性を指摘しています。学術論文によってもハッキリとその因果関係が示されています。
 WHOの調査では、「世界の人口の92%が基準値を超す汚染された大気の中で生活している」とのことが、一番下の画像を見ると、日本も中国からPM2.5の影響をもろに受けていることが分かります。
「できる限りの自衛」をして、改善される方向へ舵取りされることを期待したいです。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

————————————————————————
これから全世界の92%の地域で進むこと……。主要道路沿いに住む人たちの認知症リスクが異常に高い理由を考えているうちにわかった「ナノ粒子とPM2.5が脳機能(海馬、松果体)を破壊していくメカニズム」
転載元)
・海馬 (脳)

・海馬 (脳)



2016年9月28日の米国 CNN の報道より
世界人口の92%、大気汚染の中で生活 WHO

世界保健機関(WHO)は、世界の大気汚染物質の分布状況を示した双方向地図を公開し、世界の人口の92%がWHOの基準値を超す汚染された大気の中で生活している現状を明らかにした。

(以下略) 

脳の海馬や人間の記憶機能は何により破壊されるか



先日、

健康ではない時代の健康情報 : 人体の新しい臓器の発見、高速道路の近くに住むと認知症リスクが飛躍的に高くなることが判明、大量の入れ墨が人間の免疫を高めること…など
 2017/01/10

という記事を書いたときに、その中に「高速道路沿いに住んでいる人は、そうでない人に比べて、認知症になるリスクが7倍高い」という海外の報道をご紹介しました。

カナダで650万人を対象にした調査によって、

高速道路から50メートル以内の範囲に住んでいた人たちでは、高速道路からの距離が300メートル以上の場所に暮らしていた人と比較して、認知症のリスクが7倍高かったことが示された。

(中略) 

「7倍」

はすごいです。


どんな病気に関する調査でも、「7倍リスクが高い」というのは、あまり聞いたことがないです。

(中略) 

そして、この「認知症7倍」のニュースを知った時に、「高速道路沿いだと認知症が異常に高くなる理由がわかれば、認知症の発生原因に大きく近づくはず」だと思ったのですが、今日、何となくボーッと考えていて、昔のニュースや論文などを思い出していましたら、非常に単純なメカニズムが浮かんでしまったのです。

それは、

「最新型の大気汚染」 

です。

(中略) 

最近になって異常なほど全世界で認知症が増えている理由のひとつが、「新たな大気汚染」だと確信します。

「新たな」というのは、かつての大気汚染と違うナノ粒子や PM による大気汚染のことです(中略)…

(中略) 

まず、最初に、(中略)…論文の概要をご紹介します。

(中略) 

Brain inflammation and Alzheimer’s-like pathology in individuals exposed to severe air pollution
NCBI 2004

重度の大気汚染にみられる脳の炎症とアルツハイマー様の病理 

大気汚染は、オゾンのようなガスや粒子状物質(PM)や有機物などによって引き起こされている。深刻な大気汚染に暴露した犬は、慢性の炎症と、アルツハイマー病のような病理を進行することが知られ、このことは、脳が大気汚染により傷害を受ける可能性を示唆している。

今回の研究では、このような重度の大気汚染の中で暮らしている人たちに脳の炎症が起きているのかどうかについて調べた。

この調査は、メキシコ国内の大気汚染が深刻な都市と、そうでない都市に住んでいる人たちの中で、病気や事故で亡くなった方々の脳を採取し、分析して行われた。それぞれの脳内のシクロオキシゲナーゼ(炎症反応を起こしている酵素)と、アミロイドβ(アルツハイマー病で、脳の神経の中に蓄積し、細胞を死滅させるタンパク質)の一部の AB42(アミノ酸 42個分の断片)の蓄積を調べた。


結果 

大気汚染の深刻な都市(メキシコ市やモンテレー市などの 10人)に住んでいた人たちの脳には、シクロオキシゲナーゼの量が前頭皮質と海馬において、統計的に有意に高く、さらに AB42の蓄積も神経細胞と星状細胞で多かった。

さらに、臭球(匂いを感じる細胞)でもシクロオキシゲナーゼと AB42の蓄積が多かった。

これらの発見は、重度の大気汚染が脳の炎症と AB42の蓄積につながっていることを示唆し、さらには、それらがアルツハイマー病の前兆である可能性を示唆しているといえる。

(以下略) 

(中略) 

これを簡単に書きますと、

「大気汚染のひどい場所に住んでいる人の脳は炎症を起こしている痕跡が見られ、アルツハイマー病で多く見られる物質(アミロイドβ / ベータ)が多く蓄積されていた」

ということ
だと思われます。

(中略) 


そして、認知症を語る上では「松果体」の存在も欠かすことができないですが、そのことにも少しふれておきます。


新しい大気汚染が海馬への直接の影響と「松果体の石灰化」を同時に進行させる可能性

 

以前、

多くの人類の松果体が破壊されようとしている現在に考える「多次元宇宙空間を理解する将来のために松果体を守るべき」時代 
 2015/02/22 

という記事に、科学誌「ニューロバイオロジー・オブ・エイジング( Neurobiology of Aging / 老化の神経生物学)」に発表された 2008年の論文の概要を記したことがあります。

アルツハイマー病における松果体の石灰化についての論文でした。

その内容の一部は以下のようなものでした。

Pineal calcification in Alzheimer’s disease: An in vivo study using computed tomography

アルツハイマー病における松果体石灰化 

今回の研究では、279人の記憶障害で病院を訪れた外来患者(アルツハイマー病 155人、認知症 25人、軽度認知症 33人、うつ病 66人)たちの松果体の石灰化の程度を決定するためにコンピュータ断層撮影を使用した。

そして、同様に石灰化していない松果体の組織の大きさと、個人内のメラトニンの不足の指標を調査した。

その結果、アルツハイマー病患者においては、石灰化していない松果体組織の大きさが、認知症の他のタイプの患者よりも有意に小さかった(松果体の石灰化している部分のほうが大きいという意味)。

また、アルツハイマー病患者における松果体の石灰化率は、他の認知症やうつ病よりも高かった。

数値として、アルツハイマー病では 76.2% が松果体が石灰化しているという結果となり、他の認知症では 63.7%、うつ病では 60.5%だった。

ということですが、大ざっぱにいえば、

「アルツハイマー病の患者の5人のうち4人の人たちの松果体が石灰化していた」

ということになりそうです。

(中略) 

そして、先ほどのように、記憶などをつかさどる脳の「海馬」の機能の問題が、認知症と関係しているであろうことは疑う部分がありません。

要するに、

・海馬
・松果体

をダブルで破壊されると、かなりの認知症リスクを抱えることになる
、ということになりそうです。

では、それらの「ダブル破壊」を達成し得るものは何かというと、それが、先ほどから書いている新しい大気汚染だと思われるのです。

というのも、松果体というのは、脳の中心にあって、血流の非常に多い器官です。

ですので、体内に入り込んだ後に、「血中に入り込む物質」の影響を受けやすい
と考えられるのです。

では、「ナノ粒子や PM 2.5 などの大気汚染物質は血中に入り込む可能性があるのか」といいますと、たとえば、PM 2.5 などには、粒子状物質 – Wikipedia に以下の説明があります。

PM2.5は非常に粒子が細かいため人体内の肺胞の中に入り込み、炎症反応や血液中に混入するなどの恐れがある。

(中略) 

もちろん、認知症を発症した後に、それを加速させるのがストレスである可能性が非常に高いことを、

アルツハイマー病の最大の原因が「ストレス」である可能性がアイルランドの大学の研究により突き止められる 
 2015/10/23

(中略) 

何しろ、今の世界は、下のグラフのように「全世界 認知症危険アラート」が鳴り響いている渦中にあるのですから。

2010年から2050年までの世界での認知症の推移の予測 

・DementiaToday

・DementiaToday



(中略) 

日本も、今も毎日のように、中国からの PM2.5 が及ぶ範囲となっています。下は 2017年1月13日の中国と日本の PM2.5 の濃度です。ピンクや赤の場所が高く、青が低い地域です。

・medical.yahoo.co.jp

・medical.yahoo.co.jp



中国本土は、もはや華々しいほどものすごいですが、日本も常に何らかの影響を受けています。

(中略) 

これらは「地球を認知症ワールドへと導いているかもしれない」のだと思うにいたったのです。

(中略) 

あとはもう、できる限りの自衛しかないのでしょうけれど、自分だけ自衛しても、社会全体が「そっち方面」に進めば、意味がありません。この世は一人では生きられないのですから。

Comments are closed.