[seiryuu氏]私たちの地域を豊かに幸せに。プラウト社会実現へ向けて。 〜3つのモデルケース〜 【第8回】

竹下雅敏氏からの情報です。
 プラウトでは具体的なモデルケースとして、“小規模の個人経営、協同組合、基幹産業”の3つに分けます。シャンティ・フーラ合同会社は、正に記事に書かれている通りの小規模の個人経営に該当することがわかります。しかし、プラウトの中心にあるのは協同組合です。協同組合と言うと、私たちは農協などを思い浮かべます。日本では残念ながら、協同組合のところで書かれている“必須の3項目”のどれ1つとして満たされていないという感があります。最初の“正直で信頼に足るリーダー”というところで、すでに蹴つまずいている感じです。多くの場合、こうした組合のリーダーは支配層に取り込まれていて、例えば農協の場合、リーダーたちは実質的に農家の敵になっています。彼らの役割は、TPPを農家の人たちに受入れさせることです。
 株式会社の場合、利益は株主が配当金として持って行ってしまうので、労働者の生活の向上という観点からは不向きなのです。健全で豊かな社会は、地方の中小企業の親方が元気な社会だということを心に留めておくと良いでしょう。
 大規模な基幹産業は、基本的に生活インフラを対象にしており、“公益事業として行政が設置する自治的機関によって経営されるべき”としています。基本的に、競争の起こりにくいこうした分野は、民間であるべきではないと思います。
 プラウトの理念にある経済システムは大変合理的で納得出来るものですが、これを多くの人が受け入れられるようになるには、意識をお金から幸福へと転換しなければならないでしょう。
 私は以前父親に、“お金はあるだけありゃ〜いいんよの。腐りゃあせんのじゃけん(広島弁)”と言われましたが、その時に、“必要のないお金を貯め込めば、人間が腐っちゃうよ”と答えました。私は本心でそう思っているのですが、私と同じように考える人たちが地球で大半を占めるようにならなければ、プラウトの理念は実現しないのです。
 人々が、少しでも多くのお金を我が物にしようという貪欲から経済システムを考えれば、今の資本主義が、最もその要求に応えるものになっているからです。
(竹下雅敏)
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私たちの地域を豊かに幸せに。プラウト社会実現へ向けて。
文:seiryuuさん

※地域から始めるプラウト(自立した豊かで幸せな地域へ)
*経済民主主義
(『〃』p78~97)

「経済的開放はあらゆる人の生得の権利である。経済的開放を実現するために、経済的権限が地元の人々に与えられなくてはならない。経済民主主義においては、地元の人々が、全ての経済的決定を行い、集合的必要性に基づいて商品を生産し、農業、工業の全ての商品を流通させる権限をもつ。」(P・R・サーカーp78)

 冨とは「今・ここにある」生活している人々と自然環境です。その「潜在力のすべてが最大限に活用され合理的に配分される」のがプラウトです。地域から始めるのです。だから全ての権限は地域の人々私たちが有するのです。逆に言えばそれだけの良識と責任が必要になります。依存姿勢では成り立ちません。既に本稿では、外部者からの収奪の実情を見てきました。地域にある私たちが目覚め自立していく気概努力なしには、これは繰り返されるでしょう。民主主義とは「与えられ守ってもらう」ものではなく、「獲得し努力して維持する」ものなのでしょう。成功のための必要条件と具体的モデルケースがが記されています。

・経済民主主義成功のための4つの必要条件(『〃』p79) 

1、あらゆる人を貧困と欠乏から解放させるために、生活の最低限の必需品を利用できること。
2、商品とサービスに対する購買力を向上させ、人々が自分の生活の質が向上していると実感すること。
3、地元の人々が生活に関わる全ての経済的な事柄を決定する権利を持つこと。
4、外部の者は地域経済に否定的に干渉することを禁止されるべきである。土地や資源について外部の者の所有権は認められない。その地域で得た利潤が、他の地域に送られたり蓄蔵されたりすることなく、その地域の生産的な事業に再投資されなければならない。

・三層構造の経済市場:運動における具体的なモデルケース 

1、小規模の個人経営

 「創造性と主体性を発揮させるために、個人や家族や少人数の共同によって自己所有のビジネスを始めることができるようにすべきである。彼らは非必需品や贅沢品の商品とサービスを提供できる。
 「共同で行うには小規模、複雑な」在宅事業、家族経営レストラン、小売店、手工芸製作、芸術家グループ、個人発明家など。」

2、協同組合

 「プラウト経済の機能と組織の中心である。経済民主主義において、自分たちの企業を所有し集団的に経営するのは、労働者の基本的な権利である。工業、商業、農業、銀行業は、生産者協同組合と消費者協同組合によって組織されるべき。それは、最低限の生活必需品をはじめほとんどの生産物とサービスを生み出し、プラウト経済の大部分を構成する。」

 ①正直で信頼にたるリーダー。②ガラス張りの経理による厳格な管理運営。③一般の人々が協同組合システムを心から受け入れていること。この三つが必須。

3、大規模な基幹産業

 「協同事業で経営するにはあまりに大規模化か、あるいは大規模かつ複雑なものは、大規模事業であるべきである。」。輸送、エネルギー、防衛、鉱業、石油、石油化学、鉄鋼は、全ての経済の不可欠な部分である。そのような基幹産業は、公益事業として行政が設置する自治的機関によって経営されるべきである。(注:ここでは主に生活インフラが対象ですが大銀行も加えるべきです)

 基幹産業は「無利潤―無損失」の原則で経営されるべきである。 

 この原則によれば、収益は再投資されるか、あるいは効率、品質、満足を最大限にするために労働者のボーナスとして支払われことになる。将来の赤字を補填する基金にあてることもできる。これらの事業は、私的に所有されていないので、株主や個人投資家に配当金として支払われることが無い。」。 

 プラウトはその具体的活動のモデルの中核に協同組合を置きますが、これにて組合員全員がその企業の株主になり、経営に携わります。大きな権限が委譲され同時に大きな責任も発生します。地域の問題、組合の課題は、それは「誰かの」でなく組合員全員にとって「私の」問題であり課題になります。小さくてもその地域にとってその企業(協同組合)がなくてはならないものになって行くにつれ、その構成員の全員が「大いなる働きがい、誇り、喜びを」持ちます。「地域にとってなくてはならない自分」であることを肌で実感します。つまりプラウトの3本柱の中核、「世界観、自己観の拡大」が育まれているのです。

 本質は協同組合という形態の重要さ以上に、中身の重要さです。「①正直で信頼にたるリーダー。②ガラス張りの経理による厳格な管理運営。③一般の人々が協同組合システム(帰属組織)を心から受け入れていること。」この必須の三項目の具体的実現が決定的に重要であり、プラウトを推進します。

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