突然なのですが思い出したので。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
俺は昔、浄化槽管理士をしてました。
空港や地下鉄の雑廃槽や浄化槽のメンテナンスをしていたワケですが、その頃の東京・某地下鉄での話です。
地下鉄の雑廃槽などは、基本的には最下層にあります。
また、地下鉄の営業時間内には作業できないので夜勤になります。
夜中に地上のバキュームカーから長~いホースを手で引っ張って繋げながら、最下層の雑廃槽まで行きます。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
また、酸欠防止の送風機やら工具やらいろいろ持っていきます。
…んで、雑廃槽などから汚泥などを吸い上げたり、ポンプのメンテをしたりします。
まぁバキュームカーでお気付きの方もいるでしょうが『臭い・汚い・カッコ悪い』の3Kな仕事なワケです。(笑)
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
…で、その雑廃槽やらは、汚物・ジメジメ・人は滅多に来ない…の条件を兼ね備えている為、虫が繁殖するんですよね。
いつ行っても虫天国なワケです。
でもきゃつらは逃げ足は超早い。
とは言え、我々とてプロフェッショナル。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
業務用ウルトラスーパー殺虫剤を各種取り揃えてあるワケです。
吊り下げ型から、噴霧型、地面・壁面設置型…なんでもござれ。
『どんな虫でもかかって来いや!』
『人間様の文明力・科学力・叡知の力(誤解)を見せてやるわ!』
ってな感じだったワケです。
そして闘いが始まりました。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
『食らえ!業務用ウルトラスーパー殺虫剤っ!(長)』
『ここを地雷源とするっ!(設置型)』
『汚物は消毒だー!(違)』
『ヒャッハー!逃げる虫は妖怪だ!逃げない虫は訓練された妖怪だー!』
『圧倒的ではないか!我が軍はっ!!』
確かに人間側の圧倒的勝利(?)でした。
この人間側の快進撃は一年ほど続きました。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
ところがある日、とある地下鉄の管理人から電話があったのです。
『この間、浄化槽清掃と害虫駆除を頼んだのだけど、虫がまだ沢山いるんだ!何とかしてくれ!』と。
社内特殊部隊(笑)に不穏な空気が流れました。
とにかく現場に急行です。
これが現場に到着した我々の顔(イメージ)です。(笑) pic.twitter.com/WcccQhB0ki
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
確かに管理人さんの言う通り、全然害虫が減ってないのです。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
増えてなかったのは救いでしたが、これではプロフェッショナルの面目丸潰れです。
ただ出動しておきながら何もしないワケにもいかないので、再度戦闘に。
ところが…
『隊長!業務用ウルトラスーパー殺虫剤(長)が効きませんっ!』
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
『な、何ぃっ!そんなバカなっ!?』
『動きは遅くなりますが、殺せません!』
『じ、人類の科学がっ!叡知が…負けるだと!?』
『押されています!命令を!』
『たっ退却っ!たいきゃくぅ~!』
…人間側初の(?)敗走でした。
ちなみに当時の俺は新米兵士。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
命令より前に逃げ出していました。(笑)
勿論、後で怒られました。
…お前らだって逃げたじゃねぇかよ。(泣)
このままではプロフェッショナル(笑)のプライドも、会社の評判的にも大問題です。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
空港や地下鉄は大口の顧客なので、失敗は許されないのです。
万が一、害虫が地下鉄の人が居るエリアにまで出てきたら、それこそいろんな意味で大変な事になります。
…そこで、作戦会議が開かれました。
対抗手段として、
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
『ギャラクティカマグナム殺虫剤(爆)』
の使用許可が下りました。(笑)
当時最強の殺虫剤でしたが、人体にも効く為に(怖)使用許可はまず出ない代物…。
正に人間側のリーサルウェポンにして諸刃の剣です。
まさかコレを使うところを見れるとは…というのは不謹慎?(苦笑)
満を持して、決戦の時です。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
『コレが人類の叡知っ!(誤認)』
『全弾持っていけっ!ギャラクティカマグナム殺虫剤っ!!(爆)』 pic.twitter.com/EwYV0nFrvE
『ゲホッゲホッ!』
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
『やった…のか?』
『皆、無事か!?』
『やべぇ、気持ちわりぃ…』
『こりゃマジ死ぬ、一旦地上へ…』
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しかし、またもや俺は指示を待たずに退却していました。
あんな毒ガスに付き合ってられっかっつーの。(笑)
隊員は皆マスクをしていましたが、社長がマキシマムケチだった為に安物しか無く(悲)、毒ガスが一部貫通したようでした。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
俺は距離を取っていた(逃げた)せいか大丈夫でしたが…。
まともに動けるのが俺だけになってしまった為、送風機で撹拌後に確認しに行く事に…。
…もはや、そこに命はありませんでした。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
まさに『グラウンド・ゼロ』って感じです。
虫たちの死骸がそこらじゅうに落ちていました。
『俺達は勝った(逃げたケド)のか…でも、これはちょっと酷すぎないか?』
俺はただそう思うしかありませんでした。
…その時!
配水管の側を何かが動いたのです!
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
『ま、まさか…!?(恐)』
ハエでした。
それと小さな羽虫とゴキブリ(?)が。
総数ほんの3・4匹でしたが、今までに薬物耐性を積み重ねてきた虫たちは、人間最強のギャラクティカマグナム殺虫剤にすら耐え抜いたのです!(驚愕)
ただ、とりあえずではあるものの撃滅作戦自体は成功。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
あの生き残った虫たちは気になりましたが、報告書を書いて帰路につきました。
『メンツも保てたし、まぁいっか。』
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そう考えていた時期が…俺にもありました。(笑)
あの『グラウンド・ゼロ』事件から半年後、また件の管理人から電話が来たのです。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
しかもかなり怖がっているのです。
『あの時はお世話になりました…。あ、あの、また虫が…出まして。いやその…ちょっと変なんです…虫が。またお願い出来ませんか?』
要領を得ない内容だったが、行ってみる事に。
行ってみると、また虫が出てきていました。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
しかし、数自体は『まぁこのくらいなら呼ぶ人もいるかもなぁ』くらいの数なのです。
『雑廃槽ならこのくらいは出ますよ』
先輩が言うと、
『虫を良~く見て下さい』
と管理人。
『…?』
良~く見てみると…
虫の甲羅(?)が明らかに厚くなっており、そのせいか個体の大きさもちょっと大きくなってるのです。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
なのに動きは早く…と言うか、フェイント(?)まで使うのです。(マジで)
(コレ…またギャラクティカコースちゃうんけ…)
そう思いつつ、
『い、一度本社に戻りませんと…』とお茶を濁す先輩。
…で、戻って社長に報告したら、
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
『あぁ、じゃあまたアレ使うか(ニコッ)』と『今だけ何とかすれば良い』みたいな事を言い出す始末。(鬱)
流石の先輩たちも嫌がったが、結局は業務命令って感じで使う事になってしまったのです。
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しかも2回も。
まるで原爆だぜ。
諸刃の剣とは一度使ってしまうと病み付きになるのか、滅多に使わないはずのギャラクティカ(略)を連発し、撃滅作戦パート2は完了。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
流石に今回は高級マスクを買って貰い(ただし2個だけw)、行動不能者は出さずに済みました。
地下鉄管理人もホッとした様子だったのです。
だが…撃滅作戦パート2から1ヶ月くらい経った頃、今度は地下鉄の駅長から電話が来たのです!
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
何でもまた虫が出たそうで、要するに『お前らには任せておけん!』みたいな内容だった様子で、応対した社長がペコペコしてました。
結局、浄化槽管理はウチがやるけど、害虫駆除は別会社に…で手打ち。
今さらだけど、ウチの会社のメインは浄化槽管理。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
害虫駆除の専門家…なワケではない。
ただ、浄化槽管理であれ害虫駆除であれ専門家もピンキリなワケだが、駅長はその道の害虫駆除エリート(?)にお願いしたのだった。
しかも時を同じくして『ギガ・ギャラクティカマグナム殺虫剤』が新発売に…。
どの辺が『ギガ』なのかと思い、裏を見てみたら『駆除力50%アップ(当社比)』『…なのに臭いはマイルドに』とか書いてある。(爆笑)
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
業務用で臭い気にしてどーすんだ!
そりゃ臭わない方が良いケドさ。
それに良く見たら、臭いがマイルド(笑)になった割には人体への威力はちゃんと50%増しらしい。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
『コレは最早、化学兵器ではないのか』
…本気でそう思った俺が居た。(汗)
どうやら社長はコレを使って、信用を取り戻すつもりらしかった。
…とは言ったものの、元々はこっちの不手際が原因で仕事を干されたワケで、社長もチャンスを伺っている感じでした。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
でも俺は『いい加減、もう殺虫剤じゃ無理じゃね?』と思い始めていた…っつーか、ギャラクティカマグナム殺虫剤には懲りた。(笑)
そんな悶々とした日々を過ごしていたが…
しばらくして、とうとう例のエリート害虫駆除会社が動き出したと噂に聞いて管理人さんに話を聞いてみたのだが、やっぱり『ギガ(略)』を使ったそうな。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
先手を打たれた社長涙目。(笑)
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ところが…と言うか、やっぱり効果的ではなかったようなのだ。
駅長がキレてたらしい。(爆)
問題なのは、その後にエリート達は『酸性の液体やガス』を使ったらしいのだ。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
確かに効果はあったようだが、俺達が最初にギャラクティカを使った時と同じようなパターンで、しばらくしたらまた出てきてしまったそうなのだ。
…勿論『酸耐性付き』で。(汗)
((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
それに酸を使ったせいで配管やら何やらが傷みやすくなってしまい、この作戦は急遽中止に。
— 名も無き者 (@DummyLostonline) 2018年1月1日
巷で言う『エリート』って本当は頭が悪いのかも知れない。(汗)
その後も『火を使ってはどうか?』とか『違うガスなら…』とか言っていたそうな。
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…死ぬ気か。(笑)
東京の某地下鉄の最下層にある雑廃槽などのメンテナンスをされていた方の、映画のような体験談です。雑廃槽とは、トイレの汚染水などが行き着く先のようで、そこに繁殖する虫たちの駆除を依頼された業者の悪戦苦闘が語られます。が、それは裏を返せば「人間」という凶暴な種族が「最終兵器」とも言える強力な殺虫剤を次々投入し、気に入らない生物を駆逐する過程でもありました。人間自身にもダメージの強い薬剤を使い、一旦は虫たちを全滅させた、、はずが。減らないどころか、薬剤に耐性を持ったタイプが即座に生まれ、虫の体型まで変化してゆくそうです。
取り上げたツイートでは結論を見ませんが、結局、この不毛な戦闘はどうなったかというと、業者さん達は強力な殺虫剤を使用することを止め、「放置」することにしたそうです。すると、一時は害虫の大繁殖で大変なことになったようですが、しばらくすると「生態系みたいなのが勝手にでき」、蜘蛛の巣は増えたけれども、害虫とされていた虫は減ったということです。天敵の蜘蛛がバランスを取ってくれたのでしょう。
・・・しかし、これでメデタシ、メデタシとはいかないことを、この体験者さんは最後にボソッと書かれていました。人間達の排泄物には、おびただしい添加物や薬などの化学物質が含まれていて、それらは少しずつ最終地の虫達を耐性化しているのだそうです。虫達がどんな変化を遂げるかは、私たちにかかっているのだと。
「地下鉄に居る時には思い出して下さい。 自分の足下には、薬の効かない怪物たちがいることを。」と締めくくっておられました。