ウエイン・ダグラス氏を襲った突然のめまい
ウエイン・ダグラス氏の「Benzo Case Japan」ってブログがある。

だれ? その人? 「ベンゾー・ケース」?

氏は
来日して10年以上になる、ニュージーランド人。
国際交流コーディネイターとして勤務していた
2000年5月ごろ、ひどいめまいに襲われた。
「午前2時頃、突然、頭が揺れたり、回ったりするような感覚で目が覚めた後、目眩の発作に襲われました。目の前が回転する感じで、部屋が時計回りにグルグル回っているようでした」(「
Benzo Case Japan」)

春から夏は、こういうグルグルめまいを起こす人が多いよね。
新学期とか、就職とかでストレスが多いからかな?

氏は
病院で検査を受けたが、べつに異常はなかった。
しかし、
症状はあいかわらず治らない。
そうしたある日、
「めまいの世界的権威」の名医をテレビで見つけ、早速会いに行った・・・。
が、これが運のつきだった。

運のつき?
診断は、「中脳水道症候群」。

中脳水道??
「豊後水道」なら知ってるけど・・・関サバ、関アジ!

おめえはすぐ、食いモンの話にすり替えるなって、脱線させるなよ。
彼は
名医が処方してくれた薬を、ろくに説明も聞かずに信じて飲んだ。

名医が出した薬だからね。
数週間後、めまいが落ち着いた。

すごい!! さすがに、名医だ。

と・こ・ろ・が! だ。
飲み始めて2ヶ月も経たないうちに、ひどいめまいが再発した。

なんてこった!

はじめのうちは、
酔っぱらったように足元がよろめく状態だったが、「パニック発作、不安、気分の動揺、攻撃性、気が狂いそうな感覚など、酷い情緒の不安定に苦しみ始めました」(「
Benzo Case Japan」)。

もともとそういう、精神的な病気を抱えていたんじゃ?

いんや、氏はこう言っている。
「
このような感覚は初めて経験するもので、今でも残存しています。
精神的におかしいと診断されて、異国の地で施設に送られ二度と出てこられなくなることを恐れました」(「
Benzo Case Japan」)

ニュージーランドに帰れずに、日本の精神病院で一生過ごすなんてゾッとする。

ついに
半年後、薬を止める決心をしたのだが・・・・・。
その頃には、
薬なしに生きていられなくなっていた!!

それ、中毒じゃん!
飲んでも地獄、飲まなくても地獄

「
一日24時間、一週間のうち7日、毎週毎週、毎月毎月、酔っぱらったかのようで、パニック発作など数えきれないほどの消耗する症状や、
気が狂いそうな感じが全て同時に起きて、それが一年以上も続くのです。そんな中、何のサポートも受けずに異国の社会で普通に生きていこうとすることがどれほどのことか想像してみて下さい。その年の11月、
母親に電話で、『お母さん、地獄にいるようだ』と言った時、私が何を伝えたかったか、少しは理解してもらえるのではないでしょうか」(「
Benzo Case Japan」)。

ええ? そんな深刻な?
飲んでも地獄、飲まなくても地獄。
仕事もできなくなったダグラス氏は、人生で初めて自殺を考えた。

いったい、何を飲まされてたの?
処方されてたのは、3種類のベンゾジアゼピン系安定剤(コントール、リボトリール、グランダキシン)のミックス、それに三環系抗うつ薬(トフラニール)、抗炎症剤(イブジラスト)。

ちょっと待って! めまいだったよね? なんで安定剤や抗うつ剤が出てるの?

めまいのほとんどはストレスが原因だ。
精神を鎮めて深く眠らせることで、ほとんどのめまいが消えるのも事実だが・・・。

医者は出すとき、何も注意しなかったの?

全ての薬には多少の副作用はあるが、この程度だったら依存性はないし、副作用もほとんどないから、長期間飲んでも大丈夫だと言ったそうだ。

だけど、
止められなくなった上に、新しい症状も加わったってことは、依存性も副作用もあったってことだよね。

ついに
彼は決心して、母国ニュージーランドに帰国した。
しかし、
空港に出迎えた母親は、彼が息子だと気づかなかったという。
「
私が死にかけのゾンビのように見えたと母は言っていました」
「
母は、たった100メートル離れた病院に私を連れて行くのに、車で送っていかなければいけませんでした。当時の私はそこまで
歩くことすら出来なかったのです」(「
Benzo Case Japan」)

薬で、そんなに変わり果ててしまった・・・・・。

地元の医師から、
飲んでいる薬には強い依存性があることを知らされ、「ベンゾジアゼピン中毒」と診断されたそうだ。

一発で「ベンゾジアゼピン中毒」って、わかったの?

ダグラス氏が飲んでいた、
3種類のベンゾジアゼピン(コントール、リボトリール、グランダキシン)が原因なんだが、長ったらしいから「ベンゾーくん」と呼ぼう。

「△べ△ンゾーくん」。

別名、ゲリゾーとも呼ばれる・・・・って、おめ、おれになに言わせんだよ!

ひどい! 自分だって同じ連想したくせに!

ま・・・とにかくだ、
彼はニュージーランドの医師に紹介された「アルコール・薬物依存治療科」で、4ヶ月間の解毒治療プログラムを受け、2ヶ月足らずでベンゾーくんと縁を切ることができた。

「薬物依存治療科」に頼らなければならないほど、やっかいな中毒だったんだね?

しかし、
退院した後もしばらくは、いやな症状に悩まされ続けたという。
お母さんを襲いたくなる衝動を抑えるのに、疲れ果てたって言ってる。

コワい! 完璧に精神異常。
ベンゾーくんのしつこさは、いわゆる麻薬のヘロインやコカインよりもしつこいんだそうだ。

たしかに、ベンゾーくんの時間稼ぎ・イミフ答弁はいつもしつこくて耳ふさぎたくなるよね。

また、そっちのベンゾーくんかい?
とくに
ベンゾーくんは、GABAの受容体を鈍くするらしい。

GABA? ガバッ?

・・・ギャバ。
「
ギャバは、脳に存在する抑制系の神経伝達物質として、
ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせる働きをしています。ドーパミンなど興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑えて、
リラックス状態をもたらす作用があるのです。」(「
GABAとは?」)

GABAが作動しなくなると、リラックスできなくなる。
だから、地獄になったんだよ。
デート・レイプ・ドラッグとしても有名なベンゾジアゼピン

しかも不名誉なことに、
ベンゾーくんはデート・レイプ・ドラッグとしても有名だ。
「睡眠導入剤フルニトラゼパムがよく用いられており、
多くの国々が厳しい規制をかけている」(「
デートレイプドラッグ」)

デート・レイプ・ドラッグの代表格も、ベンゾーくんの一味だったとは。
ベンゾーくんのお友だちが、そういうの使って犯罪おかしたもんね。
そんなコワい薬が、日本ではどこの病院でも気軽に処方されてるんだぜ。

でも、日本じゃ別に問題になってないし、あまり使われてないんじゃ?

と・こ・ろ・が!
ベンゾーくんを置いてない、または処方してない病院やクリニックは、日本にほとんど無いと言っていい。
どこの病院でも日々、処方されてる薬だ。

ゲゲッ!! そうなの?
でも日本じゃ、事件にもニュースにもなってないし。

どれどれ?
なにこれ! お母さんもバアちゃんも飲んでるし、ジイちゃんの処方箋にも入ってる。
うわ! お父さんもこれ飲んでる。
ぼくが肩が痛くて整形外科にかかったときに、
痛み止めと一緒に出された薬もある!

お、お、お・・・おめえんちって、ヤク漬け一家・・・・まあいっか。
っで、わかったか?
ベンゾーくんが、日本ではごくごくふつうに飲まれてるってこと。

でも、ベンゾーくんが麻薬みたいに中毒になる薬だ、なんて先生は言ってなかったよ。
ほとんどの日本の医者は、知ってんだか知らねえんだか、
安易に処方している。
ダグラス氏はそれを警告するために、日本で訴訟を起こした。

ええっ、訴訟! 病み上がりで、慣れない日本語で、仕事もお金もなくて?
日本の医者たちに、自分のような被害者がいることを訴えたかったんだろう。
およそ
10年におよぶ裁判で、ダグラス氏は最終的に最高裁判所の入り口までたどり着いたが、2011年、彼の請求は棄却された。

そこまでの熱意、あっぱれ!
「ベンゾーくん中毒」の第一人者、英国ニューカッスル大学のヘザー・アシュトン教授は、ダグラス氏のケースを「薬そのものが原因だ」と述べたそうだ。

世界ではすでに常識なんだね。

それでも
日本の裁判所は、氏の服用量が基準の範囲内だから副作用ではないとした。

それなら
なぜ、変な副作用が出たり、止められなくなったりしたんだろう?
耐性だ。
薬は同じ量を飲み続けていると、体が認識しなくなる。

つまり、飲んでるのに効かなくなるのね。
ベンゾーくんを飲むと安心感が生まれる。
だから、
不安になると飲みたくなる、飲むと安心、そして薬が切れるとまた不安に・・・・。
それを
繰り返すうちに、同じ量じゃ効かなくなるので量が増える、どんどん底なし沼だ。
しまいにゃベンゾーじゃ物足りなくて、麻薬に手え出すことになる。
ダグラス氏の場合は、量が増やせなかったために禁断症状が出たんだ。

これは、いわゆるヤク中毒だね。
さらに危険なオピオイド、期待される安全な大麻
最近アメリカで、トランプ大統領が非常事態宣言を出した「オピオイド」。

「オピオイド」って、なに?
「オピオイド」はケシから作られるヘロインとかコデインの総称で、れっきとした麻薬だ。
日本じゃ、がんの緩和ケアで末期の人には使用を許されている。
「
オピオイドは医療用の鎮痛剤で、腰痛からガン治療まで幅広く用いられている。陶酔作用があるため過剰摂取される傾向があり、
依存症や死亡に至るケースが多発。」(「
問題なのは処方薬『オピオイド』」)

アメリカで、乱用されてるの?

ヤバい! 気持ちよくなっても、息ができなくなる!

そもそも
これは、死刑執行前に受刑者に飲ませるカクテルなんだと。
アメリカ・
ウェストバージニア州では、薬物中毒患者のために救急車が出動しっぱなしで、路上でゴロゴロ死んでる人も。(
NHK)

ひえええ!!
でもさ、そんな危険なヤクよりも、もっと安全で効果のあるものがあるんだけどなあ。

お! なんだよ、言ってみな。

大麻だよ。
このグラフを見てよ。
(
Wikiより引用)

おお!
大麻はアルコールやニコチンより、致死量も依存性も低いじゃねえか!

それに、
鎮痛効果も、精神安定効果もあるし。薬以外の用途も、多種多様だよ。

トランプ大統領も、「オピオイド」乱用で非常事態・宣言するくらいなら、
医療用大麻も嗜好用大麻も、全米で解禁すりゃいいのにな。
解禁した州も増えてるけど、州法で認められてるだけで連邦法では違法なんだ。
現在トランプ政権は、製薬会社のお偉方や、麻薬売人の一掃に取りかかっているからな。
そいつらがいなくなれば、アメリカ全体で大麻を合法にできるだろう。
アメリカが変わったら、日本も全面解禁になる日が来るのかなあ。
ぴょんぴょん
Writer
白木 るい子(ぴょんぴょん先生)
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

その薬がどれほど恐ろしいものなのか、一般の人たちどころか、医者さえよくわかっていません。
在日外国人のダグラス氏が、ベンゾ系・薬物による被害経験について書いたブログ「Benzo Case Japan」で、あらためてベンゾ系・薬剤の危険性について認識しました。