ぴょんぴょんの「インドの光と影」

 若いころインドを訪れたときは、すべてが珍しく、新鮮で輝いて見え、貧しくても汚くてもインドが好きでした。
 しかし映像配信で、クリシュナをはじめとするヒンドゥーの神々の真実、マヌ法典について学び、それをインドの現実と照らしあわせたとき、いかに歪んだ国なのか気づかされました。
 若いころ見たインドは、こうあってほしいという理想を重ねたインドだったのです。
 かなりの闇を抱えるインドですが、それでもなお、インド映画やインド・カレーは大好きです。

(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「インドの光と影」


ごった煮・娯楽のインド映画


くろちゃん、インド映画って好き?

ああ、踊るマハラジャ」とか楽しいよな。
ラブ・ロマンスかと思えば、コメディだったり、ブルース・リーもどきの格闘シーンがあるかと思うと、歌と踊りのお祭り騒ぎ。


ああいうごった煮・娯楽映画はかつて、マサラ・ムービーって言ってたけど、最近はボリウッドの方が通じるね。
あ、ボリウッドって、ムンバイ、つまり昔のボンベイの映画産業にハリウッドを合成してるのね。

チープなネーミングだな・・って、インド人にとって映画は、最高の娯楽なんだろ?

インドの映画館て座席もゆったりしてるし、売り子が席まで来るし、音響装置もハイレベルで日本よりいいんだって。

そういやあ去年、インドで上映禁止・運動が話題になってなかった?

それ、「Padmavati(パドマーヴァティ)」のことでしょ? 
伝説の美女、パドマーヴァティを描いた歴史大河ドラマ。
パドマーヴァティの子孫を名のる一族から、クレームがついて騒ぎになった
みたい。

西郷隆盛のドラマを作るのに、西郷どんの子孫がクレームつけるみたいな?

日本じゃあまり、そういうこと聞かないけどね。
インドは一族の誇りってゆうか、プライドが異様に強いんだと思う。

で、「パドマーヴァティ」ってヤツも、「踊るマハラジャ」みたくドンジャン・ドンジャン♪歌って踊るんかな?

ちがうちがう、シリアスタッチの美術品みたいな映画だよ。
こんな感じ。




おっ!! 美人だな! 
ただし、こうゆう伝説の美女って、創作が入ってるから割り引いて見ねえとな。
実際はブスで悪女でも、おとぎ話の中では美女にも聖女にも仕立てられるからな。

な、な、なんだって! くろちゃん、ぼくの夢をこわさないでよお!

おっ? おめえは、こういうのが好みなんだな?

だって、きれいだよ。ハリウッドや日本の女優よりもきれいだと思わない?

たしかに、インドは美人が多いな。整形してるのかな?
しっかし、男優がショボくね?

その通り。インド映画は女優がメインで、男優にカッコいいのがいない。

「踊るマハラジャ」でも、ズングリムックリのおっさんが主役なのはビックリだ。
そいつがメタボ腹をゆらして、歌って踊って、ラブシーンやって、漫才やってな。

インドの女優さんは、きれいなだけじゃなくて踊りもうまいよ。
「Umrao Jaan (ウムラオ・ジャーン)」て、1981年の映画なんだけど、踊りがすばらしい。



おっ、この女優はきれいだが、ちょっとコワイな。
しかし、踊りがスゲエ。本物のインド舞踊をマスターしてるって感じだな。
AKBとは、わけがちがう。

だけど、これはとっても悲しい物語なんだ。
「ウムラオというのは、ヒロインの名前で、ジャーンは愛しい人という意味で、日本語に訳すと『愛しのウムラオ』になります。・・・・・これはインドの芸者の物語です。」(インドの芸者の物語)

インドにも芸者がいたのか?

そう。日本とよく似てるの。
ウムラオは、幼いときに誘拐されて芸者置屋に売られたんだ。
そこで歌や踊りをしこまれて、一人前になってデビューしたけど・・・。

インドでは、そういう幼女の誘拐や人身売買が今でもあるんだろ?
芸をしこんでお客を喜ばせ、その後もお客の相手をさせられる。

日本も昔はそうだったよね。
ウムラオを気に入った金持ちが、彼女に結婚を申しこんだんだけど、家族の反対で実現しなかった。身分がちがい過ぎるもんね。

つらい話だな。実際に、たくさんあった話だろうな。

彼女は昔の記憶をたどって、ついに自分の生まれた家を探し当てるんだけど・・・・・。

たぶん、歓迎されねえよな。芸者っちゅうか、売春婦は恥だからな。

そうなの。お母さんは少しも喜ばないどころか、彼女を追い返すんだよ。
それで彼女は泣く泣く、もとの生活に帰っていくとこで終わるけど。


インドの闇


インドの状況は、今でもあまり変わってねえよな。
経済はどんどん発展してるのに、未成年売春も多いし、
全世界で実施される女性の不妊手術の約40%が行われており、平均21分に1人の女性がレイプされ、全女性の3分の1は読み書きができないでいる。」(「生まれながらの売春婦(インド)」)

インドの女性たちは、かなり悲惨な状況にあるね。

pixabay[CC0]


「米国務省は13年 人身売買報告書のインドの章で
人身売買への政府関係者の関与は深刻な問題であり、政府はほぼ放置状態だ。
腐敗を取り締まる側に、性目的の人身売買の犠牲者の移動に手を貸したり、人身売買の容疑者を保護したり、賄賂を受け取ったりしている者がいる』と報告した。」
(「生まれながらの売春婦(インド)」)

政府関係者が絡んでるとは!

インドの性目的の人身売買産業は40億ドル(約3920億円)規模。
売春婦は300万人。うち120万人は18歳未満
だ。」(「生まれながらの売春婦(インド)」)

コルカタの「ソナガチ」という有名な売春街には、インドだけじゃなくて、隣国のネパール・ミャンマー・バングラディッシュからも、人身売買や誘拐で連れてこられた女性が多いそうだよ。

真昼のインド売春街と巧みなインド商人@コルカタ」には、そこを歩いた兄ちゃんのコメントが書かれている。
インドの闇の部分が凝縮される売春街ソナガチ。ストリートを歩くだけで、そのヤバい感じが十分伝わった。宿の入り口にはサリーを纏った娼婦たちが立ち、ジッとこちらを見ている。
その目に僕の理解の及ばない悲壮感を読み取り、なんか居たたまれない気持ちになった。
通りの人は疎らであり、かつ、東洋人が珍しいためか、その視線を両サイドから一斉に浴びていた。僕の”一挙手一投足”を観察されているような感じで、身体全身が凍り付く。
そしてインドの風俗事情は、他の国のそれとは一線を画していることを知っているためか、
なんとなく気分が落ちてしまった。」

日本の風俗産業でも、薄ぐらいイメージがあるけど、ここは凄惨な空気があるね。

しかも、インドはレイプ大国だしな。
2012年首都デリーで、彼氏と映画を見た帰りに、バスの中で女の子が6人の男性からレイプされた上に殺された。
2013年、夫婦で自転車・旅行中のスイス人女性が、森の中でキャンプをしていたところ、複数の男性から襲われた。
2015年1月、日本人女性(22)が1か月近くにわたって監禁され、集団性的暴行を受けた。男6人は、現金を奪った上で数週間にわたり監禁し、暴行を加えていた。

こんなの、氷山の一角だよね。泣き寝入りしてる女性もたくさんいるはず。


インドじゃ、レイプを訴えても相手にされないから、かなりしんどいな。
女性に対する暴力が問題なのは、それが深刻な暴力とみなされていないだけでなく、しばしば暴力とさえみなされていないことだ。ときに加害者は逮捕されることも非難されることもない。悪いのはあくまで被害者だからだ。その意味で、女性に対する暴力は、現代インド社会の文化の一部であり、日常生活の一部となっている。」(Synodos)

詩織さんも、大変な思いをしたと思うけど。

日本では明らかな犯罪ではあるが。
被害者が勇気を振りしぼって訴えたにも関わらず、その犯罪を、政権が警察権力を使ってなかったことにする。日本も完全にオカシイ。

見て見ないふりのインドと、いい勝負だね。
性的被害を受けた女性は慰められるどころか、非難されたり、村八分にされるので言い出しにくい。それでも、インドのレイプ事件が急に増えたように見えるのは、勇気を出して訴え出る女性が増えたからだって。#MeTooも広まってきてるしね。

インドじゃ、残酷なレイプ殺人事件が相ついだので刑法が改正され、強姦の最高罰則が死刑になったけど、そのことについてレイプ犯がなんて言ったと思う?
「今ではレイプした後に女性を解放せずに、殺すだろう。」(「インドのレイプ事件の背景③」)

うわああああ??! コワい!

裁判で、「女はレイプされるものだ!」と主張するレイプ犯もいるそうだ。
加害者は教育も受けられないくらいに経済的に貧しくて、結婚することも許されない。
そういう、社会的に見放された状態で、満たされない欲求を果たすために犯行に及ぶ
と考えられる。
ところが、レイプ裁判にかかわる弁護士もこんなこと言ってる。
女性とは即ち男性にとっての性の対象を意味する。」
「我々は素晴らしい文化を持っている。我々の文化には女性のための居場所はない。
もし自分の娘や姉妹が、婚前交渉を行い、自分の顔に泥を塗るならば、彼女らを家屋に連れて行き、家族全員の前で、油をかけて、火をつけるだろう。」(「インドのレイプ事件の背景④」)

ぶったまげた!! 社会的地位のある弁護士まで、そんなこと言うの?

上から下まで同じメンタリティってことは、結局カーストだな。

やっぱ、行きつくところはカーストかあ。たしかにそこが諸悪の根源だね。


カーストに属さない人間には何をやっても許される。全てはカースト制度のせいだ。
そして、この紀元前から続くインドのカースト制度の差別から女性軽視が行われ、レイプ事件が多発してしまっている。
インドでは男尊女卑の考え方がとても強く歴史的、文化的、宗教的に根強く残っている。これがインドのレイプ・暴行事件・女性軽視の風潮が絶えず続いてしまっている原因なのだ。」(「ASEAN 海外移住 アジア タイのススメ」)


元凶はマヌ法典にある! カーストが無くならないのはこいつのせいだ。
カーストが違う男女が愛しあっても、結婚できない。最悪の場合は身内に殺される。
いわゆる「名誉殺人」が、今でもまかり通っている。

言うけどね、殺人に名誉も何もないよ。

そして男尊女卑も、マヌ法典から来てる。
講座で紹介されたように、マヌ法典5・148にはこう書かれている。
「幼いときは父の、若い時は夫の、夫が死んだ時は息子の支配下に入るべし。女は独立を享受してはならない。」
女性は一生、所有物ってこと
だ。

結局の所、女性は奴隷ってこと?

支配者、男性に都合のいいように作られた法典だな。
竹下先生も、講座の中でこうおっしゃっている。
「女性というものを、ものかなんかと思ってんじゃないの?」
マヌ法典は、「非常に邪悪な聖典だと思います。」

そして結論、「も・・のすごく、根深い女性差別」が「今でもインドの世界を縛っている。

あああ、その通りだね。
でも日本だって、エラそうな顔してられないよ。

家庭内暴力も、レイプ事件も、セクハラも日常茶飯時に起こってるしな。
日本の男尊女卑も根深いもんな。


男尊女卑があると、「夫婦の愛」は育たないよね。
だって、愛の中でも、「夫婦の愛」がダントツで、悟りへの一番の近道だったよね。
インド、もしかして、悟りから遠いところにいるってこと?

どころか、「性暴力」「権力欲」「名誉欲」「所有欲」でいっぱいって感じだ。
つまり、愛の正反対にいるってわけだ。

そうだね。一人ひとりが「夫婦の愛」で満たされたら、よそに目を向ける必要もないから売春業も成り立たなくなるし、ましてやレイプなぞする気も起こらないから、法律で取り締まることもいらないね。

「夫婦の愛」を育てることによって、真逆にある「性暴力」が消える。
そうなると、人身売買や売春でボロ儲けしてたやつらは商売上がったりだ。

そうか、今わかったよ。
マヌ法典によって抑圧されてきた人びとの、欲求不満や怒りをなだめ、ごまかすために、インドの映画産業が一役買ってることが。

ほとんどのインド国民にとってインド映画は、なくてはならない現実逃避の娯楽だからな。

ふう〜。
重たい話が続いたから、お口直しに、アイシュワリヤ・ラーイ 主演の「Devdas(デブダース)」から「Dola Re Dola」でもどう?



「デブダース」? デブの話かと思ったら、イエーイ! ノリノリのダンスだあ!
二人の女優のうちヒョロっとした方が、アイシュワリヤ・ラーイだな。
たしか彼女、中西征子さんのイラストにも登場してた。
(Aishwarya Rai)
もひとりの、Madhuri Dixit(マードゥリー・ディークシト)もすっげえ美人!

まさに夢の饗宴、現実逃避でしょ。

ああ、久々に目の保養をさせてもらったぜ! サンキューな!

ぴょんぴょん

Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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