ジュンク堂書店難波店ですごいフェア「店長本気の一押し STOP!ヘイトスピーチ、ヘイト本」

 昨年末からポツポツ目にしたツイートがありました。
ジュンク堂書店難波店が「店長本気の一押し STOP!ヘイトスピーチ、ヘイト本」というフェアをやっているというものです。今時の書店では判で押したように、頭ツルツルのあべ友本が所狭しと積まれていることが多いですが、それを思うと異例の風景です。
ネット上では好意的なツイートが多く、書店の物量作戦のヘイト本にウンザリしている消費者も多いのでしょう。
 この福嶋店長さんは知る人ぞ知る伝説の店長らしく、2014年のブログを拝見すると「嫌中憎韓」という造語とともに盛んに出回り始めたヘイト本を、日常の仕事として「書店の目立つ場所に展示する」ことへの違和感に理解を示されています。
 今回のフェアで平積みにされている一つは「NO!ヘイト」という本で、書店員や出版社、業界内部からヘイト本の製造責任を問うている書物です。書棚がヘイト本に埋め尽くされること自体が、訪れた市民に嫌中僧韓を煽るものだと抵抗を感じる書店員に対し、表現の自由だ、売れ行きが良いのだから構わない、という反論もあります。
このような中で福嶋店長は、自らはヘイトもヘイト本も大嫌いだとしながらも、そのような批判すべき本を書棚から外すということはしない、と断言されていました。ヘイト本が溢れる現状を隠したところで、その事実が無くなるわけではなく、むしろそうした批判すべき本を読んでみる必要があるとさえ語られました。それだからこそ、この度のフェアにも、ヘイト本とされるものが一緒に並んでいるのでしょう。
 2014年のブログから現在に至るまで、今も変わらず書店は言論操作の手段にされっぱなしです。
福嶋店長の「ヘイト本を並べる書店員もヘイトの当事者であり、時に加害者でもある」という当時の言葉そのままに、今回のフェアに繋がったのだろうと想像しました。
 本を商売の道具としない書店があるのは、とても幸せなことです。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)






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○第147回(2014/12)

(前略)
  今書店の店頭は、「嫌中憎韓」本で溢れている。多くの新刊が出され、送り込まれ、そして実際にそこそこの売上げを見せるそれらの本を、書棚の目立つ場所に展示して行く書店員が、それらをつくり、書店に送り込む出版社が、日常の仕事の中に埋没させながらも確かに積み重ねてきた違和感が一冊の本として結晶したのが『NOヘイト!』である。
(中略)
(中略)書店現場からは、書棚が「ヘイト本」で埋め尽くされることに抵抗を感じる声が多く寄せられたが、一方で「表現の自由を否定するのか」などといった反発、「編集者や出版社は、思想に奉仕するためにあるものではない」、「出版社が売れる本を出すのは当然だ」という反論もある(中略)
(中略)

 木瀬さんは、語る。

 “「表現の自由」とは、為政者・国家からの表現者の自由を言い、「何でもあり」ということではない。我々業者じしんが、製造者責任を問うのは、「表現の自由」には決して抵触しない。書店に「嫌韓本」が並んでいるのは、攻撃対象である「在日」の人たちに大きな心の傷を与えるから、間違いなくヘイトクライムである。規制して当然だ。”
(中略)
(中略)ぼくは概ね次のように答えた。
 「このイベントに参加できて、嬉しく思っています。(中略)
(中略)
しかしそれでも、書店の人間として、ヘイト本を書棚から外すという選択は、しません。現にそこにある事実を覆い隠しても、それが無くなるわけでもなく、見えなくするのは結局良い結果を生まないと思うのです。むしろ、そうした批判すべき本を、実際に読んでみる必要があると思います。(中略)

(以下略)

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