福島県を含む8県の水産物に対する、韓国の輸入禁止措置が妥当であるとWTOの上級委員会が最終判決を下す ~EU、中国、インド、台湾、カナダなど22カ国が輸入制限

竹下雅敏氏からの情報です。
 韓国は、食の安全の観点から、福島県を含む8県(福島・茨城・群馬・宮城・岩手・栃木・千葉・青森)の水産物に対する輸入禁止措置を取っているようです。この韓国の措置が妥当であるという最終判決を、WTOの上級委員会が下したとのことです。
 “続きはこちらから”の記事によると、“米国などは、韓国とほぼ同範囲の広範囲の輸入規制をかけている”とのことで、輸入制限をかけている国は、EU、中国、インド、台湾、カナダなど22カ国だということです。
 日本の敗訴が確定した訳ですが、この決定の意味するところは、福島を中心とする水産物の安全性が担保されていないということではないでしょうか。輸入制限をかけている22カ国は、国民の健康、食の安全を優先して、このような措置を取っているわけです。それに対して日本は、“食べて応援”なのです。国民の命よりも金(貿易)の方が大事だということでしょう。
 反原発で、食品の安全性に気を使っている人たちを、「放射脳」と言って馬鹿にしている人たちがいますが、国際的な視点から見て、馬鹿なのは彼らだということは、この判決からも明白だと思います。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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福島水産物輸入禁止、引き続き維持へ韓国、予想を覆しWTOで勝訴
引用元)
  韓国政府の「福島水産物」輸入禁止措置がそのまま維持される。韓国と日本が約5年間にわたって繰り広げてきた貿易紛争で、韓国が当初の予想を覆し、事実上、勝訴した。

  世界貿易機関(WTO)上級委員会は11日(現地時間)、日本が提起した福島水産物輸入禁止措置提訴事件で、韓国の措置が妥当であるという最終判決を下した。1審にあたる紛争処理小委員会(DSB)パネルの判定を覆す結果だ。
(中略)
 WTOの判定により、2013年9月福島県を含む8県(福島・茨木・群馬・宮城・岩手・栃木・千葉・青森)で水揚げ・加工された28魚種の水産物に対して下された輸入禁止措置は今後も維持することができる見込みだ。
(以下略)
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韓国 8県の水産物輸入禁止 日本が逆転敗訴 WTOが報告書
引用元)
原発事故による汚染水問題を理由に、韓国政府が福島など8つの県の水産物の輸入を禁止していることについて、WTO=世界貿易機関の上級委員会は、韓国側に是正を求めた第1審にあたる小委員会の判断を取り消すとした報告書を公表しました。日本の主張が退けられ、事実上、敗訴した形となります。
(中略)
WTOの紛争処理は2審制のため、これが最終的な判断となり韓国側が行っている輸入禁止措置は継続されると見られます。
(中略)
鈴木五輪相「五輪・パラでも被災地食材を積極活用」
鈴木オリンピック・パラリンピック担当大臣は閣議のあと記者団に対し、「被災地の皆さんは、風評被害に大変苦労されているわけで残念だ。オリンピック・パラリンピックに関しても、被災地の食材を積極的に活用したいと思っている。そういうことも通じて、風評被害を払拭するため、被災地でできる食材のすばらしさをぜひ発信していきたい」と述べました。
(以下略)
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配信元)


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WTO 日本は世界と戦って敗れた  安倍政権の国際感覚の欠如と失政
転載元)
韓国が採った福島県を中心とした東北・関東地方産の水産物の輸入制限措置を、日本政府が2015年8月20日、WTOの紛争解決機関に対して、提訴したケースについて、4月11日、WTOの上級委員会は、韓国の措置を違法とした一審パネルが下した判断を覆し、日本の請求を斥け、日本の敗訴が確定した。
 
 私はこの決定を歓迎する。
WTOもたまにはまともな判断をするという印象である。
このことは日韓の立場を逆にして考えてみれば、容易に理解できるはずだ。
(中略)
現時点では判断理由は報道されていないが、この決定は、WTOの基本的ルールであるSPSルール(食の安全より貿易の自由を優先させ、輸入制限措置を採るためには有害であることの「十分な科学的証拠を示す」ことを求める)に風穴を開ける可能性があるように感じている。

そうであれば、有害性が「十分な科学的証拠」をもって明らかにはされていない 遺伝子組換え食品に対しても、しかるべき政府は、WTO紛争に巻き込まれることを恐れず、国民の不安に応えて、輸入禁止措置を採ることが可能になるだろう。
 (中略)
とくにブログを更新する必要を感じたのは、このケースがまるで日本と韓国の間でのみ争われ、日本が敗訴したかのように報じられている点に強い懸念を覚えるからだ。
ひどい偏向である。
(中略)
WTOの紛争解決制度には、第三国の参加制度があり、利害関係を有する第三国は、他国間の紛争解決手続に参加することができる。(中略)… 韓国と同様に日本の水産物について放射性物質のおそれから輸入制限をかけている国は、日本経済新聞の記事によれば、現在22カ国であるとのことである。

輸入規制をかけている地域、魚種などはそれぞれ広狭があるが、たとえば米国などは、韓国とほぼ同範囲の広範囲の輸入規制をかけている。
(中略)
米国と同様に、このケースに参加した第三国には、次のようなメンバーが並んでいる。
 
EU、中国、ロシア、インド、台湾、カナダ、ブラジル、ニュージーランド、グアテマラ、ノルウェー。
 (中略)
安倍政権下の国際裁判で日本は敗訴を重ねている。
国民は、あたかも日本の敗北であるかのように受け止め、安倍政権が国際感覚からかけ離れた独善的な政府であることに責任を求めようとしない。
 
 確認しておきたい。
今回のWTO紛争解決制度における敗訴は、安倍政権の傲慢がもたらした失政であり、安倍政権の敗訴なのである。

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