ユダヤ問題のポイント ― 特殊稿10 ― カバラ(2)

 例えば初心者が登山をするとなれば、ガイドを雇うなり、ベテランの登山経験者に同行を願い、目指す山の山頂に向かうでしょう。そしてその山には、速やかに山頂に到達し、下山できる簡単で安全な正規ルートがあったとします。しかしその山を熟知する“山の主”のような案内のガイドたちが示し合わせて、登山者に対しわざと“正規ルートから外れた危険な小道に案内してはまた正規ルートに戻る”、これを繰り返し、時間をかけることで登山者を途中下山させることを続けていたとしたら…。
 いかがでしょう。事情の分からない初心者登山者ならば、雇ったガイドを「悪辣だ」と批判するでしょうか? むしろ逆に「こんな複雑困難なルートを案内できる」と感心し、尊敬し依存するようになるのではないでしょうか?
 地球上に現存する全ての宗教にこの傾向がありそうです。何しろ現存宗教を作ったのは同じ存在で、ホワイト・ロッジのハイアラーキたちだからです。そしてこの傾向の臭いが特に強く感じられるのが私にはカバラなのです。
 さて、カバラにおいて「生命の樹」(セフィロトの樹)は重要です。「生命の樹」には宇宙観・世界観が込められているからです。宇宙観・世界観を示すということは、登山に置き換えれば山の地図を示しているのと同様になります。そしてこの宇宙世界は秩序だった階層世界になっていますので、その地図には登山の山頂と下山のルートが示されることになり、このルートを辿るのがカバラの最奥義なのです。
 以上のように「生命の樹」は重要なのです。…ただし、この「生命の樹」に表わしてある地図とルートは厄介です。わざと複雑に、そして正規ルートを途中で飛ばした表示にしてあるのです。
 また、その「生命の樹」への解説も厄介です。「流派によって解釈が異なる」との言い分で、「生命の樹」の各所の名称が図によって異なっていたりします。例えば日本のある地点を「東京」としている地図があるのに、違う地図ではその同じ地点を「北海道」と表示したりしているのです。これは真面目に追求すれば大混乱が起きざるを得ないのです。
 一般には正確なルートを示さず、弟子入り入門した中で忠誠を誓った「選ばれし者」だけに、小出しで正確なルートを示す態度が取られていると思えます。
(seiryuu)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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ユダヤ問題のポイント ― 特殊稿10 ― カバラ(2)


生命の樹はセフィロトの樹 〜セフィロトとは天球の複数形


カバラの生命の樹
Wikimedia Commons [Public Domain]

カバラは様々なものを受け継ぎ、混ぜ込んでいて雑多であり、その中では注目に値しないものも種々ありますが、「生命の樹」は非常に重要ではあります。

「生命の樹」は『旧約』でエデンの園の中央にある木としてよく知られていますが、カバラで示されるのは基本は10個の球とそれを結ぶ線の図です。10個の球の一つ一つはセフィラといい、その複数形はセフィロトです。それでカバラは「生命の樹」を「セフィロトの樹」とも言いあらわします。10個の球(セフィラ)で「セフィロトの樹」、つまり「生命の樹」が形成されるとしているのです。

この「生命の樹」にはカバラの宇宙観・世界観、それに伴う階層(位階)図、そして最奥義もその絵図の中に込められているとされます。

カバラ「生命の樹」の見方は流派によって分かれますが、主流派の一つでは、図に現れるところで最も上の階層にあるのがアツィルト界(流出界)で、そこに位置するのが一番上の球(天球、セフィラ)が1とし、これをケテルといい、海王星に対応するとされます。

そしてここから順にブリアー界(創造界)、イェツィッラー界(形成界)と降りていき、それぞれの界に位置する球(天球、セフィラ)が8個あるとされます。

最後の一番下の階層がアッシャー界(活動界)で、ここに10番目になる一番下の10の球(セフィラ)が位置するとされます。最下位の10の球がマルクトと名付けられ地球を示します。

生命の樹の宇宙観・世界観

階層で示すと至高世界 → アツィルト界(流出界)→ ブリアー界(創造界)→ イェツィッラー界(形成界)→ アッシャー界(活動界)、セフィラでは至高世界 → 1 → 2 → 3 → …8 → 9 → 10、このように上位の純粋な世界から下位の混濁した物質世界に下がってくると示されます。

また「第二の流儀では、アツィルト界(流出界)、ブリアー界(創造界)、イェツィッラー界(形成界)、アッシャー界(活動界)のそれぞれに生命の木があるとする。」(ミトレーアム・ジャパン公式サイト「ミトラ教研究.メタトロンの徹底研究」)とあるように、ブリアー界などそれぞれの界で「生命の樹」が形成されていると見る流派もあるとされます。

さて、以上のように記すとカバラ「生命の樹」は非常に高度で複雑だと思われるでしょう。事実「生命の樹」は天界の統治の仕組みも示してあって複雑ではあります。しかし「生命の樹」の全体像をごく簡単に略図的に表す文章がありました。ウィキペディア「流出説」の次の一文がそれです。

「完全なる一者(ト・ヘン)から段階を経て世界が流出して生み出されたとする思想。高次で純粋な世界より、低次で物質的な混濁に満ちた世界へと流出は進み、最終的にこの世界が形成されたとする。この流出過程を逆に辿ることができれば、純粋で精神的な高次世界へと帰還して行けるとプロティノスは考えた。

「流出論」の非常に簡単な文章ですが、「生命の樹」に示されるカバラの宇宙観・世界観、そして秘奥義という全体像がこの数行の文章で現れ、大雑把な「生命の樹」の略図として成立しています。


生命の樹の下降と上昇のルート 〜天球層上昇がカバラ秘儀


上記の「流出説」に少し付け加えますが、その前にプロティノスとは新プラトン派、つまりグノーシス主義の哲学者です。「グノーシス ≒ ミトラ教 ≒ カバラ ≒ 神智学」を思い出していただけると幸いです。


「流出説」のいう「完全なる一者」が「神の思考(アイン)と神の言葉(アイン・ソフ)と神の行為(アイン・ソフ・オウル)」(バラ十字会日本本部の解説から)の三組となります。この段階は純粋な至高世界で図に示されないものです。ここから流出が起き、アツィルト界(流出界)並びにケテルなどと称される1の球(セフィラ)が出現します。以下、下降していってブリアー界以下の界と球(セフィラ)が出現していきます。そして最後にアッシャー界(活動界)とマルクトと名付けられ地球を示す10の球が出現します。

「一者」の至高存在から流出し、展開していく下降のルートがこれです。また、この流出・下降するルートを逆に辿るものをプロティノスは考え「帰還」と名付けたわけです。逆の上昇のルートです。

球(セフィラ)では地球である10から9 → 8 → 7 → …3 → 2 → 1。こうして最下層のアッシャー界(活動界)の最上部に登り、その上層のイェツィッラー界(形成界)至るというものです。球(セフィラ)を逆に上昇しながら、界をアッシャー界(活動界)→ イェツィッラ界(形成界)→ ブリアー界(創造界)→ アツィルト界(流出界)と上昇していくルートを「天球層の上昇」といいます。「生命の樹」を活用した秘儀がこれです。

ミトレーアム・ジャパン公式サイト『ミトラ教研究.メタトロンの徹底研究』で「最高の境地」に至る秘儀として次のように記されてあります。

「カバラには、メルカバの秘儀(別名メタトロン神秘主義、玉座神秘主義)と呼ばれるものがある。これは、エゼキエルにならって、メルカバの戦車に乗って最高天(アラボット天)に昇り、そこでメタトロンに会い、天地創造の秘密を親しく授かろうとするものである。」

「生命の木を使ってこの瞑想修行を行う場合には、自分がマルクトに立っていると想像して、生命の木を上に昇って行き、コクマー=ビナーあるいはケテルにおいてメタトロンと神人合一の境地に入る。」

また別のところでは「天界に昇って、ミトラに会うという瞑想法を、天球層上昇の秘儀と言う。」としています。


生命の樹は欲界の階層に対応 〜離脱上昇する身体


天球層上昇の秘儀が実はカバラの奥義であり、『ミトラ教研究.メタトロンの徹底研究』では天界を昇りメタトロンと謁見するのを「最高の境地」とも記しています。

しかし一方、その中で「メタトロンは、ブリアー界の主にして、ブリアー界そのもの」ともしています。既に見た主流派の見方では、ブリアー界の上にアツィルト界(流出界)とそれに対応する第1のセフィラである天球ケテルがあるとしています。従って本当はブリアー界を通過して最上層のケテルまで昇りきるのが最奥義となりそうです。

ただ問題は、ブリアー界だとかケテルだとかカバラ独特の表現が何を意味しているのか?です。ご覧ください。仏教の三界図から欲界に焦点を当てた界層図に、他化自在天から私達の地球の贍部洲までの階層に1から10までの10個のセフィラを割り当ててみました。

仏教の欲界の階層と10個のセフィラの対応関係

メタトロンとはエノクが変容した大天使の名でその階層は欲界の楽変化天です。その下の階層が弥勒菩薩(マイトレーヤ)の覩史多天であり、上は他化自在天です。

正解かは不明ですが、欲界の贍部洲(地球)から他化自在天という階層にセフィラがピッタリとハマりはします。こう見ると、カバラ奥義の天球層上昇の秘儀とは、欲界の地球から上の天界を昇っていくことになりそうです。そしてその最終到達点が他化自在天であり、ここに存在するのは欲界の主でハイアラーキの最高神サナット・クマラでした。欲界の天球層を上昇し、サナット・クマラに謁見するのがカバラ最奥義ということです。

ただし、謁見するといっても物質の肉体が天界を昇れるわけはなく、それはもっと精妙な身体になります。よく「幽体離脱」と言われますが、実際には幽体を意識的に離脱させるのは非常に困難なようで、現実的に離脱しているのはエーテル体とか広義の肉体に入るプラズマ体などのようです。狭義の肉体である物質肉体からプラズマ体なりエーテル体を離脱させて、天球層上昇をさせるのがカバラの秘儀ということです。

そして、狭義の物質肉体から自在にプラズマ体なりエーテル体を離脱させて、異界などに赴けさせられるのがカバラの熟達者ということになろうかと思えます。カバラが「迦波羅」、熟達のカバリストが「漢波羅」と表記されていたのです。八咫烏が「漢波羅」で熟達のカバリストでした。


Writer

seiryuu様プロフィール

seiryuu

・兵庫県出身在住
・いちおう浄土真宗の住職
・体癖はたぶん7-2。(自分の体癖判定が最も難しかった。)
・基本、暇人。(したくないことはしない。)
・特徴、酒飲み。アルコールには強い。
・歯が32本全て生えそろっている(親不知全て)原始人並み。

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