ままぴよ日記 35

 身体はへろへろ。家に着いて長靴を脱ごうとしても手が震えて力が入りません。そのまま上り口に腰を下ろして座り込みました。でも、身体とは裏腹に心は満たされて「私がやりたかったのはこれです。神様、ありがとうございます」と手を合わせました。
(かんなまま)
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自由に遊べる場所がない


今日は年に一度の冒険遊びの日。やり始めて13年目です。日ごろは誰も訪れない公園ですが、丘陵のような広場と、そこを流れる小川と、どんぐりの森、バーベキュー広場があります。

毎年10月の最終日曜日に開催するので子ども達も楽しみにしてくれています。スタッフは30人ほど。私の夫が実行委員長です。私たちの夢は子ども達が自然の中で自由に遊べる広場を作る事。

毎年、行政に、なぜ遊び場が必要なのか?子どもの姿を示しながら話してきました。
https://news.line.me/issue/oa-asahikids/7e9e2d39dcb7

でも、子どもの要求を代弁する声より大人都合の声が大きくて、私達が作った子育て広場に隣接している市立公園まで市民の要望で駐車場になっていく始末です。誰のための公園か?と問うたら公園は市民の憩いの場なので子どもの遊び場ではないとのこと。

現に市民の苦情が出れば「大きな声をださない」「ボール遊びはしない」「ふざけて遊んではいけません」という立て看板が立つ始末。「ふざけるな!」と言いたいのはこちらの方です。学校のブラック校則だけでなく、子どもの遊び場でもブラックルールが子育て世代を苦しめています。

いらすとや 1&2

でも、小さい頃を思い浮かべて考えてみると、子どもは公園というより空き地や裏山、川や道路など身近な生活の場所で遊んでいました。指示する大人はいません。たまに怒られても子どものいたずらを大目に見るまなざしがありました。今は子どもが自由に遊べる場所がありません。そして、ゲーム漬けなど新たな問題が起きています。


NHKの噂の保護者会でこんな番組も特集されていました。

このままではいけません。子どもの声が迷惑と言っていたおばあちゃんに「なぜ子どもの声を騒音だと思うのですか?」と聞いたら「昔は誰の声とわかったけど、今は誰かわからないからうるさく聞こえる」と言われたそうです。話せばわかる、顔が見える相手なら気にならない、という単純な理由なのかもしれません。だから私達は地域の人たちも巻き込んでします。

さて、今日は最高の天気です。



遊びを通して学ぶ子どもたち


朝早く公園に着いたらスタッフのママ達が集まっていました。子育てセミナーを受けたママも初めての参加で「手伝いますよ」と来てくれていました。隣には子どもを抱いたパパが「子守は僕がしますから」と頼もしい応援です。

さっそく車に積んだ荷物を運んでくれました。そして同じ敷地の神社にお参りに行きました。「今日一日子ども達がのびのび遊べますように」「ケガや事故がありませんようにお守りください」と、皆で手を合わせました。

スタッフは自分の持ち場で準備をしていますが、私の担当はドングリの森。乳幼児向けの遊び場を作ります。全てをこちらがお膳立てして遊んでもらう場ではありません。作るところから巻き込んでいきます。そして子どもが自分で乗ってくる仕掛けだけ作ります。

どんぐりの森は狭いのですがクヌギやミズナラ、シラカシ、スダジイが足の踏み場がないほど落ちています。このどんぐりさんたちが子どもの遊び相手です。さっそくママに段ボールと段ボールカッター、ガムテープを渡して「子どもが遊べる高さのキッチンを作って」と頼みました。


「えっ?」っと、戸惑っていたママが忘れかけていた遊び心を発揮し始めました。近くにいた子ども達が興味を示して集まってきました。ママが上手に切らせています。素敵!もう遊びの交流が始まりました。

今年はベビーマッサージ教室で赤ちゃんだった男の子が高校生になって「手伝います」と言ってくれたので私の助手ができました。さっそくシーツと紐を渡して「キャンバスを作って」と頼みました。えっ?と戸惑っていましたが工夫しながらシーツを広げて四隅を紐で引っ張って木にくくり、大きなキャンバスを作ってくれました。水性顔料の絵の具の3原色を持ってきています。家の前のスーパーから卵ケースを貰ってきていたので筆もおきました。

それを見ていた子ども達が「書いていい?」と聞きました。「どうぞ、好きなように書いていいよ」と言いましたが、手が止まっています。「絵具を卵パックに出したら書きやすいよ」と言うと面白がって書き始めましたが濃すぎて色がのびてくれません。「水がいるねえバケツはあるよ」と渡しましたが水くみ場は遠くて水は重たい。それを見ていた中学生のお姉ちゃんたちに頼みました。昨日の夜、夫に手押し車を作ってもらっていたので、さっそく活躍します。

大きなバケツを乗せて手押し車を押し始めたら軽くて坂道も面白いように走ります。今度はその操作が面白くなって走りだしました。水をなみなみ汲んできたのですが誰かが抑えないとこぼれます。バケツ2杯を3人体制で運んできてくれました。それも遊びです。

さあ、ちびっ子画家が思い思いに筆を走らせます。筆を洗うのでバケツの水が色々変わります。色水を作るのが楽しくなる子、固くて大きなマテバシイの葉っぱに色を塗り始める子。とうとう自分の手にも塗り始めました。親はギャーッと言いながらも「好きに書きなさい。3回分の着替えを持ってきたから」と、今日は寛容です。

そこに上半身裸で裸足の子が参加してきました。「靴は?」と聞いたら「向こうの池でいかだに乗ったけど落ちて無くした~」と嬉しそうです。見たらいかだに群がった子ども達がわざとドボンドボンと落ちています。いかだに小さな子を乗せて大きい子が運んで行ったりしています。毎年いかだを出すので落ちるのが目的の子ども達が集まっています。

いかだ


絵具を塗って真っ青な手をした子と真っ赤な手をした子が、どんぐりの木に立てかけた雨どいに向かって走り出しました。子どもの高さに置いていますが、さっそく拾ったドングリを転がしてみました。コロコロと面白い音を出して転がります。子ども達の目が輝きます。

青い手


今度はたくさんどんぐりを流してどんな音がするのか試したくなりました。スカートの中にどんぐりをいっぱい集めてくる子、一度に流したくて落ちそうになるどんぐりを手で受け止める子、一番下を木切れのダムを作って堰き止めようとする子、なぜか息があっています。「用意スタート!」という掛け声でどんぐりが放たれます。korokorokorokoro♬。「やったね!」その嬉しそうな顔。私はこの顔を見たくてたまらないのです。

雨どい


公園は穴を掘ってはいけません。だからシャベルで泥を削ります(笑)深さ3センチ直径50センチほどの小さなくぼみですが、その横にバケツとひしゃくを置くと何かが始まります。見ていたらひしゃくで水を入れ始める子、どんぐりを池に入れる子、ジョウロをもってきて水をかける子がいて池ができました。

1人の男の子が「あ!いいこと思いついた!」と、向こうを掘り始めました。「私も同じ事考えてた!」と、女の子も嬉々として掘り始めました。又、水をいれました。水がなくなりました。手押し車は?ありません。誰かが乗って遊んでいます。

子ども達は又いいことを思いついて池の間に道を作りました。水をジャージャー入れて川になりました。子どもの遊びはどんどん展開していきます。それが面白いのです。もちろん泥だらけです。次はどんぐりをすくいたくなって葉っぱやどんぐりのスープを作って遊んでいました。

さて、森の中のキッチンに鍋とお玉と水を置いていたらおままごとが始まっていました。おいしそうなどんぐりスープができています。一緒にかき混ぜる子。落ち葉や枝を拾って入れる子。それをお玉ですくってお皿に注ぎ分ける子。卵パックにどんぐりを詰める子・・・。なあんてかわいいんでしょう!子どもは遊びながら自然の中に同化していきます。

ままごと


どんぐりスープ


向こうで「カマキリがいた~」と叫ぶ声がしました。カマキリがカマをもたげて戦闘モードです。「誰か虫殺しスプレー持ってきて~」と当たり前のように言う子。その時ばかりは「ダメよ!虫も生きているの。この公園は虫のおうちなのよ。私たちの方がお客様」と伝えました。子ども達は不思議な顔をしながらも殺さないでいてくれました。自然の中で虫も動物も住んでいるという感覚を教えるのも大切なことです。

カマキリ

それにしても、こんなに子どもがいて親も介入していないのに誰もケンカしません。お母さんたちもニコニコ見ているだけです。子ども達は好奇心を満たし、達成感が生まれ、学ぶ喜びを体感しています。お母さんを探している子もいません。

この遊び場を始めたころはこんなではありませんでした。「汚れるから止めて!」と遊びを制止する親。親の陰に隠れてしり込みする子ども。何もすることがないと帰る親子。

そもそも、今どきの子ども達は家の中で与えられたおもちゃでしか遊んでいません。遊ぶモデルは生活の中ではなくテレビのヒーローだったりします。自分不在の商業ベースに乗せられた遊びです。

公園に行っても設置してある遊具で遊ぶか、砂場セットをもってきて親子単位で遊んでいます。せっかく作った砂山に他の子が介入しようとすると「ごめんね」「どうぞ」と気を使って遠慮ばかり。子どもの立場になったら興味があるから手を出しただけなのに「ごめんなさい」と謝らせられます。意味が分かりません。これは遊びの中断でやる気が失せます。

子どもは興味をぶつけ合い、介入しながら学んでいくのです。こんな時は自由に遊ばせながら親が理解、交流しあって見守ればいいのです。見事に子ども同士で解決したりするものです。そうして親子の単位の壁が取り払われて仲間ができていきます。子どもは自然と同化する力と友達を作る力も持っています。

さて、見回したら台風で枝がたくさん落ちています。遊び場にはリスクとハザードがあって、釘やガラスなど明らかに危険なものが落ちていたら取っておきます。でも少々のリスクは子どもの経験に必要なものです。残しておきます。私は枝を少し集めて砦の原型を作りました。どうするかなあ?様子を見ます。

パパと子どもがやってきて枝で組み始めました。途中でやめてどこかに行きました。他の親子がやってきて続きをやります。今度は親が本気になりました。葉っぱに色付けしていた子が砦を飾り始めました。素敵な砦になりました。作り続けるのが遊びです。でも、せっかく作っても公園は元の状態にするのが決まりです。最後は皆で運んで燃やしました。火を使うのも許可がいります。


火をおこしながらパンの生地を竹に巻きつけてじっくり回しながら焼くコーナーも作っています。不思議なことに火の回りには人が集まります。焼き芋、焼きリンゴを作る人、ご飯を炊く人もいます。アウトドア派のパパはキャンプ道具を一式持ってきてハマります。

ねじパン


このように遊びは楽しい!本来、子ども達はこんな場所を意識して作らなくても遊ぶはずなのです。・・・が、今は遊ぶ誘導までしなければ遊ばなくなりました。それはなぜ?次回はその問題点を書きたいと思います。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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