日米貿易協定は、自動車を守るために日本の農林水産業をアメリカに差し出すという売国的なもの ~食料自給率がさらに下がり、戦後の米国の占領政策の総仕上げ

竹下雅敏氏からの情報です。
 日米貿易協定は、自動車を守るために日本の農林水産業をアメリカに差し出すという売国的なものです。食料自給率がさらに下がり、“戦後の米国の占領政策の総仕上げ”となるものです。
 ツイートの動画をご覧になると、日米FTAに関して、山本太郎氏は、“米国の恩恵は7200億円、日本は40億円。この数字が全て物語っている”と言っています。この問題は日本にとって極めて深刻であるにもかかわらず、ほとんど話題に取り上げられません。
 “続きはこちらから”は、以前取り上げた長周新聞さんの鈴木教授の記事の後半部分です。これをご覧になると、この問題がいかに深刻かがわかると思います。
 遺伝子を切り取るゲノム編集食品の安全性に疑問があることは、これまで、シャンティ・フーラの記事でも取り上げています。記事によると、消費者庁が「せめて表示だけはしないとたいへんなことになる」と抵抗したが、アメリカの圧力で潰されたと書かれています。
 種子法廃止、種の譲渡… 7連発目はゲノム編集食品の野放しだということです。どう見ても、アメリカは日本人を奴隷にしようとしているとしか思えません。
 記事の後半では、このような規制改革で私腹を肥やす「オトモダチ」について。記事の中に出てくるM氏、T氏、N氏はそれぞれ、オリックスの宮内義彦氏、パソナの竹中平蔵氏、元ローソンの新浪剛史氏のことです。こちらの記事をご覧になると、3人の顔写真と共に、詳しい内容がわかります。大変優れた記事ですので、ぜひご覧ください。
 国有林を金融商品化し民間業者に売り払う「国有林管理法の改正案」についての記事が、編集長によって取り上げられています。これは、オリックス社がバイオマス発電を行うためのものだったわけです。またオリックスの利益相反については、山本太郎氏の2016年5月24日の内閣・農水連合審査会「国家戦略特区法一部改正案」での国会質問があります。
 メディアがきちんと報じていれば、このような犯罪行為がまかり通ることありません。しかし、そのメディアがあちら側なので、私たちは、連中のやり方を、このようにして学んでいくよりないわけです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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日米貿易協定・デジタル貿易協定承認案に対する笠井議員の質問(要旨)
衆院本会議
引用元)
(前略)
 日米貿易協定は、交渉開始からわずか5カ月、交渉内容も経過も、国会や国民にも一切知らせず、前代未聞のスピードで合意、署名したものです。

 安倍総理はこの協定を、日米双方にとって「ウィンウィン」の中身になったと誇っています。しかしその内容は、秘密交渉によって、日本側が一方的に譲歩したものではありませんか。

 政府が、日本への影響について試算もなく協定を締結したことは重大です。
(中略)
 米国側は、日本は米国産農産物の輸入で、72億ドル(7800億円)もの市場を開放したとしています。これは事実ですか。この額は、現行の輸入額の6割にも相当します。国会に詳細を報告すべきです。

 本協定で、牛肉や豚肉などの畜産物の関税が大幅に引き下げられます。その上、米国産トウモロコシの大量輸入まで表明したことは、トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」「バイ・アメリカン」に迎合した政治姿勢そのものです。
(中略)
 災害が多発するいま、国土保全など多面的機能を持つ農林水産業を衰退へと追いやり、食料自給率をさらに低下させる「亡国」の道を進んではなりません。食料主権・経済主権を破壊する日米貿易協定・デジタル貿易協定の国会承認は断じて認められません。日米FTA交渉はただちに中止することを求めます。
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配信元)
 
 


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食の安全保障を放棄する日米FTA 東京大学教授・鈴木宣弘
転載元)
(前略)
種もグローバル企業に献上
 
 いま日本向けにGM小麦を導入しようとしている米国にとって邪魔なのは、全農の傘下にある株式会社・全農グレインの存在だ。全農グレインがニューオーリンズに保有する世界最大級の穀物船積施設では非GM穀物を分別して管理、輸送している。これが米グローバル種子企業M社にとっては不愉快で仕方がない。そこでM社やカーギルが全農グレインを買収しようとしたが、親会社の全農は協同組合だから組合への参入資格がなければ手も足も出ない。だから、いま日米合同委員会で「全農を丸ごと株式会社化しろ」といわれている。

vimeoのキャプチャ
全農グレイン穀物倉庫

 オーストラリアでは、同じ手口で協同組合系のAWB(小麦独占組織)がカーギルになった。はじめは「株式会社化しても譲渡不可の農家株式を作るから大丈夫」といっていたが、あっという間に譲渡可能になり、カムフラージュでカナダの肥料会社が買収し、1カ月後にはカーギルに買収された。
(中略)
 そして種子法の廃止だ。グローバル種子企業にとって公共の種は邪魔であるから「種子法はやめろ」、さらに「優良なコメの種は全部差し出せ」と要求され、日本はそのまま法律にしてしまった。(中略)…  そして差し出した種の権利を高めてあげるために種苗法を改定して農家の自家採取を禁止し、種は毎年企業から買わなければいけないものとした。
(中略)
M社は製薬会社のB社と合併しているので、食品のGM化と種の独占で日本人が病気になっても、その病気の治療にB社の薬を使えば二度おいしいということで「これが新しいビジネスモデル」とまでいっているそうだ。
 
 種子法廃止、種の譲渡、種の自家採取禁止、非GM表示の実質禁止、全農の株式会社化、グリホサートの残留基準値の大幅緩和ときて、七連発目はゲノム編集食品の野放しだ。「遺伝子を切り取るだけで組み換えていないから安全だ」といって、世界中で異変が起きているという論文がたくさんあるのに米国の指令で日本だけ野放しにした。消費者庁が「せめて表示だけはしないとたいへんなことになる」と抵抗したが圧力で潰され、まったくわからないままわれわれはもう食べることになってしまった。なぜ病気になったのかもわからないという恐るべき状況になっている。
 
規制改革で私腹肥やす「オトモダチ」
 
 日本国内でもきわめて少数の「有能」で巨万の富を得ている人たちが、貿易自由化を積極的に推進し、露骨に私腹を肥やすために政府の会議を利用して地域を苦しめている。代表的なのは、O社のM元会長、人材派遣会社大手P社のT会長(K大学の名誉教授)、Lファームも展開しているL社の社長を務めたN氏。M氏の会社の社外取締役がT氏とN氏であり、このMTN3人セットで地域を食い物にしている。
 (中略)
国家戦略会議の委員として首切り自由特区と短期雇用で人間を雑巾のようにグルグル回す雇用改革法案を成立させ、もうけるのはT氏の人材派遣会社、家事支援外国人受入事業特区を決めて受注するのは自分の会社なのだから非常に露骨な「利益相反」だ。(中略)…  最初から決まった人のためにルールに穴を開けるのだ。その後に問題になったナントカ学園と同じ構造が農業でもたくさんおこなわれている。
 
 農地を管理する市町村の農業委員会が任命制になったので、もうかりそうな市町村の委員にMTNがセットで入ろうかという噂さえある。
(中略)  
O社がバイオマス発電をやるために国有林の皆伐を認めた。丸ごと燃やしてハゲ山にしても、あとの植樹は住民が国民の税金でやるからやらなくていい。森林環境税などを使えばいいのだという。水道と同じコンセッション方式だ。食べるだけ食べて、食い逃げしても後始末は住民、国民が払う。企業にとってこんなおいしい話はない。
(中略)

生産者と消費者の強力なネットワークを
 
 日本の流通構造は歪(いびつ)であり、スーパーが強すぎる。スーパー対メーカーが7:3、メーカー対酪農家が9:1という力関係だ。酪農家が協同組合で頑張っていても、しわ寄せは生産者にくるという世界で最も問題のある構造だ。
(中略)  
 カナダでは牛乳1㍑300円。それでもカナダ人は「米国の成長ホルモン入り牛乳は飲みたくないから支えますよ」という。(中略)…  スイスの国産卵は1個80円。輸入するフランス産の6倍もするが、国産のほうが売れている。
(中略)
 スイス人は「生産者の皆さんも本物を作ってください。そのかわり、われわれは農産物に込められた価値をみんなで分担していきますよ」という。これによって生産から消費までの強力なネットワークができ、その流通シェアがスイス全体の5割を超えてきた。(中略)…  自分たちの安心・安全な食は、自分たちの手で守る。国の方向性がどうあれ、私たちの力でその流れを作っていくことができる。生産から消費までのネットワークを強化することで、自由化で安くてもいかがわしいモノが入ってきても、いかがわしい連中が地域に入ってこようとしても、排除できる。
(中略)  
 「政府が価格を決めて作物を買い取る遅れた農業保護国」というのも大嘘だ。日本はそのような政策をほぼすべて廃止した世界で唯一の国だ。米国もカナダもEUも、農畜産物の価格低下を防ぐために、価格を設定して無制限に政府が買い取る。その仕組みがないのは日本だけだ。
 
 「日本の農業所得は補助金漬け」というが、日本はやや増えてきても3割だ。フランスもイギリスも90%を越え、スイスは100%だ。「収入の9割以上が補助金というのが産業なのか」と思われるかもしれないが、国民の命を守り、環境を守り、地域、国土を守っている産業は国として支えるのが世界の常識なのだ。
(中略)

総仕上げを許してはならない
 
 武器ばかりに何兆円もかけても台風など全国で多発する災害から国民を守ることはできない。(中略)…  かつてブッシュ米大統領は、自国農家に向かって「食料自給はナショナル・セキュリティ(国の安全保障)の問題だ。みなさんのおかげでそれが常に保たれている米国はなんと恵まれていることか。それに引き換え、食料自給できない国を想像できるか? それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」といった。
(中略)
 農業地域にある米ウィスコンシン大学の教授は「食料は武器であって標的は日本だ。直接食べる食料だけでなく、日本の畜産のエサ穀物を米国が全部供給すれば日本を完全にコントロールできる。これを世界に広げていくのが米国の食料戦略だ」という趣旨の発言をしている。日米FTAは、こうした戦後の米国の占領政策の総仕上げといえる。
(以下略)  

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