注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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配信元)
新聞の第一面にヨーネ病と粉ミルクの汚染が報道されました。 https://t.co/r1plsMvWQr pic.twitter.com/EQr4UO7BVk
— 百溪英一 (@genkinekojp) 2019年11月4日
フランスは牛のヨーネ病の汚染がとても高い国です。牛乳自体が悪いのではなく牛乳にコンタミしているヨーネ菌が疑われています。私はヨーネ菌とMSやCDの関連を研究しています。https://t.co/avSLi09mb3 #クローン病 #多発性硬化症 #自己免疫病 #1型糖尿病 #難病 #ミルク #食の安全 #赤ちゃん https://t.co/7LAWNrXX3E
— 百溪英一 (@genkinekojp) 2018年12月29日
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世界で蔓延するヨーネ病と粉ミルク汚染 国際ヨーネ病学会理事・百溪英一
転載元)
長周新聞 19/11/2
百溪英一(ももたにえいいち) 一般社団法人比較医学研究所所長を務める。また、東都医療大学客員教授、国際ヨーネ病学会理事、順天堂大学医学部協力研究員として研究に携わっている。元動物衛生研究所ヨーネ病研究チーム長、元東京医科歯科大学非常勤講師
一般社団法人比較医学研究所HP
世界で蔓延するヨーネ病と粉ミルク汚染
~唯一清浄化が可能な国の酪農・畜産振興作戦~
国際ヨーネ病学会理事 百溪英一
はじめに
牛など家畜の伝染病であるヨーネ病が世界的に大流行している。ヨーネ病をひき起こすヨーネ菌は直接人間に感染することはないと考えられてきたため、その実態は一般にはあまり知られていない。しかし、人間の難病であるクローン病や、多発性硬化症など自己免疫疾患の原因になっていることを疑う研究報告は非常に増加してきており、国際的に研究が積み重ねられてきた。
クローン病や多発性硬化症など自己免疫病の患者数は増加の一途をたどっている。クローン病はもともと20歳前後で発症するケースが多かったが、近年、低年齢化し、ゼロ歳児が発症した事例も報告されている。その解明が急がれるなか、私たちの研究で、ヨーネ菌に汚染された牛の牛乳を通じて排出される菌がこれらの発病に関連していることが明らかになってきた。生きた菌だけでなく、死んだ菌を体内にとりこむことが、神経難病である多発性硬化症(自己免疫疾患)やクローン病発症の一因となっている可能性が非常に高い。
研究の途上ではあるものの、海外のヨーネ菌汚染状況は深刻であり、撲滅が不可能なほど感染が広がっている。ヨーネ菌は、ほぼ100%輸入牛乳を使用して製造されている赤ちゃん用の粉ミルクに死菌が含まれていることは疑いない状況であり、それが乳幼児のクローン病を増加させている可能性も否定できない。
一方で日本は長い期間、税金を投じて国家防疫の対策をしてきた結果、撲滅が可能な水準にあり、清浄化農場も多いことから、本気でとりくめばヨーネ菌フリーの原乳を原料にして、ヨーネ菌フリーの粉ミルクを製造することもできる状況にある。そうすれば子どもたちが難病にかかる可能性をより低くすることができるかもしれない。とくに、家族に自己免疫疾患を持つ家庭に生まれた乳幼児にこれを供することができれば発症リスクを低減できる可能性もある。さらに重要なことは、ヨーネ菌フリー牛乳、チーズそして粉ミルクを製造することのできる国は日本だけといっても良いことから、世界中から日本の安心な牛乳や乳製品を買いに来る状況をつくって酪農業を大きく発展させる道筋も開けることだ。農水省は安心・安全をスローガンに掲げているがあえてヨーネ病を撲滅しない施策をとっている。
今後、TPPや日欧EPA、日米FTAによって、海外から成牛の輸入が増加することが考えられ、国民の税金を投じて撲滅直前まできたヨーネ病を逆に大流行させる危険性がある。さらに、現在日本では国内産の乳製品を購入できるが、酪農業が衰退・淘汰されてしまうと、ヨーネ菌汚染された海外の乳製品を買うほかなくなることを心配している。またヨーネ菌に汚染された乳製品の輸入量がさらに増えて、食卓に並ぶことが人体に与える影響も無視できない。ヨーネ病について広く知っていただき、考えていただく機会になることを願っている。
ヨーネ病とは何か
ヨーネ病は、ヨーネ菌を病原体とする腸の病気で、BSE(狂牛病)と同じく「リストB」に分類されている家畜伝染病の一つだ。感染後長期の潜伏期間を経て、慢性的な下痢症状を起こすほか、乳牛では乳量が低下し、痩せ細って最終的には衰弱死する。(中略)
この菌は消毒薬や環境中で非常に強い。土の中でも1年~2年半生きるし、北海道の凍った土地でも生きる。ヨーネ菌は結核菌やらい菌(ハンセン病の病原菌)の仲間で「抗酸菌」という種類だが、性質上はらい菌に近い。ハンセン病や梅毒も潜伏期間が長く、最初大したことはないと思っていると、ひどい症状があらわれる。ひどい下痢便の牛が見つかっても氷山の一角ということだ。
(中略)
ヨーネ病は畜産業にとってもっとも経済的打撃が大きい感染症であり、アメリカの経済損失は年間2億~3億㌦といわれている。ただ、アメリカの場合、重症になった牛を殺すだけで、無症状の感染牛は淘汰していない。日本の家畜伝染病予防法の診断基準で検査して殺処分すると、アメリカの牛はいなくなるほど蔓延している。
(中略)
ヨーネ菌の排菌ルート
(中略)
もう一つの排菌経路が牛乳だ。マクロファージがヨーネ菌を乳腺へ運び、牛乳を通じてヨーネ菌が排出される。これは子牛への感染源として家畜衛生上の問題であるとともに、食品の汚染という公衆衛生上の問題を含んでいる。(中略)
(中略)
(中略)牛乳中にヨーネ菌が排出されることは、下痢や糞便での排菌とともに、子牛への直接的でより確実な感染経路になる。そして、牛乳に含まれる大量のヨーネ菌を人間が摂取していることを意味している。
国際的なヨーネ菌の汚染
あまり報道されていないが、アメリカやヨーロッパの牧場のヨーネ菌の汚染状況は極めて深刻である。
たとえばアメリカの酪農場の大半が汚染している。ヨーネ菌は潜伏期間が長いのが特徴だが、アメリカではヨーネ病の診断がなされても生産性の低下した重症の牛を淘汰するのみなので蔓延が拡大し、次から次に重症化した牛があらわれる状況だ。検査すらされていない農場も多い。アメリカ合衆国農務省(USDA)の調査結果をみると、小農場で63・2%、中農場は75・1%、大農場では95・0%が汚染されている。農務省が95・0%と発表するということは、ほぼ100%といっているようなものだ。最新の農務省のホームページでは、「調査をしていないが、現在はこれより悪くなっているだろう」と書いている。
アメリカでは日本の家畜伝染予防法のようにヨーネ病に感染した家畜を定期検査で発見して殺処分させる法律がないため、下痢をしている牛からも乳を搾っており、症状がひどくなるとと畜場に回して食肉にしている。テネシー州でと畜場を見学したさい、つながれている牛の多くは下痢をしていた。その臓器を見せてもらったが、日本では見たことがないような重症のヨーネ病の腸もあり驚いた記憶がある。日本と同様の検査をして感染牛を殺処分すると、アメリカ国内に牛が1頭もいなくなる可能性があるといっても過言ではない。
ヨーロッパはEUになってから、共通した対策ができておらずヨーネ病の汚染状況が悪化した。EU域内には、2010年の段階で8億6600万頭の牛がおり、20万1027戸の農家が存在する。しかし、ヨーネ病の防疫対策は全頭検査や殺処分などの強制力をともなわない「任意のコントロール・プログラム」が実施されている国や地域はまともな方である。国境をこえて牛が行き来することも感染を広げる要因になっている。各国の農場規模や管理条件もさまざまで、それぞれ法律も行政機構も違うことが、防疫努力とプログラムの多様さと弱さを生み出す原因となっている。EUとして統一された防疫の基準はなく、汚染状況は深刻である。
(中略)
日本のヨーネ病と農林水産省の対応
(中略)
(中略)98年からは5年に1度、全頭検査をするようになり、感染牛が見つかった農場では、3カ月間隔などのくり返し検査をして、陽性が出なくなるまでくり返してきた。ELISA検査の時点で陰性が出ても、時間がたてば感染が進み陽性になる可能性がある。くり返し検査をすることで、日本のヨーネ病汚染はかなり解決していった。こうした検査をしてきたのは世界中で日本だけだ。
(中略)
グラフを見ると2008年から感染が半減していることがわかる。だがこれは本当にヨーネ病が減ったわけではない。それまでELISA法の問題点を黙殺してきた農水省が、今度は陽性が多くなると牛乳が販売できなくなることから、ELISA検査自体をやめてしまったのだ。現在はPCR法という高感度な遺伝子診断法が用いられるようになり、五年ごとの全頭検査は続いているが、これを徹底すればヨーネ病が撲滅できるにもかかわらず、農水省は撲滅できないように不可解な工夫をした検査をすすめている事を指摘しておきたい。
現在のヨーネ病検査はPCR法という菌の遺伝子を検出する高感度な手法にかわっているが、抗体検査と同様に菌が生きているのか死んでいるのかはわからない。農水省は、PCR法で陽性の基準値より低い結果が出た牛について、感染しているかどうかを確認するために、早期発見のできない低感度のELISA法で検査をしている。本当に撲滅するためには、早期に発見し淘汰することが必要だが、PCR法で数値の低いグレーゾーンの牛を農場から除去させずに、むしろ意図的に残し、撲滅されないような消極的対応をとっている。ヨーネ病が撲滅されて困るのはだれであろう。そこには農水省が製薬会社に天下りしていることが関係している。
農水省も厚生労働省も危険性を認識しているにもかかわらず、なぜ本気でとりくまないのだろうか。赤ちゃんや国民の健康を守ることをなんと考えているのか疑問である。
ヒトのクローン病とヨーネ菌―関連が疑われている自己免疫疾患
ヨーネ菌と人のクローン病との関係は、古くから医師や研究者のなかで疑いを持たれてきた。クローン医師(1884~1983年)が、「クローン病は牛のヨーネ病によく似ており、ヨーネ菌によって起こっているのだろう」とする仮説を発表したのが最初だ。
ヒトのクローン病は厚生労働省指定の特定難病疾患だ。(中略)
(中略)
(中略)近年、生まれて数週間の乳幼児が下痢症状を起こすケースが増えているということも世界的に小児科医のあいだで問題になっている。子どもの場合、小児炎症性腸疾患(IBD)と呼んでいるが、その中身は潰瘍性大腸炎とクローン病だ。生まれて間もなく難病にかかった子どもたちは、成長も著しく阻害され、人生の長いあいだを病気とつきあっていかなければならない。私は日本国内でゼロ歳児で発症した子どもは血便が止まらず、6歳で亡くなったという患児の主治医と病変の病理所見を顕微鏡下で論じたことがあるが、担当医師の目には涙が浮かんでいた。こうした状況を目にしてきたことが、私が孤軍奮闘しながらも研究を続けてきた原動力である。
厚生労働省もヨーネ病が人に健康被害を与える恐れがあると判断し、2007年から国内酪農産物の規制を強化しており、その問題認識は持っている。雑誌や新聞などが何度かヨーネ病の問題をとりあげたことがあり、火がついて解決に結びつくのかと期待したが、その後報道も途切れてしまいがちである。
ヨーネ病死菌抗原がクローン病をひき起こす
ヨーネ病とクローン病が似ているといわれる理由は、腸粘膜の著しい肥厚と慢性的肉芽腫性腸炎の症状だ。どちらも慢性下痢、痩せ、体重減少、不治の病といった共通性を持っている。
(中略)
ヨーネ菌が感染して起こるヨーネ病と違い、死んだ菌が人に免疫異常を起こさせてクローン病をひき起こしているのではないかということだ。
ヨーネ菌抗原は食品に含まれているのだろうか?
そこで、食品にヨーネ菌抗原が含まれているのかを予備調査した。日本国内のスーパーで購入したヨーロッパ産チーズ(17種類)をPCR法で検査をしたところ、ほとんどからヨーネ菌DNAが検出された。日本人は平均で年に2㌔㌘のチーズを食べているといわれている。10㌘中に34・45pgというDNAの検出結果をもとにすると、1年に6890pgのDNAに相当するヨーネ菌体を摂取していることになる。ちなみにフランス人は年間20㌔㌘のチーズを食べるそうだ。
日本はクリーム、脱脂粉乳、バターミルク、ホエイ(飼料用を除く)、バター、チーズ、粉乳、コンデンスミルク、アイスクリームなど多くの乳製品を輸入している。それらの大半がヨーネ病高度汚染国からの輸入だ【乳製品の輸入量の表】。アメリカからはバターを年間約500㌧、チーズを約2万1424㌧輸入している。原乳にヨーネ菌が入っているため、製品にも必ず死菌抗原が含まれている。
赤ちゃんの粉ミルクには脱脂粉乳を使うほか、ホエイも原料になる。粉ミルクはほぼ100%、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどからの輸入原料でつくっている。加熱殺菌をすると菌は死ぬけれど、死んだ菌は粉ミルクに入っている可能性があるということだ。最新の乳製品の輸入動向に、以前はなかった「学校給食用」の脱脂粉乳が含まれていることも、看過できない点だ。海外産のチーズには無殺菌牛乳を使っている場合もあり、死菌だけでなく生きた菌も入っていて人が摂取している可能性が高い。
しかし、これらの食品を食べたからといって、だれもがクローン病などの自己免疫病になるわけではないことは重要な点である。とはいうものの、牛乳や乳製品中のヨーネ菌死菌抗原をくり返し摂取することで、ある遺伝的背景を持つ人にクローン病や多発性硬化症などの自己免疫病が起きる可能性が強いことが世界的な研究のなかで次第に明らかになってきている。
どのような条件でクローン病になるのか、ヨーネ菌抗原だけが発症の引き金になるのか、すべては解明できていないが、せめて乳幼児に輸入原料を用いて製造されているヨーネ菌抗原のコンタミした粉ミルクやチーズ、ヨーグルトなどを与えている現状を何とかすれば、難病になる可能性を低くすることができるのではないかと考えている。成人についても、自己免疫疾患になった人が摂取することで、症状をより悪くする可能性がある。
乳製品や肉のヨーネ菌汚染の報告は増え続けている。人の血液からヨーネ菌が分離されたという論文や、腸や便などからヨーネ菌や特異抗原を検出したとする論文も多くあり食品から菌をとり込んでいることが示唆されている。
アレルギー疾患との関連
われわれは、126人の自己免疫病でない大人の血清を調べ、14%の人がヨーネ菌に対する抗体を有する事を報告し、食品を介したヨーネ菌ばく露が日本国内で起きている事を報告した。また、さまざまなアレルギー疾患のある99人とそうではない45人の対照グループで血清の総IgEレベルとヨーネ菌特異的IgEをELISAで調べたところ、99人の被験者のうち50人がIgE総レベルが150IU / mL以上を示し、対照の45人の被験者はIgEが150 IU / mL以下を示して、ヨーネ菌がアレルギーの発症にも関与している可能性を発表した。これらの研究は日本人がヨーネ菌に経口ばく露され影響を受けている事を示している。
牛肉は安全なのか
乳製品だけではなく牛肉からも菌が分離されていることも看過できない。スペインの食肉検査所ではヨーネ菌感染牛47頭のうち6例(13%)の横隔膜から、PCR法によって菌が検出された。腸やリンパ節の菌を細胞内に持つマクロファージが血流で全身に回り筋肉にも入るのだ。
(中略)
ヨーネ菌との関係が疑われる難病
ヨーネ菌との関係が疑われている病気はクローン病だけではない【一覧表】。そのうちクローン病、過敏性腸症候群(IBS)、1型糖尿病、自己免疫性甲状腺炎、多発性硬化症、自己免疫甲状腺腫(橋本甲状腺腫)については非常に強い関連を示す研究結果が出ている。
(中略)
具体的な対策を
研究は途上であり、すべてが解明されているわけではない。今後の具体的な対応策として、人の疾病とヨーネ菌・ヨーネ菌抗原との関連をさらに明らかにしていくと同時に、国内のヨーネ病の撲滅を目指すこと、ヨーネ菌フリーの粉ミルクの開発が急がれる。日本には汚染されていない農場がたくさんあり、その牛乳だけを使えばすぐにでも可能だ。そしてせめて公的に輸入乳製品の汚染をチェックする体制を整えるべきだと考える。
なにより、ヨーネ病をあえて撲滅させないようにしている政府、農水省の姿勢をあらため、子どもたちをはじめ国民の安心・安全と健康のために、真面目にとりくむことを求めたい。私はこれまでたくさんの論文や学会講演でこの問題を訴えてきたが、この記事が、この問題を広く消費者に知らせて、安心・安全を実現するための国民運動のきっかけとなることを願っている。
日本にはヨーネ菌に感染していない清浄化農場が多く、本気になればいくらでもヨーネ菌フリーの乳製品を製造できる唯一の国になり得るそうです。
ところがTPPや日米FTA、日欧EPAによって輸入乳製品が増加すると同時に、日本の酪農業が衰退すれば、これまでの日本の農場を清浄化してきた努力も投資も水泡に帰し、ヨーネ菌汚染された乳製品を購入する道しか残されなくなります。
加えて百溪論文では、ヨーネ菌を意図的に残すような対応をしているのが農水省、厚労省で、自分たちの天下り先である製薬会社の利益のために子ども達の健康を犠牲にしているという指摘をされています。
アメリカを始めヨーロッパの牧場のヨーネ菌汚染状況は極めて深刻とあり、さりとて日本国内産乳製品は放射能汚染が心配。安心して提供できる食品はどこに?