「ほんと都知事になりたかった」「なれていたら早く助けられたのに」悔しさをにじませる山本代表 / 一方でレイシストの得票と「弱者救済」へのネガティブな評価

「ほんと、都知事になりたかった。本当に悔しい」。「東京都知事であればこそ、なれたら本当に助けられた場面だった。」「都知事になれていたら(救済が)早かったのにな。」
マスコミへの記者会見終了後、ネットを通して支持者に語りかけた山本代表は、本当に悔しい思いを隠そうとしませんでした。それは、底意地の悪い個人攻撃や相変わらずの15兆円に対する古い枠での非難に対して、ではなく、路上に出ることになった人たち、店を閉じた人たち、ボランティアの方々、必死で応援してくださった皆さん、寄付してくださった皆さんに申し訳ない、あなたに申し訳ない。都知事になったら国とケンカしてでも助けられたのに、という心から無念でした。しかし「脳と体は疲れてるけど、燃えてます。」と次なる国政選挙に向けて進んでいく覚悟を語りました。
 選挙中、密着取材をしていた長周新聞が今回の選挙を振り返って、反自民で都知事になった小池候補が今回は自民党都連、連合を取り込みつつ「コロナ対策に励む」プロモーションを徹底したことに加えて、低投票率を狙った報道機関が選挙を「黙殺」したことを指摘しています。その最大の原因とされた「放送禁止物体」が山本太郎でした。
 ところで選挙後のコメントで目立ったものが、差別主義的な候補が票を伸ばしていることへの懸念でした。トップ5のうち小池候補など3名がレイシストと非難される人々です。併せて、毛ば部とる子氏の「なぜ都民は小池を選ぶのか」の考察は無視できないものを感じました。「小池知事は弱者への共感がない」と認識している都民が6割あるそうです。また、コロナによって収入が減ったかとの質問に対して「変わらない」と答えた都民は6割、ある程度減った人が3割、激減した人は1割だったそうです。他方、宇都宮候補、山本候補の共通点は「弱者救済」でしたが、もしかしたら東京都民にとって「弱者救済」はポジティブな判断に結びつかないのかもしれないとするものでした。
これは背筋の寒くなる考察で、俗に言う「今だけ金だけ自分だけ」が浸透していれば、目の前で困っている人を助ける政治は期待されていないことになります。「目の前で困っている人々」は、いつかどこかの自分であるかもしれないのに。
 選挙は候補者ではなく、選挙民自身が問われているのでした。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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配信元)



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東京都知事選を考える 永田町に一発入れ現時点での実力示す れいわ新選組の本気はこれから
転載元)
(前略) (中略)今回の選挙では「コロナ対策に励む小池百合子」プロモーションを徹底すると同時に、前回は敵対している格好をしていた自民党都連に加えて、労働組合の連合の組織票まで丸ごと小池陣営に取り込んだことが得票からは浮き彫りになった。選挙戦は全般として低投票率狙いがあからさまに貫かれたのが特徴だった。

 この低投票率狙いに加担したのがジャーナリズムを標榜する報道機関で、終盤に至るまで徹底的な黙殺を貫いた。系列に関係なく、テレビも新聞も大手は記者が取材には走るものの、まったくテレビ画面に映すこともなく、紙面に戦況を報じることもなく、無視を決め込んだ。4年前の小池劇場と比較すればその差は歴然としたもので、他候補の露出機会を増やす公開討論会もなし、悪役たる「都議会のドン」とのたたかい等の面白おかしな切り取りもなければ、正攻法としての都政批判や公約検証もなく、スポンサーや広告主、あるいは首根っこを抑えられている電通から「徹底的に黙殺せよ」の指示が出ていたのかと思うほどの共同歩調をとった

 こうしてメディア戦略によって現職以外の候補者たちの存在感が表舞台からかき消される一方で、コロナ対策で売り出す小池百合子は、通常であれば選挙期間中は副知事なりが代役を果たすべきところを本人が連日テレビに出続け、「選挙どころではなく、目下疫病対策に専念する百合子」プロモーションを続け、本人は街頭演説をするわけでもなく、陣営は街宣車を走らせるわけでもない省エネ選挙を実践した。自民党や公明党、さらに連合の支持基盤を徹底的に固める組織型のステルス選挙を展開するのと併せて、コロナをもっけの幸いにしたメディア演出の二刀流によって二選を決めたといえる。
(中略)
 このなかで、“黙殺型”を選択せざるを得ない最大の原因ともなり、選挙のカギを握っていたのは放送禁止物体扱いだったれいわ新選組・山本太郎だったことは疑いない。消費税5%への減税という政策合意を立憲民主党が拒むなかで、野党から紐をつけられてれいわ新選組が骨抜きにされる形で都知事選に出馬することを逆に拒み、あえて選挙に行かない5割の有権者にリーチをかけていく挑戦となった。
決して甘くはない現実と今後にたいする課題を突きつけられたとはいえ、旧い政治を乗り越えて新しい政治勢力として“みんなを幸せにしたいんだ!”を掲げ、困難に直面する国民そのもののために献身する政治勢力として台頭していく覚悟を見せた。勝負事としてはまぎれもない敗北ではあるが、旧い永田町のしがらみにたいして一発を入れに行った姿勢は、単純な勝ち負け以上の意味を持ち、むしろ今後の政局を揺さぶる力として作用することは疑いないことを示した。
(以下略)
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都知事選で得た確かな手応えと課題 開票結果受け山本太郎陣営が記者会見
転載元)
 午後8時の開票開始と同時に「小池百合子当確」の速報が流れたのち、会見場に現れた山本氏は「高かった(小池)百合子山。そうはいいながらも、私たちを含め他候補に託してもらった票もたくさんあるので、小池知事への課題は山積していると思う」とのべ、はじめに都知事選をめぐる経費収支を公表。今回の都知事選では、8574件から1億2970万4391円の寄付金が集まり、選挙に関する支出(政党活動費を含む)は1億2450万777円となったことを報告した。
(中略)
 また「(落選の)結果については率直にいって非常に悔しい。東京五輪の是非、経済の回復、カジノ導入などの都政をめぐる争点はいくつもあったが、メディアの扱いを見ると、この都知事選の存在を主要メディアは積極的には発信したくなかったのではないかと感じる。もともと私はテレビに放送禁止物体として扱われているので想定内ではあるが、それは残念なことだ」とのべ、今後の小池都政に対しては、一日あたりのコロナ感染検査能力を上げていくこと、コロナ・ショックによって大きな打撃を受けた人々の回復のために都として大胆な底上げをすること、国に対してコロナの災害指定を強く求めることを要求した

 厳しい選挙を支えたボランティアに対して山本氏は、「参議院選もそうだったが、足を向けては寝られない。とくにコロナ禍の厳しい状態に置かれた人たちが、新たにボランティアセンターに来てくれた。ボランティアセンターに来てくれた20代、30代の方々。これまで来てくれた人も今回は来られない人もいた。それぞれのスケジュールの都合が合わなかったり、都知事選は宇都宮さんを応援するという人もいらっしゃった。それでも、その抜けていく人もいる中でもどんどん新しくボランティアに加わってくださった。なかでも職を失った方が非常に多く、それはいまの状況をなんとかしてほしいと思う方々だったと思う。なかには小さな病院を開業されているお医者さんが、昼休みに看護婦さんと一緒にボランティアに来られることもあった。コロナ禍で来院者が減り、病院の骨格が歪むほど経営が厳しくなり、このまま推移して第2波が来たときには多くのクリニックが潰れてしまう。私は選挙戦で前年度の診療報酬支払額を補償することを公約にしたが、おそらくそこに期待されていたのではないかと思う。当事者としてコロナ禍において首が締まった人たちがこの選挙の応援に来てくれた。それを思うと、本当に申し訳ないという気持ちで一杯だ」と悔しさをにじませた
(以下略)

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