ままぴよ日記 64 「アメリカで学ぶ楽しさを知った孫達」

 ボストンに住む孫のクラスメイトが新型コロナウイルスに感染して、孫も2週間の自宅待機になりました。ボストンも感染の第3波が猛威を振るっていますが、教育委員会は今のままのハイブリッド授業を続けるという方針を出したようです。
 やっと、学校生活が軌道に乗り、友達と遊び、学ぶ楽しさを満喫している孫達。
 できる事なら、友達とたわいもないおしゃべりをしながら学校生活を送る楽しみを奪わないでほしいと願っています。
(かんなまま)
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授業形態を大きく変えたミドルスクール



お姉ちゃんが通うミドルスクールは、3月から閉鎖になっていた学校を再開するにあたり、授業形態を大きく変えました。2日間対面と4日間リモートのハイブリッド方式の授業にしたのです。本来、ミドルスクールになると生徒は、大学のように自分が受ける授業のたびに移動するのでクラスルームを持ちません。

でも不特定多数の生徒が交わり続ける形式は、感染をコントロールできないので固定のクラスを作ることにしました。そこに先生が異動する方式です。孫は母国語を英語としないクラスに入りました。様々な国から来た9人のクラスメイトができました。みんな英語が得意ではないので、お互いに気負うことなく喋れていいようです。特別な英語のフォロー授業はあるものの、全て普通の教科を勉強しています。


今回は、そのクラスだけが閉鎖です。孫も2週間待機して、熱や症状が出たら検査を受けなければいけないそうです。

ちなみに先生は色々なクラスを回るので感染のリスクが高くなります。アメリカのUS Newsでは、校長先生、職員を代表する労働組織と業界団体の連合が、アメリカではじめて認可される新型コロナウイルスのワクチン配布に向け、アメリカの公立学校の教職員500万人が優先的に接種できるようにCDCに求めたそうです。

教育者の3分の2が55歳以上。そのうち25%が心臓疾患や糖尿病などの基礎疾患があり、重篤化しやすいハイリスクグループに入るとの事。感染を防ぎたい気持ちはわかるけれど、まだ臨床実験段階で長期的な効果やリスクがわかっていないワクチンです。心配だなあ~。

話は変わりますが次女が住んでいるオーストラリアは感染者0を37日間更新し続けています。少しずつ生活の規制がなくなって喜んでいますが、カンタス航空はワクチン接種歴を記録した電子ワクチン・パスポートの導入を検討しており、ワクチンを接種している人しか利用できない方針を打ち出したようです。なんとまあ・・・孫に会うこともできないじゃないですか!



学校が大好きな孫たち


さて、ボストンに暮らす孫は、学校が大好きで学ぶのが楽しくて仕方がないようです。日本にいた頃とはまるで別人!約1年半前、全く英語が話せない状態で4年生に編入し、その半分は夏休みやコロナ休校で学校に行っていません。それなのに、友達とも仲良くなって、リモートや対面の授業も親の援助なしで受けられるようになりました。

先日はブラジル人のお友達と「一緒にスリしてきた」と、楽しそうに報告してくれたそうです。娘は「スリ?」と聞きなおしましたが何度も「スリ」と答えるお姉ちゃん。結局「ソリ」のことで発音が英語だったのです。それは下の子になるほど顕著で、兄弟で話している時の半分は英語になっているようです。どうも、日本語より英語の方が簡単らしいのです。

先日、そのミドルスクールで、それぞれの教科の先生との面談がありました。何と、全ての教科がA+評価でした⁈レポートなどの提出物も完璧で、何より英語で表現するのが難しい時でも、自分で調べて、別のアプローチで表現して、自分なりの回答を持ってくるところが素晴らしいと褒めていただきました。500名の生徒中、最高の成績だそうです。

そもそも、日本の学校のように、記憶=知識=学力ではないので、それを評価するテストもありませんし、宿題として、歴史の年号や算数の公式を覚えたり、反復ドリルや漢字の書き取りが出されることはありません。それを評価されたらきっとCくらいでしょう。

その代わりに、教科別に自分の生活にも関係がある課題が与えられます。環境問題、紛争、政治、心理学、哲学、生物保護・・・実際にどうしたらいいかを考えさせるような課題です。自分なりの答えを導き出すための客観的なデータと、使い方を教えてもらい、あとは自分で考えたり、友達と協力して答えを導き出したものを発表するという授業です。

英語という壁に向き合いながらの課題提出なので、他の生徒の何倍も努力したでしょう。でも、発想に関してはハンディがありません。もともと、本を読んだり、自分なりの考えを膨らませるのが好きなので、課題を自分で考えるのが面白くて夢中で取り組みながら英語力も付いたのだと思います。やる気が先です。そして、失敗しても、どんな答えを言っても笑われないので怖いものなしです。


その安心はとても大きかったと思います。日本にいた時は、人と違ってはいけない、目立ってはいけない、正解は1つ、という変な意識が邪魔して、その能力を発揮できませんでした。今、自分がやりたいようにできるという喜びは、それが出来なかった経験があるからこそ、余計にやる気につながったのかもしれません。8種のねじれちゃんですもん。

コロナで家にいたことも幸いしました。やりたければ人の何倍も時間を使えます。年齢的にも学んで吸収するのに最適な時期です。自分が満たされると、相乗効果で、料理や手芸、弟たちのお世話などもしてくれるようになりました。

他の兄弟も、それぞれが自分の年齢に合った環境で楽しく学べているので学校が大好きです。

弟は自分のやりたいことがはっきりしているので、それさえしていれば幸せな子です。日本の学校では、規律に厳しい先生だったので全く楽しめませんでした。嫌なことを強いられている感が強かったのでしょう。気が休まらなくてずっと緊張していました。学校に行く前は何度もトイレに行き、忘れ物がないか何度もチェックして、暗い顔をして出かけていました。疲れて家に帰ってきて、家で楽しそうにしている下の弟をいじめていました。それぞれがイライラを家に持ち帰ってストレスを発散するという悪循環に陥っていたのです。

今は、自分の独自の道をまっしぐら究めています。空想を絵にして周りから一目置かれているようです。家では弟から慕われて、お兄ちゃんが絵を描き始めると、その周りで弟たちも絵を描くという具合です。

孫のカラフルな絵 かんなまま提供


変革が求められる日本の教育


子どもって環境によってこうも変わるものなのでしょうか!日本の教育はこのままでいいのでしょうか?子どもがつぶされてしまいます。

日本の新しい学習指導要領では一方向・一斉型の授業だけでなく、子ども達が自ら課題を発見し、主体的に学び合う活動を、対話的で協働的な学習(アクティブラーニング)を通じて、子どもの意欲や知的好奇心を十分に引き出すことが求められています。

まさに孫たちが体験している事です。でも、そういうトレーニングを受けていない先生がどのように授業を変えていけるのでしょうか?日本にいる孫たちの先生の言動を見ていると、すぐにそれができるとは考えられません。

そして、先生方も又、子どもに向き合う時間がない、理想的なことをやりたいと思っても結局点数で評価され、高校受験や大学受験で選抜されるのを見ていると、合格するための方法を教えざるを得ないのです。

親もしかり。子どもにとってどんな教育が必要かを考える余裕も方法も持たないまま、学校でいじめられないように凸凹の個性を直そうとします。授業に付いて行けるだろうか?と、早めに塾に入れます。才能を開花させるためにおけいこ事をさせます。

でも、子ども達が「NO!」と体で表現し始めました。子どもは自分の気持ちを上手に言葉で言い表せません。イライラ、いじめる、たたく、体の不調は子どもからの切実なSOSです。そのタイミングで向き合って問題解決を図らないと、せっかくの素晴らしい芽を摘んでしまう事になります。それどころか傷つけてしまいます。

コロナ休校で教育の変革が求められた時はチャンスかとも思ったのですが、結局、「主体的な学び・対話的な学び・深い学び」という理想を掲げただけで、方法は何も変わっていないように思います。

むしろ、文部科学省が動かないから、経済産業省の教育部門からGIGAスクール構想が出されました。来年の3月までにすべての子どもにデジタル機器を配布して、電子黒板などのツールを使って授業を拡大するというものです。経済産業省の目的は経済効果です。


これに関しても、現場の先生方にその勢いがみられません。先生が使いこなせない。研修を受ける時間がない。ただでさえ、コロナ対策で多忙な先生です。疲れ切っています。聞くところに寄ると、一斉に教えるやり方は変えずに、電子黒板を使って色々な情報を取り入れながら教えたり、生徒のノートをみんなで共有できるようにする域から出ないのでは?と言われています。

そして、機器を導入したにもかかわらず、一斉に使うとWi-Fがダウンする。専任の人材派遣が遅い。大事な子どもへの安全対策もない。健康被害、ネットリテラシー、ネットの世界で身を守る護身術も教えない。経済産業省がアクセルを踏むばかりに見えます。

100歩譲って、プログラミングの授業の時だけ「自分で考えよう!」と、主体的に学ぶ授業をしたとします。でも、他の教科では相変わらず一斉授業で、考えるより解き方や公式を教えてもらい、宿題で反復練習をして、テストをするなら、子ども達は混乱するばかりです。


さて、娘は子ども達の素晴らしい変化に驚き、喜び、安堵しましたが、一方で、数年後に戻るであろう日本の学校のことが心配になってきました。お姉ちゃんは戻ったらすぐに高校受験という現実が待っています。できるならばこの学びを続けさせたい。日本の学校が大きく変わるのを期待しつつ、帰国子女財団の通信教育を家で教えているようです。

周りの日本人は帰国するのを前提に、土日は日本人学校に通い、更に、○○ゼミを受講しているそうです。私は「ちなみにこんな動画が無料で見られるよ」とイケメン先生の授業動画を教えました。

「これはわかり易い。使ってみようかな」と、言っていたのですが、すぐに「ダメだ」「せっかく学ぶ楽しみを重視しているのに、これを見ているとテスト、テストばかり言われて辛くなる。我が家は見せない事にしました。」という返事がきました。あっぱれでした。

ここは現実路線で行くか、今の喜びを極めさせるか?の選択です。もちろん、子ども自身が喜んで学んでいる方が優先です。一分でも一秒でもその学ぶ喜びを味合わせてあげたい!そして日本に帰ってきても、その教育指針を見失わなければ、いい方法は見つかるはずです。

親が子どもの幸せを願い、「今」をその方針で対処しながら生きていくしかありません。すると必要な情報をキャッチする事ができるようになります。そのたびに学び、調整します。同時に、自分の身・口・意を一致させつつ、神様にお願いしていたら、絶妙なタイミングで願いが叶うのです。今までもその方法で切り抜けてきました。叶わなくてもその過程が大事なので後悔することはありません。

そして、孫が自立できる年齢になったら大学は世界中から選べばいいと思います。今後、ネットの世界を駆使して、自ら学ぶことができる世界も確立して行く事でしょう。大学が専門性を活かして世界中から生徒を募るようになるでしょう。孫たちには、自分の内なる声を聴きながら、自分を活かして社会貢献できるようになって欲しいと思います。AIやデジタルツールはそのための道具です。


さて、話は変わりますが、我が家に9番目の孫が生まれます。もう秒読みの状態になりました。明日からお嫁ちゃんの安全なお産と孫の誕生を心待ちにしながら、かわいい3人の孫のお世話に出かけます。

子ども達の学校の関係でお里帰りができないお嫁ちゃん。コロナ禍で、息子以外はお産に立ち会うことも面会に行く事もできません。きっと、子ども達は自分たちの家族で何が起きているのか、自分の目を通してみたり感じたりする事ができないでしょう。「家で産めばいいじゃない」と、1年生の孫が言ったそうです。本当にそう思います。

「説明したでしょ」と言われても、未来のことはリアルに思い描けないのが子どもです。「やっぱりママに会えなくて寂しい。」「どんな子が生まれたのか?」「今後どうなるのか?」複雑な思いを軽くしてあげたい。お嫁ちゃんの代わりにはなれないけど、孫の「今の思い」に敏感になって、フォローしてあげたいと思っています。

だから、「息子の家族のために」が一番の優先順位になりそうです。もしかしたら次回のママぴよ日記が遅れるかもしれません。どうぞ、ご理解くださいませ。


Writer

かんなまま様プロフィール

かんなまま

男女女男の4人の子育てを終わり、そのうち3人が海外で暮らしている。孫は9人。
今は夫と愛犬とで静かに暮らしているが週末に孫が遊びに来る+義理母の介護の日々。
仕事は目の前の暮らし全て。でも、いつの間にか専業主婦のキャリアを活かしてベビーマッサージを教えたり、子育て支援をしたり、学校や行政の子育てや教育施策に参画するようになった。

趣味は夫曰く「備蓄とマントラ」(笑)
体癖 2-5
月のヴァータ
年を重ねて人生一巡りを過ぎてしまった。
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