ただ、立っているだけじゃないタダアーサナのやり方 ~「内転筋群」はすべて、吸気でより強く筋肉が収縮する吸気筋

竹下雅敏氏からの情報です。
 「正しい姿勢」という事で、ヨガのタダアーサナを含む3回の記事にまとめました。
 これまでは、“ただ、立っているだけのタダアーサナ”だったのですが、これからは、“ただ、立っているだけじゃないタダアーサナ”になります。主にポーズと呼吸の関係を見て行きたいと考えています。 
 今回は「吸気」に関して、もう一度「内転筋」を調べます。冒頭の動画はすでに紹介しましたが、もう一度1分3秒~33秒の所をご覧ください。「まずは(足の)親指どうしをくっつけて行きます。踵を少し離して小指から踵のヘリが一直線になるように立ちます。足の指をすべて上げて、足の親指をそっと降ろします。踵の内側を強く踏みます。小指をそっと降ろしてゆきます。(足指全体を降ろします)」という事ですが、“なぜ足の親指をくっつけて踵を少し開いて立つ”のでしょう?
 これは動画の続きの「内転筋」の説明に関係してくるのです。1分33秒~53秒で、“ゆっくりと膝を曲げて行きます。ヨガは内転筋をほとんどのポーズで使っていきますので、この太ももと太ももがしっかりとくっ付いていく筋肉、内転筋群というのをしっかりと働かせていきます。そのまま、ゆっくりと膝を延ばして行きましょう”と言っています。
 「内転筋」を働かせるときに注意すべき点が、次の動画の内容です。これは非常に大切な処なので、特に50秒~1分40秒の所をご覧ください。「内転筋を使って骨盤を立てる座り方」の説明をしているのですが、“(イスに座って足の)親指をつける理由は、簡単に言うと内ももの筋肉を使いやすくするためです。そこから内ももをくっつけるように寄せます。そして膝を手で内側に抑えながら、膝を少し外に開く。つまり太ももは寄せながら、膝は少し開くような形になります”と言っています。このようにする理由を、動画では詳しく説明しています。
 普通に「内転筋」に力を入れて両膝をくっつけると、内転筋の膝に近い部分に力が入ってしまい、肝心の内転筋の上部に力が入らなくなってしまうのです。「内転筋」に力を入れて両膝をくっつける場合には、「内転筋」を恥骨に近い上部と中部、そして膝に近い下部の3つに分け、上部から下部へと順に力を入れていく必要があるのです。なぜ、そうする必要があるのかは、動画の2分28秒~5分38秒をご覧ください。
 “続きはこちらから”のイラストに「内転筋群」があります。「恥骨筋」「大内転筋」「小内転筋」「長内転筋」「短内転筋」「薄筋」があるのですが、実はこれらの内転筋群はすべて「吸気筋」なのです。“吸息時に働く呼吸筋を吸気筋、呼息時に働く呼吸筋を呼気筋”と言うのですが、実は呼吸筋に限らず、すべての筋肉は「吸気筋」か「呼気筋」に分かれるのです。ここでの「吸気筋」とは吸気でより強く筋肉が収縮する筋肉で、「呼気筋」とは呼気でより強く筋肉が収縮する筋肉のことです。
 内転筋群はすべて「吸気」で筋肉が収縮し、力が入るのです。なので、上記の動画で「内転筋」を使う場面では、息を吸っていることになります。この事を踏まえて、冒頭の動画の1分3秒~53秒の所を、もう一度整理すると、“足の指をすべて上げるときは息を吸い、足指を降ろす時に息を吐きます。息を吐きながら、ゆっくりと膝を曲げて行きます。そして、息を吸いながら、ゆっくりと膝を延ばして行く”というのが、正しい呼吸とポーズの合わせ方になります。
 何故、足の踵を少し開いて立つのでしょうか。こうすることで、肛門に力が入らなくなるのです。「内転筋」に力を入れている時には、「肛門」の力は抜いておかなければなりません。何故なら、肛門は「呼気筋」だからです。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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【ヨガの基本】姿勢を改善、全身の歪みを整えるポーズ タダーサナ| ヨガ・アーサナ解説 | 藝UeL TOKYO
配信元)
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座るだけ。内もも使って【骨盤立てる】コツ
配信元)
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タダアーサナをとってみよう
引用元)
(前略)
一見、ただまっすぐと立っているだけのように見えますが、解剖学的観点から正しい位置を突き詰めていくととても難しく(中略)… タダアーサナだけで3.4時間のクラスがあるとか。
(中略)
一般的に、アーサナから次のアーサナに移る合間に行われ、筋肉や呼吸の組織を整えるとともに、マインドを内側に向け、リラックスさせる効果があり、すべての立ちポーズの準備ポーズに入れられます。
(中略)
アイアンガーヨガ系は足を少し開き、足幅は股関節幅くらいで立ちます。
アシュタンガヨガ系は、足を閉じて立ちます。
(以下略)


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「足が速い人」と股関節内転筋群の関係
引用元)
(前略)
股関節内転筋群

股関節の内転動作を行う際に必要な「内転筋」は、股関節の内旋、膝を内側に向ける動き股関節の伸展をコントロールしています。股関節内転筋は、単関節筋として「恥骨筋」「大内転筋」「長内転筋」「短内転筋」、二関節筋として「薄筋」があり、総称して「股関節内転筋群」と呼ばれます。骨盤の固定や姿勢の維持、安定した歩行など、私達の日常生活において使用頻度の高い筋肉といえます。

内転筋群は、骨盤の前面である恥骨から太腿骨の内側まで続いており、内転筋に力を入れると、内臓を支えている骨盤底筋にも力が入りやすくなります。骨盤底筋は、姿勢を維持するために必要な筋肉なので、身体の軸の安定感もコントロールしていると言っても過言ではないのかもしれません。内転筋を鍛えることで骨盤の位置が整い、内臓が好ましい位置に収まるため、内臓下垂(「ぽっこりお腹」の原因の1つ)や便秘が解消されることもあります。


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