正しい立ち姿勢と「舌の位置」〜 伸筋、屈筋のバランスが取れ、体幹に力が入るスイッチが「舌の位置」/ 屈筋、伸筋とは別の吸気筋、呼気筋という重要な概念

竹下雅敏氏からの情報です。
 アーユルヴェーダの解説の35回目です。一連の動画は大変参考になるので、ぜひご覧ください。特に1つ目の動画は重要です。屈筋と伸筋の説明があり、屈筋優位の姿勢だと猫背になり、伸筋優位の姿勢だと反腰になると言っています。5分43秒~6分18秒で、“本来であれば立姿勢は、身体全体の伸筋も頑張っていない、身体全体の屈筋も頑張っていないというバランスの状態で初めて、いわゆる正しい立ち姿勢になります。身体全体の筋肉が、一番力が抜けている状態で人間の身体は真っ直ぐになるようにあらかじめ出来ているわけですね。この重心線、垂直一致、骨盤中立という状態を司っているのが体幹ということになります。体幹というのは腰回りの筋肉群ですね”と言っています。
 この部分がキモで、実は、伸筋、屈筋のバランスが取れ、体幹に力が入るスイッチがあるのです。それが、「舌の位置」なのです。2月12日の記事で、“舌を上あごにつけて、上下の歯の間を少し空けるようにして、口から息を吐き、鼻から息を吸う”と記しましたが、敏感な方は、舌の位置を上あごの歯の付け根につけるだけで、肩、首の力が弛み、腰に力が入るのがわかると思います。鼻で呼吸するよりも、鼻で吸って口から吐く呼吸の方が、下腹部により力が入るのです。ぜひ試してください。
 “続きはこちらから”の記事は、極めて重要な内容です。屈筋、伸筋という概念とは別に、吸気筋、呼気筋という概念があるのです。記事では、「全身の筋に呼吸性調節が及んでいることが判った」と書かれていますが、この通りで、全ての筋肉は、吸気筋か呼気筋に分類が出来るのです。
 「原則としてまとめると,一般に伸筋は吸気筋であり,屈筋は呼気筋である」と書かれていますが、手脚の屈筋、伸筋に関しては、まったくこの通りです。しかし、ウィキペディアによれば、「最大の屈筋は大腰筋であり人間は大腰筋の発達によって二足歩行を可能にしている。ヒラメ筋,腓腹筋は屈筋であり人間の身体を支えている。同様に大腰筋によって人間の身体は支えられている。猫背や反り腰では大腿四頭筋や腰方形筋、脊柱起立筋、頭板状筋、僧帽筋などの伸筋群が緊張し、バランスがとれたリラックスした姿勢ではこれらの伸筋群は弛緩している」と書かれているのですが、屈筋の大腰筋、ヒラメ筋、腓腹筋の中で、大腰筋は吸気筋ですが、ヒラメ筋と腓腹筋は、呼気筋なのです。
 また、伸筋の大腿四頭筋、腰方形筋、脊柱起立筋、頭板状筋、僧帽筋の中で、頭板状筋は呼気筋ですが、その他は吸気筋なのです。このように、屈筋・伸筋と吸気筋・呼気筋は、別の概念なのです。
 手脚の屈筋、伸筋に関しては、「伸筋は吸気筋であり,屈筋は呼気筋」なので、手を伸ばす動作、脚を伸ばす動作は息を吸いながら行うのが自然なのです。2020年10月11日の記事で、“スクワットの呼吸法は、膝を曲げ、ゆっくりと腰を落とすとき「口から息を吐く」、膝を伸ばし、ゆっくり上体を戻すとき「鼻から息を吸う」のが正しい”と記したのは、こうした理由によります。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

————————————————————————
【正しい歩き方協会】#正しい歩き方 と姿勢であなたに奇跡を起こすスキルシェア 2020年1月9日
配信元)
————————————————————————
2日目【正しい歩き方協会】#正しい歩き方 と姿勢であなたに奇跡を起こすスキルシェア 2020年1月10日
配信元)
————————————————————————
3日目【正しい歩き方協会】#正しい歩き方 と姿勢であなたに奇跡を起こすスキルシェア 2020年1月11日
配信元)

————————————————————————
吸気筋と呼気筋
引用元)
(前略)
横隔膜,内肋間筋軟骨間部などのいわゆる主吸気筋,胸横筋,内肋間筋骨間部などのいわゆる主呼気筋は,安静呼吸時に,それぞれ吸気相,呼気相のみに放電叢を示す.また胸鎖乳突筋,僧帽筋などいわゆる補助呼吸筋は,大換気を命ずると,吸気相に一致する放電叢を作る.また外腹斜筋など腹壁諸筋は,深呼気時に収縮する.これらは常識的な所見であったが,立位で僧帽筋に電極を刺入して観察を続けると,僧帽筋では吸気相,呼気相を問わず,単一NMU(neuromuscularunit)の放電は,ある間隔を保って認められる.すなわち僧帽筋は抗重力筋であって,肩甲骨および上肢の重量を支えているための持続性収縮なのである.ところが,この放電間隔を計測してみると,吸気相では短縮し,呼気相では開大している.すなわちこのことは,僧帽筋においては吸気時には呼気時に比し,より強い収縮を行っていることを意味しており,このことはとりもなおさず僧帽筋にも呼吸中枢の影響が及んでいることを示しているといえる.このような単一N.M.U.の放電間隔の変動を他の種々の筋についてみると,補助呼吸筋のみならず,全身の筋に呼吸性調節が及んでいることが判った.
(中略)
原則としてまとめると,一般に伸筋は吸気筋であり,屈筋は呼気筋である.たとえば握力計を握るとき,吸気を行いながら握るときの異和感は,筋活動の呼吸性調節を無視した行為だからである.
(中略)
ある行動には,それぞれ最も適した呼吸様式があることが判った.たとえば,ボキシングで吸気時にボディを打たれるとdamageが強い,また伸筋の最高能力を発揮せしめる跳躍時には吸気を行わせるのが適当であるなどである.
(以下略)

Comments are closed.