メキシコ便り(95):8月1日、過去の売国奴大統領らを告訴するかしないかの国民投票がついに実施❗️

 こちらの8月1日(日)、日本の明日、過去のネオリベラリズム時代の売国奴大統領らを調査し告訴したいかかどうかの国民投票があります。メキシコ便り(73)で取り上げましたが、まずこの国民投票が実施されるためには次の3つのどれかが必要でした。
 ①(15日間で)国民が200万人以上の署名を集める
 ②国会で国民投票をするかどうか決める
 ③大統領が大統領命令に署名
メキシコ国民は去年の9月に一番難しい方法、一番民主主義が反映される方法で15日間で280万の署名を集め国民投票を実施する権利を得たのです。👏👏👏
 ロペス・オブラドール大統領は就任当時から過去の大統領を罰することには反対で、その理由は「復讐は私が得意とするものではない」「過去より未来、前を向いて汚職をしない大統領としての見本であることの方が大事だ。」と言っています。なので、大統領は「過去の大統領を告訴しない」に投票します。とっても大統領らしい!(残念ながら7月31日のニュースで、大統領は投票できないことが発表されました。理由は、 投票は 登録されている自宅の住所の投票所以外では投票できないということです。いつものごとく今週末も、大統領は出張中。)この国民投票は国民の40%が参加しないと無効になりますが、大統領いわく、「 40%に届くかどうかよりも、これは民主主義を実践する良い機会で、そこに意義がある。」そして、「このプロセスは法律的なものだけではなく、モラルを問うものである。」とも言っていたことが印象的でした。

 メキシコ便りをずっと読んでくださっている方には、大まかなメキシコ政府の様子がすでに伝わっていると思うので、今回は、後半、思いきってちょっと踏み込んだものを書いてみました。メキシコがどのようにして壊されたのか、流れに沿って過去の大統領らがやってきた悪事の一部をまとめてみました。これだけ悪事を可能にしたのは、ネオリベラリズムの父、サリナス元大統領が大統領、政治家は任期中は告訴されないFuero(フエロ)という特権を与えたため。この特権は、ロペス・オブラドール大統領のおかげで大統領に対するFuero(特権)は無くなりましたが、他の政治家のFueroは通過せず無くなっていません。それにしても、こうやってまだメキシコが存在しているのがすごい〜、さすがメキシコ人、苦境に強いです!それと同時にこれほど破壊されたメキシコは果たして完全復活可能なのかとも思ってしまいます。ロペス・オブラドール大統領が汚職撲滅、モラル(道徳、いわゆるヤマ・ニヤマ)の強化に全力を注いでくれていますが。。。あと3年は短すぎる。もう二度とネオリベラリズム政権を復活させてはいけないなと思いました。家族愛で数々の試練を乗り越えたメキシコ人に乾杯!
(popoちゃん)
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メキシコ便り(95):8月1日、過去の売国奴大統領らを告訴するかしないかの国民投票がついに実施❗️

8月1日(日)国民投票実施!


日本の明日、メキシコの8月1日(日)はネオリベラリズム時代の売国奴元大統領ら(写真下↓)を告訴したいかどうかの国民投票があります。

左から:ネオリベラリズムの父 サリナス元大統領(1988-1994)
    セディーヨ元大統領(1994-2000)
    フォックス元大統領(2000-2006)
    カルデロン元大統領(2006-2012)
    ペニャ・ニエト元大統領(2012-2018)

腐りに腐りまくっている選挙管理委員会(INE)は、本来、3月に実施予定だったこの国民投票を、あれやこれやの理由で伸びに伸ばしましたが、とうとう回避することはできず、8月1日に実施することになりました。

8月1日の国民投票の投票紙
過去の大統領らを調査し告訴したいかどうか
イエス(SI)かノー(NO)の選択


反大統領派(選挙管理委員会も主要メディアも):国民投票を実施したくなかった


過去の大統領不正選挙に関わった選挙管理委員会は未だ、大統領よりも多くの給料(178,324ペソ:約98万円)を貰い続け平気な顔をしています。メキシコではロペス・オブラドール政権から大統領のお給料は60%カット、公務員は大統領のお給料(108,000ペソ:約60万円)より多く貰う事は違法になりました。
(注)メキシコの物価は日本より2分の1から3分の1です。(【メキシコの物価】メキシコの金銭感覚も身につけよう!より)

給料減を拒む選挙管理委員会長ロレンソ・コルドバ

そして、それに準ずる主要メディアらも全くこの国民投票のことを話題にしません。この国民投票には40%の国民参加が必要で、そうでない場合は無効に。反大統領派はとにかく黙って静かにし、国民に知らせないようにし40%の投票が集まらないように願っているようです。ロペス・オブラドール大統領も本来ならば、YES派とNO派で議論が行わなければならないが、メディアは国民に投票してもらいたくないのでだんまりだと言っていました。

7月24日メディアが国民投票のことを話題にした数
8つの主要メディアのうち2つだけが国民投票の話題を1つ
残り6つのメディアは全く触れていないゼロの状況



メキシコがボロボロにされた経緯


ここで、ネオリベラリズム時代のメキシコ大統領らが、それぞれどのようにメキシコをボロボロにしていったのか、ContralíneaのPablo Moctezuma Barragánさんの記事モレナ党の冊子新聞(冊子)、大統領の本「A New Hope For Mexico」を参考にまとめてみました。

「5つの重大な犯罪のうちの1つは、メキシコの主権に影響を与え、国際通貨基金(IMF)や世界銀行、そして世界貿易機関(WTO)などを通じて、ワシントンが設定した政策に従うように仕向けた公的債務である。」Contralíneaのパブロさんの記事より

⚫️サリナス元大統領(1988〜1994)


ネオリベラリズムの父、息子エミリアノはメキシコNXIVM(性的人身販売をしていたアメリカのカルト教団)の幹部でした。1988年に不正選挙で大統領に。1994年対外債務は1,310億ドルに。1989年から1994年までの間に2,000億ドル以上の借金が返済された。この負債は北米自由貿易協定(NAFTA)加盟を後押し。当時、経済規模がメキシコの15倍のアメリカ、2倍のカナダと自由貿易競争に。銀行、電話会社など経済に不可欠な公共企業を民営化。わずか5年の間(1988-1993)に251の国営企業を民営化。高速道路、港、空港も民営化。1988年(サリナス元大統領の就任時)フォーブス紙の世界長座番付けに入ったメキシコ人はたった1人、が、その6年後サリナス元大統領が去る頃には24人が世界長座番付入りに。このほとんどすべての人は、メキシコの国営企業を民営化した者たちだった。サリナス元大統領の時、メキシコ史上最大の貧富の差が生まれた。麻薬密売の拡散を許可、治安悪化、この時、popoちゃん在住のファレスで女性殺害が始まった。645人の記者を攻撃、50人暗殺。1994年経済危機(テキーラ・ショック)を起こした張本人。

⚫️セディージョ元大統領(1994〜2000)


1994年のメキシコ経済危機後、銀行救済プログラムFOBAPROA(フォバプロア)で、銀行(大部分の銀行が外国人オーナー)を救済。この救済額20億ペソ(約110億円)超。つまりFOBAPROAは私的債務を公的債務に変換したプログラムだった。30年間払い続けているが、 永遠に終わりそうにない。セディージョ元大統領任務期間、ペソ100%下落。チアパス州の原住民を大虐殺(45人)、PRD党の活動家数百名を暗殺。また150年の歴史を持つメキシコの国営鉄道Ferrocarriles Nacionales(フェロカリレス・ナショナレス)を民営化(外国企業に売却)し、大統領任務終了後、アドバイザーになり、またシティグループに天下り。国の負債が加速、貿易の自由化で2000万人のメキシコ国民が貧困に陥り移住を余儀なくした若者は勉学や仕事から排除され、田舎は見捨てられ、国家部門は民営化され、国家の生産工場は破壊された。

⚫️フォックス元大統領(2000〜2006)


70年間メキシコを支配してきたPRI党を負かしたPAN党フォックス元大統領。PRI党政府の汚職にうんざりしていた国民はPAN党に希望を抱いた。が、すぐにそれは裏切られた。フォックス政権は浪費、汚職、大企業の利益確保の保証、様々な暗殺・大虐殺の隠蔽として知られることに。メキシコ国民の貧困層が5300万人まで増加。(メキシコの人口約1億3千万。)2005年にはジョージ・ブッシュと「北米の安全と繁栄のためのパートナーシップ協定(SPP)」を締結し、メキシコの併合、米国やカナダとの安全保障・エネルギーの統合、米国防総省の指揮下にある北部司令部へのメキシコの軍事的服従を開始。また、すべての法を破り、すべての倫理を無視し、当時、国会議員であったロペス・オブラドール大統領の議員剝奪をしようとした。2006年の大統領選挙でカルデロン元大統領が勝つように不正を許可し可能にした。フォックス元大統領の任期6年間のメキシコ国営石油会PEMEXの売り上げは3470億ドル(約38兆円)あったが、全く国の借金返済に当てられなかった。

⚫️カルデロン元大統領(2006〜2012)

左:カルデロン元大統領、右:フォックス元大統領

2006年ロペス・オブラドール大統領が勝っていた大統領選挙で不正をし大統領に。カルデロン元大統領は、アメリカの麻薬取締局(DEA)のカレン・タンディの命令で「カルテル撲滅戦争」を開始。「メリダ・イニシアティブ」という安全保障協力協定をブッシュ政権下で結び、訓練、装備、情報の支援をアメリカから受けていた。が、「カルテル撲滅戦争」は実のところシナロア・カルテル麻薬組織と手を組み、他のカルテル麻薬組織を撲滅させるものだった。数年で数十万人の死者(2011年には20万人の死者)と数万人の行方不明者を出した。シナロア・カルテルと共謀したガルシア・ルナ(当時の公安大臣)は、現在アメリカで裁判を受けている。ABC保育園事件(死亡者46人、重傷者106人)、タマウリパス州での72人の移民殺害事件などを隠蔽。ブラジルの複合企業オデブレッチと汚い金儲けをし、また数千万ヘクタールの土地を鉱山会社に引き渡し、対外債務は1161億4000万ドル(約13兆円)まで増加。カルデロン元大統領もフォックス元大統領同様に、1バレル100ドルを超えていた時代、PEMEXの利益を全く国の債務返済に回さなかった。メキシコ国民の貧困層が6000万人まで増加。

⚫️ペニャ・ニエト元大統領(2012〜2018)


ロペス・オブラドール大統領が勝っていた大統領選挙を選挙管理委員会(INE)と共謀し不正で大統領に。ブラジルの複合企業オデブレッチに選挙キャンペーン資金をもらう代わりに、膨大な数の契約を約束。また民営化を試みたエネルギー(石油)改革法案を1億6,400万ペソ(約9億円)の賄賂を議員らに渡し承認・通過させた。アメリカに手渡すことになっていた石油地帯をロペス・オブラドール大統領が危機一髪で取り戻した。スペインの建設会社OHLと通常の予算の何倍もの予算で金儲け。アヨツィナパの43人の学生の失踪、ノチキスランやトララヤでの虐殺の隠蔽。8000もの鉱山搾取の許可。

国内総生産(GDP)に対する負債の割合

  2006年フォックス政権では 29.5%
  2012年フェリペ・カルデロン政権では 37.2%
  2018年エンリケ・ペーニャ・ニエト政権では 44.9%


モレナ党の新聞(特集)の表紙
中は各大統領の悪事が箇条書きにまとめられています。

さて、40%の投票率は取れるのか。。。ちょっと心配ですが
もし、取れれば、世界に民主主義の地鳴りがするかな?!

次回、結果をお楽しみに♪

今回、時系列でメキシコが破壊されていく様をご紹介したかった理由は
メキシコ人の名誉挽回というか
犯罪者、不法移民のイメージの誤解を解きたかったのです。
犯罪者、不法移民、それってホントは、ほんの一部の人たちで

大半のメキシコ人って
ホントに温厚で親切で思いやりがって
優しくあったかく寛容で
何よりも調和を大切にする人たちです。


家族思いだし、兄弟思いだし、働き者だし、
メキシコの国歳入の第一位が「家族への仕送り」ですよ! 

頭もいいし、創造力は抜群だし
野生の感性があるし
どこかいつも力が抜けてる、いい意味で...
心にゆとりがあるんだなぁ...
だからこそ、こんな大変な時代を乗り越えられたのかも

¡Viva Mexico!
(メキシコ万歳!)

(popoちゃん)

Writer

popoちゃん

メキシコ人夫とメキシコ在住中♪
新アムロ政権の勢いある改革ぶりを中心に
「今のメキシコ」をお届けいたします!

体癖5・9、ピッタ・カファ、エニアグラム7


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