母イノシシが突進する間に、ウリ坊はサッと川の斜面の茂みに逃げ込んだようだった。子供を守りたい一心で突進してきたんだろう。決して攻撃的な目ではなく、憂いを含んだ悲壮感のある表情だった。目と目が合ったと思ったけど、よく考えるとこちらは黒い虫除けネットを被っていたような気がするから、イノシシから見ると、異様な存在に見えたかもしれない。
離れ離れになったウリ坊と早く合流できるように、その日はそのまま帰ることにした。
車の助手席にいたから、犬が走って行ったと思ったよ。
今年は暑い真夏日が少し続いた後、ずっと雨で当分畑に来ていなかったから、草の勢いがすごくて、植木や茅もあるからイノシシのお母さんはもしかしたらここで出産したのかもしれませんね。
ほとんどの畑にはイノシシ除けの柵があるけど、ここの畑には柵がないから、一昨年からイノシシがサツマイモや菊芋を食べにきていたんだ。昨年はサツマイモは植えないで、菊芋をイノシシにほとんどあげた。自分たちはもう一箇所家の近くの畑にある菊芋だけで十分だったから、敢えてイノシシに掘り返して欲しい場所に植えたりした。宿根草の根が凄い場所でもイノシシの耕運力は頼もしい。それにイノシシはミミズだけでなく、マムシを食べるそうだから、蛇がいなくなる。
数日後、畑の草刈りに行きました。イノシシがいるかもしれないので、畑に着いてしばらく気配を探りましたが、いませんでした。
とにかく草の勢いが凄い。でもよく考えると、これほどに草が自然界にとって必要なんだと思う。草の種は鳥たちの食料で、特に虫のいない冬場の貴重な食料なのに、草の種が実る前にほとんど刈られてしまう。
草むらは色んな生き物のすみかで、虫もカエルや鳥の餌になる。これまでは草ぼうぼうにしていたらご近所になんと思われるかと、草刈りにうんざりしたり、草に野菜が負けて育たないことを心配したり、自然全体のことをこんな風に考えられなかった。
野菜の周りの草を引き抜いたり、刈ったりしていたのですが、ふと目の前のアマガエルに目が止まり、猫じゃらしや空を見ていると、草の中の気持ち良さに気がつきました。
草の中がこんなに気持ちいいなんて!!アマガエルや虫たちは、消毒も何もしてない自然の草の中にいて、こんなに気持ちいいんだ。
そう気がつくと、もうそこから先の草を刈る気になりませんでした。
「島の自然農」さんの動画配信をシャンティ・フーラの時事ブログで紹介されて以来、ずっと見ていて、とても参考になっているのだけれど、なかなかあれほどまでにきちんとはできないよ。
それで最近思ったのは、つる性の野菜は草の上に這い上がって葉を広げるから、比較的よくできる。カボチャ、キュウリ、ウリ、メロン系、つるインゲン豆系など、今度から離れた場所の畑ではつる性野菜中心にしようかな。ナスやピーマンなどはどうしても草の陰になって育ちにくい感じだよ。
「島の自然農」さんの、自然農で育てた野菜の美味しさやおすすめ葉物野菜など9月の種まきの動画もとても参考になったよ。
【自然農】自然農おすすめ野菜 9月に播ける種 2021年8月29日【natural farming】
家でできたトマトやキュウリ、ほんとに美味しいね。
わたしは「島の自然農」さんが紹介されていたアニメ「地球少女アルジュナ」がとても面白くて、お盆休みに土砂災害で通行止めでどこにも行けなかった時に1〜13話とダイジェスト版を一気に見ました。「島の自然農」さんもおっしゃっていましたが、とても深い意識や、感受性を感じさせるアニメで楽しかったです。
「なぜ殺す』というキーワードを問う、二人の目覚めた登場人物の言葉と、真実に目覚めていく主人公。20年以上前にこの作品を制作した人たちの洞察と表現力に感動するよ。
登場人物には現実世界ほどの強欲でクレイジーな悪者は出てこないけど、破滅に向かっている真実に向き合わず悪に加担している人々、我々に語りかけてくる。
車に退避したいと思いましたが間に合わず、体が動きませんでした。やや悲しそうな瞳でじっとこちらを見ていたかと思うと、母イノシシが突進してきたのです。「イノシシってやっぱり突進して来るんだ〜。手に持っている鍬の柄で防げるかな〜。」と思う一瞬で目の前に来ていて、「いや〜っ!!」と叫ぶと、膝に鼻をペトッとくっつけて止まり、こちらを見上げると、そのままピュ〜っと走り去りました。