シャンティ・フーラスタッフからの情報です。
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Bluetoothの2つの規格
Bluetoothは様々な機器が”近距離で”通信を行うために制定された規格です。パソコンと、マウスやヘッドホンといった周辺機器とをつなげるのに、USBケーブルという共通のケーブルを使いますが、この無線版と考えてもだいたい大丈夫です。
現在ではパソコン・スマートフォンといったIT機器のほとんどが、このBluetoothで互いに通信を行うことができます。また、当初は周辺機器の接続が主な用途でしたが、最近では近距離でデータを飛ばせるという特性を活かして、失くし物の追跡や、スマホを持った人に来店クーポンを発行するといった、「ビーコン」という用途にも用いられています。
そのBluetoothですが、全く別物の2つの規格が存在します。
BR/EDR(Bluetooth Classic)
Bluetoothロゴの出典: Author:Skarr21[CC BY-SA](以下同)
ひとつがBR/EDR(Bluetooth Classic)と呼ばれるものです。前述の通りBluetoothは「当初は周辺機器の接続」に用いられていました。この用途が主だった時代に使われていましたが、次に紹介するLE規格の登場と進化に伴い、使用場面は減りつつあります。
BR/EDRの特長は、通信を行うために、2つの機器同士を繋げる「ペアリング」という手順が必要なことです。この手順ではデータの暗号化などを行う計算能力が必要なため、ナノチップのような極めて小さく、電力も限られたデバイスには不向きといえます。
LE(Bluetooth Low Energy)
もうひとつがLE(Bluetooth Low Energy)です。LEとは低消費電力の意味であり、ボタン電池だけで何年も動作するような小型の機器でも、Bluetooth通信を行えるように作られました。電池なしで動作するBluetoothタグが使用している規格はこちらになります。
また、通信仕様もより柔軟になり、ペアリングなしでも通信やデータの発信が可能になりました。そのため単に周辺機器の接続だけでなく、前述の「ビーコン」のような使用方法も可能になりました。
なお、BR/EDRに比べて便利になった分、このLEの利用は増えてきており、現代の空間には大量かつ様々なLEの信号が飛び交っています。そのため、LEの信号を調べる際は、その中身を確認して、ノイズを除外していく必要があります。
ワクチン接種者体内のナノチップが利用している規格は?
以上の2つの説明から、仮に“Bluetooth in ワクチン”が存在するとすれば、それはLE規格を利用している可能性が高いといえます。実際に、私は人混みなどで両方の信号を調べましたが、BR/EDRの信号※は、明らかにパソコンやビデオカメラなどと分かり、簡単に除外できる信号だけでした。
※多くの機器は、過去使われてきたBR/EDRにも対応するため、BR/EDRとLEの両方の信号を発します。ここでいう「BR/EDRの信号」には、LEにも対応した機器からのBR/EDR信号は含まれていません。
そのため以降は、話が簡単になるように、LE規格を前提として書いていきます。
MACアドレス
郵便物が届くには住所(Address)が必要です。同様に、信号はその送り先・送り主を識別する数字が必要です。これが、Bluetooth通信を行う機器それぞれが持っている「MACアドレス」です。
Bluetooth対応機器の中にある様々なソフトがデータを発信する時、その信号には、自身の機器に与えられたMACアドレスが付けられて発信されます。
変化する可能性があるMACアドレス
さて、郵便物なら住所は変わりませんが、LEのMACアドレスは、頻繁に変化することがあります。理由は、プライバシー保護のためです。
この変化するかどうかという特性によって、MACアドレスには次の3種類があります。
- Public Address: 一切変化しないアドレス
- Random Address※: 一定時間毎等に変化するランダムなアドレス(仕様上推奨されている間隔は15分毎)
- Resolvable Private Address:一見「一定時間毎等に変化するランダムなアドレス」だが、アドレスを作るのに使われた“鍵”さえ持っていれば、特殊な計算でどの機器かが分かるアドレス
※正式にはRandom Static Address とNon-Resolvable Private Address の2つ。
このうち1.のアドレスは、その一部がOUIという、機器のメーカーに対応した数字になっています。そのため1.のアドレスであれば、どのメーカーの機器の信号かがわかるわけです。
どの種類のアドレスかは、次の流れに従って、MACアドレスからほぼ推定することができます。
上の判定を人間が行うのは大変ですので、MACアドレスを入力すると、自動的に会社名またはアドレスの種類を推測するツールを作りました。必要な方はこちらをご利用ください:
「謎のMACアドレスがスマホに表示される」とは
次は、謎のMACアドレスがスマホに表示される現象について説明します。
引用元: The Vaccine Contains Your Barcode - henrymakow.com,JS氏による画像
LEの信号のうち「Advertising(広告)パケット」と呼ばれる信号をスマホが受信すると、その信号の送り元MACアドレスを取り出します。そして、これを上の画像のように、Bluetoothデバイスの一覧画面に表示します。
ただし前述の通り、大抵の場所では大量の「Advertisingパケット」が飛び交っており、上のような画面になるはずです。これでは非常に使いづらいので、最近のスマートフォンでは、「Bluetoothデバイスを名前なしで表示」という設定をしなければ、上の表示にはならないようになっています。
謎のMACアドレスが表示されること自体は、珍しい現象ではありません。そのMACアドレスを採取した元である信号の中身が重要です。
信号(Advertisingパケット)はかなり遠くまで飛ぶ
ザウルスさんの神社での実験のように、周りに誰もおらず、接種者の機器をオフにした状態で、Bluetoothデバイスが検出されるかどうかを調べている方は多いようです。
実のところ、LEの信号(Advertisingパケット)はかなり遠くまで飛びます。
上の写真はシャンティ・フーラ社屋の敷地での、信号観測の様子です。この敷地や社屋内では、Bluetooth機能を動作させた機器は一切ありません。
一番近い住宅でも20〜30m離れているわけですが、それでも信号を受信できています。しかも家の外には誰もいないので、壁・窓を隔てて信号が飛んでいるということになります。
そのため、例えば温泉で信号が検出されたとしても、脱衣所やロビーなど思ってもいない場所からの信号を拾ってしまっているという可能性を考慮する必要があります。
LEの信号(Advertisingパケット)は、自分を確実に見つけてもらえるよう、同じ信号が連続して大量に発信されることが多いです。次の動画は、ある田舎の商業施設の駐車場で撮ったものですが、大量の信号が観測されています。
下手な鉄砲も数撃てば当たるということで、中には遠くに到達する信号も出てくるわけです。この点でも、信号の中身を調べることが重要です。
2つの検証手段
以上のBluetoothの特性をふまえて、ここでどのように検証を行うかを考えてみます。私の検討した範囲では、大きく2つの路線が考えられました。
1.ワクチン接種者の周りに機器が無い状態で信号を得る方法
ひとつは周りにBluetooth信号を発する機器が無い状態で、ワクチン接種者から信号を得る方法です。ザウルスさんが「体内発信源」として具体的な条件を挙げています。
上の条件に加え、さらに信号の中身まで調べ、それがノイズではないと確認できた場合、それはかなり説得力があるものとなります。しかし、次の問題があります:
- 接種者の協力を得ることが困難な場合が多い。
- Bluetooth現象が起きるかどうかが、接種者のワクチンのロットによって異なることが考えられる。
- 前述の通り信号は遠くでも到達することがあり、よほど周りに何もない場所か、電波暗室で行わなくてはならない。そのような条件を確保することは難しい。
何より、筆者はザウルスさんのように、人を見つけて近づき上手に接触するという勇気も能力もありませんので、この方法は取りませんでした。
2.大量の信号を集めて解析する方法
もうひとつは、接種・非接種者を問わずできるだけ多くの人が集まる場所で、大量のBluetooth信号を収集して解析する方法です。
この方法は、たとえ解析の結果「謎の信号」を得たとしても、それを接種者からのものとするには説得力が弱いというデメリットがあります。また、収集・解析のためのツールが必要です。そのかわり、次の利点があります:
- 接種者の協力を得ずとも、調査者一人だけで実施可能である。
- 前述のロットの問題を解決できる。(多くの接種者から信号を拾うため、Bluetooth現象が起きるロットを接種した人からの信号を拾える可能性が高い。)
以上のことから、今回の検証では2.の方法を取ることにしました。
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今回の検証において重要な点は、一般によく飛んでいる信号(ノイズ)を除外することです。次回は既存の収集・解析アプリを用いて収集した、そのノイズ信号の例を挙げます。
ワクチンには、人間を追跡したりグリッドに接続するためのナノチップの様なものが入っているかもしれません。それがBluetoothというのは少々眉唾です。普及している規格なのですぐバレる。しかも、仕様が複雑で、チップを微小にすることは難しい。また人間の体内ではBluetooth通信を行うだけの電力を得にくそうである。こんな規格を使う理由がどこにある?
しかし、こちらの記事にある通り、ザウルスさんの実験記事や、電池不要で動作するタグの存在から、可能性が高まってきたと思いました。また、技術的に検証しなくてはならないと思いました。
一般に人々が行っている検証では、Bluetoothデバイス一覧画面の変化を見たり、BLEScannerアプリを用いて信号を受信したり(例)しているようです。しかし技術的見地からは、単にデバイスや信号が検出されたというだけでは不十分に感じます。その信号の中身を見て、一般によく飛んでいる信号(ノイズ)を除外する必要があります。
そこで今回、Bluetoothの仕様をある程度理解し、その上で大量の信号の収集と解析を行うという形で、Bluetooth現象の検証を試みました。その具体的な方法と結果を、今回を含め3本の記事で公開することにします。
この第1回は、Bluetoothの特性と、検証の手段について記します。