石井ピュアファームのメルマガより「無肥料栽培とは?」〜 土や種の力を妨げないよう、よく見て察して気遣う世界

 無農薬栽培、有機栽培などの言葉がよく聞かれるようになりました。少し高価でも安全な農薬の心配のない作物だと思って購入します。ところがよくよく調べると、化学肥料は使っている、化学処理された種を使っていることが多いそうです。食物アレルギーや化学物質過敏症の方は身をもってそれらの作物の「不自然」に気づかれます。しかし石井ピュアファームでできた野菜は、化学物質過敏症や食物アレルギーの方が安心して美味しく食べられるそうです。
 石井ピュアファーム代表の石井吉彦氏は50年以上も「無肥料栽培」を実践して来られ、作り方を広める活動をしておられます。畑作りを学ぶ人々へのセミナー以外にもメルマガなどを通じて貴重なお話を届けられ、まのじも折々楽しみに拝見していました。
 今回届いたメルマガ「無肥料栽培とは?」と題された内容を拝見し、無肥料栽培は単に危険な化学物質を畑に入れないことではない、土も種も作物も「モノ」ではなく、人々と同じ地球の腸内細菌のようにお互いに気遣いながら存在しているように感じました。たくさんの生き物の生き死にを経て1cm四方の土ができるのに100年もかかると知ると、届いた野菜たちはもう、モノではなくご縁があって出会えたお仲間のような気がします。
 石井ピュアファームさんに転載のご許可をいただいて、「無肥料栽培」の箇所をご紹介します。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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自分と家族は自分で守る 〜 無肥料栽培農法で安心安全な野菜をつくろう
引用元)
(前略)
石井ピュアファーム代表 石井 吉彦さん
(中略)
人間がすべきことは種本来が持つ力を削がない、邪魔しないことだと思います。水かけ、肥料・農薬散布など手を加えることは、自然界からすると余計なお世話。うちの種は、気候や土の変化に適応し、土中の水を求めて根をはるので水かけが必要ない。ただ、日本で使用されている大半の種ではこうはいきません。なぜなら、化学物質の影響を受けた種なので自然に適応できず、常に人の手が必要です。無肥料栽培で作った野菜から種を自家採種し、その種で無肥料栽培をする。自然界では当然の姿なんです
(以下略)
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無肥料栽培とは?
転載元)
「無肥料栽培」というキーワードは最近あちこちで目にする言葉だと思いますが、では、内容を本当に理解できているか??というとほとんどいないでしょう。
疑問に思う人の話を聞いていると肥料を全く入れずに野菜が作れるのか?という疑問がいつまでも残るようです。
インターネットで検索すると、無肥料栽培を志しているという農家を見かけることがありますが、実はほとんどの農家が野菜のための肥料は入れていないけど、土づくりのために腐葉土や緑肥を入れているのです
肥料観念で入れていないので無肥料だという考え方です。でも結局は野菜作りのために入れる栄養なので肥料と同じことです

1年間学ぶ農業研修生で自分の畑で無肥料栽培をしながら学んでいる生徒さんも多くいますが、それでも無肥料栽培について理解している人はほぼいません。
無肥料栽培は一見簡単に見えますが、とても奥が深いからです。

最近も「無肥料栽培が肥料を入れずになぜ育つのか?という疑問がいつまでも残り、セミナーや農業研修で学んでもどうも納得出来ない。」という話も聞ききました。

今回は改めて、なぜ無肥料栽培では肥料を全く入れなくても育つのか?という点をお話します。



基本的に畑の土は、微生物や土壌動物などが生き変わり死に変わりして出来た栄養分により作られています

そのため1cmの土が作られるのに100年もの時を要するのです
そうして出来た土は、植物にとって必要な栄養素が豊富に含まれています。
例え数年ほど土に全く何も入れなくても植物を育てる力は充分にあるのです

無肥料栽培では、肥料や堆肥など畑に入れるものは何もありません。
強いて言えば収穫を終えた作物の根が土に残り、分解されて栄養分にもなるのです。
そのためわざわざ肥料分を入れる必要は全くありません。
窒素、リン酸、カリを入れないと育たないというのは、自然界の生態系を無視した考え方です


雑草は何かを入れて育ていますか?
何も入れなくてもそこの土に合った雑草が生えてきます。
雑草は切っても切っても生えてきます。

品種改良で肥料を入れないと育たないF1種の野菜は、無肥料栽培ではよく育ちません
固定種でも購入した種ではあまりうまくいきません。
固定種を自家採取して初めて収量が上がり、よく育つ元気な野菜ができるのです

また、畑の中に残留肥料が残っていると虫が湧くのでうまく育たないし健康な野菜はできません。
健康な野菜とは、アトピーや化学物質過敏症の人でも食べられる野菜ということです。

関東にいた時、自然栽培に取り組んでも10年は土作りにかかると言われていました。
ですが、九州では気温が高く雑草の生育がとても早いので、この点を利用すれば余計な肥料成分が早く抜けます。
夏場は草刈りをしても2週間ほどで元に戻ってしまうほど草の伸びが早いです。
なので本州よりも、残留農薬や残留肥料が早く抜けてくれるのです。
本州で10年かけて残留分を抜きますが、九州では2〜3年である程度抜くことができます

またミミズの働きも大きいです
ミミズは窒素を身にまとい、糞は微生物たちの住処になり、糞が水分を含むことにより膨らんだり縮んだりして土の中に空気を送り込んでくれるので、土にとってよい団粒構造を形成しやすい環境を作ってくれます。
そしてミミズは死ぬと自分の持っている酵素によって分解されて窒素になります。窒素は雨からも降ってきます。リン酸やカリウムは、土の中にある微生物達が運んできてくれます。

無肥料栽培は、このような自然界を有効に活用して育つ野菜なのです

ただし、一般的な化学肥料で水膨れにさせて大きくしたような野菜と同じような大きさの野菜は出来ませんし、一般的に求められているほどの収量もありません。
と言いますか、一般野菜のように大量生産できるのは、人間が化学的に造り上げた自然界に反した構造の上で成り立っている野菜であるということを理解してください。
大量生産した野菜には健康に悪影響を及ぼす要因が多く含まれます


無肥料栽培の野菜は人が食べて元気になれる野菜であり、今の時代に必要な基礎体温を上げる野菜であり、免疫力が上がる野菜だと言っても過言ではありません
誰でも食べられる野菜を作る!そんな思いから始めた野菜作りなのです。

しかし、畑を新しく始めた場所であったり、農薬や化学肥料を始め有機肥料や堆肥などを使用していた畑は無農薬無肥料栽培で野菜を育でてもすぐには上手くいきません。
残留農薬や残留肥料が残っているため身体が良くなる野菜を作るのにはどうしても少し時間がかかります。
無肥料栽培に取り組んで2〜3年は転換期間中ということで取り組んでください。
生で食べてスッキリと味が残らないようになってから自信を持って出荷してください。
(中略)
(石井)

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