原発の運転期間の制限をなくす危険なGX法が可決成立 / 法案は2022年参院選での自民党の公約に基づいて作成され、エネ庁と規制庁が談合

 老朽化著しい原発を、運転期間60年の上限を超えてさらに運転できるようにする法律が31日、参議院で可決成立しました。世界に類のない危険な内容を国会での議論も尽くさないまま、数にモノを言わせての成立です。おしどりマコさんがエネルギー庁からの内部リーク文書に基づいて、この法案の背後にある談合を解説しておられました。2022年に資源エネルギー庁と原子力規制庁がいきなり「運転できる期間に制限なし」「延長する回数に制限なし」と決めて法案を進めたのは、その背後に「自民党提言」があったことが発覚しました。2022年参院選の自民党の公約を資料にして、エネ庁が規制庁に対してレクチャー(事前の説明)をしていたのが実態でした。このような事前協議は原子力規制庁の独立性を失わせるもので、しかも悪質なことに「規制庁が"言い出しっぺ"に見えないような法構成にする必要がある」「安全規制が緩んだように見えないことも大事」など、国民を騙し、国民の安全のことはまるで念頭にないことが露呈していました。この法案に賛成したのは、自民、公明、維新、国民民主です。
 今は故人となられた平井憲夫氏の動画がありました。福島第一原発建設技術者であり、監督を20年以上勤められた専門家が、1996年の時点での恐ろしいまでの杜撰な状況を話しておられました。(4:00〜)当時すでに毎日のように原発では事故や故障が起こっていました。なぜかというと原発の工事に関わっている人の中に「職人」と言われるような技能技術者がほとんどいなくなってしまい、全体の98%くらいは全くのシロウトが工事をやっているからだと話されています。国の役人が作成した間違ったマニュアルでも現場の職人さんが経験に基づいて事故が起こらないように加工していましたが、熟練工の職人がいなくなった現場では事故が防げない。それから30年近く経過した現在、平井さんのように警告される方も居なくなり、原発はますます脆くなり、危険な原発を補修する人材はますます不足している状況です。それが改善されることもなく運転延長するなど、日本を破壊するつもりなのか、自民党、公明党、維新、国民民主。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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【詳しく】原発運転期間 実質延長へ 法律が可決・成立
引用元)
(前略)
電気事業法や原子炉等規制法などの一部を改正する法律は、現在の法律で最長60年とされている原発の運転期間について、審査などで停止した期間を除いて、実質的に上限を超えて運転できるようにします

また、運転開始から30年以降は10年を超えない期間ごとに機器や設備の劣化状況を確認して管理計画を策定し、原子力規制委員会の認可を受ける必要があるとしています。
(中略)
31日の参議院本会議で行われた採決では、自民・公明両党と、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。
(中略)
さらに、今回の法改正では、原子力利用の基本方針を定め「原子力の憲法」とも呼ばれる原子力基本法も大幅に改正されました

原子力基本法は、1955年に、日本が原子力の利用を始めるに当たって目的を平和利用に限定し、安全確保や情報公開の重要性を明記した法律ですが、今回の改正で、原発を活用して電力の安定供給や脱炭素社会の実現に貢献することを初めて「国の責務」と位置づけました。
(以下略)


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エネ庁と規制庁の談合⑤「自民党の参院選公約」をエネ庁が規制庁に説明!?
引用元)
(前略)
さて、問題はここからである。

4Pの「運転期間をめぐるこれまでの議論」には「自民党提言」とある。
GX会議で指示される1ヶ月前に、何を根拠に運転期間延長の談合をしていたかというと、
自民党の意向に沿っていたのだ


ここから、自民党関連の資料が続く。
(中略)
9Pは、法改正のイメージ図が書かれていた。

ここですでに、炉規法から、「運転期間に係る規定が引っ越し」と書かれている。

この、昨年7月の資料のとおり、原子炉等規制法から、運転期間上限にかかる規定が削除された法案が、今国会に提出された。
自民党の選挙公約に沿った資料をエネ庁が作成し、規制庁にレクして、法改正が行われているのだ。

ここに、原子力規制庁の独立性は担保されているだろうか?

(中略)
10Pめ、最後の一枚も驚きの資料である。

「規制委が主請議・提案者とならない法構成が必要」とある

つまり、原発事故発災後に改正された、運転上限を炉規法から削除するにあたって、
規制委員会が「言い出しっぺ」とならない法構成が必要、という意味だ。

そういう形での法構成が、今回の「束ね法案」である

複数の法体系の改正を一度におこなう束ね法案は、国会審議の形骸化をまねく。
各省庁にまたがった複数の法を一度に改正するということは、通常、それぞれ分かれている委員会での審議が機能しにくいのだ。

「一方、安全規制が緩んだことように見えないことも大事」
(中略)
しかし、なんという酷いことだろうか。

原子力推進側のエネ庁が、原子力規制側の規制庁に、
自民党の選挙公約などを示しながら、高経年化原発の運転期間上限の削除をレクチャーし、
「一方、安全規制が緩んだように見えないことも大事」と、伝えているのだ。 
(以下略)

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配信元)

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