[原貫太氏 CFAフランの解説・前編] フランスによるアフリカ諸国の植民地支配を可能にしたのは「CFAフラン」という通貨、アフリカから実質的に通貨発行権を奪うもの

読者の方からの情報です。
 読者の方から、今知るべき情報が届きました。ヨーロッパの支配から抜け出そうとするアフリカ諸国の動きが活発化していますが、旧宗主国フランスは、これまでアフリカの国々を植民地支配するために「CFAフラン(セーファーフラン)」という通貨を利用していました。CFAフランとは何なのか?原貫太氏が前編・後編に分けて解説されていました。今回は前編です。
 CFAフランとは「西アフリカと中央アフリカの国々で使われている共通通貨(1:20〜)」で、厳密には「西アフリカ諸国中央銀行が発行するCFAフランと、中部アフリカ諸国銀行が発行するCFAフランの2種類」あります。2:50あたりの地図に、それぞれが数カ国ずつ使われているエリアが示されています。
 CFAフランの特徴は、旧宗主国であるフランスの通貨と固定されたレートを持っていることで、過去、交換レートが変更されたのはわずか2回のみでした。1994年に交換レートが1フランス・フラン=100CFAフランとされ、その後、1999年にはフランスがEU共通通貨ユーロを導入したことから、1ユーロ=約656CFAフランとなりました。原貫太氏いわく「CFAフランの問題点を考える上で、この交換レートが非常に重要です。」その理由として、3つの問題点を説明されます。
 1点目は、ユーロとの交換レートが、アフリカの経済力よりも高い水準で設定されていること。アフリカの経済力に相応したレートであれば、国際的な価格は相対的に安くなるので、アフリカの国々の輸出には有利に働くはずでした。しかしCFAフランが高く設定されているため、アフリカ諸国にとっては輸出が不利になり自国の産業が発展しにくい構造になっています。逆に、フランスからはあらゆる商品が安い価格で入ってくるため、アフリカの産業は価格競争に勝てません。
 2点目は、CFAフランを発行するのはアフリカ諸国の中央銀行ですが、その政策決定には常にフランスから選出された役員がコントロールをしてきました。実質的にアフリカの加盟国は通貨発行権を持っていません。アフリカ諸国は、自国の道路や橋など望まれるインフラ整備の公共事業を介した景気対策が取れません。
 3点目の最大の問題点は、CFAフランの加盟国が保有している外貨の50%をフランスの国庫に預けなければならないという決まりです。これはつまり「本来は、アフリカの経済発展に使うべき資産のうち、半分をフランスに取り上げられてしまっている」ことになります。アフリカの国々にしてみれば、輸出すればするほど、そこで得た外貨がフランスの国庫に自動的に入っていくシステムで、フランスにとっては重要な収入源になります。
「これでは植民地支配と変わらない」
CFAフランのメリットとしては、「経済大国のフランスによって、通貨の安定性が保証されていること」が挙げられています。アフリカの独立後の政情不安によって経済破綻が起きても、ユーロとの交換レートが固定されているため、通貨の価値を失うことなく換金可能な状態が維持できるというものです。アフリカに投資する外資にはありがたいことです。
 アフリカから見たCFAフランは「西アフリカ諸国の大統領はCFAを廃止したくても、それを言えばフランスに暗殺されてしまう。政治家はフランスの言いなりになるしかない。西アフリカは"経済的な奴隷状態だ"。ベナンを含む西アフリカはまだ独立を果たしていない。」というものです。
 次回、後編は「中国やロシアが近年のアフリカで影響力を高めてきたことがCFAフランの廃止に向けた動きにも関係している」という解説です。
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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フランスの闇を暴露します【CFAフランをわかりやすく解説】
配信元)



【要約】
フランスは人権大国のイメージだが、経済的に貧しいアフリカの国々を搾取し続けてきた。
CFAフラン(セーファーフラン)は支配のツールになっている

日本のマスメディアを通じて入ってくる情報は、アメリカやヨーロッパの視点で描かれているものが多い。
アフリカの視点で政治や歴史を考えてみる

(1:20〜)
CFAフランとは「西アフリカと中央アフリカの国々で使われている共通通貨」
これらの国のほとんどはかつてフランスによる植民地支配を受けていた。

例えばユーロも共通通過の一つ。

広大なアフリカ大陸をわずか7カ国のヨーロッパの国が分割支配をしていた。特に英仏

厳密には「西アフリカ諸国中央銀行が発行するCFAフランと、中部アフリカ諸国銀行が発行するCFAフランの2種類」。
それぞれが数カ国ずつ使われているが互換性はない(2:50の図)。

CFAフランの特徴は、旧宗主国であるフランスの通貨と固定されたレートを持っている
過去、交換レートが変更されたのはわずか2回のみ。

1994年には交換レートが1フランスフラン=100CFAフランとされ、その後、1999年にはフランスがEU共通通過ユーロを導入したことから、1ユーロ=約656CFAフランとなった。

原貫太氏いわく「CFAフランの問題点を考える上で、この交換レートが非常に重要です。」

CFAフランの3つの問題点
1)ユーロとの交換レートが高い水準で設定されている
これはつまり、CFAフランの通貨の価値が本来よりも高く設定されている
ということ。

例えばニジェールや、マリ、ブルキナファソといった世界の中でも最も貧しい国々は経済力も非常に弱い。

本来よりも通貨の価値が高く設定されてしまうと、どのような不都合が生じるのか。

通貨の価値が低いことには「輸出に強い」というメリットもある。
国際的な価格が相対的に安くなるため、輸出には有利に働く。

CFAフランを使っているアフリカの国々にとっては輸出が不利で自国の産業が発展しにくい構造となっている
経済発展を妨げる要因となっている。
逆に、フランスから見ると、アフリカの国々に輸出をするのに有利な状況。
旧植民地にバンバン輸出することで経済的な利益を得てきた


アフリカからすると、あらゆるフランス製の商品が安い価格で入ってきて、アフリカはフランスとの価格競争に勝てない。
CFAフランを導入するアフリカの国々は経済的に自立が難しい

アフリカの貿易相手国として、フランスは常に上位だったが、それは植民地支配の時代から築き上げてきたCFAフランの仕組みが関係していた。


2)加盟国は自由に通過を発行できない、通貨発行権がない
独立国家は自国の政府、または中央銀行が自国の通貨を発行する権利を持っている。

CFAフランは中央銀行で発行されているが、この中央銀行の政策決定は、
「複数の国の代表からなる役員会で全会一致された場合のみ決定される」
「それにもかかわらず、この役員会には、常にフランスから選出された役員が含まれてきた」

つまり、実質的には加盟国の通貨を発行する権限をフランスがコントロールしてきた

自国の判断で通貨が発行できないと、どのような問題が生じるのか。
「通貨を刷って、公共事業を行い、景気を浮揚させる」など自国の経済状況をその国の政府がコントロールすることを難しくしてしまう

CFAフランに加盟している国々は本来、橋や道路などのインフラ整備のような公共事業を増やすことで景気を良くできるはずなのに、そうした政策決定が難しい。

3)最大の問題点は、CFAフランの加盟国が保有している外貨の50%をフランスの国庫に預けなければならないこと
これはつまり「本来は、アフリカの経済発展に使うべき資産のうち、半分をフランスに取り上げられてしまっている」

なぜ50%も預けなければならないのか。フランス側の通貨とCFAフランとの無理な交換レートを維持するため。

アフリカの国々にしてみれば、輸出すればするほど、そこで得た外貨がフランスの国庫に自動的に入っていくシステムで、フランスにとっては重要な収入源となっている

「これでは植民地支配と変わらない」

CFAフランのメリット
「経済大国のフランスによって、通貨の安定性が保証されていること」
独立後のアフリカは政治的・経済的に不安定になり、その国の通貨の安定性も損なわれかねない。

ジンバブエがイギリスから独立した後、ジンバブエ・ドルを発行したが、ハイパーインフレを起こし、年率220万%の物価上昇が起こった。

こうした経済破綻が起きても、ユーロとの交換レートが固定されているため、通貨の価値を失うことなく換金可能な状態である。

アフリカの視点で見たCFAフランは、
「西アフリカ諸国の大統領はCFAを廃止したくても、それを言えばフランスに暗殺されてしまう。政治家はフランスの言いなりになるしかない。西アフリカは"経済的な奴隷状態だ"。ベナンを含む西アフリカはまだ独立を果たしていない。」

デメリット「CFAフランは植民地支配と変わらない」
メリット「通貨の安定性が確保される」

後半は、「中国やロシアが近年のアフリカで影響力を高めてきたことがCFAフランの廃止に向けた動きにも関係している」について。

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