秋は散歩にもってこいの季節ですね。毎日、田んぼ道を歩きながら、季節の移り変わりを感じています。そこで、必ず目にするのがカラムシです。そうです、あの偽イラクサスープに使ったカラムシです。こいつは、一旦根を張ると抜きづらくて、刈っても刈ってもあっという間に伸びて厄介です。でも、その生命力には感心します。この生命力を上手に利用することはできないか、と考えるうちに、カラムシには本来の利用法があったことを思い出しました。
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ぴょんぴょんの「カラムシの風」 ~大麻(ヘンプ)・亜麻(リネン)・苧麻(ラミー、カラムシ)の「麻」三兄弟
ヘンプやリネンと肩を並べるような貴重なもの
カラムシは、縄文時代の遺跡から見つかってるくらい、古くから繊維として愛されてきた。正式名は「苧麻(ちょま)」。この名称は、大正時代に中国から大量輸入され、品種改良されて、こう呼ばれるようになった。(BOKEN)
そうだ。麻と言ってもいろいろあるが、衣料用の「麻」は、かつては「大麻(ヘンプ)」を指していた。今は「大麻」に似た「亜麻(リネン)」、カラムシの「苧麻(ラミー)」も「麻」と呼ばれている。シャリシャリで涼しい天然繊維の「麻」は、高温多湿の日本にマッチしてるのよ。
大麻草
Ojiya-chijimi, Echigo-jofu: techniques of making ramie fabric in Uonuma region, Niigata Prefecture
この雑草を最高級品に持っていくまでには、気が遠くなるような工程があるからな。2mくらいに伸びたカラムシを、夏の暑い盛りに刈り取って、皮を向いて、繊維をほぐして干す。冬、雪で閉ざされている間に、これを水で戻して細い糸にするが、一人で一反分の糸を績むのは3カ月以上もかかる。それを熟練の職人が織って、やっと完成だ。(KOGEI JAPAN)
今の、ポリエステルみたいにな。それの正反対を行くカラムシ織りは、国の「重要無形文化財」、「ユネスコ無形文化遺産代表リスト」に登録されてはいるが、実際、作り手はほとんどいなくて、生ける化石になっちまった。(南魚沼市)
ただ、カラムシ織りにも欠点があってな。通気性、吸湿、放湿性に優れていて、汗ばんでもベトつかない、汚れが落ちやすいし、何回洗濯しても丈夫だから、夏に適しているが(南魚沼市)、繊維が荒くて固いので、肌をチクチク刺激するのが難点なのよ。(BOKEN)
カラムシ織りを治療に使うとは以外かもしれない。実はカラムシ織りのような優しい布が皮膚に当たるだけで筋肉って弛むんですよね。
— とし (@natural_toshi) July 12, 2017
腕に覚えがある職人が自信をもって仕上げた「作品」
大企業は、人件費と生地の質を削って価格を下げる。それなら、人件費の高い日本の工場は、品質で勝負するしかない。そこで、社長さんは問いかける。安い服と高い服のちがいとは? 答えは「商品」として出すのか「作品」として出すのか、打ち出し方のちがいだと。(YouTube)
良質のリネンが手に入らなくなる
う〜ん、でもね、外国から出稼ぎに来た、かわいそうな人が縫ってるかもしれないよ。それに、社長さんが言ったけど、プロの目から見たら日本製にも粗悪品はたくさんあるって。試しに、日本の縫製工場、約10社に縫製の依頼をしてみたら、良かったのは1社だけ。あとはすべて売れないクオリティで、むしろ、海外製の方が良かったと言ってる。(YouTube)
そう。でも、社長さんは訴える。「服作りの家系に生まれて、服を作り続けるって決めたならば、最低限のことをやる。環境負荷が少ないものとか。答はリネン。だが、値段が上がりすぎて困っている。」(YouTube)
【緊急事態】服が作れなくなるかもしれません...
そうなんだよ、10年はもたないって。天然物なので採れる量も限られている。不作もあるし、人件費、染料代、機械の部品代、配送コスト、すべて上がって今は倍。しかも、自然素材を欲しがる人は減らないから、世界中で争奪戦になってる。
だれか、そういうのやってくれないかな? ほんとに、日本のことを考えている大企業はいないのか?大量生産、大量廃棄の真逆を行く、日本の天然繊維を育てる企業はいないのか? ポリエステルを売りまくるより、ずっと、日本のためになるんだが。
夜中に目覚めた方に^ ^*
— haruko (@harunhappyday) August 8, 2020
会津から、苧(カラムシ)織りが揺れる風をお届けします。 pic.twitter.com/DdeIYNVabv