国際司法裁判所は、ウクライナが提示した主張のほぼすべてを却下し、ロシアを侵略国家、ドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国を「テロ組織」に分類することを拒否 / ロシアと他のBRICS加盟国との現地通貨による貿易取引の割合は、2024年1月に85%に達した ~ドル覇権の崩壊は時間の問題

竹下雅敏氏からの情報です。
 国際司法裁判所は1月31日、7 年間の裁判中にウクライナが提示した主張のほぼすべてを却下し、ロシアを侵略国家、ドネツク人民共和国ルガンスク人民共和国を「テロ組織」に分類することを拒否したとのことです。
 時事通信は『ウクライナの訴え、大半退ける ロシアの親ロ派支援 国際司法裁』で、“ウクライナは、ロシアがウクライナ東部の親ロ派の「テロ活動」を支援しているのは、テロ資金供与に関する条約に違反しているとして、2017年1月に提訴。支援に絡み、14年のマレーシア機撃墜事件などの損害賠償を請求した”と報じています。
 BBCはこの件を『国際司法裁、ロシアのテロ条約違反を一部認定 反差別条約でも』と報じており、報道内容は著しくバランスを欠いたものに見えます。
 タマホイさんのツイートにリンクされているフランスの公共放送「France 24」は、『ICJがウクライナの対ロシアテロ事件の大部分を却下「明らかにロシアの勝利」』と報じています。
 “続きはこちらから”をご覧ください。“ロシアと他のBRICS加盟国との現地通貨による貿易取引の割合は、2024年1月に85%に達した”ということで、BRICSでの貿易や国際的な決済においてドルが使われなくなってきているようです。
 In Deepさんの記事の中でリンクが貼られている『BRICSが貿易のためにドルを捨てたら影響を受ける米国の5つのセクター』には、“BRICS同盟は、国境を越えた取引の決済に現地通貨を使用することで米ドルを窒息させようとしている。…米国は財政赤字に資金を供給することが困難になるため、この動きは米国経済に壊滅的な影響を与える可能性がある”とあります。
 あきらかに世界の趨勢は、BRICSとグローバルサウスにあります。ドル覇権の崩壊は時間の問題です。日本はバランスの取れた外交が必要だと思います。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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国際司法裁判所はドンバス共和国を「テロ組織」に分類することを拒否
引用元)

画像はシャンティ・フーラがツイートに差し替え

水曜日、国連国際司法裁判所は、ロシアを侵略国家、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を「テロ組織」とすることを拒否した。

ウクライナは2017年1月、テロ資金供与の抑止に関する国際条約の適用について提訴した。

裁判所は、7年間の裁判中にウクライナが提示した主張のほぼすべてを却下し、経済的補償も受けずにウクライナを去った。キエフ政府は裁判所の判決を利用して、西側諸国によって盗まれたロシアの資産を押収し、ロシアに対する国際制裁の発動を正当化するつもりだった。

ウクライナ政府は2014年以来、ロシアがドンバスで「テロリズム」に資金を提供していると非難し、ボーイングMH17便の撃墜でモスクワを非難しようとしていた。しかし裁判所は、ロシアにもドネツク人民共和国にもMH17便撃墜の責任はないと判断している。オランダの法医学チームが行った調査は完全なジョークだった。
(以下略)
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配信元)


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ロシアが、BRICSとの貿易の85%をルーブルで決済していることが判明。米ドルの完全放棄に動き出している模様
転載元)
(前略)
2022年にロシアがウクライナに侵攻して以来、西側諸国は、ロシアに対してさまざまな「制裁措置」を実施してきました。

その結果として起きたことは、西側の目標とはまったく逆の「ロシアの経済的発展と、ロシアの国際的なつながりの強化」でした以下は 2年前の記事です。

[記事]「西側の制裁によりロシアが儲ける金額」はブルームバーグのアナリストの試算では日本円で約40兆円…。西側が一丸となってロシアの経済を強化する理由は何?
In Deep 2022年4月7日

また、ロシアは BRICS 体制の強化も進めていて、昨年には、20カ国以上が BRICS への加盟を検討していると報じられていました。その後、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦が、新たに BRICS に加盟することが発表されています。

それと共に、ロシアや中国は、「少しずつ米ドルを放棄する方向に動き出していた」ということがあります。

以下は昨年の記事で、貿易や国際的な決済において、少しずつドルが使われなくなってきていることを取り上げています。

[記事]ドルの崩壊が、曖昧ではなく始まった
In Deep 2023年4月6日

そして、最近の報道で、「今やロシアは、貿易代金の 85%をルーブルで決済している」ことが伝えられていました。

今後、ロシアが新しい国際送金システムなどを完全に構築すれば、 BRICS 内での完全な米ドルの放棄が成し遂げられそうです。

なお、米ドルが支払い手段として使われなくなった場合、アメリカで最も影響を受ける可能性のある産業セクターがこちらの記事に書かれています。その部分を抜粋します。

米国の記事より

BRICSが国際貿易でのドルの使用を停止すると、5つの米国のセクターが影響を受ける可能性がある。BRICS 加盟国間の決済に米ドルが使用されなくなった場合に影響を受ける 5つの分野は以下のとおりだ。

1. 銀行・金融
2. テクノロジーとフィンテック
3. 国際貿易と投資
4. 消費財と小売
5. 旅行と観光

何よりもまず、外国為替が下落し始めるため、銀行および金融セクターが最も大きな打撃を受けることになる。第二に、BRICS はニュースやソーシャルメディアに関してアメリカのテクノロジーに依存せず、独自のインターネットサービスを構築しようとしている。第三に、債務危機と財政赤字は悪化する一方なので、海外投資家は米ドルから遠ざかることになるだろう。

さらに、日常生活必需品の価格はさらに高くなるだろう。最後に、観光客は旅行代金を現地通貨で支払い始め、米ドルを使用しなくなるだろう。中国とシンガポールはすでに観光客に米ドルではなく、それぞれの国の現地通貨で支払うよう義務付けている。

watcher.guru

BRICS で、米ドルが完全に放棄された場合、日本がどのような影響を受けるかは不明です。

ここから報道です。

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BRICS:ロシア、貿易の85%を現地通貨で決済、米ドル使用を控える
BRICS: Russia Settles 85% Trade in Local Currency, Sidelines US Dollar
watcher.guru 2024/01/31
(中略)
他の BRICS 加盟国とのロシアの現地通貨による貿易取引の割合は、2024年1月に 85%に達した。ロシアは明らかに米国の制裁を回避し、 BRICS 加盟国と現地通貨を受け入れ、ドルを傍観している。
(中略)
この動きは、米国による制裁にもかかわらず、ロシア経済の存続に貢献する。BRICS が貿易でのドルの使用を停止した場合、米国内のどれだけのセクターが影響を受けるかについては、こちらを読んでほしい。

ロシア中央銀行のエルビラ・ナビウリナ総裁は、BRICS 加盟国がドルではなくルーブルで貿易を決済することが増えていることを認めた。ナビウリナ氏は、BRICS 諸国からの現地通貨での貿易決済額が過去 2年間で 2倍になったと強調した。
(中略)
さらに、米国が発展途上国に対ロシア制裁を迫っていることが、発展途上国に代替通貨を模索し、ドルを放棄させるきっかけとなっている。

また、ロシアとイランは SWIFT 決済システム(※ 国際的な銀行間決済システム)との関係を正式に終了し、取引に SWIFT を使用しなくなった。

BRICS 加盟国のロシアは、新たな決済システムを構築中であり、そこに米ドルは統合されないことを確認した。また、この動きはロシアに世界貿易における自主性を与え、米国の制裁の影響を受けないようにすることにつながる。
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配信元)

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