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ぴょんぴょんの「不惜身命」 ~政治家に必要なのは、ヤマ・ニヤマ、そして愛
政治家はものすごく誘惑の多い職業
先程「10代からの政治塾」が届きました。さっそく拝読します! pic.twitter.com/kbcYPdOggj
— 腹筋バッキンガム (@AbsBuckingham) January 18, 2024
たしかに、泉は、臭いドブには染まってないように見える。この本がいいのは、政治家の汚いところも、包み隠さず話しているところ。たとえば、「政治家と言うと、『お金に汚い』『ウソつき』『不正をしている悪い人』といったネガティブな印象を抱く人も多いでしょう。実際に私も、かつて政治家だった頃、自分の子どもに『お父さん、裏金で愛人と遊んでるの?』と、とんでもない質問をされたことがあります。‥‥‥そんなわけないやろ(笑)!(2p)」
「油断するとすぐに闇落ちする。誘惑がやたらに多い職業(172p)」という章には、「政治家は、ものすごく誘惑の多い職業です。リアルな話、黙っていれば、お金がどんどん懐に入ってきます。企業のエラい人や、地域を仕切っているボスみたいな人がやってきて、『うちらに有利な政策を作ってくださいね』とお金を置いていくわけです。これがいわゆるワイロで、実際に世の中で横行していることです(174p)」と書いている。
「ちなみに私は、そのあたりのメンタルはかなり強い方でした。お金を持ってくる有力者には『持って帰れ!』とハッキリ断れましたし、接待を受けたとしても、市民を裏切るような行為は一度たりとも行っていません。(175p)」
だが、「これくらい、いいよね」「前の担当者ももらっていたから」「ここではお金を受け取った方が丸く収まる」というように、甘々だとエラいことになる。「いかなる理由にせよ、一度でもそうした誘惑に負けてしまうと、市民のために政治に取り組むことが難しくなってしまいます。」(174〜175p)
10歳で政治家を志した泉
泉はこう考えた。「政治家とは、未来を築く尊い職業です。困っている人を助けたい。自分が住んでいる街を、もっとよい街にしたい。世の中の理不尽なことに対して、見て見ぬふりをしたくない。政治家になれば、これらをみんな実現できる。これ、ホンマの話です。(3p)」
う〜ん、泉さんみたいな政治家には増えてほしいと思う。でも、若い子たちが、「なりたいです!」って手を上げたくなる仕事じゃないよ。だいたい、政治家はどす黒くて、脂ぎったおっさん、化粧の濃いおばはんだらけ。子どもたちのあこがれる、カッコいいヒーローから、かけ離れすぎだ。
だよな、悪役のイメージしかない。しかも、「マジメに仕事をしている国会議員は、ごくわずか(51p)」と言うし。国会議員の仕事自体が、おもしろくなさそう。毎朝8時から勉強会に出席して、9時頃から委員会に出席、午後からは本会議に出席して議論する。週末は地元に帰って「挨拶まわり」で、後援者のごきげんを取る。「次の選挙のために、地元のイベントやエラい人との会合に顔を出して、ビールを注ぎまわったりするわけです。(51〜53p)」
「自慢じゃないですけど、私はかなりマジメな国会議員でした。朝の勉強会には必ず出席し、委員会や本会議に参加した後は、毎日夜中の1時まで働いていました。具体的に何をしていたか?法案を作っていたんです。(53p)」
泉は弁護士資格を持っているから、次の選挙で落ちても食っていける。だから、本業に集中できたんだよ。「そうした資格を持っていない多くの議員は次の選挙のことで頭がいっぱいで、週末はどうしても、地元に帰って挨拶まわりをしなければいけなくなる。(59p)」
泉が弁護士になったワケ
そうだ。じゃあ、どうして、泉が弁護士になったか知ってるか? 恩師に勧められたからだ。大学を卒業して、NHKのディレクターになった泉は、まもなく辞職。そんな20代半ば頃、たまたま本屋で見つけた、石井紘基著「つながればパワー 政治改革への私の提言」を読んで感銘を受け、石井に手紙を書き、秘書として働くことになった。
泉は石井を当選させられなかったことを詫び、「もう1回、一緒にがんばりましょう」と言うと、石井は泉の将来を心配してこう言った。「君をこれ以上引き留めておくわけにはいかない。司法試験を受けて、弁護士になるべきだ(190p)」「今度は、僕が君のことを応援するから、弁護士になりなさい。君は、きっといい弁護士になると思うよ」と。(X)
国家を挙げてのもみ消し工作だった
『石井紘基さん』は、国の不正を追及する日の朝、
— 泉 房穂(いずみ ふさほ) (@izumi_akashi) January 30, 2022
突然、殺された(2002年10月25日、享年61歳)。
最初の秘書であった私は、東京に駆けつけ葬儀を手伝った。
そして翌年(2003年)、
石井さんの遺志を継ぐべく、国会議員となった(40歳)。
あれから、もうすぐ20年。
あと2年で、石井さんの歳になる。 https://t.co/8mTf0zZUbc
泉は、石井の回顧録にこう書いている。不惜身命(ふしゃくしんめい)とは、「死をもいとわない決意」のことだが、「『不惜身命』、好きな言葉として、石井先生はいつもこの言葉を使われていました。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に、『本当にみんなの幸せのためならば、僕の体なんか百ぺん灼いてもかまわない。』という一節がありますが、同じだねとおっしゃっておられたこともあります。本当にみんなの幸せのためならば、自分の身も命も惜しまないという決意、先生はまさにそんな決意を胸に秘めた本物の政治家でした。」(X)
どんな仰天の事実をつかんでいたかは、今なお霧の中だ。泉はこう話している。「私が国会議員になった2003年には、すでに民主党で調査を進めていました。ただ、その時点でも真相は分からない状態でした。民主党の調査が終わったあと、私も段ボール箱を見返したりご家族に話を聞いたりして、自分なりにベストを尽くたつもりです。それでも、膨大な資料のなかからヒントを見つけることはできなかった。相当調べたつもりでしたが、分からなかったです」。(SAKISIRU)
おそらく、こうゆうことだろう。「『戦後体制』とは在日米軍駐留のための治外法権である『日米地位協定』体制下の霞ヶ関CIA官僚と『親米保守』の主に自民党国会議員、一部の大企業などが『特別会計予算』という国家予算の5分の4を政官業癒着で山分けにしている経済体制のことなのだと理解しております。」(eternalturquoiseblue)
明石市長に就任以降に受けた脅迫
実際、市長時代に、何度も脅迫されている。特に、安倍ぴょん銃撃事件から1カ月もしない頃に届いた、殺害予告メールの数々。<こいつが市長をやっていると兵庫の恥だ。さっさと辞職しないと、こちらも強硬手段に出る><何発も撃って殺す><8月末までに考えを決めてくれ。もし9月になっても辞職しなければその時は戦争だ>(AERA)(AERA)
明石市長に就任以降も、自宅に死んだ虫が投げ込まれたり、郵便受けに「天誅」と書かれた手紙が届いたりしたこともあったが、今回のような「殺人予告」は初めてだという。泉「好きな明石焼きもフラッと食べに行くこともできません」。(AERA)
泉「安倍さんと同時に、恩師の石井先生のことがよぎりました。今年(2022年)でその事件から、ちょうど20年になりますから。朝、自宅を出るといきなり刺されてこの世を去ってしまった。私も朝、市役所に向かおうと自宅を出る時、思わず足がすくむような気持ちになります」(AERA)
体癖と政治家
足尾銅山鉱毒事件で被害農民側に立ち、政府と闘った田中正造。「その性格は正義感が大変強く、頑固とさえ表現できるかと思います。」(歴史上の人物.com)
そう言えば、本にも、「選挙に勝つために必要なもの。それは語る言葉です。(138p)」「本物の気持ちで語る言葉は強いです。お金や人脈なんかより、よっぽど強い(140p)」「選挙でお金や人脈に頼るのではなく、言葉という強い武器を持って、市民と同じ目線に立つよう努力することが大切なのだと感じています(145p)」とあるように、「言葉」が大好きのようだ。
泉は「政治家に必要なのは、やさしさと賢さとほんの少しの強さ」と言うが、政治家だけでなく国民にも、今、最も要求されるのはヤマ・ニヤマを守ることだろうな。
この本は、主に若い人に向けて「政治とは何か?」「政治家になるにはどうすればいいか?」を簡潔にまとめた1冊です。
一番の発見は、石井紘基氏との運命的な出会いのストーリーでした。そうか、泉氏は、石井氏の本を読んで、手紙を出したことがきっかけで、秘書になったのか。だけど、最初の選挙で落選した後、石井氏から「秘書を辞めて弁護士になれ」と言われたおかげで、今の泉氏があるのか。
若い人たちが、こういう本を入り口にして政治に興味を持つのはいい。でも、石井氏のような、政治家のお手本が増えたらもっといい、と思いました。
(カッコ内のページは「10代からの政治塾 」のページです。)