ぴょんぴょんの「狙われる農業」 ~日本にウクライナの後を追わせる「食料・農業・農村基本法改正案」

 2月下旬の国会で審議される「食料・農業・農村基本法改正案」は、時事ブログでも取り上げられ、「モンサントなど外資の利益になるよう国内農業を潰し、代わりに海外の劣悪な農作物を買わされ、危険な農薬を使えと押し付けられることになりそう」な代物です。
 農水省が作ったたたき台に、経産省、食品企業、日米合同委員会、世界経済フォーラム、そして竹中平蔵氏が、好き勝手に希望を盛り込んだような法案になっています。
(ぴょんぴょん)
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ぴょんぴょんの「狙われる農業」 ~日本にウクライナの後を追わせる「食料・農業・農村基本法改正案」

「食料・農業・農村基本法改正案」とはどんな法案なのか


ウワサに聞いたところじゃ、2月末に、ヤバイ法案が通ろうとしているらしい。

なにが、どうヤバイの?

ひとこと、日本の中小農家が一網打尽、おれたちの食いもんがアブナイ!

なんだって〜!! それ、止めなきゃダメだよ。

問題は、現行の「食料・農業・農村基本法」を改正した、「食料・農業・農村基本法改正案」だ。どんな法案なのか、2023年12月27日農水省が公表した、「食料・農業・農村基本法の改正の方向性について」を参考にしてみよう。

お役所の文章は固すぎて噛めないから、乳歯でも噛めるように説明して。

わかった、なるべく噛み砕いて説明する。そもそも「食料・農業・農村基本法」とはなんぞや? 農林水産省の説明によればこんな感じ。全国民が良質な食料を合理的な価格で入手できるようにするのは、国の責務だ。それを果たすために1999年、「食料・農業・農村基本法」が施行された。この法では「国内農業生産の増大と、輸入・備蓄を組み合わせることによって、食料の安定的な供給を確保する」としている。


なんだ、まともじゃん。

改正前からの文言だからな。じゃ、何を改正したいのか? 今言ったように、これまでは「食料の安定的な供給を確保する」のが目的だった。しかし凶作や、輸入が止まるなどの〈不測の事態〉が生じたら、どうする? そんな時でも、最低限の食料を確保する準備が必要だ。だから、〈不測の事態〉でも、国が食料安全保障を守れるように、「食料・農業・農村基本法」を改正したよってんだ。

気のせいか、〈不測の事態〉が多いような。

有事を想定してるのよ。そもそも、改正前の「食料・農業・農村基本法」の第一項目は「食料の安定供給の確保」だったのに、改正後は「食料安全保障の抜本的な強化」に変えられてるんだよ。

「安定供給」が「安全保障」になってるね。

じゃあ、「安全保障」とは何だ? コトバンクによれば、安全保障とは「国外からの攻撃や侵略に対して軍事同盟、経済協力、中立などにより、国家の安全を守ること。」

〈不測の事態〉、どうも、戦争を仮定してるっぽいね。

それ以外にも、この改正案にはおかしな点がいくつもある。そんな「食料安全保障の抜本的な強化」のために何をするか。施策の一つに「輸出促進」を上げている。

えっ? 「輸入促進」の間違いじゃないの?

いや、「輸出促進」だ。「輸出産地の育成、輸出品目団体の取組の促進、輸出相手国における販路拡大支援など」と書かれてある。

う〜ん、自国の食料も満足に自給できないくせに、なんで輸出に力を入れるんだ?



食品輸出企業に尻を叩かれた経団連が、経産省の尻を叩き、農水省に書かせたとしか思えねえ。かと思えば、輸入に関してもおかしなことを言っている。安定的な食料輸入の確保のために、「輸入相手国への投資の促進」とか。

なになに? 意味がわかんない。もう一回、言って!

安定的な食料輸入の確保のために、輸入相手国への投資の促進。日本が食料を一番輸入しているのは、どこの国からだ?

アメリカ?・・わかった!アメリカの食料生産を助けるためにおカネ出せって言ってるんだね。なんで、買う方が売る方に投資しなきゃなんないの?

おかしいだろ? これは、日米合同委員会の臭いがプンプンする。さて、お次は「3.人口減少下における生産水準の維持・発展と地域コミュニティの維持」の(2)「農業法人の経営基盤の強化」。そのための施策に「人材派遣、スマート技術等を活用した支援など、農業経営の支援を行う事業者の活動の促進」とある。

農業で人材派遣? となると、パソナの出番だね。竹中平蔵氏の臭いがする。

竹中平蔵

さらに、「① スマート技術等を活用した生産・加工・流通の促進 ②スマート技術等の開発・普及の迅速化」と、スマート技術関連企業も乗っかってるらしい。

これは経団連の臭いがする。つまりは、死に体の日本農業に、農業関連企業、スマート関連企業、日米合同委員会、世界経済フォーラムのハゲタカが、寄ってたかって栄養を吸い上げて、ボロボロにしようって魂胆だね。


思考停止な政府に辟易する農家


まったくひどい話だ。だが、国会で演説してみろ。「ウクライナ戦争、イスラエルのガザ侵攻、能登地震などをかんがみますに、日本も〈不測の事態〉に備えて食料安全保障を整えねばなりません。」これで、この改正案も一発で通っちまうよ。実際の農家は、この苦々しい現実をどう思っているのか? 「うむ農園自然栽培チャンネル」の高橋ひであき氏は「お先真っ暗」と言う。


時代は変わろうとしているのに、思考停止な政府に辟易


去年5月時点の改正案は「多種多様な農家が経営できるように支援する」と書かれていたのに、今見ると「有事の際に増産をかけられるように、政府の権限を強化する」「農産品の輸入元の国への投資を促進しよう」になってることに、高橋氏は驚いている。「もう、馬鹿にしてんのかって話ですよね。今まで散々半年間くらいかけて、昨年の5月の中間取りまとめの内容は、どこに行ったんだという話。」(YouTube

ハゲタカの横槍が入りました。

さらに言う。ヤバイのは、自民党がこれ以外の関連法案「食料供給困難事態対策法案」「農業振興地域整備法などの改正案(農振法、農地法、農業経営祈願強化促進法の束ね法案)」「スマート農業技術活用促進法案」と抱き合わせで、一括審議しようと言い出したと。高橋氏「非常に議論を避けて通そうとしている、ということが透けて見えるわけですね。」(YouTube

きっと、時間をかけて議論されたら、困るんだよ。

その中でも大きな問題が、「農地法の出資比率」の改悪だと言う。「法人が農地を持つためには農地法で縛りがあって、農業をやっている方が半分出資して、後の出資する方は(全体の)半分以下じゃないといけないよ、っていう法律なんです。で、これが、3分の2に規制緩和しようと言ってるんですね。例えば食品関係の会社ですとか、種苗会社ですとか、農業関連の会社であれば、3分の2の出資をできると。これ、実質半分以上の株式を持ってますと、経営権は過半数を持っている企業のものになりますので、そこで雇われている、3分の1を出資した農業者に関しては、口出しはできたとしても、決済権は3分の2を持っている会社になる、ということになるわけですね。」(YouTube 12:21〜)


つまり、3分の1を出資した農地のオーナーが、3分の2を出資した会社の社員になり果てるんだね。

社員と言うより、小作人になり下がるのよ。法人以外に3分の2の出資ができるのは、過去5年以上やってきた認定農業者。1億円以上の融資が無利子、無担保、さらに補助金、助成金も受けられる認定農業者には大規模農家が多い。つまり、出資比率3分の1から3分の2への改定は、中小農家を切り捨てて、大規模農家や法人を優位にするのがねらいだ。

安全なお米や野菜をまじめに生産している、中小農家を応援したいのに。


戦争になる前のウクライナと同じ構図


このまま行くといずれは、外国企業の参入も許されるだろう。有事や災害時に困っている農家に、親切に手を差し伸べる外国企業の図。

なんか、そういうの、最近どっかで聞いた気がするんだけど?

高橋氏「どっかで見たことあるんです、おんなじような構造をね。何かというとウクライナですね。ウクライナは戦争に入る前に、企業体が農地を取得できるように、法改正をしてる真只中だったんですよ。」(YouTube

わおー!! ウクライナだったんか?!

ウクライナの農地はチェルノーゼムと呼ばれる肥沃な土地で、ソ連崩壊後、私有化された農地は国民に配分されたが、その後の混乱で財閥に独占され、農民のほとんどは土地を借りて農業をやってきた。だが、2008年の世界的な穀物価格高騰で、ウクライナは農地争奪戦のターゲットになり、外国企業が大型機械を導入して、大規模農業を行っているのが現状だ。(広島経済大学


ウクライナの農業は、すでに外国企業に乗っ取られているのか。

だが現実は、ウクライナの農地の売買は禁止されている。そこでIMFは、ウクライナへの融資条件として、農地の自由売買を許可するようウクライナ政府に迫った。ウクライナ国民の80%以上は反対したが、ついに2020年4月、ウクライナ人またはウクライナ法人に限って農地売買ができる「農地市場法案」に、ゼレンスキーは署名した。JETRO

2020年と言えば、ウクライナ侵攻の2年前の話だね。

さらに、外国企業に農地を売買するかについては、国民投票で決められる予定だったが、戦争になって、農民も兵士に取られ、農地も荒らされて、今はどうなっているんだか?

きっと、うやむやにされて、外国企業のやりたい放題になってるんじゃない?

実際にそうなっているようだ。ウクライナは今、ブラックロックなど、国際金融資本の支配下におかれている。



日本は確実にウクライナの後を追っている


ちょい待ち! ブラックロックと言えば、岸田首相も一緒にお食事してたよね。


まずいぞ、まずいぞ、日本は確実にウクライナの後を追っている。IMFに頭下げる必要もねえのに、自ら進んで農地売買の自由化に向かう日本、アホか!?

日本の農地が外国企業の手に渡ったら、どうなるんだろ?

ゲノム編集、遺伝子組み換え、治験をしていない殺虫剤や除草剤、やりたい放題の人体実験場と化すだろう。

すでに、世界初のレプリコンワクチン実験場になってるし。

高橋氏「こういう危険性があるにもかかわらず、農業の経営権を企業体に渡す。個人から企業へと言う流れで、お先真っ暗ですね。ふざけんなよ、これを行っているのは誰か、内閣、経済界、グローバリズムを踏襲している企業たち、そっちを向いて政治をしている岸田首相。日本国民が豊かに幸せに生きていけることを考えていない。」(YouTube

農家さんの心の叫びが、国会議員に届くかなあ?


世界中の農家が世界経済フォーラムに反対!


日本だけじゃない、ヨーロッパも大変なことになっている。2023年末、ドイツ政府は突然に、32年間免除してきたトラクター車両税、ディーゼル燃料にかかるエネルギー税の優遇を、2024年から廃止すると発表した。ドイツ農民連盟は直ちに立ち上がり、約1700台の大型トラクターでベルリンの主要道路を封鎖。1月4日ドイツ政府は譲歩案を示したが、農民連盟は元に戻せと抗議中だ。長周新聞

Author:Ermell[CC BY-SA]

がんばれ、ドイツ!

トラクター抗議の先輩、オランダもがんばっている。2030年までに窒素排出量を50%削減するために1万1200軒の農家を廃業にすると宣告され、廃業するなら補償をやるが二度と復帰しないと約束させられ、それでも立ち退かないと強制的に土地を没収されるオランダ。オランダ農家もトラクターで主要道路を封鎖し、高速道路に家畜の糞尿を撒き散らした。長周新聞

フンニョーラちゃん作戦だー!!

1月に入ると、抗議行動はヨーロッパ中に広がった。フランス、ポーランド、ルーマニア、リトアニアでもトラクターによる道路封鎖が行われている。

世界中の農家が、世界経済フォーラムに反対して行動している。

世界経済フォーラムと言えば、1月15日のダボス会議で、バイエル社CEOのビル・アンダーソンが「コメの生産はメタンの最大の発生源の一つであり、温室効果ガスの排出という点ではCO2の何倍も有害」などと、のたまったそうだ。(長周新聞

ビル・アンダーソン
Author:World Economic Forum[CC BY]

バイエルって、モンサントを買収した会社だよね。今回の法改正が通ったら、「食料安全保障のために、ラウンドアップと抱き合わせたF1種モミを買いましょう」って、言い出しそうだ。

最後に、農業の現場にいる高橋氏のことばで締めくくろう。「自分たちの意志で、自分たちの生活が成り立たせられないような仕組みに、日本国は今、どんどん変わろうとしているんですよ。そして、農業界は狙われている、間違いなく、ということなんですね。」(YouTube



Writer

ぴょんぴょんDr.

白木 るい子(ぴょんぴょん先生)

1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
2014年11月末、クリニック閉院。
現在、豊後高田市で、田舎暮らしをエンジョイしている。
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)

東洋医学セミナー受講者の声

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