ライターからの情報です。
注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。
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環境シンポジウム「今を生き抜く風土学~足もとから社会と心の平和を考える~」に向けて矢野智徳よりメッセージ
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「杜の財団」及び、矢野智徳さんの言を取り出してみました。
◯「大地の再生では、阪神淡路大震災以降これまで被災地活動を重ねてきています。視察調査から復旧作業まで、空気と水の循環視点及び流域視点でこれらを観察し、それを踏まえて復旧実践をしてきました。自然の営みに適うやり方・あり方だと、それが自然も社会も風土再生につながる ことを、今1月より杜の財団で続けている"能登震災風土環境再生事業"においてより実感しています。今回とそしてこれまで紡いできた成果をなんとか社会につないで参りたいと思います。」
◯「---風土は すべての生きもの いのちのみなもと---大地空間、大気空間・・・そのリズムで、いかに連携をはかれるか。風土再生とはこの風土のリズムに還るということ。生態系の循環に沿う風土の機能に沿うとは渦に還るただそれだけ。それは、たんに戻ることを意味しない。それは、循環のリズム。命のリズム。人のあらゆる営みのリズムは、渦に還る ということ。それをあらゆる人と協賛してその上で行われるあらゆる事象の学びを 共振し、渦の流れに沿う 学びと実践によって 一つずつ再生していく。」
◯「呼吸をしている限りは、まだ間に合う。水と空気の循環を整えれば、瀕死の自然環境も治せる。」
◯「待ったなしの地球環境をシフトチェンジしていくため、古来私たち人間が大切にしてきた「風土」という視点を取り戻すため、一人ひとりができることは何なのか?長年のフィールドワークから導き出された基調講演や、現場での実践報告、それに伴う研究発表を通して、草の根のつながりの中で意識と行動に変革をもたらすキックオフ•ミーティングとも言えるシンポジウムです。」
◯「「大地の再生」が現場で培ってきた視点や技術を研究・実用化していくための学術連携機関「風土再生学会」。大地の再生技術の特許化を進める「大地の再生技術研究所」。そして、地域の生態系の改善と保全、風土の豊かさに寄与する公益活動を行う「杜の財団」。風土が悲鳴を上げている現代において、三者による、自然と人間の関係性に新たな視座を投げかけるシンポジウム。」
◯「<大地の再生の領域を越えて、風土の再生へ>風土学〜 Fudology〜、それは平和につながる新しい学問の始まりです。」
◯「すでに言い尽くされた感じのある風土について、じつはまだまだこんなものではない。 もっと本質的な風土について、皆さんとともに深め、進化させたい。」
先日、アド街ック天国というTV番組で、井の頭公園が紹介されました。その場所にある名店とか名所とかを、ベスト20という形で伝える番組です。人気あるお店とか、歴史ある名所などが次々と並ぶ中、第一位は都立井の頭恩寵公園でした。
井の頭公園を愛する様々な市民グループが、公園の保全活動や生き物の観察会などをしていて、そうした活動を通して緑豊かな環境が守られているという姿が紹介されました。
そうした保全活動の中で、井の頭公園大地の再生活動班の隊長さんも登場しました。「木々の周りに柵をすることで、踏み固まった土はふかふかになり、様々な生き物たちも戻ってきました!」と、ふかふかになった土を手で確かめる会長さんの映像は、十数秒たらず?だったかもしれませんが、とてもわかりやすく、そしてインパクトのあるメッセージでした。
"私も自然環境を守りたい"
"活動に参加してみたい"
と目覚めた人も少なからずいたのではないでしょうか。もちろん順位などつけられることではないですが、自然環境保全の重要性を訴えるという点で、至極まともなTV番組でした。
井の頭公園大地の再生活動班は、月に2回ほど、風の草刈りをしたり、点穴を掘ったりすることで、その環境改善の変化を確認していて、最初は遠目で見ていた都の公園管理課の方たちの目も変わり始めているようです。来月には、オーガニックフェスタ井の頭があり、大地の再生の矢野智徳さんもお話をされるそうです。昨年のオーガニックフェスタ井の頭での矢野さんのWSでは、既に枯れ始めていた樹木を診て、まだ大丈夫!と柵を張り、点穴をしたとのことで、今やその木が息を吹き返しています。オオタカの住まう井の頭恩寵公園、なんとかギリギリ間に合ったのです😭
まさに、"結の杜づくり"ですね。
※杜… 古来私たちの祖先が 森の神に祈りを捧げ この場を傷めず穢さず 大事に使わせてくださいと 誓いを込めて紐を張った場
※結の杜… 自然を敬い、大切に作業をさせていただくという想いを共有して、向き合う場所
「杜人」の映画で知られる矢野智徳さんは、様々な被災地の復旧活動を通して、"自然の営みに適うやり方・あり方こそが、自然も社会も風土再生につながる"ということを実感されたということです。そして"人為的な不具合が大地の脈を詰まらせ、それは生態系全体の負の連鎖へとつながっていき、その結果として、災害や異常気象が引き起こされてしまっているのではないか"と警鐘を鳴らしておられます。具体的には、土砂災害などの現場復旧において、これまで当たり前とされているような、河川等をコンクリートなどで固めるのではなく、"空気と水の循環視点、そして流域を俯瞰する視点を持ちつつ、風土を再生していく"環境改善が必要とされているといいます。
それは、復興という名の下に、経済的思惑や政治的思惑が多々見受けられるような、おざなりの施策とは、真逆の方向といえるかもしれませんが、本来あるべき至然の"流域改善〜風土再生"へと向かう道筋になるという気がします。
そして、さらにこの度は、近年の度重なる異常気象を受けて、"このままでは間に合わなくなる"、しかし"まだギリギリ間に合う"として、「四喜の精神」を旨とした「結の杜づくり」を提唱するとともに、その学問的な裏付けとして風土学、そして風土再生学会を立ち上げられました。
真の復興へ向けてのバックボーンたる風土学〜 Fudology〜が、このシンポジウムをもって、いよいよ船出したとのことです。自然を敬い、大切に作業をさせていただくという想いを共有した、人と人との「結の杜づくり」とは、まさに日本を、そして地球を守るネットワークかのようです。