[トモ農園] 財務省の諮問機関「財政制度分科会」が日本の農業と農家を潰す政策を提言 〜「備蓄米の水準を減らす」「農家の保護予算を減らす」「食糧自給率の維持の放棄」

読者の方からの情報です。
 財務省の諮問機関である「財政制度分科会」が農業のあり方を審議したと報じられました。分科会の会長は、経団連会長の十倉雅和氏です。ここで農林水産関係の予算が財政の負担になっているとして、財務省は日本の農業予算をもっと削って、国民が食べるものは輸入に頼っていいという海外依存を提言しました。その内容を「トモ農園」さんがわかりやすく解説されていました。
 今後、財務省は「備蓄米を削減」「農家の保護予算を削減」「食料自給率の維持を放棄」という方針で、本格的に日本の農家と農業を潰しにきます。
 「備蓄米の削減」について財務省は、現在100万トンの適正備蓄水準が多すぎるとして、MA米(ミニマム・アクセス米)を活用するなどして備蓄米を減らす工夫を求めています。MA米とは「不要だけれども国が海外から無理やり買わされている(いずれ飼料用米になる)ので、実質的に無駄になる」(6:15)、その上、保管費用が負担になっているので、MA米を主食用米に回せと言うのです。「トモ農園」さんは、そもそも食料安全保障の観点では備蓄100万トンですら少なすぎる上に、「日本に米騒動が起きた時は、アジアも米不足で出荷停止したことを数ヶ月前に経験したばかり。MA米に頼るのはリスクが大きすぎる。」と述べています。
 「農家の保護予算削減」は、具体的には減反政策を廃止するものです。これまでコメ以外の農作物や飼料米への転作を推奨して補助金をつけていましたが、この補助金を止める方針です。農家の多くは米を作って赤字になったところを、他の農作物の「転作助成金」で穴埋めをするようなギリギリの農業経営をしていました。この補助金がなくなると、農業法人も例外なく99.9%の農家が倒産する見通しです。
 このようなムチャな政策を進めると、当然、食料自給率は下がります。財務省は「自給率が下がってもよい、輸入に頼ればよい、輸入米を食ってろ」と言わんばかりに「食料自給率に過度に引きずられることなく、国民負担最小化の視点は重要」と言い、「食糧自給率維持の放棄」を提言しました。
 先の衆院選で自民党は「水田活用のための予算は責任をもって恒久的に確保する」と公約しました。ここでも国民を裏切るか?
(まのじ)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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財務省は食料自給率の改善に反対し備蓄米も削減すべきと、有事の際には国民が飢える
引用元)
(前略)
財務省は、日本国民が食糧危機に陥った際に最後の頼みの綱となる政府備蓄米を削減すべきと提言するとともに、米や他の食料に関しても国民負担で国内生産を拡大すべきではないとの提言を実施した

財務省で11月11日に開催された財政制度分科会では、議題に農林水産の分野が含まれていた。

この際に使用された資料によると、米の備蓄に関して、『米の政府備蓄については、適正備蓄水準を100万トン程度とし、毎年20万トン程度を主食用米として買い入れ、同程度を主食用米の需給に影響を与えないよう飼料用等として売却(棚上備蓄)。こうした運用による保管経費や売買差損により毎年度400~600億円程度の多額の財政負担が発生』との見解を示している。

そのうえで、『現在の適正備蓄水準は、大不作の場合などに備え、平成13年に当時の年間需要量900万トンを前提に設定されたもの。まずは、現在の需要量(700万トン程度)を前提に設定し直す必要があるのではないか』との提言を実施している。

また、輸入米に関しては、『輸入したMA米を主食用米として流通させないよう、加工用・飼料用等として販売することで多額の財政負担が発生。例えば、緊急時には市場に影響を与えない範囲で活用するルールを設けるなどにより、前頁の備蓄水準・財政負担の減少に繋げる工夫を検討するべき』との提言も実施している。

その他の観点からは、『現在の輸入品の大宗は、政治経済的に良好な関係の国からのもの。こうした品目については、あえて国民負担で国内生産を拡大するということではなく、輸入可能なものは輸入し、他の課題に財政余力を振り分けるという視点も重要ではないか』との提言も実施している。
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食糧危機に警戒 財務省が農家保護打ち切りの方針
配信元)

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