立候補させてもらえなかったジョルジェスク

ルーマニアが大変だ。

ハンガリー、ブルガリアと来て、今度はルーマニア。
ルーマニアと言えば、希望の星、カリン・ジョルジェスクは今どうしてる?
カリン・ジョルジェスクはアトス山に到着し、今後3日間を断食と祈りに費やす予定です。 ゲオルゲスクとヴァトペディのエフライム長老

断食中? 彼らしいな。で、
彼が追い払われた後のルーマニアは、どうなってる?

まずは、時計を2024年11月のルーマニア大統領選挙に巻き戻そう。
最初の投票で、ジョルジェスクがトップに立った。だけど、過半数に満たなかったので、決選投票になるはずだった。だけど、決選投票は中止され、選挙自体も無効になった。

理由はロシアの介入だったな。結局、そんなものは実在しなかったが。
ジョルジェスクはEUとNATOに批判的だからね。彼は、ルーマニアに配備されたNATOのミサイル防衛システムを「外交の恥」と批判したり、「ウクライナ戦争はアメリカの防衛企業に操られている」と言ったり、「大統領になったら、ウクライナへの軍事援助を打ち切る」と公約したからね。大統領になられたら困るんだよ。

EUとNATOにとって、ルーマニアは、ロシアににらみをきかせる拠点だし、ウクライナに武器や援助物資を送るための重要な物流ハブだし。

その後、
2025年5月4日に、やり直し選挙が実施された。
ジョルジェスクは、立候補させてもらえなかったよな。

彼は
6つの刑事罪で起訴されていたから、立候補が禁止されていた。そこで急きょ、彼の
代わりに立候補したのが、野党第2位「ルーマニア人統一同盟(AUR)」の創設者で党首のジョージ・シミオン。
ジョージ・シミオン

シミオンは、ジョルジェスク寄りだったな。

うん、彼は無党派のジョルジェスクを自分の党に引き入れようとしたこともある。そして、この
やり直し選挙で、シミオンはジョルジェスクの集票数を上回る得票でトップに立った。ただ、過半数に満たなかったので決選投票になり、結果はシミオンが負けて、EUに忠実なニクソル・ダンが大統領に選ばれた。
ニクソル・ダン

この選挙も、何かおかしかったよな。
ダン大統領は、「国民自由党:PNL」のイリエ・ボロジャンを首相に指名した。
イリエ・ボロジャン

お星様がバックの写真、と言うことは、こいつも親EUだな。
「国民自由党:PNL」のボロジャン首相は、「社会民主党:PSD」 「ルーマニア救済連合:USR」「ハンガリー人民主同盟:UDMR」との4党連立政権の、ルーマニア内閣を発足した。これが2025年6月、つい11ヶ月前のことだよ。
ルーマニアの政党
党名 |
略称 |
左右 |
上院 |
下院 |
与野党 |
| 社会民主党 |
PSD |
中道左派 |
86 / 331 |
36 / 134 |
連立与党だったが脱退、AURと手を組む |
| ルーマニア人統一同盟 |
AUR |
極右 |
63 |
28 |
野党 シミオン所属 |
| 国民自由党 |
PNL |
中道右派 |
49 |
22 |
連立与党 ボロジャン首相所属 |
| ルーマニア救済連合 |
USR |
親欧州、中道右派 |
40 |
19 |
連立与党 ダン大統領所属 |
| SOSルーマニア |
|
民族主義、極右 |
28 |
12 |
野党 |
| 若者の党 |
POT |
民族主義、極右 |
24 |
7 |
野党 |
| ハンガリー人民民主同盟 |
UDMR |
中道右派 |
22 |
10 |
連立与党 |
中道左派と極右が手を組んだ

ところが、
ところが、4月23日、与党で再多数を占める中道左派の「社会民主党:PSD」が、ボロジャン首相の緊縮財政を不服として、連立を離脱してしまった。そしてあろうことか、
シミオン率いる極右の「ルーマニア人統一同盟:AUR」と手を組んだ。

左派と極右が手を組んだ?! そいつは驚きだ。

4月下旬、
「社会民主党:PSD」と「ルーマニア人統一同盟:AUR」は、46%の議員数をバックにつけて、議会に内閣不信任案を提出した。そして5月5日、賛成281人、反対4人、その他棄権によって、不信任案が
可決された。(
ALJAZEERA)

ボロジャン政権がオワった?!
2026年5月5日、ルーマニア議会で劇的な場面が繰り広げられた。イリエ・
ボロジャン首相率いる親EU連合が、281人の国会議員による大規模不信任投票で正式に崩壊した。(中略)...
党指導部が、非選挙のテクノクラート(有権者によって選ばれていない官僚や「専門家」)と、外国資金によるNGO(西側ドナーや、EUに支援される市民社会団体)に過度な権力を与えたと。

こいつは、まる1年前の大統領選でトップだったのに落とされた、シミオンの呪いか?

たしかに、ボロジャン内閣の崩壊は、シミオン主導じゃないかと噂されている。シミオンは以前、「親EU派が、増税、戦争、貧困以外の何物ももたらさなかった、この10ヶ月に終止符を打つ」と約束していたしね。(
POLITICO)
速報 - ルーマニア政府、社会党が極右と組み、イリエ・ボロジャン首相を倒したことで崩壊。MAGA関連のジョージ・シミオンは、ボロジャンの失脚の背後で主導したと広く見なされている — Politico

と言うことは、この先シミオンは、連立を離脱した「社会民主党:PSD」と組んで、過半数を目指すのか?

いやいや、「社会民主党:PSD」は「ルーマニア人統一同盟:AUR」との連立を否定しているし、まずないね。なんたって、ダン大統領が承認しないよ。

じゃあ、いったい、ルーマニアの政治はどうなるんだ?
ルーマニアが抱える財政赤字問題
これから45日間は、引き続きボロジャンが暫定首相を務める。ダン大統領は「このプロセスの終わりには、親EU政権が誕生するだろう。我々は冷静にこの状況を乗り切っていく」と言っているから、
いずれダンが、次の親EU首相を任命するね。(
EUROPEAN INTERST)
でも、次期政権に「ルーマニア統一同盟:AUR」を入れるつもりはないそうだよ。(
POLITICO)

AUR、よっぽど嫌われてるな。

国民に人気があるからね、妬いてるんだよ。

と言うことは、選挙はない?

今の時点ではなさそうだね。これまでの
予定では、2027年に、首相の座がボロジャン首相の「国民自由党:PNL」から、連立を脱退したPSDへ交代して、2028年に総選挙が行われることになっていた。(
EUROPEAN INTERST)

と言うことは、2028年にはジョルジェスクの出番があるのか? ジョルジェスクとシミオンがタッグを組んで、ルーマニアをEU・NATOから開放してくれたらいいなあ。

さあ、どうだろう? 彼らにできるかな? 今のルーマニア経済、かなり大変なんだけど?

大変なのか?
ルーマニアの2024年の財政赤字は、EU加盟国で最高。インフレもEU平均の約3〜4倍。EUからも、財政再建を急げと、せっつかれている。
ルーマニアは、干からびるほど略奪されており、傀儡政府が、数十億を外国の兵器製造業者に送金している。 ジョージ・
シミオン下院議員は、空高く跳ね上がったインフレと巨額の赤字は、ブリュッセルに従う指導者たちが、自国民を無視した直接の結果であることを暴露している。

ノンビリ、次の内閣を決めてるバヤイじゃないな。
さらにEUからは、8月までに財政赤字の削減と改革を実施しろ、できなければ、EUの補助金、約100億ユーロ(1兆8400億円)は出さん、というお達しが来ている。(
POLITICO)

8月? もうすぐじゃねえか! 間に合わなかったら、1兆8400億円がもらえない? 改革を急げよ。

でもね、そう簡単じゃないんだよ。EUはお金をくれる代わりに、いろいろ厳しい条件をつけるからね。

EUって、めんどくせえなあ。

ボロジャン首相が、付加価値税(VAT)の引き上げ、公務員給与・年金の凍結、国家支出や行政職を削減して、国民の総スカンを食らったのも、EUやIMFから、お尻を叩かれたからなんだよ。

EUからカネをもらうためにやったのに、国民からは総スカン。

今のルーマニアは、断崖絶壁の古城の修理代も出せないらしい。
ルーマニア政府:歴史的な城に6000万?「高すぎる、そんな金はない!」ウクライナに数十億?「請求書を送ってこい、どうせ国民が払うんだから!」…(後略)

ルーマニアの古城、ドラキュラが出そうだな。
緊縮財政で、与党の人気は急降下、代わりに支持率を伸ばしたのが、シミオン率いる「ルーマニア人統一同盟:AUR」。

AUR、なんとかしてくれ。

でもね、AURも頼りないよ。反緊縮財政を訴えながら、財政赤字をどうするかという具体的な案はもってないからね。

大西つねきみたいな、経済に明るいヤツはいないのか?
大西つねき氏

それに万が一、
シミオンの「ルーマニア人統一同盟:AUR」が政権を取ることがあったとしても、EUとの関係は悪化するから、自国通貨「レウ」は暴落、海外の投資家も離れて、今より苦境に陥ると予測される。(
数理モデルベースの長期投資入門)
ボロジャン(首相)か、政府解散か、いずれにせよ、暫定政権が45日間続くでしょう。その間にユーロは5.5レイになり、経済は崩壊します。今までは、蘇生のための除細動器がまだ残っていましたが、それももう終わりです。 これから来る政府は、即座にVATを24%に引き上げ、IMFから借金を強いられ、IMFはボロジャンと同じことを命じるでしょう。つまり、すべての国有企業を売却することです。 街頭の圧力による早期選挙と、ニメニ1世(ダン大統領?)の解任がなければ、ルーマニアは終わりです。

なんで、ここまで放っといたんだよ? 2024年の大統領選挙で、国民の意志通りに、ジョルジェスクを当選させて、政権が代わっていたら、こんなヒドい状況にならなかったかもしれん。ダン大統領が、EUにしっぽを振りすぎて、手遅れにしたんじゃないのか?

だけどね、ダン君とボロジャン君は、「ごくろうさん」てことで天下り先が用意されてると思うよ。
(ルーマニアの政治家)
チョシュアッチ:9月1日、1989年以来初めて、
ルーマニアの破産が宣言されるでしょう。すでにブラックロックとブラックストーンがルーマニアにやって来て、ニクソル(ダン大統領) とルーマニアの債務購入について話し合っています。その代わりに99年間の契約です。彼らはルーマニアの生産物すべてを欲しがっています:鉱床、ガスなど、99年間です。

うわ〜、ルーマニアはこれから、ハゲタカの餌になるのか?
カリン・ジョルジェスクが現政権について言及: 「ルーマニアには資源があり、ルーマニアには人々があり、ルーマニアには力があるが、それにふさわしい政府がない。
Writer
ぴょんぴょん
1955年、大阪生まれ。うお座。
幼少期から学生時代を東京で過ごす。1979年東京女子医大卒業。
1985年、大分県別府市に移住。
1988年、別府市で、はくちょう会クリニックを開業。
以後26年半、主に漢方診療に携わった。
(クリニックは2014年11月末に閉院)
体癖7-3。エニアグラム4番(芸術家)
ルーマニアでは、国民はインフレで生活が苦しいのに、国はウクライナに高額な出費をし、武器産業に投資して、EUのごきげんを取っています。
そんな政府に愛想を尽かしたルーマニア国民は、2024年の大統領選挙で、反EUのカリン・ジョルジェスクを選びました。しかし、選挙は無効にされ、ジョルジェスクは刑事訴追され、やり直し選挙の立候補さえ禁止され、結局、大統領になったのは親EUのニクソル・ダン。(ここら辺の話は、ここと、ここで書きました。)
つい先日の5月5日、そのダン大統領が指名したボロヤン首相の内閣が、不信任決議によって消滅しました。こんな状態なのに、8月までにインフレ改善策を提示、実施しなければ、EUからの補助金が下りません。ルーマニアはデフォルトするのか?
IMFとハゲタカたちが、その瞬間を待ち構えています。