[ロシアの声ほか]シュピーゲル誌:ヨーロッパはロシアに対し具体的な措置を講じなければならない

竹下雅敏氏からの情報です。
 ドイツのシュピーゲル誌の3つの提案は、じつに建設的だと思います。下の記事にもあるように、ロシアと和解する方向で動いているということがわかります。おそらく、メルケルやキャメロンの表向きの厳しい態度は、演技だと思われます。ちょうど日本が、ロシアに対する経済制裁を本音では行いたくないのと同様です。かと言って何もしないわけにはいかないところが、悩ましいわけです。プーチンは日本がアメリカの意図に反した行動を取れないことがよくわかっているので、日本には報復制裁をしませんでした。おそらく、“いつまで沈みゆく泥船に乗っているつもりなのか”というメッセージでしょう。
(竹下雅敏)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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シュピーゲル誌:ヨーロッパはロシアに対し具体的な措置を講じなければならない
転載元より抜粋)
© Photo: RIA Novosti/Михаил Климентьев

© Photo: RIA Novosti/Михаил Климентьев


ロシアのウクライナ政策がドイツでも議論を呼んでいる。しかし、終わりのない議論よりも、ドイツの政治家たちは、自らに対し、「具体的に何が、ロシアとの紛争を創り出しているのか?」と問わなければならない。ドイツの週刊誌「デア・シュピーゲル」はそう書く。

シュピーゲル誌は次のような論旨を展開した。

紛争は当初から危険をはらんでいた。ウクライナはかねて西側の価値観と自らのアイデンティティとの間で引き裂かれていた。そこへ西側が、ウクライナの国益もロシアの国益も考えずに、干渉を行った。

プラクティカルな政治によるコントロールを取り戻すために、次の3つの具体的提案を行う。

西側は、ロシアによるクリミア併合は既成の事実であり、従って、もはや覆ることはない、と認める

ロシアはウクライナのEUへの接近を妨害しない。ただし一方、ウクライナはNATOに加盟しない。

ロシアとヨーロッパは、必要な場合、米国の参加しない、新たな安全保障機構を共同で創設する。

シュピーゲル誌は、以上のような提案をドイツ外務省がロシア政府に対して行うよう求めた。
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独の有力経済紙編集長が米国に追随する「西側」は「間違った道」を歩いていると批判、話題に
転載元より抜粋)
 ドイツの経済紙ハンデスブラットの編集長が「西側の間違った道」と題する評論を発表し、話題になっている。ウクライナが不安定化すると「西側」は戦争熱に浮かされ、政府を率いる人びとは思考を停止して間違った道を歩み始めたと批判しているのだ。

 アメリカ議会ではウクライナへの武器供与が議論され、ズビグネフ・ブレジンスキー元大統領補佐官は市民を武装させるように提案、ドイツ首相は厳しい対応をとる準備ができていると発言していると指摘、こうした流れはドイツの利益に反しているとしている。その通りだろう。

 この編集長は次のように問いかける:始まりはロシアがクリミアを侵略したためだったのか、それとも「西側」がウクライナを不安定化したためだったのか?ロシアが西へ領土を膨張させているのか、それともNATOが東へ拡大しているのか?ふたつの大国が同じ意図に動かされて無防備な第三国へ向かい、深夜、同じドアで遭遇し、内戦の第1段階で泥沼にはまり込んでいるのか?
 アメリカにとっての現実的な目的とヨーロッパにとってのそれは全く違うとも主張、バラク・オバマやヒラリー・クリントンは次の選挙で勝てるか、次の大統領を民主党から出せるかということに関心があるだけだとし、クリントンがウラジミル・プーチンをアドルフ・ヒトラーに準えたのは、外国のことに関心のないアメリカ人の多くが知っている外国人はヒトラーくらいだからだと切り捨てている。

 アメリカの経済界が自国政府のロシア制裁に反対していることは本ブログでも指摘したこと。すでにロシアではアメリカの「狂人理論」に対抗するため、ドルを基軸通貨の地位から引きずり下ろすための働きかけを始めている。生産体制や社会システムが崩壊しているアメリカは投機(イカサマ博奕)、NSAを使った情報収集(恐喝のネタ探し)、そして基軸通貨を印刷できる特権で支配体制を支えているにすぎない。

 アメリカを戦争へと導いている原動力はカネ儲けの欲望とカルト的な信念。その信念に基づいて動いているのが親イスラエル派のネオコン、つまりウラジミール・ジャボチンスキーの末裔たちだ。

 ジャボチンスキーは第1次世界大戦でイギリス軍に参加し、1925年には戦闘的シオニスト団体の「修正主義シオニスト世界連合」を結成している。リクードの源流になった団体だ。そのジャボチンスキーが創設したハガナをイギリスの情報機関MI6や破壊工作機関のSOEは訓練、ハガナは後にイスラエル軍の中核になる。

 このシオニストとは、エルサレム神殿があったとされる「シオンの丘」へ戻ろうという考えを信奉する人びとだ。近代シオニズムの創設者とされているのは1896年に『ユダヤ人国家』という本を出したセオドール・ヘルツルだが、その前にアメリカでは、ウィリアム・ブラックストーンなるキリスト教福音派の牧師が「中東のユダヤ人国家建設」を支援する運動を始めている。ヘルツルはシオニズムよりセシル・ローズを信奉していた人物だという。

 それ以前、シオニズムはピューリタンの主張に含まれ、さかのぼるとオリバー・クロムウェルに行き着くのだという。ピューリタン革命で国王を処刑、「神の軍隊」を率いてアイルランドを侵略して大虐殺を行った人物だ。アイルランド問題の根はここにある。一方、アメリカへ渡ったピューリタンは侵略を進め、先住民を殲滅していく。イスラエルと同じような過程を経てWASP(白人、アングロ・サクソン、プロテスタント/ピューリタン)の国を作り上げたわけだ。

 現在、ネオコンはアメリカの福音派(原理主義者、聖書根本主義派)と手を組むが、これは必然だということ。この勢力はカルト的な信念で動いているため、核戦争も辞さない。自衛隊の幹部はマスコミの記者に対し、「今なら中国に勝てる」とあからさまに語っているようだが、似たことをアメリカのネオコンも考えているかもしれない。

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