[市川定夫氏]人工放射能は、生体内に濃縮・蓄積し、生物がこれまで適応してきた自然放射能とは比較できない影響を人体に及ぼす。

竹下氏からの情報提供です。
 フクイチ作業員の追跡調査で(人工)セシウムが予想より排出されず、体に蓄積されていくことが判明しましたが、最初から市川定夫氏により"我々が進化と適応の過程で一回も遭遇したことがない、原子力が始まってから初めて出来たものに対して、我々はそういった(排出する)適応を持っていない"と指摘されていました。
 推進派のプロパガンダに騙されてみても、体内に人工放射性核種が濃縮・蓄積され、悪影響を及ぼし、やがて病気になってしまうという事実は変わりません。自分や家族が病気になって、その愚かさに気づいても遅いのでないでしょうか。自戒もこめて…。
(編集長)

注)以下、文中の赤字・太字はシャンティ・フーラによるものです。

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天然放射能と人工放射能は違う!
転載元)

埼玉大学名誉教授・市川定夫氏
市川氏は1935年大阪府生まれ。京都大学農学部卒・同大学院修了。農学博士。米国ブ­ルックヘブン国立研究所研究員、メキシコ国立チャピンゴ農科大学大学院客員教授、埼玉­大学理学部教授等を経て、現在、埼玉大学名誉教授。その間、伊方原発訴訟や原爆症認定­訴訟などの原告側証人として放射線と遺伝の関係を証言。また、ムラサキツユクサの研究­は有名で、ごく低線量でも生物に影響があることを証明。1995年から原水禁国民会議­副議長を務め、今年4月に議長に就任。
                    

ナレーション
推進派は輸入食品に含まれる放射能や原発が日常的に放出する放射能を、ことさら自然放射能と比較して見せる。
このような比較に意味はあるのだろうか?

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埼玉大学名誉教授・市川定夫氏
カリウム40というのは、地球上に存在するカリウムのうちのほぼ10000分の1です。10000分の9999は放射能の無いカリウムなんですが、10000分の1の割でカリウム40(放射性)というのがわいてきているんです。

ただそれでも、10000分の1なんだけれども、皆さんが天然の放射能から受ける被ばくの殆ど大部分はこれ(カリウム40)なんです。この次に多いのがラドンです。時々ラジウム温泉とかラドン温泉なんかに行かれるとそのラドンの被ばくがちょっと加わる。

カリウムというのはいたずら者も混じっていますから生物は、地球上に出た生物はカリウムに適応しています。いたずら者があるカリウムに。カリウムはどんどん我々の身体に入ってくるけれど、どんどん出ていくんです。入るスピードと出るスピードが同じになっているんです。

我々の体の中にカリウムを蓄える器官とか組織は全くない。植物にも無い、動物にも無い微生物にもありません。

カリウムは皆さんご存知のように窒素、リン酸、カリという3大肥料の一つで、絶対に必要なんですが、どんどん取り込んでどんどん出して、循環させて利用するんです。それは何故かというと、こういういたずら者(カリウム40)が混じっていたから。

カリウムをどんどん蓄える生物が進化の途中で現れたとしたら、その生物は被ばくが大きくなりますから、そういう生物は不利でしたから栄えなかった。

つまり、現在まで生き伸びているという事はこの地球上で不利な性質をもたなかったから、今生き延びている訳ですから、現在の生物が全てカリウムを蓄えないのはそういうことなのです。

人工放射能は蓄積するーセシウムの場合ー


さて、このセシウムというのには残念なことながら天然のセシウムには放射能があるやつはないですが、セシウムを原子炉の中で作りますとカリウムと化学的性質が同族ですから、(挙動が)よく似ているんです。

よく似ていますから、セシウムはどんどん入ってきます。で、やはりカリウムと同じでどんどん出ていきます。

しかし、問題なんです。我々の腎臓、物を排出する腎臓は、セシウムに対しては排出する能力がちょっと劣るんです。胃壁とか腸壁を通って入ってくる速さはカリウムと同じなんですが、出ていく速さが少し遅いんです。

殆ど出ていくんですが、例えば100入るたびに1個は残る、100入るたびに1個は残るとやっていってだんだんだんだん溜まっていくのがセシウムですから、じわじわと時間をかけて増えていきます。

ナレーション
ラップランドの人達は事故から1年も経って体内のセシウム量が急激に上昇した。

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埼玉大学名誉教授・市川定夫氏
原発を推進される方々はいつも「人工放射線と自然放射線」の比較。絶対にごまかされないでください。

「人工放射線と自然放射線」の比較をして原発を推進する人はやるわけです。私達が本当に比較しなければならないのはこっちなんです。

「人工放射性核種と自然放射性核種」 

さっき言ったカリウム40といったものが、天然に昔からあったのです。そういう危険なものがあったら全生物は蓄えない、という形で適応しているわけです。

生物の進化と適応の過程で遭遇してきたものに対しては、それをくぐり抜けてきたものしか生き残っていないという形で、結果としてね。だから、こういうもの(自然放射性核種)は蓄えないという形で適応していて、自然の放射性核種を濃縮して蓄えるという生物は一つもいません。

ところがヨウ素。ヨウ素はさっき言ったように、天然のヨウ素は全部非放射性でしょ。放射能の無いヨウ素だから、われわれ生物は安心して植物も安心して何百万倍も濃縮したし、人間は安心して甲状腺に集めて利用しているわけです。

安全だったからそういう性質は貴重な優れた性質になり得たわけです。ところが、その安全だった元素に放射性の核種をつくったらダメなんです。

濃縮するものを考えてみますと、いままでその元素には放射性がなかった、そういう元素に放射性のものを作ったときに濃縮する。

セシウムも、天然のものはカリウムと一緒に入ってきても非放射性ですから、何も怖いことはない。勝手に入りなさい。ね、ところが、放射性のセシウムを原子炉が作り出すものだから、これも今言ったようにジワジワ蓄えられてしまう。

ストロンチウム90もそうです。天然のストロンチウムは非放射性でカルシウムに性質が似ていてカルシウムのあるところ(骨)にストロンチウムは全部いつでも入って来ます。天然のストロンチウムが入ってきてもいっこうに構わないんです、非放射性ですから。

ところが原子炉の中で、ストロンチウム90とか、放射性のストロンチウムを作ると、それが骨の中に入ってしまう。
ストロンチウム90の半減期は28年ですから、0歳のときに骨の中に入っちゃう。

ストロンチウム90がね、骨の中に入っちゃったら、その人は28歳になっても半分残っているんです、骨の中に。放射能はまだ半分残っていることになる。中から被曝を与えいるんです。

ストロンチウムが入ると、白血病や骨髄癌にかかりやすいというのは、それなんです。骨に入って至近距離から骨髄とかに放射線を照射しているわけですから。

これまでその元素に放射性がなかったものに、放射性のものを作ったときに、濃縮する。それが人工放射能の濃縮。

いままで、天然の放射能に濃縮するものはないというのは適応の結果なんです。ところが、我々が進化と適応の過程で一回も遭遇したことがない、原子力が始まってから初めて出来たものに対して、我々はそういった適応を持っていないんです。

昔は、人工放射能と自然放射能は同じようなものだと考えられていた時が一時期あったんです。私もそう習ってきたしそう思っていた。

なぜなら、ウランの核分裂の結果できる人工放射性核種も出す放射線はα線かβ線かγ線なんです。天然にある放射線もα線かβ線かγ線なんです。出す放射線は同じなんです。

ウランの分裂の結果できるものも。天然にある物も。出す放射線は同じなんです。放射能というのは放射線を出す能力で、最終的に我々生物の細胞に傷をつけるのは放射線ですから、放射線が同じなら人工でも自然でも同じじゃないかと昔は考えていた。

ところがそれは間違っている。挙動の違いがあったわけです。濃縮するかしないかという。それがわかった後なのに、推進派は今度「人工放射性核種と自然放射性核種」がダメとなって、わざと「人工放射線と自然放射線」へ持っていく…放射線の問題にしていく。

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人工の放射線でも例えば医療の放射線を出してきたり、天然に宇宙から飛んできている放射線も、放射線は放射線で皆さん傷つけているんですよ、人工にも自然にも差はありませんよ、と。

放射線を取り上げたら差はありません。ここには差はないんです。だけど放射線が同じか違うかではなかったんです。放射線を出す能力を持った放射性核種が、我々の中で蓄積するかしないかの違いなんです。

ナレーション

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人工放射能は体内に濃縮・蓄積する
自然放射能は体内に濃縮・蓄積しない
 

ヨウ素131やセシウム137、ストロンチウム90といった人工放射能(人工放射性核種)は、生体内に濃縮・蓄積し、生物がこれまで適応してきた自然放射能とは比較できない影響を人体に及ぼす。

文字起こし: http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-404.html

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